2024-03-23 Sat 07:18
台湾本島最南端に位置する鵝鑾鼻(鵞鑾鼻とも。日本語読みはガランピ、オーロワンピ、オーランピ―など)燈台が、きのう(22日)までに、台湾文化部(文化省)によって“国定古跡”に指定されました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1942年10月1日に発行された鵝鑾鼻燈台の40銭切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、今回ご紹介の切手を含む昭和切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 * 昨日(22日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。次回は4月12日に登場予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 3月27日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 4月12日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★ 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★ 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-04-02 Sun 08:30
甲子園のセンバツ高校野球は、きのう(1日)、決勝が行われ、山梨学院が兵庫の報徳学園を7対3で下して初優勝しました。山梨県勢の甲子園での優勝は、春夏通じて初めてです。というわけで、山梨県関連の切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1940年2月1日に発行された外信書状料金用の20銭切手で、河口湖からの富士と桜が描かれています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、今回ご紹介の切手を含む昭和切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 4月8日スタート! 平成日本の歴史 4月8・15・22日 13:30-15:00 文京学院大学での3週連続の講座です。1989年に始まる平成30年間の日本現代史をさまざまな角度から語ります。一般的な通史に加え、その時々の時代・社会の変化を切手や郵便物を通じて読み解くことで、モノから読み解く歴史の面白さを感じていただきます。詳細はこちらをご覧ください。 4月14日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月22日(土) スタンプショウ 2023 於・都立産業貿易センター台東館 毎年恒例、東京・浅草で開催の世界切手祭り・スタンプショウで、22日(土) 11:00から拙著『現代日中関係史 第2部 1972-2022』の出版記念イベントやります。事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 北千住 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★ 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-08-07 Sun 00:45
1942年8月7日午前4時(現地時間)、米海兵隊第1海兵師団(師団長アレクサンダー・ヴァンデグリフト少将)を主力とする1万,900名の海兵隊員がガダルカナル島テナル川東岸付近に上陸を開始し、ガダルカナル島の戦いが始まってから、ちょうど80年になりました。というわけで、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)
これは、藤田嗣治の戦争画「血戦ガダルカナル」を取り上げた陸軍美術協会の絵葉書です。 詳細につきましては、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。また、ガダルカナル島の戦いについては、拙著『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧ください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 8月12日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★ 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 …… 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、 そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-05-27 Fri 04:42
今日(27日)は、日露戦争での日本海海戦での勝利(1905年5月27日)を記念して、1945年の敗戦まで“海軍記念日”とされていた日です。というわけで、東郷平八郎元帥に関連して、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1942年4月1日の郵便料金の改正に伴い、新たな書状基本料金用として発行された東郷元帥を描く5銭切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、今回ご紹介の切手を含む昭和切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月27日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編』 好評発売中!★ 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの最終巻。平成以降、郵政省が郵政事業庁、日本郵政公社を経て、株式会社化され現在に至るまでを扱っています。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-12-08 Wed 01:55
1941年12月8日(日本時間)に日本が米英に宣戦布告し、いわゆる太平洋戦争(日本側の正式な呼称は支那事変を含めて大東亜戦争)が勃発してから、80年になりました。というわけで、きょうはこんなのもを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、先の大戦中の1942年10月頃、逓信省が発行した「皇軍慰問ゑはがき」の1枚で、「大詔奉戴日 一億こぞって戦勝祈願」と題する児童画が取り上げられています。 1941年12月8日に対米英開戦の証書が発せられると、1942年1月2日の閣議決定で、以後、“大東亜戦争の完遂に至るまで”、すなわり、戦争終結まで毎月8日を“大詔奉戴日”とすることとされました。 すでに、支那事変下の1939年9月から、国力増強・戦意高揚を目的として、同年9月から毎月1日は“興亜奉公日”とされており、当日は、国旗掲揚・宮城遥拝・神社参拝・勤労奉仕などのほか、飲食・接客業は休業となり、国民は禁酒禁煙で、食事は一汁一菜とし、児童生徒の弁当は日の丸弁当とすることが行われていました。 大詔奉戴日はこれを発展させたもので、その実施要項には、当日の具体的な活動として、①学校・職場などでの(対米英開戦の)詔書捧読、②神社・寺院・教会などでの必勝祈願、③国旗掲揚、④職域奉公、などが挙げられています。 今回ご紹介の絵はがきの児童画は、母子と思しき4人が大詔奉戴日に神社で必勝祈願を行っている場面を描いていますが、父親の姿が見えません。おそらく、父親は応召してすでに戦地に赴いているのでしょう。そうだとすると、彼らは、必勝祈願もさることながら、出征中の父親が無事に帰ってくることを熱心に祈っていたのかもしれません。 なお、先の大戦中の切手・郵便については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 12月13日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 三鷹市生涯学習センター 「宗教と国際政治」 2022年1月10~23日 国際紛争や諸外国のタイムリーな重大ニュースを取り上げ、その背後にある「宗教」をめぐる諸問題をじっくり解説する講座です。今回は、混迷続くアフガニスタンとその歴史に焦点を当ててお話します。お申し込みは12月11日(土)までで、ご応募多数の場合は抽選になります。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-05-27 Thu 01:59
今日(27日)は、日露戦争中の1905年5月27日、日本海海戦での勝利を記念して、1945年の敗戦まで“海軍記念日”でした。というわけで、東郷平八郎元帥に関連して、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1937年8月1日に発行された第一次昭和切手の4銭切手で、東郷元帥の肖像が描かれています。 1935年7月13日、逓信省は、1912年以来使われてきた田沢型切手がオールドファッションになっていたことを踏まえ、1936年度中をめどに普通切手の図案改正を省議決定。その際、図案の選定に関しては、「社寺、風景、國寶トシテ指定ノ名畫及ビ建造物、我國特有品又ハ歴史上著名ノ人物ヨリ選擇スルコト」との方針が確定されました。 しかし、そのための実務作業は遅れ、“改正郵便切手圖案審査委員会”の第1回会合が開催されたのは、1937年3月27日のことでした。すでに、4日後の4月1日から、郵便料金が改正され、書状の基本料金が3銭から4銭に、葉書料金が1銭5厘から2銭に、それぞれ値上げされることが決まっていたため、委員会では、まず、4銭切手の図案は東郷元帥、2銭切手の図案は乃木希典大将、とする方針が説明されます。 この方針に基づいて、1937年5月10日に発行された乃木大将の2銭切手を皮切りに発行されたのが昭和切手で、1940年までに発行されたものが“第1次昭和切手”呼ばれています。 今回ご紹介の切手の元になった肖像写真は、東郷晩年の1930年の海軍記念日(5月27日)、自宅を訪れた小学生たちに囲まれて撮影されたものです。(下の画像) 生前の東郷の人となりを最もよくあらわすものとして、遺族の強い希望で切手に採用されましたが、昭和切手の図案を討議した改正切手圖案審査委員会の席上では、「勇気が欠けている様に思ふ」、「憂鬱である」などの反対意見も出されました。ちなみに、写真を元に作られた原画は、こんな感じです。たしかに、描き起こされた元帥の表情は、(元の写真と比べて)ちょっとお疲れ気味のようにも見えますね。これを修正して発行されたのが、冒頭の画像の切手というわけです。 なお、この切手を含む昭和切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 * おかげさまで、『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の重版が決定しました。皆様、ありがとうございます! ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 5月31日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 6月2日(水) 20:30~ KAZUYAチャンネルGX KAZUYAチャンネルGXに、新作『誰もが知りたいQアノンの正体』の著者として内藤がゲスト出演します。皆様、よろしくお願いします。 6月5日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 6月5日、12日、19日、7月3日、10日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 いずれも、対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。よろしくお願いします。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) 出版社からのコメント なぜQアノンにみんなハマったのか? ネットならではの引き寄せ構造と、現代格差社会の生んだ分かりやすい解釈。 これは米国だけじゃない! 人はみんなQを求めている!? (笑) ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-05-04 Tue 00:35
きょう(4日)はみどりの日です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1939年12月11日に発行された第一次昭和切手の3銭切手で、緑の山林に囲まれた水力発電所が描かれています。 1935年7月13日、逓信省は、1912年以来使われてきた田沢型切手がオールドファッションになっていたことを踏まえ、1936年度中をめどに普通切手の図案改正を省議決定。その際、図案の選定に関しては、「社寺、風景、國寶トシテ指定ノ名畫及ビ建造物、我國特有品又ハ歴史上著名ノ人物ヨリ選擇スルコト」との方針が確定されました。 この方針に基づいて、1937年5月10日に発行された乃木大将の2銭切手を皮切りに発行されたのが昭和切手で、そのうち、1940年までに発行されたものが“第1次昭和切手”呼ばれています。 第一次昭和切手のうち、1937年4月1日以降の料金体系では、第4種(印刷物)および第1種無封書状での使用が想定される3銭切手については、当初、稲の収穫ないしは耕作を図案とすることが予定されていました。しかし、その後、当初案は破棄され、明治神宮が図案の候補となりましたが、提出された原図に対して、“改正郵便切手圖案審査委員会”の委員から「どこの神社かわからない」との意見が出されたため、二重橋が次の候補となります。 ところが、二重橋に関しても、図案がほぼ固まった時点で、委員会に対して、逓信省から「(支那事変下という時節柄)二重橋に消印することは不敬にあたる恐れがあるので、問題を避けるため新たな題材で図案を作りなおしたい」との申し出があり、委員会では、「近代日本産業を代表するもの」として、水力発電所、捕鯨、造船所、無線通信を描いた原図候補を検討した結果、「電力はあらゆる産業の基本」などの理由から、水力発電所が採用されました。 ちなみに、切手に描かれた水力発電所は、公式には「特定の場所ではないもの」とされていますが、実際には、台湾の日月潭第1および第3発電所の資料写真を元に原図が作られたことがわかっています。 なお、この切手を含む昭和切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 * 昨日(3日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は来週月曜日・10日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 5月10日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-05-01 Sat 01:39
きょう(1日)はメーデーです。というわけで、労働者を描く切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、日米英開戦後に発行された第2次昭和切手のうち、1943年1月1日に発行された「働く女性」(通称・女子工員)を描く1銭切手です。 1941年12月8日、日本は米英蘭に宣戦を布告し、大東亜戦争(いわゆる太平洋戦争)が勃発しました。 これを受けて、切手も戦意高揚のための手段として活用されることになり、逓信省は1942年1月15日〆切で、「防諜、生產力擴充、大東亞共榮圈確立、髙度國防國家ノ建設、其他國策遂行上時局認識セシメ直チニ效果アル取材トシ、斬新ニシテ迫力アルモノタルコト」とのテーマで切手図案の懸賞公募を行います。 募集期間はごく短期間だったにもかかわらず、2972点の応募があり、フランスから帰国していた藤田嗣治を含む11名の審査員による審査の結果、19点が入選となりました。ちなみに、1等(賞金500円)に選ばれたのは、鈴木泉造の「富士と八紘基柱」で、1942年10月1日に発行された4銭切手の図案に採用されています。 今回ご紹介の切手に取り上げられた「働く女性」はその3等入選作品で、原画作者は山之内孝夫。もともとは、こんな感じでした。 実際に発行された切手では、額面が2銭から1銭に変更されているほか、女性の顔つきなどに修正が加えられているものの、ほぼ原画通りの仕上がりとなっています。 なお、今回ご紹介の切手を含む第2次昭和切手とその原画については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 5月3日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-04-29 Thu 04:00
きょう(29日)は“昭和の日”です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1937年4月1日に発行された“昭和毛紙”の富士鹿20錢切手です。 1935年7月13日、逓信省は、1912年以来使われてきた田沢型切手がオールドファッションになっていたことを踏まえ、1936年度中をめどに普通切手の図案改正を省議決定。その際、図案の選定に関しては、「社寺、風景、國寶トシテ指定ノ名畫及ビ建造物、我國特有品又ハ歴史上著名ノ人物ヨリ選擇スルコト」との方針が確定されました。 これを受けて、逓信博物館は調査を開始しましたが、図案の考証などの準備に予想外の時間がかかり、新普通切手の具体的な題材決定を行うための“改正郵便切手圖案審査委員会”が発足したのは、昭和11年度末の1937年3月11日のことで、委員会の第1回会合が開かれた時には3月27日になっていました。 ところで、委員会発足直後の1937年4月1日 1899年以来38年ぶりの郵便料金が改正され、書状基本料金が3銭から4銭に、葉書料金が1銭5厘から2銭に値上げされます。新図案の普通切手は必ずしも郵便料金の値上げと連動する必要はありませんが、やはり、郵便料金前納の証紙という切手の本質を考えた場合、新切手は新料金に対応したものを発行するのが好ましいのは当然です。 とはいえ、図案改正委員会の発足からまだ日も浅く、実際に新図案の普通切手を発行するまでには相当の時間が必要なことから、とりあえず、逓信省としては、従来からの田沢型・富士鹿・風景・新高額の各普通切手の図案を流用するなどして、急場をしのぐことになりました。 このうち、外信用の4銭(印刷物)と20銭(書状)については富士鹿切手の、10銭(葉書)は風景切手の実用版をそのまま使い、万国郵便連合の規定に沿ったUPU色に改色して、従来からの大正毛紙(偽造防止のため。着色繊維をすき込んだ用紙)に印刷した“昭和毛紙”の切手が、料金改正初日の4月1日に発行されています。 富士鹿切手は、日本の象徴としての富士山と鹿を組み合わせたデザインの切手です。 鹿は、漢籍では、祖霊の使者とされてきた。特に、詩経の「鹿鳴之什」は、各章首二句が「呦呦鹿鳴、食野之苹」「呦呦鹿鳴、食野之蒿」「呦呦鹿鳴、食野之芩」となっており、呦呦(ゆうゆう)と鹿が鳴き草(苹、蒿、芩)を食むさまを謡うことで祖霊が一族のもとに降臨したことを示し、それを受けて、祖霊に供物を捧げ、音楽を演奏するなど、一族の歓待の意が表現されています。ここから、“鹿鳴”には賓客をもてなす意味が生まれ、明治の“鹿鳴館”の由来にもなりました。 ちなみに、この辺りの事情については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 5月3日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-04-23 Fri 02:02
福岡市東区の筥崎宮で職員らの新型コロナウイルス感染が相次いだため、きのう(22日)から境内が閉鎖され、当面参拝ができなくなりました。筥崎宮によると、記録に残っている限り、境内が閉鎖されるのは今回が初めてのことだとか。というわけで、筥崎宮にちなんで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、先の大戦末期の1945年4月1日付の発行告示が出された“青色勅額”の切手です。 1945年4月1日、書状の基本料金が7銭から10銭に値上げされたのにあわせて、元寇の際、亀山上皇が“敵国降伏”の文字を書いたとされる、筥崎宮楼門(伏敵門)の額(勅額)をデザインした切手が発行されることになりました。まさに、本土決戦も辞せずという空気の中で、“神風”にすがろうという、当時の日本国民の心情を反映したようなデザインの切手ですが、終戦前後の混乱の中で数奇な運命をたどることになります。 当初、この切手は、ここに紹介しているように、淡青色で印刷されるはずでした。しかし、切手を発注した通信院(逓信省は、昭和18年に戦時下の行政機構の簡素化によって通信院に改組)と印刷局との連絡の不備から、通信院の指示した淡青色ではなく、灰色で切手が印刷されてしまいます。しかも、たび重なる空襲で印刷局は罹災し、勅額切手は配給前に原版もろとも大半が焼失していました。このため、印刷局は、通信院との連絡もままならないまま、罹災を免れたごく一部の完成品をとりあえず、愛知・岐阜の両県と東京市内の一部の郵便局へ発送します。 一方、切手を受け取った郵便局の側では、慢性的に切手が不足していたこともあり、さっそく、勅額切手の発売を開始。本来、切手の発行は官報や逓信公報で告示するのですが、当時は印刷物の遅刊が日常茶飯事でしたし、発行されていたとしても末端までは届かないことも珍しくありませんでした。このため、現物の切手を目の前にした現場の郵便局が、その切手の発行の告示はすでに出されているものと考えるのも自然なことでした。 ところが、灰色の勅額切手の発売を知った通信院は困惑します。なにしろ、予定とは異なる刷色の切手が、告示もなしに流通してしまったのですから。 そこで、通信院は5月18日になって「昭和二十年五月一日ヨリ左ノ十銭郵便切手ヲ発行セリ」とする日付を戻した遡及告示を出して事態を取り繕おうとします。ちなみに、告示では、切手の刷色は現実に流通している灰色ではなく、淡青色とされていましたが、幸か不幸か、灰色の勅額切手はほとんどが焼失していたため、当局としては、既定の方針どおり、淡青色の切手を急いで製造し、灰色の勅額切手については、その存在をごまかそうとしたわけです。 さて、印刷局は空襲で罹災していたため、切手の印刷は凸版印刷板橋工場に委託され、その際、版式は凸版から簡易なオフセットに変更され、目打の加工も省略されました。一方、逓信院(5月19日、通信院から改称)の委託を受けた凸版印刷では、急ピッチで作業を行い、8月までに淡青色の勅額切手を製造し、各地に発送します。 こうして、切手発行の準備が整い、いざ発売という時になって、8月15日の玉音放送となり、“敵国”ではなく、日本の降伏が発表されました。 この事態に逓信院は狼狽。“敵国降伏”の文字は新たな支配者となる連合軍(米軍)を刺激するに違いないと危惧した逓信院は、急遽、米軍の進駐前に勅額切手をすべて処分することを決定。8月24日付で勅額切手の発売停止を指示します。 もっとも、深刻な切手不足という状況の下では、すでに切手を購入していた一般利用者が切手を使用することを禁止するわけにもいかないので、一般の手持分については、なるべく、他の切手と交換することとされ、郵便物に貼られているものについては、切手を剥ぎ取って“料金収納”と表示したり、“敵国降伏”の文字部分を塗りつぶしたりすることが行われました。 こうして、8月30日にマッカーサーが厚木に到着した時には、勅額切手は処分されて郵便局の窓口から姿を消しており、淡青色の勅額切手は一枚も使われず、灰色の勅額切手も記録には残らず、逓信院は勅額切手をなかったことにして安堵するはずでした。 ところが、事態は思わぬ方向に展開します。 進駐軍の米兵の中には切手の収集家が少なからずおり、彼らは、郵便局だけではなく、切手商や闇市などで日本切手を買い集めていました。そうした中に、郵便局ではすでに発売が停止されていた勅額切手が灰色・淡青色を問わず、相当数、転がっていたのです。 もっとも、彼らは勅額切手を“鬼畜米英”撃滅のためのものとは考えず、日本降伏の記念切手と誤解し、これを“サレンダー・スタンプ”と呼んでもてはやしていました。皮肉なことに、勅額切手は、本来想定されていたのとは全く逆に、米兵のコレクションを飾るものとして彼らの人気を集めることになります。 さて、こうして勅額切手が米兵たちの間で認知されていくなかで、米国スコット社のカタログ編集部に2色の勅額切手が届けられました。同社の切手カタログは、全世界の切手を網羅していることで知られ、その権威は世界中の収集家から認められていました。 切手収集の世界では、同じ図案の同じ額面の切手であっても、刷色や版式が異なれば、まったく別の切手として扱われます。したがって、同じ10銭の勅額切手といっても、凸版印刷で灰色のものと、オフセット印刷で淡青色のものとでは、全く別の切手という扱いになります。 このため、スコット社では調査を開始しましたが、淡青色のものはともかく、灰色の切手に関しては、どうしても、切手発行の告示を発見することができませんでした。逓信院が告示を出していない以上、当然のことなのですが…。 このため、不審に思ったスコット社は、GHQを通じて「灰色の勅額切手には発行の告示が出されていないようだが、これは正規に発行された切手なのだろうか。カタログ編集上の資料なので回答してほしい」と日本政府に照会します。 事ここに至り、もはや日本政府も事実をうやむやにすることができなくなり、1945年12月20日付で、灰色の勅額切手は「四月一日ヨリ発行セリ」という八ヶ月遅れの告示を出し、ようやく、一連の勅額切手騒動も落着しました。 ちなみに、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』では、1945年の終戦前後の混乱が切手や郵便に与えた影響もいろいろまとめております。機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 4月23日(金) 15:00~ 東京・浅草の東京都立産業貿易センター台東館で開催のスタンプショウ会場にて、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の刊行記念トークを行います。入場無料・事前予約不要ですので、お気軽にご参加ください。なお、スタンプショウの詳細はこちらをご覧ください 4月24日(土) 倉山塾東京支部特別講演 靖国神社参拝と講演がセットになった有料イベント(参加費は3000円、高校生以下1000円)で、スケジュールは以下の通りです。 14:15 集合 靖国神社 大村益次郎像前 → 参拝(昇殿参拝ではありません)後、講演会場へ移動 15:00 講演会の受付開始 15:30-17:00 内藤の講演(拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の内容が中心ですが、前日のスタンプショウとは内容が異なるので、両方ご参加いただいても問題ありません) * 終了後、懇親会の予定あり(別途予約が必要です) お申し込みなどの詳細はこちらへ。一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。 4月26日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。詳細については、武蔵野大学地域交流推進室宛にメール(lifelong★musashino-u.ac.jp スパム防止のため、アドレスの@は★に変えています)にてお問い合わせください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-04-22 Thu 00:39
きょう(22日)は“アース・デイ”です。というわけで、地球を描いた切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1936年9月1日に発行されたのが“関東局始政30年”の記念切手のうち、北東アジアの地図が描かれた地球と鳩を取り上げた1銭5厘切手です。 1905年9月5日、日露戦争の講和条約として結ばれたポーツマス条約により、日本はロシアが租借していた遼島半島の一部をロシアに変わって租借する権利を獲得しました。これが、いわゆる関東州です。 中国でいう“関東”とは、本来、山海関(万里の長城)の東側の意味で、本来なら東北部(満洲)全体を指す歴史的な言葉ですが、日本の租借地としての関東州の領域は、遼島半島の普蘭店北方の長陽寺会付近から貔子窩東方の碧流河付近にいたる線より南の地域で、付近の島々を加えると、その面積は約3万平方キロでした。 この地域は丘陵地帯のため産業は発達しませんでしたが、海岸線の出入が多く、天然の良港に恵まれていました。清朝は半島の先端に位置する旅順を北洋艦隊の基地とし、1898年にこの地を租借したロシアも、それを継承して旅順を軍事都市化します。 また、ロシアは、在来の漁村であった青泥窪をもとにダルニー市を建設。ここを自由港としました。以後、ダルニー市はこの地域の政治・経済の中心地となり、日本の支配下で大連と改称された後も繁栄は続きました。 さて、日露戦争の結果、ロシアからこの地域の租借件を引き継いだ日本は、1905年10月、遼陽に“関東総督府”を設置。この地域の統治に着手します。この関東総督府は、満洲軍総司令部が日本に帰国した後の残留部隊を統率する機関でもあったため、関東州では軍政が敷かれていました。 軍政を廃して、通常の植民地支配が行われるようになったのは1906年9月1日からのことで、それにあわせて、遼陽の関東総督府は廃止され、“関東都督府”が旅順に置かれます。 都督府は民政部と陸軍部から構成され、関東州の行政だけでなく、満鉄付属地(日本の国策会社・南満洲鉄道株式会社が主な駅周辺で統治していた治外法権地帯)の行政や、日本の治外法権に基づいた満洲各地の警察業務、満鉄付属地に駐留する鉄道守備隊の統率なども行いました。このため、関東都督は陸軍の将官(大・中将)から任じられ、外務大臣・陸軍大臣・参謀総長の監督を受けるという複雑な官制となっていました。 その後、1919年の勅令で関東庁官制が公布され、関東都督府は“関東庁”に改組され、本庁は大連に移転します。以後、軍人でなくても関東長官に就任できることになりましたが、そのかわり、満洲に駐留する軍隊を統率するための機関として、別に関東軍司令部が設けられることになりました。ちなみに、後に張作霖の爆殺事件や満洲事変を起こした“関東軍”は、このときの官制改革で関東都督府陸軍部から独立したことで、正式に発足したものです。 こうして、関東州は日本の大陸政策の拠点としての地位を築いていったわけですが、1932年に満洲国が建国されると、満洲国が満鉄付属地の施政権を接収したこともあって(ただし、1937年までは一部、日本による“治外法権”が残っていた)、関東州のあり方も変容を迫られます。その結果、1934年、日本政府は満洲国の首都であった新京(現・長春)に内閣総理大臣の監督する“関東局”を設置。関東庁は、その監督下に置かれることになり、関東庁長官は、満洲国駐留の日本の全権大使が任命することとされました。 今回ご紹介の切手は、いままで述べてきたような関東州の統治が始まってから(関東都督府の設置から起算して)30周年にあたるのを記念して発行されたもので、関東局の郵政事業を管轄していた関東逓信局によって企画されました。ただし、切手を発行する権限は、当時の日本では逓信省(後の郵政省)にしか認められていなかったため、形式上、この記念切手も逓信省が発行した体裁を取っています。ただし、実際には関東逓信局で切手を制作し、発売も関東局の管内に限られていました。 切手全体の構図は、勝利のシンボルである月桂樹と平和のシンボルである鳩、そして発展・繁栄のシンボルである旭光が満洲国のエリアと関東州、朝鮮半島を取り囲むものとなっています。このデザインには、これらの地域が日本の支配によって平和と繁栄を享受しているのだということを示す意図が込められていると見てよいでしょう。 なお、1945年以前の日本切手とその歴史については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』でもいろいろまとめておりますので、機会がありましたら、せひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 4月23日(金) 15:00~ 東京・浅草の東京都立産業貿易センター台東館で開催のスタンプショウ会場にて、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の刊行記念トークを行います。入場無料・事前予約不要ですので、お気軽にご参加ください。なお、スタンプショウの詳細はこちらをご覧ください 4月24日(土) 倉山塾東京支部特別講演 靖国神社参拝と講演がセットになった有料イベント(参加費は3000円、高校生以下1000円)で、スケジュールは以下の通りです。 14:15 集合 靖国神社 大村益次郎像前 → 参拝(昇殿参拝ではありません)後、講演会場へ移動 15:00 講演会の受付開始 15:30-17:00 内藤の講演(拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の内容が中心ですが、前日のスタンプショウとは内容が異なるので、両方ご参加いただいても問題ありません) * 終了後、懇親会の予定あり(別途予約が必要です) お申し込みなどの詳細はこちらへ。一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。 4月26日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。詳細については、武蔵野大学地域交流推進室宛にメール(lifelong★musashino-u.ac.jp スパム防止のため、アドレスの@は★に変えています)にてお問い合わせください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-02-18 Thu 03:19
きょう(18日)は、1911年2月18日に世界最初のエアメールがインドのアラハバード=ナイニ間を運ばれたことにちなむ“エアメールの日”です。というわけで、“航空切手”の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1929年10月6日に発行された“芦ノ湖航空”の切手のうちの16銭5厘切手です。 第一次世界大戦後、欧米などでは定期航空輸送が盛んになりましたが、わが国では、東西定期航空会、日本航空株式会社(戦後の日本航空とは無関係)、日本航空輸送研究所の民間3社があったものの、いずれも規模が小さすぎて発展が期待できませんでした。このため、政府支援の下、1928年10月20日に逓信省航空局所管の航空会社として日本航空輸送株式会社が発足。政府は既存の民間3社に日本航空輸送への合流を求め、東西定期航空会と日本航空株式会社の2社は昭和4年3月31日、合流に同意して日本航空輸送に無償吸収合併されました。ただし、日本航空輸送研究所は合流を拒否し、短距離路線に限り運航を継続します。 民間2社を吸収した日本航空輸送は、早速4月1日から営業運航を開始し、陸軍から払い下げられた乙式一型偵察機(サルムソン2)18機を用いて、東京=大阪間週12往復の郵便・貨物輸送を行いました。これに伴い、4月1日付で国内航空郵便制度が正式にスタートします。 航空郵便の開始当初の料金は、内地区内相互の書状基本料金が18銭、葉書が8銭5厘、内地と朝鮮・大連・台湾間の書状基本料金が33銭、葉書が16銭5厘でしたが、内地と植民地間の航空郵便は、9月に福岡=蔚山=京城=平壌=大連間での旅客輸送が開始されてから取り扱いが開始されました。 これらの料金に相当する4種の切手は、いずれも、芦ノ湖上空を飛ぶフォッカー7型3M機を描いているため、“芦ノ湖航空”と呼ばれています。なお、切手は、制度初日の4月1日ではなく、半年後の10月6日に発行されましたが、これは、朝鮮・大連への路線開設を待ってのことと考えられます。ちなみに、制度初年の航空郵便の取扱は約8万6000通でした。 さて、今年(2021年)は、明治4年3月1日(1871年4月20日)に日本の近代郵便が創業されてから150周年の節目の年に当たっており、それにちなむ企画として、日本切手の歴史を概観する3巻本の書籍を刊行の予定です。そのうち、1945年までを扱った第1巻は、ことし4月に刊行の予定で、現在、執筆作業を進めているところです。正式な書名や発売日、定価などが決まりましたら、このブログでもご案内していきたいと思っておりますので、なにとぞよろしくお願いします。 ★★ テーマティク切手展、開催中! ★★ 2021年2月13-21日(土~日) テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。 通常は東京・目白の切手の博物館を会場として開催しておりますが、ことしは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEB上でコレクションを閲覧できる「オンライン切手展」となりました。ぜひ、こちらをクリックしてご覧ください。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-12-15 Tue 03:04
この1年の世相を漢字一字で表す“今年の漢字”が“密”に決まり、きのう(14日)、京都の清水寺で発表されました。というわけで、“密”といえば、切手の世界ではやはりこの人がらみの1枚でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1927年6月20日に発行された“万国郵便連合加盟50年”の記念切手のうち、わが国の近代郵便創業の功労者で“郵便の父”とされる前島密の肖像を描いた3銭切手で、肖像の下には“前島密”の名前もしっかり入っています。 前島密に関する切手は、1921年に発行された郵便創始50年記念の3銭および10銭切手に描かれた当時の逓信省庁舎の一部に、彼の銅像が小さく描かれているのが最初ですが、その切手では顔などは識別できませんので、本格的な肖像切手としては今回ご紹介のモノが第1号と言ってよいでしょう。ちなみに、この切手は、印面に人名の入った日本最初の切手であるだけでなく、昭和になってから発行された最初の切手でもあります。 さて、前島密は、天保6年1月7日(1835年2月4日)、越後国頸城郡津有村下池部(現・新潟県上越市)の豪農、上野助右衛門の2男として生まれました。幼名は房五郎です。 1847年、江戸に出て医学を修め、蘭学・英語を学んだ後、1858年、航海術を学ぶため箱館へ赴き、巻退蔵と改名。1859年、武田斐三郎の諸術調所に入り、1865年、薩摩藩の洋学校(開成所)の蘭学講師となりました。 翌1866年、幕臣・前島家の養子となり、家督を継いで前島来輔と名乗りましたが、維新後の1869年、明治政府の招聘により民部省・大蔵省に出仕します。しかし、内閣制度導入以前の明治政府の太政官制には、各省の卿(後の大臣にほぼ相当)の下に、“輔”の字を使う大輔・小輔の官職があったことから、四書五経の『中庸』の一節「巻之則退蔵於密」から一字を採り、“密”に再改名しました。 ちなみに、「巻之則退蔵於密」の前後は、「其書始言一理 中散為萬事 末復合為一理 放之則弥六合 巻之則退蔵於密 其味無窮 皆実学也 善読者 玩索而有得為 則終身用之 有不能尽者矣(その書始めは一理を言い、中は散じて万事と為し、末は復た合わして一理と為す。これを放てば則ち六合に弥り、これを巻けば則ち密に退蔵す。その味わい窮まりなし。皆実学なり。善く読む者、玩索して得るあらば、則ち終身これを用いて尽くす能わざる者あらん。)」となっています。 大意としては、「『中庸』の書は、最初に一理を説明して、途中でさまざまに分散して万事について語り、最後はまた統合して一理をなしている。その内容を拡散して広げれば宇宙のすべてに行き渡り、これを巻いてしまえば秘密の教えとなって世の中から退蔵される。その味わいは尽きるところがなく、すべて、実用に資する学問である。よく読む者が、この書物を熟読してその真意を得るならば、生涯にわたり、どれほどそれを用いても用い尽くすことはできないだろう」ということになりましょうか。 伝統的な漢学の素養に加え、医学・蘭学・英語・航海術などに通じていると自負していた前島は、自らを生きた書物になぞらえ、自分の能力が世に埋もれる(=退蔵される)ことなく、それを紐解いて活用する者を求め続けようという青雲の志を抱いて、“密”を名乗ったことがわかります。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-06-26 Fri 01:38
きょう(26日)は、いまから60年前の1960年4月26日、アフリカ南東沖の島国、マダガスカルがフランスから独立したことにちなみ、かの国では独立記念日です。というわけで、マダガスカルに関連して、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、先の大戦中、マダガスカル島北部のディエゴ・スアレス湾内の英軍艦への日本の潜水艦による攻撃の場面を描いた軍事郵便絵葉書です。 1883年、マダガスカルに侵攻したフランスは、当時、マダガスカルを支配していたメリナ王国を破り、北部の港町ディエゴ・スアレス(アンツィラナナ)を獲得し、1885年には軍港を建設しました。1897年、マダガスカル全島を植民地化したフランスは、この軍港を強化し、インド洋における軍事拠点と位置付けます。 第二次大戦中の1940年、フランス本国はドイツに降伏し、親独ヴィシー政権とドゴールの自由フランスが対峙するようになると、マダガスカルはヴィシー政権支持の立場を取りました。 ところで、第二次大戦の勃発後、欧州から太平洋地域へ向かう連合国の船舶は、地中海からスエズ運河を抜けるルートではなく、喜望峰を回ってインド洋に出るルートを取っていました。このため、インド洋の重要拠点であるマダガスカルを拠点に、ドイツ軍が連合国の輸送路を妨害することが懸念されていましたが、実際には、ドイツ軍はインド洋方面に進出する余裕はなく、連合国側もマダガスカルを重視することもありませんでした。 ところが、1941年12月、日本が米英蘭に宣戦を布告し、第二次大戦に参戦。さらに、日本軍は1942年3月末までに、東南アジアのほぼ全域を制圧し、セイロン島も攻撃しました。このため、英海軍・東洋艦隊はモルディヴ諸島のアッドゥ環礁に退避しましたが、日本海軍の攻撃によって多くの艦船を失い、ケニアのキリンディニまで撤退を余儀なくされます。 こうした状況の中で、連合諸国、とくに英国は、日本がドイツとの同盟関係を背景に親独ヴィシー政権の支配下にあったマダガスカルのフランス海軍基地を使用すれば、欧州と太平洋地域の輸送路が途絶し、アフリカ大陸東岸やペルシャ湾が日本海軍の攻撃にさらされるのではないかとの懸念を抱きました。 このため、1942年5月5日、英国はディエゴ・スアレス攻略のための“アイアンクラッド作戦”を発動。ディエゴ・スアレス西のクーリエ湾およびアンバララタ湾へ奇襲上陸し、5月7日までにディエゴ・スアレスのヴィシー政権軍を降伏させました。 一方、ヴィシー政権は、英国による奇襲攻撃の前から、ドイツに増援を要請。こうしたこともあって、1942年4月、日本はインド洋・アフリカ東岸での潜水艦攻撃を計画。当初の計画では、攻撃目標として、南アフリカのダーバンやモンバサ(現ケニア)、ダルエスサラーム(現タンザニア)等も検討されましたが、5月21日、日本側は連合国の占領下にあったディエゴ・スアレスへの攻撃が決定されます。 5月30日、日本海軍の潜水艦・伊16搭載の特殊潜航艇と伊20搭載の特殊潜航艇はディエゴ・スアレス湾内に潜入して4発の魚雷を発射。ディエゴ・スアレス港に停泊していた英海軍の戦艦ラミリーズを大破し、油槽船ブリティッシュ・ロイヤルティを撃沈しました。 日本軍の攻撃を受けたディエゴス・アイレス湾内は大混乱に陥り、英軍は翌6月1日昼まで爆雷攻撃を繰りします。これに対して、日本側の2艇のうち1艇はこれを潜り抜けて湾外に脱出しましたが、ノシ・アレス島で座礁。このため、乗員の秋枝三郎と竹本正己の2人は艇を脱出してマダカスカル島のアンタラブイ近くに上陸して、母潜との会合地点に徒歩で向かいました。 しかし、6月2日、英軍は地元住民の通報によって2人を発見。2人は降伏勧告を拒否し、15人の英軍部隊を相手に軍刀と拳銃で戦い、英側に戦死1、負傷5の損害を与えて戦死しました。なお、2人の亡骸は現地で埋葬され、1976年にはアンツィラナナと改称されたディエゴ・スアレスに慰霊碑も建立されています。 その後、インド洋から英海軍がほぼ駆逐されたこともあり、日本海軍は主戦場から遠く離れたマダガスカルを攻撃せず、ヴィシー政権軍への支援も行われませんでした。 一方、ヴィシー・政権軍と英国を中心とした連合国軍との間では、数か月間、交戦が続きましたが、1942年9月、連合国軍は首府タナナリブおよびアンバラバウを占領。10月18日のアンドリアマニャリーナでの戦闘を経て、11月5日、マダガスカルのヴィシー政権は降伏。連合国によるマダガスカル全島の占領が完了します。 * 昨日(25日)、アクセスカウンターが220万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★ 6月26日(金)05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。 ★★ 『みんな大好き陰謀論』 7月4日刊行! ★★ 本体1500円+税 出版社からのコメント 【騙されやすい人のためのリテラシー入門】 あなたは大丈夫?賢い人ほどダマされる! 無自覚で拡散される負の連鎖を断ち切ろう まずは定番、ユダヤの陰謀論を叱る! ! 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-03-10 Tue 01:56
1945年3月10日の東京大空襲から、きょう(10日)でちょうど75年です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、先の大戦中、逓信省が発行した「皇軍慰問ゑはがき」の1枚で、防空訓練の場面を描いた児童画が取り上げられています。 米軍による日本本土への空襲は、1942年のドゥーリットル空襲が最初ですが、1944年7月のサイパン陥落後、同島のマリアナ基地から発進した米軍機による日本本土への空襲は本格化します。特に、同年10月のレイテ沖海戦で日本海軍が事実上壊滅状態に陥った後は、一部の例外を除き、北は北海道の釧路・帯広から南は西之表にいたるまで、終戦までの10ヶ月間にわたって全面的な本土空襲が連日行われました。 東京に関しては、1944年11月14日以降、終戦まで106回の空襲を受けていますが、被害が大きかったのは、1945年2月26日、28日、3月10日、4月13日、5月24日、25-26日の空襲です。中でも、1945年3月10日の大空襲は、東京・下町地区に壊滅的な打撃を与え、死者10万人以上、罹災者100万人以上という犠牲者数は、1945年2月のドレスデン空襲の死者3万5000人をはるかにしのぎ、空襲としては史上最大規模の大量虐殺とされています。 ちなみに、日本政府は、サンフランシスコ講和条約により空襲被害に対する賠償請求権を放棄していますが、1945年3月10日の東京大空襲に関しては、都市としての東京そのものの殲滅するため、非戦闘員である多くの市民をも標的にした無差別爆撃が行われていることから、広島・長崎への原爆投下同様、戦争犯罪ではないかとの指摘もなされています。このため、2007年には、東京大空襲の無差別攻撃はハーグ陸戦条約3条違反として、いわゆる東京大空襲訴訟も起こされましたが、2013年5月9日、最高裁が原告側の上告を棄却し、原告側の全面敗訴が確定しました。 ★★ イベント・講座等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名・講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 3/31、4/7、5/5、6/2、7/7、8/4、9/1(1回のみのお試し受講も可) ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-11-14 Thu 01:00
きょう(14日)は、今上陛下のご即位後、最初の新嘗祭(新穀を祀る儀式)となる大嘗祭の日です。というわけで、きょうはストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1928年11月10日、昭和天皇の即位の大礼に際して発行された記念切手のうち、大嘗祭の行われる大嘗宮を描いた10銭切手です。切手は、即位の大礼の際に陛下が着用される黄櫨染御袍にちなんで黄色の着色紙に印刷されており、黄ばんでいるわけではありません。 大嘗宮は、大嘗祭のたびごとに造営され、斎行された後は破却、奉焼される建造物で、朝堂院の前庭に設置されていました。かつては、祭の約10日前に材木と諸材料と併せて茅を朝堂院の前庭に運び、7日前に地鎮祭を行い、そこから数えで5日間で全ての殿舎を造営し、祭の3日前に完成という段取りでしたが、現在では、資材の調達の関係などもあって、造営には数か月が必要となっています。 さて、切手の下部には稲が描かれていますが、大嘗祭では、神饌として供される稲を収穫する“斉田”を選定するところから始まります。 大嘗祭の祭祀は同じ所作が2度繰り返されることから、斎田も2か所あり、それぞれ悠紀・主基と呼ばれます。悠紀は、もともとは“斎城(聖域)”、主基は“次(ユキに次ぐ)”のことで、悠紀は東から、主基は西から選ばれるのが原則です。かつては、畿内5国(山城国・大和国・河内国・和泉国・摂津国)を除いたうえで、近江国が悠紀、丹波国と備中国(冷泉天皇の時のみ播磨国)が交互に主基とされていましたが、明治以降は全国から選出されるようになり、平成以降は斎行場所が東京になったため、悠紀国は新潟、長野、静岡を含む東側の18都道県、主基国は西側の29府県となりました。ちなみに、今回の大嘗祭では、旧国名でいうと、悠紀国が下野、悠紀国が丹波です。 大嘗宮が、北側の廻立殿を挟んで、東の悠紀殿と西の主基殿で構成されているのもこうした事情によるもので、両殿では同じ祭祀が2度繰り返して行わるため、両殿の内部は同じ構造で、中央に八重畳を重ねて敷き、その上に御衾をかけ、御単を奉安し、御櫛、御檜扇を入れた打払筥が置かれています。その東隣には伊勢神宮の方向を向いた御座がおかれ、御座と向かい合って神の食薦を敷き、事実上の“神座”として扱われています。 建物の構造としては、両殿とも、黒木造 (皮つき柱) 掘立柱、切妻造妻入りで青草茅葺きの屋根、8本の鰹木と千木にむしろが張られた天井というのが本来の姿です。ただし、千木に関しては、悠紀殿が内削ぎ、主基殿が外削ぎという違いがあります。 なお、今回の大嘗宮主要三殿の屋根材は、①茅資材の慢性的不足、②価格の高騰、③職人の高齢化と人数不足、を理由に初めて板葺きとされましたが、やはり、新穀を祀るという神事の意味に照らせば、本来の茅葺きにしてほしかったですね。今回はやむを得ない例外として、次の大嘗祭の際には、ぜひ、茅葺きの大嘗宮を復活させていただきたいものです。 ★★ 講座のご案内 ★★ 12月以降の各種講座等のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ・日本史検定講座(全8講) 12月13日(日)スタート! 内藤は、全8講のうち、2月20日の第6講に登場します。 ・武蔵野大学生涯学習秋講座 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― 2019年12月15日(日) (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 ) ★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★ 本体2500円+税(予定) 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-06-16 Sun 01:40
6月11日から中国・武漢市の武漢国際会展中心(武漢国際会議展覧センター:WICEC)で開催中の世界切手展<CHINA 20198>は、すべての作品の審査が終了し、下記の通り、受賞結果が発表されましたので、速報としてお伝えいたします。速報故、誤記などがありましたら、のちほど訂正いたしますが、まずは、受賞者の皆様、おめでとうございました。 下記のリストは文献を除く作品を対象としたもので、出品者名は日本語表記(敬称略)、作品名は英文でリスト記載のとおり、カッコ内は点数です。また、特別賞についても、現時点では流動的な要素があるため、このリストでは省略しています。何分にも、速報ゆえ、誤りなどがありましたら、後日訂正いたしますので、ご容赦ください。 ・永井正保 Australia: Private Printing Period in Victoria 1850-1859 LG (97)、GPIC ・丹羽昭夫 Japan Definitive Issues 1914-1925 G (90) ・須谷伸宏 Japan Definitives: Vocational Series G (90) ・田畑裕司 Japan Old Koban Series 1876-1879 G (90) ・榎沢祐一 Slovenia 1919-1920, The First Issue LS (77) ・吉田敬 Kingdom of Prussia 1850-1867 G (93) ・山崎文雄 Hawaii, The Bank Note Issues LV (89) ・伊藤純英 Foreign Mail in Nagasaki, Japan 1865-1905 LV (88) ・小岩明彦 Indian Campaigns G (93) ・伊藤文久 Hungarian Inflation 1945-1946 G (91) ・斎亨 Postal Cards of Japan 1873-1874 Cherry Blossom Issue LV (88) ・榎沢祐一 Our Rotating Foot in Cities: Tramway G (91) ・井上和幸 Tonga Tin Can Mail History 1882-1947 G (90) なお、永井さんの作品は、グランプリ・インターナショナルの候補3作品のうちの1つに挙がっており、16日夜のパルマレスで、発表される投票結果によっては、グランプリを受賞する可能性があります。 さて、冒頭の画像は、1938年11月3日、支那事変(日中戦争)での漢口陥落を記念して使われた特印で、“東洋平和 長期建設”の文字が入っています。漢口での日本人出品者の皆さんの勝利を祝して持ってきました。 1938年5月、日本軍は華北と華中の占領地を連結すべく徐州を占領しましたが、中国軍の包囲・捕捉には失敗したほか、中国側が退却に際して黄河南岸の堤防を破壊して大洪水を発生させた結果、かえって、日本軍の前進は食い止められてしまいます。 そこで、日本側は、蔣介石の中国国民政府を完全に屈服させるための手段として、1938年6月、当時の国民政府の事実上の首都であった漢口と武昌・漢陽からなる武漢地域の攻略作戦の準備を具体的に開始。同年8月下旬、30万もの兵力を動員した武漢攻略戦が開始され、約2ヶ月の戦闘の後、漢口を陥落させます。さらに、11月11日には岳州を陥落させて武漢作戦を完了し、以後、日本側は占領地域を拡大しない方針を固めました。ただし、日本軍による武漢攻略以前の1938年8月初めには国民政府は重慶へと移転し、戦争継続の意思を明らかにしていたため、戦争はいよいよ長期化していくことになりましたが…。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-09-13 Thu 09:21
今上陛下は、きのう(12日)、皇居の水田で恒例の稲刈りをされました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1937年12月11日に発行された“稲刈り”の1銭切手です。 1937年、それまで抽象的な文様が主流だった普通切手の図案が大幅に改正され、「世界に冠たる神国・日本」をテーマに、日本を代表する風景や文化遺産、軍人・忠臣などを題材にした絵画図案の切手が発行されるようになりました。いわゆる昭和切手です。 昭和切手のうち、今回ご紹介の1銭切手は、食糧増産を呼びかける宣伝の意味も込めて、“稲刈り”が図案として採用されましたが、その農夫の手つきについては異論が続出します。 すなわち、稲を鎌で刈る際には茎は立てたまま稲を下から持って刃を入れて刈り、刈穂は横に置くのが一般的な作業手順であって(たとえば、下の画像の韓国切手がその典型例です)、切手のように、茎を寝かせて上から刃を入れるということはしません。むしろ、1銭切手の手つきは、左手で茎をまとめ、鎌をまわすようにして刈りとる麦刈りのスタイルに似ています。 それもそのはずで、1銭切手の原画が制作されたのは1937年6月のことで、この時点では、逓信省の担当デザイナーだった木村勝は実際の稲刈りの風景を見ながら作業を行いことができませんでした。このため、便宜的に、栃木県で麦刈りの風景を取材するとともに、東京の逓信博物館でアルバイトを雇って稲刈りの真似をさせて原画を制作したのですが、農業体験のなかった木村には稲刈りと麦刈りの差が理解できなかったものと思われます。 さて、皇居での稲作は、農家の苦労を分かち合うために昭和天皇が始め、その後、陛下が引き継がれたもので、収穫後の稲は、皇室の行事や伊勢神宮での神事などに使われます。今上陛下が天皇として行う稲刈りは、来年4月の御退位を控え、今回が最後で、来年移行の皇居での稲作は4月30日以前の作業は今上陛下が行い、その後は即位後の皇太子殿下に引き継がれるそうです。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-03-07 Wed 01:30
米マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏が率いる探査チームは、5日(米国時間・日本時間6日)、オーストラリア東沖の海底で、太平洋戦争初期に旧日本軍との海戦で沈没した米空母“レキシントン”の船体を発見したと発表しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、先の大戦中の日本の軍事郵便用絵葉書のうち、村上松次郎の“米航母レキシントン號撃沈”を取り上げた1枚です。村上は、1897年、東京生まれ。竹内鶴之助に師事して洋画を学び、戦艦などの海洋画を数多く残しました。戦後は『キンダーブック』などで活動し、1962年に亡くなりました。 レキシントンは、もともと巡洋戦艦(CC-1)として1921年1月8日にマサチューセッツ州クインシーのフォアリバー造船株式会社によって起工されました。しかし、ワシントン海軍軍縮条約に基づき、巡洋戦艦としての工事は中止され、1922年7月1日に航空母艦(CV-2)に艦種変更され、1925年10月3日に進水。1927年12月14日に就役し、米太平洋艦隊に配属されました。全長270mは同型艦のサラトガ(CV-3)と並び、完成当時世界最大の空母で、“レディ・レックス”の愛称で呼ばれています。 真珠湾攻撃のあった1941年12月7日(米国時間)、レキシントンは海兵隊の航空機を真珠湾からミッドウェイへ輸送中であったため攻撃を逃れ、12月13日、真珠湾に帰港しました。 1942年1月11日、レキシントンは真珠湾を出撃してニューブリテン島ラバウルの攻撃へ向かったものの、日本軍機の攻撃を受けてラバウル攻撃を断念。3月10日にはオーエンスタンレー山脈を超えてサラモアとラエを攻撃し、同26日、真珠湾に帰投しています。 1942年の珊瑚海海戦では、5月7日、ヨークタウンの攻撃隊とともに日本の空母祥鳳を撃沈。翌8日には空母翔鶴も撃沈しましたが、日本軍機の攻撃を受けて火災が発生。一旦は鎮火に成功したものの、艦内に気化・充満した航空用ガソリンが引火して爆発が発生し、自力航行が不可能となって漂流を始めたため、総員退去命令の後、駆逐艦フェルプスによって自沈処分されました。 ★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は8日!★★ 3月8日(木)16:05~ NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第17回(最終回)が放送予定です。今回は、平昌パラリンピックの開幕前日の放送ということで、パラリンピックの切手についてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 ★★★ 世界切手展< THAILAND 2018>作品募集中! ★★★ 本年(2018年)11月28日から12月3日まで、タイ・バンコクのサイアム・パラゴンで世界切手展<THAILAND 2018>が開催される予定です。同展の日本コミッショナーは、不肖・内藤がお引き受けすることになりました。 現在、出品作品を3月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、お待ちしております。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-01-01 Mon 02:11
あけましておめでとうございます。 旧年中は郵便学者・内藤陽介の活動にご支援・ご協力を賜り、誠にありがとうございました。本年もよろしくお付き合いください。 昨年は、なんといっても4月からNHKラジオ第1放送で隔週木曜日のレギュラー番組「切手でひも解く世界の歴史」を始めたことで、活動の幅が大きく広がりました。今年も1月11日には、年明け最初の放送が予定されておりますので、引き続き、お付き合いいただけると幸いです。なお、冒頭の写真は、年末の放送時にスタジオでスタッフの方に撮影していただいたもので、その下には、ラジオで「おめでたうございます」とアナウンスする少女の絵葉書(いまから80年前、1938年のものです)を置いてみました。(画像はクリックで拡大されます) また、昨年(2017年)も、多くの皆様のお力添えで、7月の全日本切手展を、無事、盛況のうち終了することができました。まずはこの点につきまして、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。 現在、僕が実行委員長を仰せつかっている全日本切手展実行委員会(公財・通信文化協会、一社・全日本郵趣連合等で構成)では、本年(2017)年7月20-22日(金-日)の3日間、昨年と同じ東京・錦糸町のすみだ産業会館を会場として全日本切手展を開催すべく、準備を進めております。競争出品作品の募集要項・特別規則など(大筋では前年までと変わりませんが、部分的に修正する箇所もございます)が正式に確定しましたら、『全日本郵趣』誌上等で発表する予定ですので、今しばらくのご猶予をお願いいたします。つきましては、本年も、皆様のご支援・ご協力をいただけると幸甚に存じます。 切手展ということでいえば、ことしは、5月にイスラエル・エルサレムで世界展、8月にはチェコ・プラハで世界展、9月にマカオでアジア展、11-12月にタイ・バンコクで世界展が予定されております。現時点では、エルサレム展とバンコク展でのコミッショナーをお引き受けすることが決まっていますが、ほかの二つの展覧会についましても、何らかの形で参加するつもりです。皆様にはいろいろお世話になるかと思われますが、よろしくお願いいたします。 一方、本業の文筆活動ですが、チェ・ゲバラに関する書籍を今春刊行すべく、現在、作業を進めています。ゲバラに関しては、昨年が没後50年ということで、NHKラジオ第1放送の「切手でひも解く世界の歴史」やインターネット配信の「チャンネルくらら」で、少しまとまったお話をしたのですが、これが思いのほか好評で、急遽、昨年末、今年6月の生誕90年を前に書籍の刊行が決まりました。正式なタイトルや刊行日など、詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 このほかにも、書籍に関しては漠然とした企画のアイディアがいくつかありますので、『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』1冊しか自著を刊行できずに終わった昨年の分を取り戻すべく、必死になってやっていかねばなりません。 なお、今年は年初からスタートの新連載はないのですが、「泰国郵便学」(『タイ国情報』)、「切手に見るソウルと韓国」(『東洋経済日報』)、「小さな世界のお菓子たち」(『Shall we Lotte』)、「切手歳時記」(『通信文化』)、「世界の国々」(『世界の切手コレクション』)、「日本切手誕生のエピソード」 (『キュリオマガジン』)、「スプートニクとガガーリンの闇」 (『本のメルマガ』)の各連載は、今年も継続いたしますので、引き続き、ご贔屓いただけると幸いです。 物書きとしては、原則として、365日24時間営業で動いている僕ですが、公の場で皆様にお目にかかる仕事としては、1月4日のチャンネルくららでの「楽しく学ぼう! シリア現代史」の配信が最初の機会となります。 つきましては、本年も引き続き皆様よりのご支援・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。 内藤陽介拝 ★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★ 12月28日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」第13回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、年明け1月11日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 なお、12月28日放送分につきましては、1月4日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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