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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 フィンエアー、“GPS妨害”対策で一部1カ月運休
2024-04-30 Tue 03:30
 フィンランドの航空会社“フィンエアー”は、昨日(29日)、妨害電波によりフライトに影響が出ているとして、ヘルシンキ・タルトゥ(エストニア)間の定期便を5月31日まで運休すると発表しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・フィンエアー100年(2023)

 これは、2023年3月20日、フィンランドが発行した“フィンエアー100周年”の記念切手です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 * 昨日(29日)のよみうりカルチャー荻窪での講座「謀略の世界史 特別編~リヒャルト・ゾルゲ」は、無事、盛況のうち終了しました。参加者の皆様、開催の労を撮ってくださったスタッフの方々には、この場をお借りしてお礼申し上げます。

 * 昨日(29日)、アクセスカウンターが265万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。

★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 5月1日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 5月10日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 5月1日刊行!★

      切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード

 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★

      今日も世界は迷走中audible

 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。

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フィンランド大統領選、ストゥブ元首相が勝利
2024-02-12 Mon 11:17
 フィンランドで、きのう(11日)、昨年4月のNATO(北大西洋条約機構)加盟後初の大統領選挙の決選投票が行われ、国民連合のアレクサンデル・ストゥブ元首相が得票数のおよそ52%を獲得し、緑の党のペッカ・ハービスト前外相を下して当選しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・NATO加盟(2023)

 これは、2023年9月6日、フィンランドが発行したNATO加盟の記念切手です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2月16日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 2月23日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

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★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★

      龍とドラゴンの文化史・帯なし

 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 フィンランド、ロシアとの4国境検問所を閉鎖へ
2023-11-17 Fri 05:48
 フィンランドのロシアとの国境検問所に、中東やアフリカなどからの難民が押し寄せている問題で、フィンランド政府は、きのう(16日)、ロシアとの国境に9つある検問所のうちサンクトペテルブルクに近いヴァーリマー、ヌイヤマー、イマトラ、ニイララの4ヵ所をあす(18日)から閉鎖すると発表しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・観光宣伝(1993・イマトラ)

 これは、1993年5月7日にフィンランドが発行した“観光宣伝”の切手のうち、今回検問所が閉鎖された国境の都市、イマトラを取り上げた1枚です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 11月17日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がゲスト出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 11月24日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 12/9、1/6、2/3、3/2 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。


★ 『今日も世界は迷走中』 好評発売中!★

      今日も世界は迷走中

 ウクライナ侵攻の裏で起きた、日本の運命を変える世界の出来事とは!内藤節炸裂。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 フィンランド、NATOに正式加盟
2023-04-05 Wed 10:18
 北大西洋条約機構(NATO)は、きのう(4日)、ブリュッセルの本部でフィンランドの新規加盟を正式決定し、31ヵ国体制がスタートしました。というわけで、新たにNATOに参加することになったフィンランド軍に関する切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・国防軍100年(兵士)

 これは、2018年6月4日にフィンランドが発行した国防軍100年の記念切手のうち、銃を構える兵士を取り上げた1枚です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 4月8日スタート! 平成日本の歴史 
 4月8・15・22日 13:30-15:00 文京学院大学での3週連続の講座です。1989年に始まる平成30年間の日本現代史をさまざまな角度から語ります。一般的な通史に加え、その時々の時代・社会の変化を切手や郵便物を通じて読み解くことで、モノから読み解く歴史の面白さを感じていただきます。詳細はこちらをご覧ください。

 4月14日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 4月22日(土) スタンプショウ 2023
 於・都立産業貿易センター台東館

 毎年恒例、東京・浅草で開催の世界切手祭り・スタンプショウで、22日(土) 11:00から拙著『現代日中関係史 第2部 1972-2022』の出版記念イベントやります。事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。

 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門
 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。
 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。
 
 よみうりカルチャー 北千住
 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30
 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 

★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★

      現代日中関係史2

 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 フィンランド、政権交代へ
2019-04-16 Tue 03:03
 フィンランドで、今月14日、任期満了に伴うフィンランド議会(一院制、定数200)選挙の投開票が行われ、社会民主党が得票率17.7%(割り当て議席数は40)で第1党になり、2003年以来、16年ぶりに社会民主党首班の左派政権が誕生する見込みです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・議会100年

 これは、2006年にフィンランドが発行した“議会100年”の記念切手です。

 ナポレオン戦争中の1809年、ロシア帝国はフィンランドを獲得。ロシア皇帝がフィンランド大公を兼ねる同君連合として、フィンランド大公国が創設されました。これに対して、欧州諸国の1848年革命以降、フィンランド人の間でも、絶対主義に固執するロシア政府に対して独立を求めるナショナリズムが高揚し、1863年からはフィンランド議会が定期的に招集されるようになります。

 1899年、ロシア皇帝ニコライ2世は二月詔書を発してフィンランド人の自治を剥奪し、フィンランド語を禁止してロシア語を公用語として強要する強攻策を取ります。このことは、フィンランド人の強い反発を招き、日露戦争のさなかの1904年6月17日、民族主義者オイゲン・シャウマンによるフィンランド総督ニコライ・ボブリコフの暗殺事件が発生。1905年には第一次ロシア革命が起こったこともあり、ニコライ2世は、フィンランドの自治権廃止を撤回せざるを得なくなりました。

 この結果、一院制議会であるエドゥスクンタが成立し、1906年、世界で初めて、女性に参政権と被選挙権を同時に認めた普通選挙で議員が選出されました。今回ご紹介の切手は、ここから起算して100周年になるのを記念して発行されたものです。

 1917年のロシア2月革命を受けて、ロシア皇帝兼フィンランド大公のニコライ2世が同年3月15日に退位すると、フィンランド側はロシアとの同君連合は法的基礎を失ったとして、ロシア臨時政府とも交渉。 フィンランド議会は「権力法(ヴァルタラキ)」を成立させ、フィンランド議会が外交と軍事を除く立法権を握ることを規定しましたが、ロシア臨時政府はこれを認めず、フィンランド議会を解散してしまいます。

 しかし、ロシア10月革命後の1917年11月15日、ボリシェヴィキはロシア人権宣言で「全ロシア人民」の完全分離を含む民族自決権を認めたため、同日、フィンランド議会は一時的にフィンランドの主権を受け取ることを宣言。同月27日に発足したペール・エヴィンド・スヴィンフッヴド内閣は、12月4日、独立宣言案と共和制の制度案を議会に提出し、12月6日、議会がこれを承認。この日がフィンランドの独立記念日となりました。

 現行のフィンランド議会は一院制で、任期は4年(解散有)。議員は、200議席を15の選挙区に分け、比例代表制選挙で選出され、現役で兵役義務のある軍人と、高位の司法官を除いて、18歳以上のすべての国民に被選挙権があります。

 1906年の議会創設以来、首相は国民連合党、中央党、社会民主党から選ばれていましたが、1916年に社会民主党が103議席を取ったのを唯一の例外として、いずれの党も現在までに単独過半数を得たことはありません。今回の選挙結果でも、第1党の社会民主党についで、反移民を掲げる右派のフィン人党が得票率17.5%(同39)で改選前の17議席から大きく躍進して第2党に、連立与党を組んでいた国民連合と中央党の得票率はそれぞ17%と13.8%となっており、社会民主党を筆頭とする左派勢力3党は76議席を獲得したものの過半数には足りないため、今後、中道政党を取り込むための連立工作が進められることになります。


★★★ メディア史研究会で発表します! ★★★

 4月20日(土) 14:00から、東京・水道橋の日本大学法学部三崎町キャンパス4号館地下1階 第4会議室A(地図はこちらをご覧ください)にて開催のメディア史研究会月例会にて、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』の内容を中心に、「メディアとしての“英雄的ゲリラ”」と題してお話しします。

 なお、メディア史研究会はまったく自由な研究会で、会員以外の方でも気楽にご参加いただけますので(もちろん、無料)、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。

      
★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★

      チェ・ゲバラとキューバ革命 表紙カバー 本体3900円+税
 
 【出版元より】
 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの切手
2018-01-10 Wed 00:32
 かねてご案内の通り、本日(10日)午前7時20分から、TOKYO FMの朝のワイド番組「クロノス」に内藤がゲスト出演します。同番組への出演は、2014年に英領ギアナの1セントのことをお話しして以来ですが、今回は、きょう、ムーミンの切手が発行されるということで、お座敷がかかりましたので、その予告編を兼ねて、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド・トーベヤンソン

 これは、ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの生誕100周年を記念して、2014年にフィンランドが発行した切手シートです。

 ムーミンのキャラクターを取り上げた切手は、日本でも2015年に発行されたことがありますが、母国フィンランドでは、1992年、1993年の切手展<Nordia 1993>のプロモーションのために発行されたのが最初で、その後、1994年、1998年、2000年、2003年、2004年、2007年、2009年、2011年、2013年、2015年、2017年に発行されています。いずれも、“フィンランド”の名において、フィンランドを代表する文化資源としてのムーミンを、広く世界に向けて発信していこうという意思の下に発行されたものであることは言うまでもありません。

 その『ムーミン』の原作者として知られるトーべ・ヤンソンは、1914年8月9日、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれました。

 父親のヴィクトルは彫刻家、母親のシグネ・ハンマルステンはスウェーデン人の画家という芸術一家で、トーべ自身も15歳で雑誌『ガルム』の挿絵を描き始めます。ストックホルム(スウェーデン)の工芸専門学校、ヘルシンキの芸術大学、パリの美術学校などで本格的に美術を学び、1944年頃、ムーミン・トロールのキャラクターを『ガルム』誌の挿絵として発表。さらに、翌1945年から小説としての『ムーミン』シリーズを発表し、文学者としての地位を確立し、1966年、国際アンデルセン賞作家賞を、1984年にフィンランド国民文学賞を受賞しています。

 今回ご紹介の切手シートは、彼女の肖像を取り上げた2種の切手を収めたセルフ糊式のもので、額面は国内基本料金用の永久保証切手です。オランダのエンスケデ社の製造で、発行枚数は20万枚。

 ところで、シートの下部に描かれているのは、彼女が1965年から30年間にわたり、私生活上のパートナーだったトゥーリッキ・ピエティラ(女性)と毎夏を過ごしたクルーヴハル島の別荘です。

 クルーヴハル島は、トーベ自身によると「ぐるりと歩いて約8分」程度の小さな岩島で、彼女はピエティラとともにワンルームの小屋を建て、そこを別荘兼アトリエとしてボートで通っていました。一方、ピエティラは米国生まれのフィンランド人グラフィック・デザイナーで、トーベより3歳若い1917年生まれ。トーベとは美術学校時代の学友で、フィンランド芸術アカデミーで長年教鞭を取っていたほか、ムーミンのフィギュアやムーミン屋敷の制作でも知られています。

 さて、ムーミンの作者としてのトーベを顕彰する切手を発行するのであれば、他の芸術家同様、彼女の肖像や作品を取り上げればそれで十分と思われますが、今回ご紹介の切手に関しては、彼女とピエティラが過ごしたクルーヴハル島の別荘をあえて取り上げ、彼女が女性同性愛者の代表的な存在であることが暗示されているのが重要なポイントと思われます。

 すなわち、2014年はトーベの生誕100周年にあたっていましたが、同時に、フィンランド国会で、賛成101、反対90の僅差で同性婚の合法化法案が可決された年でもあります。

 フィンランドは、帝政ロシアの下の大公国だった1906年、世界で初めて、女性に参政権と被選挙権を同時に認めた国ですが、フィンランド福音ルター派教会とフィンランド正教会が国教として扱われていることもあって、いわゆるLGBTの人たちの権利拡大に関しては、国民世論の中にも慎重な声が根強くありました。このため、ヨーロッパ全体の趨勢にあわせて、同性カップルそのものは2002年に法的に認めたものの、その後も、同性カップルの権利は異性婚の夫婦と比べて制限される状態が続いていました。

 一方、北欧諸国においては、ノルウェーとスウェーデンが2009年、アイスランドが2010年、デンマークが2012年に同性婚を完全合法化していたのに対して、フィンランドでは、2014年の法案可決までに、同性婚の完全合法化法案は3回、国会で否決されています。

 こうした経緯を踏まえ、当時の国民連合党政権(リベラル保守)は、同性カップルに対する社会的な抵抗感を和らげる意図を込めて、トーベ・ヤンソンの生誕100周年の記念切手に、あえて、フィンランド国民にとっては“同性婚”のシンボリックな存在ともいうべき、クルーヴハル島を取り上げたのではないかと推測されます。

 ちなみに、トーベ・ヤンソン生誕100周年の切手シートが発行されたのと同じ2014年、フィンランド郵政は、“トム・オブ・フィンランド”の切手シートも発行しています。(下の画像)

      フィンランド・トムオブフィンランド

 トム・オブ・フィンランド(本名:トウコ・ラークソネン)は、自らも同性愛者として、それまで女性的に描かれることの多かった男性同性愛者を、レザーなどの衣装を身に纏い、筋骨隆々とした逞しい“ハード・ゲイ”として描いた最初の画家で、世界のポップカルチャーやファッションなどに大きな影響を与えました。切手は、その文化的な功績をたたえて発行されたものですが、彼が生まれたのは1920年、トム・オブ・フィンランドのペンネームで活動を始めたのは1957年、亡くなったのは1991年ですから、2014年は周年としてはキリの良い年回りではありません。したがって、この切手が2014年というタイミングで発行された背景には、同性婚の完全合法化をめざして、LGBTとの社会的共存を訴えようとの意図が込められていたとみるのが妥当でしょう。

 なお、今回ご紹介の切手シートが発行された2014年、フィンランド国会は同性婚の完全合法化法案を可決しましたが、これに対して、保守系の市民団体が法案の撤廃を求める申し立てをしたことに加え、2015年の議会選挙で第2党に躍進し、連立与党に加わった“真のフィンランド人”(フィンランド民族主義・社会保守主義)が、キリスト教民主党とともに、同法に対する異議申し立てを支持したたため、同法は当初予定されていた2016年には施行されませんでした。

 このため、2017年2月、裁判所が申し立てを却下したことで、同年3月1日、ようやく、同性婚完全合法化法の施行が確定。これにより、フィンランドでは、同性カップルがパートナーの姓を名乗ったり、養子を迎えられたりできるようになり、同性婚と異性婚の間の法的な差別が(少なくとも制度上は)解消されることになりました。

      
★★ 10日(水) TOKYO FM/JFN “クロノス”に内藤が登場 !★★

 1月10日(水)07:20~ 東京FMの朝のワイド番組「クロノス」に内藤がゲスト出演します。よろしかったら、ぜひお聞きください。

 
★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は11日!★★

 1月11日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第14回が放送予定です。今回は、年明け最初ということで、世界で最初に犬の切手を発行したニューファンドランドについてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

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 フィンランド独立100年
2017-12-06 Wed 02:38
 1917年12月6日にフィンランドがロシアからの独立を宣言してから、今日でちょうど100周年です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      フィンランド独立10周年

 これは、1927年にフィンランドが発行した“独立10周年”の記念切手で、フィンランドの国章を中央に、左側には独立宣言の日に当たる“1917年12月6日”の日付が、右側にはそれから10年後の“1927年12月6日”の日付が入っています。ちなみに、フィンランドの国章は、(切手では紫の単色ですが)赤地に戴冠した金色のライオンが描くもので、ライオンの右前足は剣を掲げる腕に置き換えられ、後足は剣を踏みつけており、周囲には9個の銀色の薔薇を配したデザインとなっています。

 ナポレオン戦争中の1809年、ロシア帝国はフィンランドを獲得。ロシア皇帝がフィンランド大公を兼ねる同君連合として、フィンランド大公国が創設されました。これに対して、欧州諸国の1848年革命以降、フィンランド人の間でも、絶対主義に固執するロシア政府に対して独立を求めるナショナリズムが高揚していきました。

 これに対して、皇帝ニコライ2世は、1899年、二月詔書を発し、フィンランド人の自治を剥奪し、フィンランド語を禁止してロシア語を公用語として強要する強攻策を取りました。このことは、フィンランド人の強い反発を招き、日露戦争のさなかの1904年6月17日、民族主義者オイゲン・シャウマンによるフィンランド総督ニコライ・ボブリコフの暗殺事件が発生。1905年には第一次ロシア革命が起こったこともあり、ニコライ2世は、フィンランドの自治権廃止を撤回せざるを得なくなりました。

 こうした経緯を経て、1914年に第一次大戦が勃発し、ロシアが協商側に立って参戦すると、フィンランドはロシア軍の前哨基地となりました。しかし、職業軍人を除いて参戦する義務が課されなかったフィンランドは国力を温存。1917年、ロシア革命が起きると、フィンランド議会はボリシェヴィキ政権との交渉を経て、12月6日、フィンランド大公の廃位と独立を宣言しました。

 当初、フィンランド国内では王党派がドイツに接近し、ヴィルヘルム2世の義弟ヘッセン・カッセル方伯フリードリヒ・カールを国王に選出しフィンランド王国を成立させましたが、ドイツは第一次世界大戦に敗れ、ドイツ革命によって帝政も崩壊。その後に行われた総選挙で共和派(農民党、自由党)と社民党が大勝すると、王政は廃され、フィンランドは共和国としてパリ講和会議で独立を承認されることになります。
 

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      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

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 OSCE監視団、ウクライナへ
2014-03-22 Sat 16:42
 きのう(21日)、全欧安保協力機構(OSCE)常設理事会の特別会合がウィーンで開かれ、ロシアを含む全会一致で、ウクライナに国際監視団100人を派遣することが決定されました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       フィンランド・CSCE(1972)

 今回、ウクライナに国際監視団を派遣するOSCEのルーツは、1972年11月22日、フィンランドの提案により、ヘルシンキで開催されたヨーロッパ安全保障協力会議(CSCE)の多国間準備協議が開催されたことに求められますが、これは、その準備協議に際して、フィンランドが発行した記念切手です。

 東西冷戦下で、欧州全体の安全保障について陣営に関係なく話し合うための会議を開催しようという動きは1950年代からありましたが、1969年3月、東側諸国がいわゆるブダペスト・アピールを発して汎ヨーロッパ会議の開催を提案します。

 こうした状況の下で、フィンランドの提案により、1972年11月、CSCE設置に向けた多国間準備協議が開催され、1973年7月以降、NATO諸国・ワルシャワ条約機構諸国・欧州の中立・非同盟諸国による事務レベル協議が繰り返され、1975年8月、いわゆるヘルシンキ最終協定が採択。これを受けて、事実上の鎖国状態にあったアルバニアを除く全欧州諸国と米、カナダの計35カ国によるCSCEが正式に発足しました。

 その後、ソ連ユーゴスラビアの解体に伴って加盟国は増大したことを受けて、1994年12月のブダペスト首脳会議において、現在の欧州安全保障協力機構(OSCE)へと組織変更されました。

 2014年現在、加盟国は57ヵ国で、日本を含むアジア・アフリカ・オセアニアの11ヵ国が協力国として関わるなど、地域的安全保障組織としては世界最大の規模となっています。その目的は、民主主義体制の構築・強化および、基本的人権の保障と保護、武力行使の抑止における、加盟各国の協力と相互尊重で、本部はウィ-ンに置かれています。

 さて、今回、OSCEがウクライナに派遣する国際監視団は文民からなる100名(最大400名の追加派遣が可能)で、「緊張緩和および平和と安定、安全の促進」を目的に、現地時間のきょう(22日)から派遣が開始されます。監視団は、首都キエフを拠点に、ロシア系住民が多い東部のドネツィク(ロシア名ドネツク)、南部オデーサ(ロシア名オデッサ)などで活動し、治安情勢を監視して報告することになっています。

 OSCEの国際監視団については、コソヴォ派遣に際してのカバーというのを以前に見たことがあるのですが、今回のキエフやオデーサはそれとは比べ物にならないくらいの大都市ですからねぇ。いずれ、何らかの関連マテリアルが入手できたら、このブログでもご報告したいと思います。


 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★   

 4月から、毎月1回(第1火曜日:4月1日、6月3日、7月1日、8月5日、9月2日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・朝鮮半島のことを学ぼう 時間は13:00-14:30です。

 ・イスラムを学ぶ 時間は15:50-17:00です。

 初回開催は4月1日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 講座「世界紀行~月一回の諸国漫郵」のご案内 ★★★ 

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 東京・江東区亀戸文化センターで、5月から毎月1回、世界旅行の気分で楽しく受講できる紀行講座がスタートします。美しい風景写真とともに、郵便資料や切手から歴史・政治背景を簡単に解説します。受講のお楽しみに、毎回、おすすめの写真からお好きなものを絵葉書にしてプレゼントします!

 詳細は、こちらをご覧ください。


 ★★★ 文京生涯カレッジ(第13期)のご案内 ★★★

 文京学院大学が一般向け(=どなたでも受講できます)にさまざまな講師を招いて行う通年の教養講座「文京生涯カレッジ」の第13期が4月15日から始まります。僕も、7月15・22日に「バスコ・ダ・ガマのインドを歩く」、9月9日に「ドバイ歴史紀行」のお題で登場します。詳細はこちらですので、よろしかったら、ぜひご覧ください。


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 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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 小さな世界のお菓子たち:キャンディーの切手
2011-07-02 Sat 20:27
 大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第12号(2011年夏号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

        ファッツェル社100年

 これは、1991年にフィンランドが発行したファッツェル社100年の記念切手です。

 フィンランドを代表する製菓会社、ファッツェル社の創業者、カール・ファッツェルは1866年、ヘルシンキで生まれました。ベルリン、パリ、サンクト・ペテルスブルクで修業した後、ヘルシンキに戻り、1891年9月17日、フランス=ロシア菓子の店をオープン。その製品は評判を呼び、創業からほどなくして北欧諸国の皇族御用達となり、事業は急速に拡大していきました。現在、同社は、フィンランド国内のみならず、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、バルト諸国、英国、ロシアなどに従業員1万人以上を抱える巨大企業にまで成長しています。

 そんなファッツェル社の創業100年を記念して、1991年、フィンランド郵政は記念切手を発行しました。

 切手は青色のバックに同社のキャンディ“KISS-KISS”と3匹の猫を描いた可愛らしいモノ。フィンランド語では猫を“KISSA”ということにひっかけて、“KISS-KISS”の包み紙には猫が描かれています。ただし、包み紙が巻かれた状態ではせっかくの猫の顔も歪んでしまい、わかり行くいので、切手では包み紙から抜け出した猫がキャンディの周りを取り囲む構図がとられています。ちなみに、中身のキャンディは、チョコレート味のソフトキャンディをピンク色のベリー味のキャンディでコーティングしたものだそうです。

 また、ファッツェル社には、1922年以来変わらぬレシピで作られ続けている“ファッツェル・ブルー”というミルク・チョコレートの定番商品があり、同社のロゴマークにも青色が使われています。フィンランド人にとって、切手の青色はまさにファッツェル・ブルーということなのでしょう。


  ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

    5月29日付『讀賣新聞』に書評掲載
  『週刊文春』 6月30日号「文春図書館」で
  酒井順子さんにご紹介いただきました !

        切手百撰・昭和戦後
         切手百撰 昭和戦後
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  視て読んで楽しむ切手図鑑!
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 フィンランド最初の切手
2006-04-27 Thu 14:10
 いよいよ明日(28日)から、東京・浅草の都立産業貿易センター6・7階で春の切手イベントスタンプショウ06が開幕します。かねてご案内の通り、今年のスタンプショウでは、ムーミン60年+フィンランド切手発行150年にちなみ、「ムーミンの国・フィンランド切手展」を開催します。

 というわけで、今日はフィンランド切手展の“予習”を兼ねて、1856年に発行されたフィンランド最初の切手について、簡単にご説明することにしましょう。

フィンランド最初の切手

 イギリスで世界最初の切手が発行されてから5年後の1845年、当時、帝政ロシアの下の大公国であったフィンランドでは、郵便改革の一環として切手つき封筒の使用が開始されました。これが一定の成果を収めたことを踏まえて、1856年3月、切手付封筒の印面と同図案の切手が試験的に導入されました。これが、今日の画像(クリックで拡大されます)でご紹介しているフィンランド最初の切手になります。

 切手は青い5コペイカと赤い10コペイカの2種類で、デザインはいずれも楕円形の中にフィンランドの紋章と郵便を示すポストホルンを組み合わせたものです。切手上には“フィンランド”を示す表示はなく、額面の数字もラテン文字とキリル文字(ロシア文字)で併記されるなど、宗主国ロシアの支配下にあることを強くうかがわせる内容となっています。ただし、帝政ロシアが最初の切手を発行したのは1857年12月のことでしたから、フィンランドでの切手発行はこれに先んじることになりました。

 切手は大きな用紙に1枚分ずつの印判を押すという簡単な製法で作られたため、随所に偽造を防ぐためのシークレットマークが入れられています。なお、目打(切手周囲のミシン目)は、この段階では入れられておらず、1枚ずつ切り離す時にはハサミが使われました。このため、シートから切手を切り離す際に、楕円形の枠にハサミが当たってしまったものも少なからずあり、枠が完全に残っている単片は珍重されています。

 この切手を用いた郵便制度が軌道に乗ったことを受けて、2年後の1858年から、ロシア支配下のフィンランドでは切手を用いた郵便制度が本格的にスタートすることになります。

 明日から30日(日)までの「ムーミンの国・フィンランド切手展」では、今日ご紹介している最初の切手以降、150年間に及ぶフィンランド切手の歴史を通観できるようになっております。北欧独自の美しいデザインで人気のフィンランド切手ですが、なかなか、日本ではまとまって診る機会は少ないと思いますので、是非、この機会にご参観いただけると幸いです。

 なお、会期中の29日(土)14:30からは、会場6回の特設スペースで、僕の最新作『一億総切手狂の時代:昭和元禄切手絵巻 1966-1971』の刊行を記念して、ミニ講演と即売サイン会をやりますので、よろしかったら、こちらにも、ぜひ遊びに来てください。

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 続・幻のヘルシンキ五輪
2006-04-24 Mon 23:57
 今週の金曜日(28日)から、いよいよ、東京・浅草の都立産業貿易センター6・7階で春の切手イベントスタンプショウ06が開幕します。かねてご案内の通り、今年のスタンプショウでは、ムーミン60年+フィンランド切手発行150年にちなみ、「ムーミンの国・フィンランド切手展」を開催します。

 というわけで、会期も迫ってきたことですし、今日は10日くらい前に書いた「幻のヘルシンキ五輪」の続編として、こんなものをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

蘇芬戦争カバー

 このカバー(封筒)は、蘇芬(ソ連=フィンランド)戦争最中の1940年1月、ヴァーサからヘルシンキ宛に差し出されたもので、封筒の左下に押されているのは検閲印です。

 「幻のヘルシンキ五輪」でも簡単に触れましたが、1939年9月、ドイツとの密約でポーランドを分割したソ連はフィンランドを恫喝して領土の割譲を要求し、同年11月30日にフィンランドに侵攻。蘇芬戦争が勃発します。フィンランド軍は勇敢に戦い、なんとか国家としての独立は守ったものの、1940年3月の講和条約で国土の10%の割譲を余儀なくされました。

 今回のカバーは、そうした蘇芬戦争の最中に差し出されたものですが、こうした状況下にあっても、何とか戦争を終結させて五輪の開催を実現しようとしていたのでしょうか。カバーの裏面には下のような五輪の宣伝の標語印が押されています。

カバー裏面

 この標語印の押されたカバーの大半は1939年中のもので、ソ連との戦争が始まった後のモノは、案外、見かけません。やはり、一般的な世論としては、もはや五輪どころではないといった雰囲気で、標語印を使うこともはばかられたということなのでしょうか。

 結局、開催国のフィンランドが対ソ戦争で大きな打撃を受けたことにくわえ、欧州大戦が本格化したこともあり、1940年のオリンピックは中止に追い込まれ、ヘルシンキ大会は、東京大会同様、“幻のオリンピック”となってしまいます。

 「ムーミンの国・フィンランド切手展」では、このカバーを「幻のヘルシンキ五輪」でご紹介したものとあわせて、ガラスケースで展示する予定です。決して高価なマテリアルというわけではないのですが、日本では語られることの少ない“幻のヘルシンキ五輪”の一端を示す歴史の証言者としてご覧いただけると幸いです。

 なお、スタンプショウ会期中の4月29日(土)14:30から、6階会場にて、『一億総切手狂の時代:昭和元禄切手絵巻 1966-1971』の刊行を記念して、ミニ講演と即売サイン会をやります。入場無料ですので、よろしかったら、ぜひこちらにも遊びに来てください。

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 悲劇の“フィンランド化”
2006-04-19 Wed 23:57
 4月28日からのムーミンの国・フィンランド切手展まで、あと10日となりました。というわけで、フィンランドがらみのモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

フィンランド嘆願書

 この葉書は、朝鮮戦争中の1950年にフィンランドから国連事務総長トリグブ・リーに宛てて差し出されたもので、裏面には次のような文面が印刷されています。

嘆願書の文面

 (文面を僕なりに訳すと次のような感じです)
 国際連合事務総長
 トリグブ・リー様
 署名人は朝鮮での戦争に関わる全ての人に、次のように訴えます。
 ・朝鮮ならびに台湾問題を交渉によって解決する用意がある人々に対して、時間を与えてください。
 ・いかなる障害にも負けず、仲介を諦めないで下さい。
 ・中華人民共和国に国連の代表権を与えてください。
 世界の人々は、戦争ではなく、平和を望んでいます。

 第二次大戦中、ソ連軍の侵略と戦ったフィンランドは、ソ連が“戦勝国”となった煽りを受けて、戦後、“敗戦国”として出発したばかりか、ソ連の圧力で、マーシャルプランの受け入れも“辞退”させられます。

 このため、冷戦時代のフィンランドは、北大西洋条約機構 (NATO)にもワルシャワ条約機構にも加盟せず、中立を貫く一方で、ソ連の干渉を未然に防ぐために“親ソ”のポーズを取り続けます。こうしたフィンランドの姿勢から、冷戦下のヨーロッパでは、“フィンランド化”(西側諸国の一員としての経済体制を維持しつつも、国家運営がソビエト連邦との関係を優先的に配慮した傾向に傾いた状態)という表現も生まれました。とはいえ、当時のフィンランドにとっては、戦争をも覚悟してソ連との対決姿勢を鮮明にするという選択肢は、あまりに危険な賭けで、到底乗ることはできなかったわけですが…。

 今日ご紹介している葉書の文面にも、朝鮮戦争の中国の代表権問題などで東よりの中立というフィンランドの姿勢がにじみでており、こうした主張を訴える葉書を組織的に差し出さざるを得なかった彼らの苦衷は察するに余りあります。

 4月28日からのムーミンの国・フィンランド切手展では、この葉書は展示されませんが、会場に並んでいるお洒落なフィンランドの切手の背後に隠された苦悩の戦後史に思いをはせるのも悪くはないような気がします。

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 幻のヘルシンキ五輪
2006-04-14 Fri 16:06
 4月28日スタートの<スタンプショウ06>まで、あと2週間となりました。今年は、ムーミン60年にしてフィンランドの切手発行150年ということで、フィンランド大使館のご協力もいただき、“ムーミンの国・フィンランド切手展”を派手にやることになっています。

 というわけで、今日からスタンプショウ開幕までの間、その事前の宣伝を兼ねて、僕の手持ちのストックの中からフィンランドがらみのモノを不定期にご紹介していこうかと思います。まずは、この1枚。(画像はクリックで拡大されます)

ヘルシンキ五輪宣伝封筒

 このカバー(封筒)は、幻に終わった1940年のヘルシンキ五輪の宣伝のために作られたものです。

 1940年のオリンピックは、当初、東京で開催される予定でしたが、1937年に勃発した日中全面戦争の影響で日本が開催を返上。このため、フィンランドの首都ヘルシンキが代替地に選ばれました。これを受けてフィンランド政府は五輪開催の準備を進め、今日ご紹介しているような宣伝封筒も作られました。

 しかし、1939年9月、ドイツとの密約でポーランドを分割したソ連はフィンランドを恫喝して領土の割譲を要求し、同年11月30日にフィンランドに侵攻します。いわゆる蘇芬(ソビエト-フィンランド)戦争です。その余波で、1940年のオリンピックはヘルシンキでの開催も不可能になり、1940年のヘルシンキ大会は、東京大会同様、“幻のオリンピック”となりました。

 今日ご紹介しているカバーは、開戦直前、ソ連侵攻の危機が深まっていた1939年11月21日、フィンランド軍の兵士が差し出した軍事郵便に用いられたもので、まさに、“幻のヘルシンキ五輪”を語るのにふさわしいマテリアルではないかと思います。

 このカバーは、会場でもなんらかの形で展示する予定ですので、よろしかったら、4月28~30日の<スタンプショウ06>で実物をご覧いただけると幸いです。

 *スタンプショウ会期中の29日(土)14:30~、ミニ講演と即売サイン会をやります(くわしくはこちら)ので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。

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