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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 サモア人首長、NZで同胞を奴隷にして禁錮11年
2020-07-29 Wed 01:29
 ニュージーランドの裁判所は、27日、同国在住のサモア人首長、ジョセフ・マタマタ被告に対し、25年もの長きにわたり、サモア出身の労働者を奴隷として搾取したとして禁錮11年と約1300万円の賠償金支払いを命じました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      サモア・GRI加刷

 これは、第一次大戦中の1914年、ニュージーランドによる占領直後のサモアで発行された“GRI”加刷切手です。

 サモア諸島は1722年にオランダ人の探検家ヤーコプ・ロッヘフェーンが“発見”した後、1830年、英国人宣教師が布教活動を開始し、西洋人の往来が本格化します。

 1857年、ハンブルクのゴーデフフロイ商会はサモアを拠点に、南洋各地との貿易を開始。これに続いて、米英もサモアに拠点を置くようになり、1878年には米国が海軍の石炭供給基地として東サモアのパゴパゴを併合します。さらに、1888年、サモアで大規模な部族間抗争が発生すると、英米独の各国はこれに介入。翌1889年のベルリン協定でサモアに関しては英米独3国の権益を制限し、島民の自治を認めることになりました。

 さらに、1898年の米西戦争で敗北したスペインは、南太平洋上の領土のうち、グアムを米国に割譲しましたが、残りの南洋群島に関しては、1899年2月8日、ドイツに2500万ペセタ(1675万マルク)で売却。これにより、同年6月、カロリン諸島ドイツ・ニューギニア保護領の一部となり、以後、第一次世界大戦までドイツの支配下に置かれます。

 こうしたドイツ領ニューギニアの拡大を受けて、南太平洋諸島に権益を有していた英独米の3国が交渉を行い、①ドイツが西経171度以西の西サモアを、米国が子午線以東の東サモアを領有し、英国はサモア諸島の権益を放棄する、②ショートランド島とブーゲンヴィル島の間に境界線を引き、ドイツはソロモン諸島から撤退し、英国がトンガ諸島ソロモン諸島を領有することで合意が成立。これにより、1900年3月1日、ドイツはサモア(西サモア)の統治を開始しました。

 その後、ドイツは第一次大戦までサモアを支配しましたが、大戦勃発後の1914年8月29日、ニュージーランド軍がイギリス軍、フランス軍、オーストラリア軍の援護を受けてドイツ領サモアを占領。今回ご紹介の切手はこれに伴い、ドイツ領時代の切手を接収し、英国王ジョージ5世の統治を示す“GRI(=Georgius Rex Imperator)”の文字を加刷して発行されたものです。

 大戦後の1919年、ヴェルサイユ条約により西サモアはニュージーランドの委任統治領となり、1962年に立憲君主国(4つの大首長家から国家元首の大首長を選挙で選ぶ選挙王制)として独立しました。当初の国名は“西サモア”でしたが、1997年、“サモア独立国”に改称され、現在に至っています。
 
 さて、こうした歴史的な経緯もあって、ニュージーランドはサモアから、農作物の収穫などの季節労働での出稼ぎ労働者を受け入れてきました。

 今回、有罪判決を受けたマタマタ被告は、サモアでは“マタイ(首長)”としれ人々から信頼されている立場を悪用し、十分な報酬を約束してサモアから労働者をニュージーランドに呼び寄せながら、ニュージーランド入国後には暴力を振るい、農場や被告の自宅で無給労働を強制していたとされています。すでに、同被告は、ことし5月、13件の奴隷関連の罪と10件の人身売買の罪で有罪となっており、その判決を受けて、今回、禁錮11年と被害者13人への18万3000ニュージーランドドル(約1300万円)の賠償金支払いが命じられました。

 
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 サモアを破り3連勝
2019-10-06 Sun 01:00
 現在開催中のラグビーW杯は、きのう(5日)、1次リーグA組の日本が38-19でサモアを破り、3連勝しました。というわけで、きょうはサモアの切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      サモア・ドイツ領加刷

 これは、1900年に発行されたドイツ領サモアの加刷切手です。

 サモア諸島は1722年にオランダ人の探検家ヤーコプ・ロッヘフェーンが“発見”した後、1830年、英国人宣教師が布教活動を開始し、西洋人の往来が本格化します。

 1857年、ハンブルクのゴーデフフロイ商会はサモアを拠点に、南洋各地との貿易を開始。これに続いて、米英もサモアに拠点を置くようになり、1878年には米国が海軍の石炭供給基地として東サモアのパゴパゴを併合します。さらに、1888年、サモアで大規模な部族間抗争が発生すると、英米独の各国はこれに介入。最終的に、1899年、ドイツが西経171度以西の西サモアを、米国が子午線以東の東サモアを領有し、英国はサモア諸島の権益を放棄する代わりにトンガ諸島ソロモン諸島を領有することが決められました。

 これを受けて、1900年3月1日、ドイツはアピアにドイツ国旗を掲揚して、西サモアの統治を開始しました。今回ご紹介の切手は、これに伴い、ドイツ切手にサモアの地名を加刷して発行したものです。

 その後、第一次大戦でドイツが敗れると、西サモアはニュージーランドの委任統治領となり、1962年に立憲君主国(4つの大首長家から国家元首の大首長を選挙で選ぶ選挙王制)として独立しました。当初の国名は“西サモア”でしたが、1997年、“サモア独立国”に改称され、現在に至っています。


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 12月30日がない国
2011-12-30 Fri 16:29
 南太平洋の島国サモアは、今夜、時間帯を日付変更線の東側から西側の時間帯に移行します。これに伴い、現地時間の29日から翌日になる際に30日をスキップして31日とすることになり、同国は世界で最も早く新年を迎える国となるのだとか。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        サモア・エクスプレス

 これは、1877年に発行された“サモア・エクスプレス”の切手です。

  サモア諸島は1722年にオランダ人の探検家ヤーコプ・ロッヘフェーンが“発見”した後、19世紀半ばには捕鯨基地として繁栄。太平洋における米英独の権益争いの場となっていました。

 そうした状況の中で、1877年、フィジーで『フィジー・タイムズ』紙を発行していたグリフィスは、ビジネスの拡大を狙ってサモアで『サモア・タイムズ』紙を創刊するとともに、私設郵便の取り扱いを開始しました。

 グリフィスは、1870年10月15日、当時、南太平洋諸島の中心だったフィジーと島外との郵便を取り扱う私設郵便サービスとしてフィジー・タイムズ・エクスプレスをスタートさせました。この郵便サービスは、その名の通り、本来はグリフィスの新聞の配達に他の手紙なども便乗させるというものでしたが、通信ビジネスとして大きな利益を上げることに成功しました。このため、グリフィスはサモアでも同様のサービスを開始したというわけです。

 ところが、フィジーでは先住民が80人に対して西洋系の商人や宣教師等が2000人ほど滞在していたのに対して、サモアでは、グリフィスの私設郵便が始まった時点で西洋系は130人しかおらず、人口の大半はアピアに住む先住民でした。このため、サモアでのグリフィスの郵便は利用者が極端に少なく、1881年9月、わずか4年間の営業で幕を閉じました。今回ご紹介の切手は、そうしたグリフィスの私設郵便の料金を徴収するために発行されたモノの1種で、画像の3ペンスのほか、1ペニー、6ペンス、9ペンス、1シリング、2シリング、5シリングの計7種が発行されています。

 さて、今回の時間帯の変更により、サモア政府はオーストラリアやニュージーランド、中国、シンガポールなど環太平洋地域とのビジネスが容易になるほか、世界で最も早く日の出を迎える国として観光客の誘致も期待しているのだそうです。うまくいくといいですね。


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 サモアのバス
2009-09-09 Wed 20:49
 南太平洋の島国サモアで、きのう(日本時間8日未明)から、道路の通行車線が右側から左側に一斉に変更されました。車線変更を全国一律で実施したのは、1977年の南イエメン(当時)以来32年ぶりのこと。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

 サモア・バス

 これは、2003年1月にサモアで発行されたバス切手の1枚で、ライフォニ社の赤いバスが取り上げられています。裏ノリはシール式で、切手本体はバスの形に型抜きされています。

 サモア諸島は1722年にオランダ人の探検家ヤーコプ・ロッヘフェーンが“発見”した後、19世紀半ばには捕鯨基地として繁栄。1899年にドイツが西サモアを、アメリカが東サモアを領有しました。第一次大戦でドイツが敗れた後、西サモアはニュージーランドの委任統治領となり、1962年に立憲君主国(4つの大首長家から国家元首の大首長を選挙で選ぶ選挙王制)として独立しました。当初の国名は“西サモア”でしたが、1997年、現在の“サモア独立国”に改称されています。

 さて、今回の車線変更は、地理的に近く、左側通行のオーストラリアとニュージーランド両国からの右ハンドル車(主として日本車)の輸入が、左ハンドルの米国車に比べて約3分の1の輸入コストで済むことが大きな理由とされています。おそらく、ドイツ時代の名残なのでしょうが、長年、ニュージーランドの委任統治下にあったにもかかわらず、右側通行となっていたのは、ちょっと驚きです。

 人口約18万人のサモアの自動車数は約1万6000台だそうで、政府は7~8日(現地時間)を休日としたうえで、9日までは酒類販売を禁止するなどして、混乱防止策を講じているそうですが、長年の習慣というのはそうそう簡単に変えられるものではないですからねぇ。しばらくは交通事故が多発するんじゃないでしょうか。なお、今回の車線変更に伴い、バス会社ではドアの位置を変えなければならなくなりましたので、何年か後には、今回ご紹介の切手とは逆向きの切手が発行されることになるかもしれませんね。


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