2021-07-18 Sun 11:46
ロココ美術を代表するフランスの画家、アントワーヌ・ヴァトーが1721年7月18日に亡くなって、ちょうど200年です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1956年12月8日にフランスが発行した赤十字切手のうち、ヴァトーの代表作『ピエロ』を取り上げた1枚です。 アントワーヌ・ヴァトーは、1684年10月10日、フランス北西部のヴァランシエンヌで生まれました。地元の画家、ゲランの下で絵画の基礎的な訓練を積んだ後、1702年、パリに出てノートル・ダム橋で宗教画や風俗画の複製を作る仕事をしながら、舞台装飾の第一人者だったクロード・ジローの下で修業を続けました。 1717年に発表した『シテール島の巡礼』でアカデミーへの入会を認められ、将来を嘱望されていました。しかし、その直後に健康を害し、1719年にロンドンに移ったものの回復せず、1721年、結核と思われる病のため、フランスへ戻って間もない7月18日に亡くなりました。 切手に取り上げられた『ピエロ』は1718‐19年に制作された作品で、元俳優のベローニが所有するカフェの看板だったと考えられていますが、詳細は分かっていません。かつては、この作品はピエロ役の男性の名前から『ジル』と呼ばれており、1956年に発行された切手もそのようになっていますが、作品のほとんどをピエロが占めていることから、現在では『ピエロ』と呼ばれるのが一般的になっています。また、作品の下部には、イタリア喜劇のキャラクター4人(ロバにまたがる医者、恋人同士のリアンドロとイザベラ、船長)の半身が木の葉に隠れる形で描かれています。 フランス第一帝政中、この作品はナポレオン博物館の館長、ヴィヴァン・デノンが所有していましたが、その後、18世紀絵画の熱心なコレクターであったルイス・ラ・カズを経て、1869年、ラ・カズの死後、ルーヴル美術館に遺贈されました。なお、ルーヴルの18世紀フランス絵画のコレクションは、ラ・カズの旧蔵コレクションがベースになっています。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 7月19日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-04-17 Wed 00:58
日本時間の16日午前2時(現地時間15日19時)頃、パリのノートルダム大聖堂で火災が発生。大聖堂のシンボルである尖塔が焼け落ち、大聖堂の屋根の3分の2が焼失しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1947年にフランスが発行した慈善切手のうち、パリのノートルダム大聖堂を描く1枚で、今回の火災で焼け落ちた尖塔もしっかりと描かれています。 ノートルダム大聖堂のあるパリ・シテ島の敷地は、ローマ時代にはローマ神話の主神とされるユピテル(ジュピター)の神域とされていた場所ですが、ローマ帝国の崩壊後、キリスト教徒によって教会堂が建設されたのがカトリックの教会施設としての最初です。 “ノートルダム”はフランス語で“われらが貴婦人(=聖母マリア)”を意味する語で、現在の大聖堂としては、1163年、国王ルイ7世臨席の下、ローマ教皇アレクサンドル3世が礎石を据えて着工。建築工事の大半は司教モーリス・ド・シュリーとその後継者オドン・ド・シュリーが指揮を執って進められ、1225年までにバラ窓の層までが完成しました。その後も工事は続けられ、1345年、最終的に全長127.50m、身廊の高さは32.50m、幅は12.50mの大聖堂が完成しました。 1789年のフランス革命に際しては、宗教を否定する革命派が大聖堂を“理性の神殿”として破壊・略奪が繰り返され、1793年には西正面の3つの扉口および、王のギャラリーにあった彫刻の頭部が地上に落とされました。また、この間の1792年には、倒壊の危険があるため、尖塔も撤去されています。 こうして廃墟と化した大聖堂でしたが、1804年には皇帝ナポレオンの戴冠式が行われ、さらに、ヴィクトル・ユーゴーの『ノートルダム・ド・パリ』の出版により、フランス国民全体に大聖堂復興の気運がもりあがったことで、1843年、政府による大聖堂の全体的補修が決定されました。修復工事は1844-64年にかけて行われ、このとき尖塔も以前よりも約10m高く再興されました。 近年では、着工850周年記念事業として、2013年に北塔と南塔の鐘の鋳造やノートルダム大聖堂前の広場の整備、屋内照明の改修などが行われています。 その後、老朽化に伴い壁に亀裂が入っていたため、2018年、フランスのカトリック教会が改修工事のために寄付を募り、火災発生時には改修工事が行われている最中でした。 被害の全容把握などはこれからとのことですが、一日も早い復興・再建をお祈りしております。 ★★★ メディア史研究会で発表します! ★★★ 4月20日(土) 14:00から、東京・水道橋の日本大学法学部三崎町キャンパス4号館地下1階 第4会議室A(地図はこちらをご覧ください)にて開催のメディア史研究会月例会にて、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』の内容を中心に、「メディアとしての“英雄的ゲリラ”」と題してお話しします。 なお、メディア史研究会はまったく自由な研究会で、会員以外の方でも気楽にご参加いただけますので(もちろん、無料)、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-02-28 Thu 01:59
あす(1日・金)から3日(日)まで、東京・目白の切手の博物館で第10回テーマティク研究会(JTPC:Japan Thematic Philatelists Club)の切手展が開催されます。今回は、ドラクロワを題材とした作品を御出品の川辺勝さんの御尽力で、1・2日の2日間、下のデザインのような小型印が使用されます。(画像はクリックで拡大されます)
小型印は、パレット型の枠の中にドラクロワの肖像を描いたものですが、ドラクロワの肖像切手といえば、彼の自画像を取り上げた下の切手が有名です。 これは、1951年、フランスで発行された慈善切手の1枚で、1837年にドラクロワが制作した自画像をもとにした肖像が取り上げられています。 ウジューヌ・ドラクロワは、1798年、パリ近郊のシャラントン (現サン=モーリス) で生まれました。新古典主義の画家ピエール=ナルシス・ゲランに入門し、1822年、『ダンテの小舟』でサロン(官展)に入選。1824年には1822年に実際に起きた事件を題材にした『キオス島の虐殺』を出品して物議を醸しました。また、1830年の七月革命に際して制作した代表作の『民衆を導く自由の女神』はフランスを象徴する作品のひとつとされ、特に、その女神部分は、紙幣や切手のみならず、さまざまなものにデザインされています。 1832年、フランス政府の外交使節に随行する記録画家としてモロッコを訪問。1834年には現地でのデッサンを基に『アルジェの女たち』を制作したほか、1830年代以降は、リュクサンブール宮殿、パリ市庁舎など、政府関係の大建築の装飾を数多く手掛け、1863年に死去するまで旺盛に制作を続けました。 さて、JTPCは、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き10回目の開催で、3日午後3時頃からは、展示作品の解説も行います。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください) ★★★ イベントのご案内 ★★★ 第10回テーマティク研究会切手展 3月1-3日(金ー日) 於・切手の博物館(東京・目白) テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回は、僕じしんは作品を出品していませんが、最終日・3日の15:00より、国際切手展審査員の目から見た作品の解説・批評会を行います。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください) ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-11-20 Tue 10:03
東京地検特捜部は、きのう(19日)、日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者と同社代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(以下、呼称など略)を金融商品取引法違反の容疑(有価証券報告書の虚偽記載:会長の報酬を約50億円少なく有価証券報告書に記載した疑い)で逮捕しました。この件については、今後いろいろ詳しいことがわかってくるのでしょうが、きょうのところはとりあえず、こんな切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1947年にフランスが発行した航空切手で、『星の王子さま』で知られるサンテグジュペリの肖像が取り上げられています。今回逮捕されたゴーンについては、Mr.ビーンで知られる俳優のローワン・アトキンソンが“そっくりさん”同士として知られていますが、サンテグジュペリともよく似ています。ご参考までに、下に、ゴーンの顔写真も貼っておきましょう。 さて、今回ご紹介の切手に取り上げられたアントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリは、1900年、フランス・リヨンの伯爵の子として生まれました。イエズス会のノートルダム・ド・サント・クロワ学院を経て、スイスのフリブールにある聖ヨハネ学院では文学に熱中。その後、志願して陸軍飛行連隊に入って軍の操縦士となり、陸軍予備役少尉として退役後、民間航空界に入りました。 1926年から本格的な作家活動を開始し、1929年、恋愛小説として『南方郵便機』を発表。この作品は、専門家の間ではあまり高い評価を得られませんでしたが、1931年に発表した『夜間飛行』がベストセラーとなり、作家としての地位を確立しました。 1935年、フランス-インドシナ間最短時間飛行記録に挑戦するも機体トラブルでサハラ砂漠に不時着。一時は絶望視されるも3日後に徒歩でカイロに生還するという体験をしました。彼の代表作とされる『星の王子様』はこの時の体験が元になっています。 1939年9月4日、第二次世界大戦で召集され、トゥールーズで飛行教官となりますが、前線への転属を希望し、同年11月9日、オルコントに駐屯する偵察隊(II/33 部隊)に配属。翌1940年6月、ヴィシー政権がドイツと講和すると、フランス本土へ戻った後、同年末、リスボン経由で米国に亡命しました。 亡命後は、1943年4月、代表作の『星の王子さま』をニューヨークのレイナル&ヒッチコック社から英訳版 The Little Prince として刊行(フランス語原文版の Le Petit Prince は、没後の1945年11月、ガリマール社から出版)するとともに、自由フランス軍の航空部隊に志願し、同年6月、北アフリカ戦線で原隊の II/33 部隊(偵察飛行隊)に着任しました。しかし、着陸失敗による機体破損事故を起こし、1943年8月に飛行禁止処分(事実上の除隊処分)となります。 その後、パイロットとしてII/33部隊に戻ったものの、1944年7月31日、フランス内陸部グルノーブル、シャンベリー、アヌシーを写真偵察のため、ロッキード F-5Bでボルゴ飛行場から単機で出撃後、地中海上空で行方不明となりました。 その行方は永らく不明とされていましたが、1998年9月7日、マルセイユ沖のリュウ島近くの海域で、サンテグジュペリの名と、妻コンスエロの名、連絡先ニューヨークのレイナル&ヒッチコックの名と所在地が刻まれた、ブレスレットとみられる銀製品がトロール船によって発見。これを機に広範囲な探索が行われた結果、2000年5月24日、1950年代から地元ダイバーによって存在が報告されていたF-5Bの残骸がサンテグジュペリの搭乗機であることが確認されました。 ちなみに、『星の王子さま』といえば、「いちばんたいせつなことは、目に見えない」というキツネの言葉が有名ですが、なるほど、ゴーンの場合は、虚偽記載で世間の“目に見えない”ようにした50億円が“いちばんたいせつ”だったということなんでしょうな。 ★★ トークイベント・講演のご案内 ★★ 以下のスケジュールで、トークイベント・講演を行いますので、よろしくお願いします。(詳細は、イベント名をクリックしてリンク先の主催者サイト等をご覧ください) 12月9日(日) 東海郵趣連盟切手展 於・名古屋市市政資料館 午前中 「韓国現代史と切手」 12月16日(日) 武蔵野大学日曜講演会 於・武蔵野大学武蔵野キャンパス 10:00-11:30 「切手と仏教」 予約不要・聴講無料 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
2013-07-21 Sun 09:11
きょう(21日)は参議院議員選挙の投票日です。僕も、この記事を書いたら投票所に行きますが、投票は20時までですから、有権者の皆様は、ぜひお出かけください。というわけで、国政選挙の投票日恒例の“投票しませう”シリーズ、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1958年9月28日にフランスで行われた憲法改正の国民投票に先立ち、投票を呼び掛ける標語印が押されたカバーです。標語の内容は「投票しよう 君の運命を他人に決めさせないように」というもので、まさにおっしゃる通りですな。 第2次大戦後、アルジェリアではアラブ系およびベルベル系の住民が戦争協力の代償として戦後の自治・独立を要求しましたが、既得権の維持をはかろうとするフランス人入植者は抵抗を続けていました。 こうした状況の下で、1954年7月、ジュネーヴ協定で曲がりなりにもインドシナ諸国の独立が認められると、これに刺激を受けたアルジェリアでも同年10月、それまでの独立運動を統合するかたちでアルジェリア民族解放戦線(FLN)が結成され、翌11月、独立戦争が勃発します。 アルジェリア独立戦争は泥沼の様相を呈し、フランス国内の世論はFLNの独立運動を支持する側とフランスの国家的威信を優先させる側に分裂。混乱が続く中で、1958年5月13日、“フランスのアルジェリア”を支持する現地駐留軍とヨーロッパ系入植者(コロン)の暴動が発生します。アルジェリアは事実上の無政府状態となり、アルジェ駐屯落下傘部隊はコルシカ島をも占拠し、首都パリへの侵攻も現実の脅威となりましたが、第4共和国政府は有効な解決策を出せず、崩壊状態となりました。 このため、軍部を抑えることのできる人物として、ド・ゴールが政府の要請を受けて首相に就任。9月28日に新憲法を国民投票(今回ご紹介のカバーで宣伝しているものですな)で承認させ、10月5日、第5共和政が発足しました。 ちなみに、第5共和国憲法では、フランス連合は共和国(本国・海外県・海外領土)と共同体構成国からなるフランス共同体に改編されることになり、共同体構成国には、外交・国防・通貨・経済などの権限を除き、大幅な自治が認められることになりました。これを受けて、仏領西アフリカ連邦を構成していた各植民地も1958年中に共和国となり、“仏領スーダン”は消滅。“マリ連邦”が独立することになります。 なお、このあたりの事情については、拙著『マリ近現代史』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の次回作(予告) ★★★ ★★★ 内藤陽介の最新作 ★★★ 『マリ近現代史』 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、 切手・絵葉書等で色鮮やかに再現したオールカラーの本格的通史! amazon、e-hon、hontoネットストア、Honya Club、JBOOK、7ネット・ショッピング、紀伊國屋書店、版元ドットコム、ブックサービス、文教堂、丸善&ジュンク堂書店、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は7月30日、9月3日(原則第1火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2013-06-29 Sat 11:04
世界最大の自転車レースとして知られる“ツール・ド・フランス”の第100回大会が、きょう(29日)開幕します。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1953年にフランスで発行されたツール・ド・フランス50年の記念切手です。 “フランス一周”を意味するツール・ド・フランスは、1903年、スポーツ新聞社のロト(現レキップ)が宣伝のために開催したのが始まりで、第1回大会は、パリ郊外モンジュロンのカフェ“ルヴェイユ・マタン”の前をスタートし、パリ西郊のヴィル=ダヴレーに戻る計2428キロのコースで行われました。当時は、いかなる場合でも選手が他者の協力を得ることは禁止されていたため、選手は修理用の工具や交換用のタイヤを身につけて走っていたほか、眠る際にも選手は道路脇で眠っていたそうです。 2度の世界大戦による中断があるため、今回ご紹介の切手が発行された1953年に行われたのは第40回大会で、このときはフランスのルイゾン・ボベが優勝しました。ちなみに、ボベはこの時の優勝を皮切りに、1955年までツール・ド・フランス史上初の総合3連覇を達成しています。 100回目の記念大会となる今年のレースは、初めてコースになったコルシカ島をスタートし7月21日にパリにゴールするコースが設定されており、わが国からは、新城幸也(ヨーロッパカー)が出場します。新城は、これまで、2009年、2010年、2012年の3大会に出場し、いずれも完走しました。これまでの成績は、2012年の84位完走、ステージ別では2009年の第2ステージ5位が最高ですが、今回は、一つでも順位が上がると良いですね。 なお、自転車切手といえば、1900年にマフェキングで発行された暫定切手が有名ですが、こちらについては、拙著『喜望峰』で詳しくご紹介しておりますので、機会がありましたら是非ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新作 ★★★ 『マリ近現代史』 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、 切手・絵葉書等で色鮮やかに再現したオールカラーの本格的通史! amazon、e-hon、hontoネットストア、Honya Club、JBOOK、7ネット・ショッピング、紀伊國屋書店、版元ドットコム、ブックサービス、文教堂、丸善&ジュンク堂書店、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は7月2日、7月30日、9月3日(原則第一火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2013-01-23 Wed 21:31
ノルウェー北部ナルヴィク近郊のトンネルで17日、トラックに積まれていた約27トンのチーズが炎上。火災そのものは21日に鎮火、死傷者はなかったものの、現在なおトンネルは閉鎖されているそうです。というわけで、ナルヴィクといえば、やはりこの切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1952年にフランスが発行したナルヴィクの戦いの記念切手で、フランス・ノルウェー両国旗に挟まれた戦闘のモニュメントが描かれています。 ナルヴィクはノルウェー北部の不凍港で、スウェーデンの鉄鉱石をドイツへ輸送するための積出港として重要な意味を持っていました。 このため、チャーチルは、ナルヴィク近郊のノルウェーの領海に機雷を設置するとともに、ナルヴィクを占領して、ドイツに対して打撃を与えるのみならず、当時、ソ連の侵攻を受けていたフィンランドを支援することを計画。1940年4月、ドイツの輸送船を攻撃するための機雷を設置するウィルフレッド作戦を開始しました。 これに対して、ナルヴィクを確保したいドイツは、4月9日、ノルウェー侵攻のヴェーゼル作戦を開始。こうして、ナルヴィクをめぐる戦闘が本格的に始まり、イギリス軍がドイツ軍の歩兵隊を乗せた駆逐艦や船隊を破壊し、海岸線を支配する一方で、ドイツの戦艦シャルンホルストとグナイゼナウは、ナルヴィク沖でイギリス軍の撤退時に空母グローリアスを撃沈しました。 その後、同年5月28日、ノルウェー・フランス・ポーランド・イギリスの連合軍はナルヴィクを奪還しましたが、フランス戦線での敗走が続きダンケルクからの大規模な撤退作戦を展開しなければならなくなり、6月8日、ナルヴィクからの撤退を余儀なくされました。 連合軍の撤退後、孤立無援となったノルウェー軍は6月10日にドイツに降伏。以後、ナルヴィクはドイツ海軍の重要拠点となりましたが、ノルウェー国内では内陸部を中心にレジスタンスの闘争が続けられることになります。 【世界切手展BRASILIANA 2013のご案内】 僕が日本コミッショナーを仰せつかっている世界切手展 <BRASILIANA 2013> の作品募集要項が発表になりました。国内での応募受付は2月1―14日(必着)です。詳細はこちらをご覧ください。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどで好評発売中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2012-05-07 Mon 15:34
きのう(6日)、フランス大統領選の決選投票が行われ、社会党のオランド前第1書記が現職大統領のサルコジを破って当選しました。というわけで、きょうはこの切手です、(画像はクリックで拡大されます)
これは、1957年にフランスで発行されたエリゼ宮の切手です。 エリゼ宮は、建築家モレの設計により、エヴェール伯爵のために建てられた宮殿で、完成は1722年のことです。その後、 ポンパドゥール夫人やナポレオン1世の皇后ジョゼフィーヌの住居としても用いられました。ナポレオン1世の失脚と王政復古により1816年に王室財産に復しましたが、1848年の2月革命で第2共和国が発足すると、国民議会により大統領官邸に指定されました。 ところが、第2共和国の初代大統領となったルイ・ナポレオンは、エリゼ宮を官邸とせぬまま、1851年にクーデターで皇帝ナポレオン3世として即位してしまいます。結局、エリゼ宮が大統領官邸として定着したのは、ナポレオン3世の失脚後に発足した第3共和国の第2代大統領マクマオン以降のことでした。 ちなみに、オランド新大統領の就任式は今月15日の予定だそうですが、それまでにサルコジ現大統領はエリゼ宮を明け渡さなければならないということになります。選挙に負けたから仕方ないといえばそれまでですが、10日以内というのはあまりにも慌ただしくて、ちょっと気の毒な感じがしますな。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2009-01-16 Fri 12:43
(財)建設業振興基金の機関誌『建設業しんこう』の1月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手の中の世界のダム」では、今回はこの1枚を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1956年にフランスで発行されたドンゼル=モンドラゴン・ダムの切手です。 フランス南部のドンゼル=モンドラゴン・ダムは、その名の通り、北のドンゼルと南のモンドラゴンを結びローヌ川(フランス4大河の一つで、スイスに源流を発し、レマン湖、リヨン、アルルなどを経て地中海へと抜ける)につながるドンゼル=モンドラゴン運河に作られたダムで、幅240メートル、高さ15メートルです。 このダムは、第2次大戦後まもないヴァンサン・オリオール政権下の1947年夏、戦後復興の一翼を担うものとして、アメリカから3300万ドルの支援を受けて着工し、1952年10月24日に完成しました。当時のインドシナの再植民地化をもくろみ、インドシナ戦争を戦っていたフランスに対して、アメリカの世論は批判的でしたが、東西冷戦という国際状況の中で共産主義の拡大を阻止するため、アメリカはフランスの戦争を経済的に支援していました。すでに、1951年の時点で、アメリカの軍事援助は5億ドルに達しています。これだけでダム15個分ですから、やはり、戦争というのはお金がかかるもんなんですね。 さて、ダムに設けられた発電所は水力発電所としてはこの地域最大のもので、フランス南東部の主要都市リヨンの年間諸費電力量をほぼまかなうだけの発電能力があるそうです。 また、設計を担当したアルベール・カコー(1881-1976)はフランスを代表する建築家で、ドンゼル=モンドラゴン・ダムの他にもアルプス地方・サヴォワのラ=ジロット・ダムの建設も手掛けています。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! 『年賀切手』 日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込) 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 多謝! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(左の画像)が掲載されました。 こちらでお読みいただけます。また、日本郵政本社ビル・ポスタルショップでは、『年賀切手』の販売特設コーナー(右の画像)も作っていただきました。 *写真はいずれも:山内和彦さん撮影 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
2008-08-31 Sun 11:22
ご報告が遅くなりましたが、(財)日本郵趣協会の機関誌『郵趣』の2008年9月号ができあがりました。『郵趣』では、毎月、表紙に“名品”と評判の高い切手を取り上げていて、原則として僕が簡単な解説文をつけていますが、今月は、こんなモノを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1947年5月7日にフランスが発行した「第12回パリUPU会議」の航空切手で、パリのシテ島を西側から見た景観が取り上げられています。 花の都・パリの名は、セーヌ川の中州のシテ島に住み着いたケルト系のパリシー人に由来するといわれており、それゆえ、シテ島は“パリ発祥の地”と呼ばれています。 切手の画面の一番手前、島の先端部にはアンリ4世にちなむヴェール・ギャラン公園がありますが、その緑のすぐ後ろに架かっているのがポン・ヌフです。直訳すると、“新しい橋”の意味ですが、実は、パリに現存する一番古い橋です。 その右奥には、川に面してコンシェルジュリーが見えます。この建物は、もとはフィリップ4世の宮殿でしたが、後に牢獄として使われるようになり、フランス革命の際にはかのマリー・アントワネットも投獄され、ここから引き出されて断頭台へ向かったのだとか。 さらにその右奥には、ノートル・ダム大聖堂の二つ並んだ屋根の塔も見えます。その左側、画面中央にそびえたつ尖塔は、ゴシック建築の最高傑作として名高いサント・シャペルのものです。 切手は、マリアンヌやサビーヌ、リベルテなど普通切手でもおなじみのピエール・ガンドン48歳の時の作品。ガンドンが最初に手掛けた切手は1941年に仏領ダホメーで発行されたもので、同年、本国の紋章切手にも作品が採用されています。今回ご紹介の切手は、第2次大戦後の1945年、“ガンドンのマリアンヌ”で彼の名がフランスのみならず広く世界に知れ渡るようになってから間もなくの作品で、直線的な島の街並みと宙を舞うカモメの丸みを帯びた姿のコントラストが印象的な1枚に仕上がっています。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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