2023-02-18 Sat 11:47
台湾本島と馬祖列島をつなぐ海底ケーブル2本のうち、淡水と東引をつなぐ“台馬2号海底ケーブル”が今月2日夜、桃園と南竿をつなぐ“台馬3号海底ケーブル”が同8日正午過ぎに、相次いで切断されていたことが分かり、通信事業を監督する国家通信伝播委員会(NCC)は、きのう(17日)、2本のケーブルはいずれも中国の船舶によって損傷したとの暫定的見解を明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで可下されます)
これは、2004年7月1日、台湾が発行した“馬祖国家風景区”の切手のうち、台馬3号海底ケーブルの馬祖側の陸揚げ地がある南竿島の鐡堡(要塞跡)を取り上げた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2023年2月24日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 北千住 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』好評発売中! ★ 関係省庁、政治家、業界団体等が国民が知らないところで粛々と作り続けているさまざまな規制。「レジ袋の有料化」という規制ができるまでの政治的・行政的プロセスを詳細に分析し、規制の新設防止、そして規制廃止を訴える。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-12-22 Thu 04:18
きょう(22日)は冬至です。というわけで、ストレートにこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2000年11月3日に台湾が発行した”二十四節季・冬”の切手のうち”冬至”を取り上げた1枚で、台湾の冬至の風物詩”湯圓”が取り上げられています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 12月23日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 12月24日(土) 13:00~ 大英帝国のクリスマス 英国は、1840年に世界で最初に郵便切手を発行した国で、かつて”日の沈まぬ国”と呼ばれたその広大な領土では、ヴィクトリア女王からエリザベス女王に至るまで、歴代の国王の切手を貼った郵便物が縦横無尽に往来していました。今回は、クリスマスに関する切手・郵便物をピックアップし、それぞれの時代の英国・英領の歴史や社会を読み解きます。お申込などの詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★ 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 |
2017-04-08 Sat 09:59
きょう(8日)は、お釈迦様の誕生を祝う“花まつり”の日です。というわけで、毎年恒例、お釈迦様ネタの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2001年に台湾で発行された“古代仏像郵票”の小型シートで、上段に“北魏 釈迦牟尼仏坐像”、下段左に“唐 仏坐像”、下段右に“宋 大日如来坐像”の3枚の切手を組み合わせ、背景に北魏の像の光背後部(裏面)の彫刻を配しています。 上段の切手に取り上げられた北魏・釈迦牟尼仏坐像は青銅鍍金で高さ40.3cm、重量3954g。釈迦牟尼仏は、2層の台座に結跏趺坐をして右手は施無畏印を結んでいます。釈迦牟尼像と台座は合わせて鋳造されており、台座後部に「太和元年九月十日安/熹縣堤陽□□╱願己身為□□╱母造釋加╱聞佛、又╱為居家眷屬╱大小現世安隱、亡者生天╱宣語諸佛、所願如╱是、故記之耳」の銘があることから、北魏・孝文帝時代の477年の制作であることがわかります。 台座の上段は須彌座で、蓮が花開き、側面には唐草文が施されており、前方には立ち上がった獅子2頭があります。下段の方形座には波状の文様が施され、両側に信徒の姿が彫刻されています。 光背後部の彫刻は3層に分かれており、上段には、「維摩詰経・文殊問疾品」から、釈迦と多宝仏が坐した塔(この部分は切手で隠れています)と、両側に如意を手にした文殊菩薩と塵尾を手にした維摩菩薩が向かい合い語らっている場面が彫刻されています。中段の彫刻は初転法輪の図で、両側には釈迦に仕える2人の比丘がひざまずいています。下段には、誕生したばかりの釈迦が天と地を指差し、左側に摩耶夫人が、右側に釈迦の湯浴みを手伝う龍王とひざまずく帝釈天と梵天が配されています。ただし、今回ご紹介のシートでは、右手を挙げている釈迦の半身が下段の切手の間から見えているだけで、その他の部分はほぼ切手は隠されています。 ちなみに、昨年、世界切手展<PHILATAIPEI 2016>の合間に台北の国立故宮博物院を参観した際、切手に取り上げられた北魏の像の実物を拝んできました。その時撮影した光背後部の画像はちょっとハレーションを起こしていて見づらいのですが、切手では隠されている部分を含めて、全体像がイメージできますので、正面からの画像と併せて下に貼っておきます。 なお、拙著『切手が伝える仏像』では、今回ご紹介の切手を含め、世界のさまざまな仏像切手をご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』 ★★★ 2700円+税 【出版元より】 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行! 発売元の特設サイトはこちらです。 ★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2012-07-08 Sun 15:34
台湾海峡北部の馬祖列島で、きのう(7日)、地元当局が推進するカジノ誘致計画の是非を問う住民投票が行われ、賛成1795票、反対1341票で可決されました。これにより、早ければ3年後に台湾初のカジノリゾートがオープンすることになるのだとか。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2001年に台湾が発行した“小三通開始”の記念切手で、馬祖に向かう船が描かれています。 台湾では、1981年から中国に対し、三不政策(接触せず、交渉せず、妥協せず)を採り、直接の三通(通商、通航、通信)を禁じていましたが、実際には、この頃から台湾企業の中国進出が増加し、水面下の経済交流は進んでいました。こうした背景の下で、2000年の総統選挙に際して、WTOへの加盟とそれに伴う三通の段階的解禁を公約の一つとして掲げて当選した陳水扁は、政権発足後の2001年1月2日から、試験的に金門・馬祖と福建省に限って“小三通”を行い、問題がなければ三通実施地域を拡大していくという方針を採用しました。 今回ご紹介の切手はこれを記念して発行されたもので、このときの小三通のポイントは、①金門、馬祖と福建省の間のみで直接の通商、通航ができる、②通航は、原則として、金門島=厦門港、馬祖島=馬尾港の航路に限る、③貨物のみでなく人の往来も開始、④中国の海運業者、外国海運業者も当該航路航行申請できる、⑤金門・馬祖の金融機関と福建省の金融機関に限って、相互に直接送金、輸出入決済等外国為替コルレス業務ができる、⑥中国から入る旅行者の日数は、金門2日、馬祖3日のみ。旅行以外の事由で中国から入る際の日数は、7日以内に制限、⑦小三通実施期間は1年のみだが、必要があれば延長する、というものでした。 その後、2003年の春節期間にあわせて、中台両国間での直行便が開始されましたが、陳水扁政権下の台湾で、中国ないしは中華の名称を台湾へと置き換え、台湾の存在を“中国の一部”から“中国(大陸)とは別個の地”に代えることを目標とする台湾正名運動が推進されたことに対して中国側が反発。台湾側も中国人の無制限な台湾流入を警戒していたこともあり、三通の全面解禁は実現されませんでした。 これに対して、2008年に発足した馬英九政権は、前政権の対中政策を大幅に転換し、経済成長のためには対中交流の拡大が必要との姿勢から、中国側からの観光客受け入れの緩和、春節・週末などの直行チャーター便を大幅に増便することを認め、事実上、三通の全面解禁となりました。 さて、今回の馬祖でのカジノ誘致は、中国からの観光客を誘致することで経済振興を図るというのが最大の目的とされていますが、開発による環境への影響やカジノ開業による風紀・治安の悪化を懸念する反対論も根強くあります。今回の住民投票の結果にも、そうした傾向が反映されているとみてよいでしょう。 それにしても、馬祖列島といえば、1958年の中国による金門島への侵攻作戦(最終的には、国際世論の非難により中国が侵略を断念しましたが)以来、中国に対する軍事拠点だった場所ですからねぇ。すでに三通が全面解禁されて久しいとはいえ、中国人観光客を積極的に誘致しようという声が多数派を占める時代が来るようになるとは、感無量ですな。個人的には、馬祖に大挙して訪れる中国人“観光客”が、台湾にとってのトロイの木馬にならないことを祈るばかりです。 ★★★ 内藤陽介・韓国進出! ★★★ 『韓国現代史』の韓国語訳、出ました 우표로 그려낸 한국현대사 (切手で描き出した韓国現代史) ハヌル出版より好評発売中! 米国と20世紀を問い直す意欲作 우표,역사를 부치다 (切手、歴史を送る) 延恩文庫より好評発売中! *どちらも書名をクリックすると出版元の特設ページに飛びます。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2008-11-13 Thu 12:12
きのう(12日)、台湾の陳水扁前総統が総統府の機密費流用と資金洗浄などの疑いで逮捕されました。というわけで、今日はこの切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2004年、陳水扁の2期目の総統就任を記念して発行された切手で、陳と副総統の呂秀蓮のほか、総統府の建物や当時は建設中だった台湾高速鉄道(当初は2005年10月の開業予定だったが、実際には2007年1月に開業)なども描かれています。 陳水扁は1950年10月12日、台湾の台南県官田郷の小作農家の家庭に生まれました。幼少時より学業成績が優秀で、国立台南第一高級中学を経て台湾大学商学部へと進学。その後、法学部に入学しなおし、在学中に司法試験に合格しています。 1979年の美麗島事件(世界人権デーに高雄で行われた雑誌『美麗島』主催のデモに際して、主催者らが投獄されるなどの弾圧に遭った事件)に際しては、陳は被告弁護団に参加し、主犯格とされた黄信介の弁護を担当。以後、党外活動(反中国国民党運動)の闘士として名を馳せ、1981年には台北市の市議会議員選挙に立候補し、最高得票で当選しました。 その後、1986年に国民党立法委員(国会議員)の馮滬祥から名誉毀損で告訴され実刑判決を受けて下獄しますが、刑期満了で出獄後の1987年、前年結成されたばかりの民主進歩党(民進党)に参加し、中央常務委員に就任。1989年に立法委員に当選し、同党を代表する議員となりました。 1994年、初めての台北市長直接選挙が実施されると、これに立候補して当選。台北捷運の建設や下水道を初めとする治水事業などを実施し、また既得権益に打撃を与える清廉さで高い支持率を得ましたが、1998年の選挙では国民党の宿敵・馬英九(現総統)に破れて落選。しかし、2000年の総統選挙で民進党候補として当選を果たし、半世紀に及ぶ国民党支配体制を民主的選挙によって終わらせました。 しかし、当選後は国民党の影響力を十分に払しょくすることができず、政権運営は多難を極めます。そして、2004年の総統選挙では再選を果たし、今回ご紹介の切手も発行されたものの、2005年8月には息子で総統府秘書長だった陳哲男が、高雄捷運の建設工事に関係した業者の招待を受けて海外旅行したとのスキャンダルが発覚。さらに、翌2006年5月には、娘婿の趙建銘が台湾土地開発公司の不正取引に関与していたことが表面化するとともに、夫人の呉淑珍についても太平洋崇光百貨(そごう)の商品券及びインサイダー取引疑惑が浮上。さらに、呉淑珍が、総統府機密費1480万台湾ドルを私的流用していたとして、汚職と文書偽造の罪で起訴されるにいたり、陳政権は完全にレームダック化してしまいます。 この結果、今年3月の総統選挙では、陳に対する不信感から与党候補が惨敗。国民党の馬英九政権の復活を許してしまうことになりました。 今回の逮捕に関して、陳は連行される際に「政治的迫害だ」と叫んだそうですが、仮にそうであるのなら、常識的に考えて、陳が無罪放免ということはあり得ないわけでしょう。もちろん、容疑が事実であるのなら、最高で30年の刑が待ち受けているということですから、陳の政治生命はほぼ断たれたとみてよいでしょう。 まぁ、このあたりに関しては、今後の捜査と裁判を見守っていくしかないのですが、台湾独立派の旗手であった陳が逮捕されたのを好機とばかりに、台湾内の媚中派が勢いを増し、独立派を封じ込める動きが出てくることが多いに懸念されます。こういうときこそ、陳の犯罪とは別に、我々は、台湾は決して“中国”の領土ではないことを十分に認識し、台湾の中国への併吞に抵抗しようとしている人々への支援を強化していかなくてはならないように思います。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ アメリカ史に燦然と輝く偉大な「敗者たち」の物語 『大統領になりそこなった男たち』 中公新書ラクレ(本体定価760円+税) 出馬しなかった「合衆国生みの親」、リンカーンに敗れた男、第二次世界大戦の英雄、兄と同じく銃弾に倒れた男……。ひとりのアメリカ大統領が誕生するまでには、落選者の累々たる屍が築かれる。そのなかから、切手に描かれて、アメリカ史の教科書に載るほどの功績をあげた8人を選び、彼らの生涯を追った「偉大な敗者たち」の物語。本書は、敗者の側からみることで、もう一つのアメリカの姿を明らかにした、異色の歴史ノンフィクション。好評発売中! もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
2008-03-06 Thu 10:06
明日(7日)から、台湾の台北世界貿易中心(TWTC)でアジア国際切手展<TAIPEI 2008>が開催されます。今回は、僕も出品者として自分の作品の搬入・搬出をやりますので、今日から12日まで台湾に行ってきます。というわけで、まずはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、今回の切手展を記念して、会期初日の明日発行予定の切手の1枚(画像は台湾郵政のHPから取りました)で、彼の地の1000元札のほか、切手展のシンボルマークにもなっているミカドキジがとりあげられています。 ミカドキジは台湾固有種のキジで、台湾最高峰の玉山(日本時代、新高山といわれていた山です)や阿里山などの高地に生息しています。 日本時代の1906年のことで、現地調査に来ていたイギリス人の博物学者、ウォルター・グッドフェローが、玉山付近で在地のツォウ人が髪飾りとしてつけている白黒の羽を見て新種の鳥と確信し、これをイギリスに持ち帰って鑑定したことで、その存在が広く知られるようになりました。ミカドキジとの名前は、 当時、台湾が日本領だったことを踏まえ、グッドフェローが明治天皇に敬意を表してこの鳥に“Syrmaticus mikado”との学名をつけたことに由来しています。 自分が出品者として参加している切手展の初日に、こういう“ジャポニカ”切手が発行されると、日本人としては単純素朴に嬉しいものですな。 さて、今回の切手展では、僕は、2005年の<JAPEX>に出品した「“戦後”の誕生」をリニューアルした作品“Making of Pacific-Asian Order from WWII to the EarlyPeriod of the Cold War”を出品しています。 これまで、国際展に出品した作品は、大きく分けて、①昭和の戦争(満洲事変~1945年の終戦まで)、②香港の歴史、③戦後史(1945年以降)の3種類があるのですが、このうちの戦後史のコレクションの一番初期のかたちは、1995年の全日展に出品した『戦後史』という作品で、それをもとに、2000年のバンコク展(アジア展)には“A History of Occupied Japan”として出品しました。ただし、このときの作品は、タイトルからもご想像いただけるように、日本国内の民主化・非軍事化の流れを中心にすえたものだったため、どうしても“ジャパン・ローカル”のようなコレクションになってしまい、外国人審査員の評判も芳しいものではありませんでした。 その後、2005年に<JAPEX>の企画展示「1945」に「“戦後”の誕生」を出品した際には、“A History of Occupied Japan”をベースに、欧州・日本・中国・朝鮮・東南アジアの地域ごとに、“戦前”から“戦後”への流れをまとめたのですが、今回は、その構成をもう一度組み直し、日本国内の出来事を取り上げるのは最小限にして、戦前、列強諸国の植民地支配を受けていたアジア・太平洋地域が、日本の占領時代を経て、第二次大戦後の東西冷戦という新たな枠組みの中でどのように変わっていったのか、という国際関係史の流れを中心とするよう、全面的にリニューアルしました。今回の英文タイトルはそうした事情を反映したものですが、邦題としては、2005年以来の「“戦後”の誕生」を使うつもりです。 作品は、前史として、日本のアジア・太平洋地域への拡大と撤退を示した後、ヤルタ会談と日本の降伏、日本撤退後の中国、朝鮮、東南アジアの状況、そして、アジアにおける冷戦構造の枠組みを決定した中華人民共和国の成立・朝鮮戦争・(第1次)インドシナ戦争をとりあげています。インドシナ戦争まで含めたのは、1954年のジュネーブ協定によって、ベトナムの南北分割が確定し、アジア・太平洋地域における冷戦構造が完成したことを表現したかったからなのですが、ちょっと範囲を拡大しすぎたかもしれません。 まぁ、今回の作品は、過去の出品作品のリニューアルとはいえ、実際にはほとんど新作のようなものですし、取り扱っている時代も新しく、「昭和の戦争」コレクションのようにフルスケール(8F)での参戦ではありませんから、賞の結果にはあまり期待していないのですが、何年か後にLVのメダルを取ってフルスケール出品の資格を得るためにも、審査員をはじめ作品をご覧いただいた方々の忌憚のないご意見をうかがって勉強させていただければ幸いと思っています。 なお、台湾へは自分のパソコンを持って行き、あらかじめ、取り込んでおいた切手類の画像を元に、いつもどおり毎日1本ずつ記事を書いていく予定ですが、現地のネット環境等により更新ができないことがあるかもしれません。その場合は、あしからずご容赦ください。 * 昨日の香港協会のパーティーでの講演は無事、終了いたしました。お集まりいただきました多くの方々には、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。 |
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