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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:コンゴ共和国
2019-01-30 Wed 00:18
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2019年1月23日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はコンゴ共和国の特集(2回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      コンゴ共和国・ゲバラ追悼

 これは、1969年にコンゴ共和国が発行したチェ・ゲバラの追悼切手です。

 1960年8月15日に独立したコンゴ共和国(旧仏領)は、初代大統領に就任したフルベール・ユールーと彼の率いる与党“アフリカ人利益擁護民主連合(UDDIA)”の下、親仏路線を維持し、フランスからの資金援助による国家建設を推進しました。しかし、その配分は、彼の出身部族であるラリ族の多い南部が偏重され、北部は冷遇されただけでなく、露骨な利益誘導が行われたため、政権の腐敗も深刻でした。

 外交面でも、隣接する旧ベルギー領コンゴでの動乱に関しては、民族派のパトリス・ルムンバではなく、旧宗主国ベルギーの支援を受けてカタンガの分離独立を主張するモイーズ・チョンベを支持。このことも国民の不満を醸成し、1963年8月、北部での反政府暴動を機に、ユールー政権は崩壊し、アルフォンセ・マサンバ=デバを首班とする新政権が発足しました。

 マサンバ=デバ政権は、民族主義的な色彩の濃い社会主義路線を掲げ、外国系企業の国有化、フランス軍基地の撤去、計画経済の導入などを推進。1964年1月には“革命国民運動(MNR)”を結成して一党体制を構築したほか、外交面では反仏路線に転換し、東西冷戦下では西側との決別を意味するキューバ・カストロ政権との国交樹立に踏み切ります。

 これを受けて、キューバはチェ・ゲバラをブラザヴィルに派遣することを決定。1965年1月2日、ゲバラは「米国の干渉に対する革命の戦いは、西半球の大陸の多くの人をとらえるだろう」と声明してブラザヴィル入りし、5日、マサンバ=デバと会談しました。ゲバラは、旧ベルギー領でのコンゴ動乱に関して、マサンバ=デバに対して、キューバと連帯して旧ルムンバ派勢力を支援することを提案。マサンバ=デバ政権がこの提案を受け入れると、ホルヘ・リスケート率いるキューバの軍事ミッションがブラザヴィルに派遣されました。

 その後、キューバの支援を受けたMNR若年層の一部は徐々に民兵を組織して過激化。マサンバ=デバは、1966年、民兵組織のアンブローズ・ヌアザレイを首相に任命し、政権に取り込んで去勢しようとしましたが、MNRは穏健化しませでした。そこで、1968年1月、マサンバ=デバはヌマザレイを首相から解任しましたが、軍部の実力者で空挺隊司令官のマリアン・ングアビは民兵組織を統御しきれないマサンバ=デバに対する不満を募らせます。

 このため、1968年8月、マサンバ=デバはクーデター容疑でングアビを逮捕しましたが、兵士の反乱で釈放を余儀なくされ、逆に、9月4日、退陣に追い込まれました。

 なお、政権を掌握したングアビは民兵組織を抑え込みましたが、キューバとの友好関係は維持します。今回ご紹介の切手は、そうした状況の下で、キューバの支援に感謝し、友好関係の維持を訴えるために発行されたものです。

 さて、『世界の切手コレクション』1月23日号の「世界の国々」では、独立後初期のコンゴ共和国についてまとめた長文コラムのほか、パフォーマンス集団のバレー・ディアブア、コンゴ川、ブラザヴィル大聖堂、地酒のカシキシの切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当ですが、今回のキューバの次は、1月23日発売の同30日号でのウガンダ(と一部ギニア)の特集となっています。こちらについては、近々、このブログでもご紹介する予定です。

  
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      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 

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 世界の国々:コンゴ共和国
2015-03-18 Wed 12:12
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年3月18日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はコンゴ共和国(旧仏領の方です)を取り上げています。その記事の中から、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

       マルセル・ゴテーヌ

 これは、コンゴ共和国を代表する画家のひとり、マルセル・ゴテーヌの作品「太鼓とダンサー」を取り上げた1980年の切手です。

 マルセル・ゴテーヌは、1935年頃、仏領中央コンゴ時代のヤバ(中部の都市)で生まれました。1951年、コンゴ画壇の重鎮だったピエール・ロッヅがブラザヴィル近郊でポトポト画塾を開設するとこれに参加して画才を認められ、1953年にブラザヴィルで初の展覧会を開催。翌1954年にはパリで作品を展示し、画家としての地位を確立しました。1972年、ルテス国際アカデミーのグランプリを受賞。切手に取り上げられた作品「太鼓とダンサー」のように、アフリカの伝統的な芸術の要素を大胆に取り込んだ作風で知られています。2013年2月、モロッコのラバトで没。享年74歳。
 
 さて、 『世界の切手コレクション』3月18日号の「世界の国々」では、仏領時代から現在のサスヌゲソ政権にいたるまでのコンゴ共和国の近現代史について概観した長文コラムのほか、1972年のサッカー・アフリカ杯での優勝記念切手、伝統産業や切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の3月25日号では、「世界の国々」はカリブ海の島国アンティグア・バーブーダを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


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 ネルソン・マンデラ国際デー
2013-07-18 Thu 16:19
 きょう(18日)は、南アフリカの元大統領、ネルソン・マンデラの誕生日にちなんで国連が定めた“ネルソン・マンデラ国際デー”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       マンデラ(コンゴ)

 これは、1987年、当時のコンゴ人民共和国(現コンゴ共和国。旧仏領のほうです)が発行した、獄中のマンデラ(想像図)を描いた切手です。

  ネルソン・マンデラは、1918年7月18日、東ケープ州トランスカイのウムタタ近郊クヌ村で、テンブ人の首長の子として生まれました。ウィットワーテルスランド大学法学部在学中の1944年、アフリカ民族会議(ANC:African National Congress)に入党し、独立運動家としての道を歩き始めます。

 1948年、マラン政権が“アパルトヘイト”政権を発動すると、ANCはこれに抵抗。1955年6月には、人種差別に反対する多人種の人民会議の開催を呼びかけ、ヨハネスバーグ近郊のクリップタウンで、“人種差別のない民主南アフリカ”を目指す「自由憲章」を採択し、1960年には当時議長のアルバート・ルツーリがアフリカ出身者として初のノーベル平和賞を受賞しました。

 当初、ANCは非暴力主義を掲げていましたが、1960年3月、デモ隊に対する警官隊の発砲で67名が犠牲となるシャープビル事件が発生すると、これを機に、副議長のネルソン・マンデラを指揮官とする軍事部門、ウムコント・ウェ・シズウェ(“民族の槍”の意味)を設立。これに対して、南ア政府は非常事態宣言を発してANCを非合法化。1963年にはマンデラら幹部が一斉逮捕され、ロベン島の監獄に送られました。

 その後、マンデラの身柄は、1982年、ケープタウン郊外のポルスモア刑務所に移監されましたが、1990年2月の釈放まで、彼は27年間を獄中で過ごし、アパルトヘイトに抵抗する南ア黒人の象徴的な存在となりました。

 この間、世界各国でマンデラの釈放を求める切手が発行されたり、絵葉書が作られたりしたのですが、アパルトヘイト時代の南ア政府はマンデラの姿を対外的に公表しなかったため、各国で発行されたマンデラ切手の肖像は、逮捕前の写真をもとに、デザイナーの空想によって描かれています。今回ご紹介の切手もそうした1枚で、現在から見ると、マンデラとされている人物の肖像は「誰だこりゃ?」という感は否めませんな。

 ちなみに、拙著『喜望峰』では、今回ご紹介の切手以外にも、マンデラとアパルトヘイトについて、関連の切手や郵便物をご紹介しながらまとめております。書店などで実物を目にする機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。
 

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