2024-01-16 Tue 02:39
南太平洋の島国ナウルが、きのう(15日)、台湾と断交し、中国と国交を樹立しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1975年7月23日、ナウルが発行した“リン鉱山75周年”の記念切手のうち、1905年の太平洋リン鉱石会社の採掘協定に基づき、リン鉱山で採掘を行う中国人労働者を描いた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 1月19日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がゲスト出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 1月26日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★ 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-01-31 Wed 10:32
太平洋の島国で、“世界最小の共和国”として知られるナウルが、1968年1月31日に独立してから、今日で50年になりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1968年のナウル独立時に発行された記念切手で、ナウル地図と苗を植える手が描かれています。 ナウル島が西洋人によって“発見”されたのは1798年のことでした。1888年、同島はドイツ領となり、翌1889年、豊富なリン鉱石が発見されます。これは、地下の鉱脈があったというわけではなく、島に積もっていたアホウドリの糞が長い年月をかけてリンに変化していったというものです。 ナウルにおけるリン鉱石の採掘は1906年から本格的に始まりましたが、1914年に始まる第一次大戦の過程でオーストラリアがこの島を占領。ナウルは英国の支配下に入りました。 第一次大戦後、ナウルは英国、オーストラリア、ニュージーランド3国の委任統治下におかれ、リン鉱石は英国が採掘することになります。第2次大戦中は日本軍に占領されますが、戦後の1946年、米国が占領。翌1947年からは国連の信託統治領となりました。 さて、 島全体がリン鉱石の塊といっても良い状態だったナウルは、1990年代までは、リン鉱石の輸出によって経済的に潤っていました。当時はほぼすべての食料品と工業製品の調達はもちろん、政府職員を除くほぼすべての労働力も出稼ぎ外国人が担っており、貿易依存度は輸出、輸入とも100%を超えていました。借金してまで一切の物資を輸入するため、先物のような形で輸出もすべて予約が入っているという状況でした。 この間、1962年には、当時のロバート・メンジーズ豪首相が、「リン鉱石の過剰な採掘によってナウルの経済発展や農業の機会を奪った責任がある」と認めたうえで、英豪ニュージーランドの3カ国は「ナウル国民が納得できる未来を差し出す明確な義務を負う」として、ナウルの全住民が集団移住できる島を豪政府として探し始めます。その候補地としては、当時は英領だったフィジーやソロモン諸島、オーストラリアの委任統治領だったパプアニューギニア、オーストラリア北部のノーザンテリトリー周辺海域、クイーンズランド州のフレーザー島、カーティス島などがあがりましたが、結局、話はまとまりませんでした。 こうしたなかで、1968年1月31日、ナウルは英連邦内の共和国として独立しますが、その後も、リンの採掘に依存する経済運営が続きました。特に、1982年から1990年にかけてナウル政府がリンの採掘を行っていた時期は、リンの輸出によって入ってきた収入を国民にばら撒きつづけていたため、国民の労働意欲は極限まで低下。働くことを知らない国民(!)が相当数を占めるようになってしまいました。 それでも、リン鉱石が無尽蔵に採れれば問題ないのですが、1990年代後半から資源は枯渇し始め、ナウル経済は急速に悪化。貧すれば鈍するの言葉どおり、ここでナウル政府は、海外からの資金流入と国際金融業の参入を狙って、ほぼすべての規制を廃止するという賭けに出ますが、結果として、やってきたのはマネーロンダリングをしようという輩ばかりで、世界の警察官・米国を激怒させ、元通り規制を復活せざるを得なくなりました。 さらに、2001年には、オーストラリアに向かったアフガニスタン難民を受け入れる見返りとして、オーストラリアから援助を引き出していますが、肝心の難民たちがオーストラリア入りを希望し、ハンガーストライキを始めてしまったため、彼らはオーストラリアに引き渡されるというありさまでした。それでも、これを機に、オーストラリアに向かう難民を引き受けるという名目で、ナウル政府はオーストラリアからの補助金を得るというモデルが出来上がりました。 そのほかにも、2003年2月には、諸外国からナウルへの通信が途絶し、すわ政変かと国際社会が注目していたところ、単にお金がなくて通信設備が維持できなくなっただけだったことが判明したり、財政危機により政府所有の旅客機がオーストラリアに差し押さえられたりと、なんとも間抜けな話題が次から次へと出てきます。 現在、ナウル政府は、まず国民に“働く”ことを教えようと、小学校の高学年で働き方を教える授業を行っていますが(大人たちに関しては、もう諦めたということなんでしょうね)、これも一朝一夕に効果が出るというものではありません。そもそも、現在のナウルには企業そのものがほとんど存在していませんし、約90年間に及ぶリン鉱石採掘のため、島の中央部は一切の車両通行が不可能なほど荒れており、インフラの整備もままならないという状況では、リンが枯渇したこの島に投資しようという奇特な外国企業なんてあるはずもないのが現状です。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2012-10-26 Fri 21:57
きょう(26日)は、ナウルの祝日“アンガム・デー”です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第一次大戦中、オーストラリア軍が占領した旧ドイツ領ニューギニアで使用するために発行した“北西太平洋諸島”加刷切手のナウルでの使用例です。 ナウルが西洋人によって“発見”されたのは1798年のことで、1888年にはドイツ領に編入されます。翌1889年、ナウルでは豊富なリン鉱石が発見され、1906年からリン鉱石の採掘が本格的に始まりましたが、1914年に第一次大戦が勃発すると、オーストラリア軍はドイツ領ニューギニアのラバウルに対する攻撃を開始し、9月11日にはヘルベルトヘーエを、翌12日にはラバウルを占領。グアムを除くカロリン諸島とマリアナ諸島を含む旧ドイツ領ニューギニアは日本とオーストラリアによって分割され、ナウルはオーストラリアの占領下におかれました。 オーストラリアは、占領した旧ドイツ領地域で、ドイツ時代の切手を接収して“GRI”の文字を加刷した切手やオーストラリア切手に“N.W. PACIFIC ISLANDS.”の文字を加刷した切手を使用しましたが、ナウルでは、1916年にナウル独自の加刷切手が発行されるまで、今回ご紹介の北西太平洋諸島加刷の切手が使われていました。 さて、第一次大戦後、ナウルはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド3国の委任統治下におかれましたが、これに伴い、オーストラリアのグリフィス准将が人口調査を行った結果、ナウルの人口が、民族の存続に必要とされる1500人を下回っていることが判明。このため、グリフィスは現地の族長に対して、将来、人口が1500人に達した日を“アンガム・デー”として祝日とし、1500人目の赤ちゃんを“アンガム・ベビー”として記念品を贈ることを提案します。はたして、いまからちょうど80年前の1932年10月26日、待望の“アンガム・ベビー”が生まれ、この日がナウルの祝日となりました。ちなみに、“アンガム”とは、「歓喜」や「祝賀」、「目標の達成」などを意味するナウル語だそうです。 さて、昨日発売となったばかりの拙著『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』ですが、こちらも、1500部が売れる“アンガム・デー”が早く来てくれないかなぁと著者としては心待ちにしている次第です。 ★★★ T-moneyで歩くソウル歴史散歩 ★★★ ・よみうりカルチャー荻窪 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30 8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、ソウルの歴史散歩を楽しんでみようという一般向けの教養講座です。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。 ★★★ イベントのご案内 ★★★ ・11月3日(土) 10:15- 切手市場 於 東京・池袋 東京セミナー学院 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『喜望峰』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しておりますので、ぜひ、遊びに来てください。 ・11月10日(土) 11:00- 全国切手展<JAPEX> 東京・池袋で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『喜望峰』刊行記念のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどで好評発売中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|