2011-06-16 Thu 23:24
きょう(16日)は未明から明け方にかけて月食がありました。というわけで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2004年にアセンションが発行した皆既月食の切手です。 アセンション島は南大西洋に浮かぶイギリス領の火山島で、行政的には、セントヘレナなどとともに、イギリスの海外領土セントヘレナ・アセンションおよびトリスタン・ダ・クーニャを構成しています。 ヨーロッパ人としては、16世紀初頭にポルトガル人が初めて上陸していますが、価値のない無人島としてそのまま放置され、1815年、ナポレオン1世がセント・ヘレナ島に流されると、イギリス海軍が警戒のため小規模な艦隊を駐留させるようになります。 ナポレオン1世の没後もイギリスはこの島を海軍の中継基地として維持し、1823年以降はイギリス海軍本部の管理下で海兵隊が駐留していました。 その後、1922年にアセンション島の管轄権はセント・ヘレナ島の行政府に移り、イースタン・テレグラフ社(1934年にケーブル・アンド・ワイヤレス社に社名変更)が管理の実務を担当するようになります。これは、同島が、イギリス、ポルトガルと南アメリカ、西アフリカ、南アフリカを結ぶ海底ケーブルの中継地であったことによるもので、海底ケーブルが廃止された現在でも、アセンション島には各種の通信関連施設がおかれています。 第二次大戦中には米軍により飛行場が建設され、スペースシャトルの緊急避難地としても利用されています。なお、1982年のフォークランド紛争の際には、イギリス空軍はここを拠点にフォークランド諸島への超長距離爆撃(ブラック・バック作戦)を行っています。 さて、きょうの月食は、計算上は、関東以西の広い地域で皆既月食となるはずだったのですが、実際には、天気が悪く見えない地域が多かったようです。もっとも、僕の場合は、そもそも月食の時間には完全に眠っていましたので、天気はあまり関係有りませんでしたが…。 なお、わが国で次に皆既月食が観測できる可能性があるのは、12月10日深夜だそうですが、日食に比べると月食の切手は少ないですからねぇ。半年後、なにか気の利いたマテリアルをご紹介できるよう、いまから気をつけて探しておくことにしましょうか。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 5月29日付『讀賣新聞』に書評掲載! 切手百撰 昭和戦後 平凡社(本体2000円+税) 視て読んで楽しむ切手図鑑! “あの頃の切手少年たち”には懐かしの、 平成生まれの若者には昭和レトロがカッコいい、 そんな切手100点のモノ語りを関連写真などとともに、オールカラーでご紹介 全国書店・インターネット書店(amazon、boox store、coneco.net、JBOOK、livedoor BOOKS、Yahoo!ブックス、エキサイトブックス、丸善&ジュンク堂、楽天など)で好評発売中! |
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|