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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ブルンディで大規模な戦闘
2015-01-04 Sun 22:33
 アフリカ中部のブルンディで、昨年12月29日からきのう(4日)までにコンゴ民主共和国(旧ザイール)から越境してきた武装勢力とブルンディ政府軍の戦闘があり、ブルンディ政府軍は5日間の戦闘で武装勢力121人のうち105人を殺害し(ブルンディ軍の兵士は2人死亡)、武装勢力を撃退したそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ブルンジ王国加刷(1962)

 これは、1962年のブルンディ独立時に、ベルギー領時代のルワンダ・ウルンディの表示を抹消し、独立後の“ブルンディ王国”の国名を加刷した切手です。

 現在のブルンディ国家の領域は、第一次大戦以前はドイツ領東アフリカの一部でしたが、大戦後、ドイツ領東アフリカが解体されると、ルワンダと共にベルギー領となりました。第二次大戦後は、ベルギーの国連信託統治領となり、1962年月1日、ルワンダと分離し、在地の君主であるムワンブツァ4世ブを元首とするブルンディ王国として完全独立を果たしました。

 今回ご紹介の切手は、これに合わせて発行されたもので、“ブルンディ”としては最初の切手のうちの1枚です。なお、旧国名を抹消した棒線には、細線と太線のヴァラエティがありますが、今回ご紹介は太線のものをご紹介しています。

 さて、独立後のブルンディ国内には、隣国のルワンダ同様、植民地統治時代の分割統治によるツチとフツの民族対立が残っており、少数民族であるツチがフツを抑えて実権を握っていることに対して、フツは根強い不満を持っていました。特に、1965年、それまで被選挙権が認められていなかったフツが、被選挙権を要求したのに対して、ツチ中心のブルンディ政府はこれを拒否。このため、フツの反政府勢力はクーデターを計画しましたが、事前にこれを察知したツチ側はフツの有力者を殺害し、両者の対立は決定的になりました。

 その後、1966年に王制が廃止されて共和制に移行したものの、ツチによる支配の構造は変わらなかったため、1972年、フツの大規模な反乱が発生。1万人ものツチ族が殺害されます。すると、その報復として、ツチ系の軍隊がフツ10万人を殺害するという事態になり、民族抗争は泥沼化しました。

 1987年9月に、国軍による無血クーデターで誕生したツチのピエール・ブヨヤ政権は、民族融和のため、フツから首相を指名したほか、複数政党制を導入。1993年6月には総選挙を実施します。

 この選挙の結果、フツのメルシオル・ンダダイエが大統領に当選したものの、10月にはクーデター未遂事件が発生。ンダダイエは何とかこれをしのいだものの、ツチ族強硬派に暗殺されてしまいました。その後も多数民族であるフツ系の大統領が選出されましたが、ツチ系主体の国軍は大統領に従わず、ブルンディは内戦状態に突入します。

 これに対して、南アフリカ大統領のネルソン・マンデラらの仲介による内戦の和平交渉は1998年から始まり、2003年には和平協定が成立。各民族の武装組織は政党化し、総選挙を経て2005年8月にはフツ系のンクルンジザ大統領のもとで挙国一致政府が成立しました。ところが、その後もフツ系の旧反政府組織の民族解放軍(英語版) (FNL) は抵抗を継続。FNL主流派は、 2008年12月5日にブルンディ政府と和平合意に調印したものの、その後も、ブルンディ北部、コンゴ民主共和国との国境地帯ではFNLの分派による攻撃が続いていました。今回の衝突事件も、そうした背景の下に発生したものです。

 まぁ、ブルンディのことが日本のメディアで取り上げられる機会は滅多にありませんので、この機会に、かの国について、すこし基礎的なおさらいをしてみました。

 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★

      狛江絵手紙チラシ・表     狛江絵手紙チラシ・裏

 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。


 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 

       ミズーリの消印

 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。

 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。

 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は1月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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