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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 米領ヴァージン諸島
2016-03-12 Sat 15:14
 米領ヴァージン諸島で、10日、米大統領選の候補者指名に向けた共和党の党員集会が開かれたものの、党員の多くが“中立”に投票し、いずれの候補者も代議員を獲得できなかったそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      セントトーマス・C51

 これは、現在の米領ヴァージン諸島の中心、セント・トーマス島の英国局で使用された英本国の切手で、同島での使用を示す“C51”の印が押されています。

 西インド諸島のプエルトリコの東に位置するヴァージン諸島は、かつては、スペイン、デンマーク、フランス、英国が分割して領有していましたが、このうち、最も西側のビエケス島やクレブラ島などは、当初はスペイン領でしたが、1898年の米西戦争によって米領となり、現在はプエルト・リコの一部となっています。一方、最も東側のトルトラ島とヴァージン・ゴルダ島などは現在も英領のままです。

 これに対して、中間地域のセント・トーマス島とセント・ジョン島は、1666年にデンマークが領有権を獲得。さらに、残るセント・クロイ島に関しても、もともとはフランス領でしたが、1733年にデンマークが買収し、先の2島を中心とした地域と併せて、デンマーク領西インド諸島 が成立しました。

 デンマーク領西インド諸島の中心となったセント・トーマス島は、1851年から1885年にかけて、スペイン領ヴァージン諸島との交易の中心となっていました。郵便に関しては、1856年以降、デンマーク領西インド名義の正刷切手が使用されましたが、これと並行して、1867年から1879年までは、英国局も設けられ、英本国の切手が持ち込まれ、今回ご紹介の切手のように、“C51”の番号が入った抹消印が使用されています。

 その後、第一次世界大戦中の1917年、米国はパナマ運河をドイツ軍から防衛するため、デンマークからデンマーク領西インド諸島を 2500 万ドルで購入。これが、現在の米領ヴァージン諸島のルーツとなりました。

 ただし、米領ヴァージン諸島は、行政的には、“非法人地域”の扱いとされているため、市町村に相当する基礎自治体は存在せず、したがって、住民には、米国の市民権が与えられ、本土への渡航や本土での就職は自由であるものの、大統領および連邦議会議員の選挙権は認められていない(ただし、連邦下院に、投票権のない代表を 1 名参加させる権利は認められています)などの制約があります。
 
 今回、米領ヴァージン諸島の共和党・党員集会では、いずれの候補者も代議員を獲得できなかったため、7月の党大会で誰を支持するかは9人の代議員の判断に委ねられるとのことですが、どちらにせよ、島の人々は11月の本選挙では投票できないわけで、なんだか気の毒な感じもしますな。
 

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