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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 聖ゲオルギウスの祝日
2024-04-23 Tue 02:30
 きょう(23日)は、龍退治で知られるキリスト教の聖人、聖ゲオルギウス(セント・ジョージ)の祝日です。というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコスロヴァキア・イコン(ゲオルギウス1970)

 これは、1970年12月17日、チェコスロヴァキアが発行した“スロヴァキアのイコン”の切手のうち、聖ゲオルギウスの龍退治のイコンを取り上げた1枚です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。また、拙著『龍とドラゴンの文化史』では、聖ゲオルギウスの龍退治を取り上げた各国の切手をご紹介しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。

 なお、4月26日(金)14:30から、東京・浅草で開催予定の世界切手祭り・スタンプショウ会場内特設会場にて、「セント・ジョージの龍退治:ソヴリン金貨と切手」と題するトークイベントを行います。予約不要・入場無料ですので、よろしかったらぜひ遊びに来てください。(スタンプショウの詳細はこちらをご覧ください)

 * 昨日(22日)のニッポンジャーナルの内藤出演回は無事に終了しました。次回は5月1日(水)に登場の予定です。引き続きよろしくお願いします。

★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 4月26日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 5月1日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 4月26-28日(金-日) スタンプショウ 2024
 毎年恒例、東京・浅草で開催の世界切手祭り・スタンプショウの会期中、以下の日程でトークイベントを行います。事前予約不要・参加費無料ですので、ぜひご参加ください。なお、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。

 4月26日(金) 14:30-15:30 「セント・ジョージの龍退治:ソヴリン金貨と切手」
 4月27日(土) 11:00-12:00 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』出版記念講演
 4月27日(土) 12:30-13:30 「加賀・能登と戦後の記念切手」


 4月29日(月・祝) 謀略の世界史 特別編~リヒャルト・ゾルゲ
 毎月第1土曜日に開催している講座、「謀略の世界史」の特別編として、戦前の日本を震撼させたソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲについてお話しします。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 5月1日刊行!★

      切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード

 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★

      今日も世界は迷走中audible

 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。

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 二の丑
2020-08-02 Sun 02:18
 きょう(2日)は、土用の丑の日(二の丑)。というわけで、一の丑の時同様、ウナギに関する切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・ウナギ(1966)

 これは、1966年にチェコスロヴァキア(当時)が発行したヨーロッパウナギの切手です。

 チェコとスロヴァキアはいずれも内陸国ですが淡水魚は盛んに食べられており、ウナギもその一つです。かの地でのウナギ漁のピークは5月頃で、この時季、川を上った大量のウナギが白い腹を陽光に輝かせる光景は“黄金のウナギ”と呼ばれ、オタ・パヴェルの小説のタイトルにもなりました。なお、小説『黄金のウナギ』は1979年にテレビ映画化され、国際的に権威のあるイタリア賞を受賞しています。

 『黄金のウナギ』は、パヴェルと思しき主人公が、ボヘミア地方の田舎に祖母が遺した家に家族と移り住もうと車で移動するところから始まります。

 第二次大戦以前、主人公の一家はその家に住んでおり、釣り好きの少年だった主人公に対して、父親は「自分は“黄金のウナギ”のことを見たことはないが、きっとおまえは見るだろう」と幾度となく聞かされて育ちました。ところが、穏やかだった田舎の村にも、ある日、ドイツ軍が進駐し、やがてユダヤ系だった父親と、年長の兄(主人公は3男という設定)は収容所送りが命じられます。なお、母親は非ユダヤ系で、幼かった主人公と共に、当面は収容所送りを免れました。

 ちなみに、原作者のパヴェルの父、レオ・ポッパーはプラハのユダヤ系の商人で、実際、第二次世界大戦中にはパヴェルの兄とともにナチスの強制収容所行に送られたものの、戦後は無事に帰還しました。また、パヴェルと非ユダヤ系の母親は家庭に残っています。

 最後の晩餐の日、主人公は父のためにウナギをつり、そのウナギは燻製にされて食卓に上ったものの、塩がきつくて食べられず、兄弟はこれを手厚く葬ります。占領軍は住民に対して川での魚釣りを全面禁止しましたが、主人公は、父親から聞いた“黄金のウナギ”の話を思いながら、ひそかに母のために魚を釣り続けました。

 しかし、占領が長引く中で、やがて主人公の母親も連行され、さらに、彼が秘かに憧れていた酒場の美人女将も、彼女の夫がレジスタンスに加わっていたことから逮捕されてしまいます。このため、主人公は、彼が釣りの師匠と仰いでいた渡し守りのプロシェックおじさんに預けられました。物語の最後、主人公は師匠のプロシェックと一緒に釣ったウナギを川に放ちます。そのウナギが、いつかきっと黄金色に輝いて戻ってくるのを祈りながら。

 原作者のパヴェルは1930年生まれで、戦後の共産主義体制下でチェコスロヴァキア放送のスポーツ記者となり、選手たちの内面の葛藤や焦燥までをも描き出す記事を発表し、チェコスロヴァキアにおけるスポーツ文学の先駆者となりました。また、1963年に発表した自叙伝(短篇集)の『美しい鹿の死』が大いに評判となり、作家としての地位を確立しましたが、1964年のインスブルック五輪を取材中、重度の双極性障害を発症して精神錯乱となり、以後、入院生活を余儀なくされます。そして、1973年、42歳の若さで亡くなりましたが、没後の1974年、回想記の第二作として発表された『ボヘミアの森と川 そして魚とぼく』は現代チェコ文学を代表する傑作のひとつとされています。

 なお、『黄金のウナギ』の舞台となったナチス・ドイツ占領下のチェコと強制収容所については、拙著『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★

 8月7日(金)05:00~  文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。

 
★ 内藤陽介の最新刊 『みんな大好き陰謀論』 ★

      みんな大好き陰謀論(帯なし表紙) 本体1500円+税

 出版社からのコメント
 【騙されやすい人のためのリテラシー入門】
 あなたは大丈夫?賢い人ほどダマされる!
 無自覚で拡散される負の連鎖を断ち切ろう
 まずは定番、ユダヤの陰謀論を叱る! !

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 

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 HAPPY HANUKKAH!
2019-12-23 Mon 01:39
 昨日(22日)の日没から、ユダヤ教の冬の祭礼、ハヌカーが始まりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・ピンカスシナゴーグ

 これは、1967年にチェコスロヴァキアが発行した“ユダヤ文化”の切手のうち、プラハのピンカス・シナゴーグを取り上げた1枚で、ユダヤ教の象徴として、ハヌカーの際に使用される8枝の燭台“ハヌッキーヤ”が描かれています。

 マカバイ戦争中の紀元前164年キスレウ月(ユダヤ歴第9月)25日、マカベア家のユダ(ユダス・マカバイオス)がエルサレム神殿を奪回し、セレウコス朝のアンティオコス4世エピファネスによって汚された神殿を潔め、再びユダヤ教の聖地として奉献しました。ユダス・マカバイオスが神殿に入ったとき、汚されていない聖油は甕一つ、すなわち1日分しか残っていませんでしたが、その聖油は8日間、燃え続けたとされています。

 これを記念して、キスレウ月25日から8日間、毎日 1本ずつ蝋燭を灯す“光の祭り”として、ヘブライ語で“奉献”、“奉納”を意味する“ハヌカー”の祭礼が行われるようになりました。ユダヤ教の一般的な燭台としてのメノーラーは7枝(厳密には中央の1本は枝ではないので6枝)ですが、ハヌカーに使用されるハヌッキーヤが8枝(中央の1本を含めると9枝)となっているのは、このためです。

 さて、今回ご紹介の切手の題材となったピンカス・シナゴーグは、1535年、プラハ中心部、ヨゼホフ(旧市街のユダヤ人地区)に建立されました。現在はホロコーストの犠牲になったチェコ出身のユダヤ人の追悼施設になっており、壁面には、赤や黒の細かい文字で犠牲者約8万人の名前と生没年月日が記されています。切手では、ハヌッキーヤの背後に、強制収容所の所在地として、テレジーン(ドイツ語名テレージエンシュタット)、ベウジェツ、オシフィェンチム(アウシュヴィッツ)、グリヴィツェ(グライヴィッツ)、マイダネク、リガ、マウトハウゼン、ラーフェンスブリュックの地名が記されているのも、そうしたことを踏まえてのことです。

 なお、ナチス・ドイツによる強制収容所の郵便については、拙著『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』で詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★

 12月27日(金)05:00~  文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


★★ イベント等のご案内 ★★

 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名をクリックしてご覧ください。

第11回テーマティク研究会切手展

      JTPC展2020ポスター

 1月11-12日(土・日) 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き11回目の開催で、香港情勢が緊迫している折から、メインテーマを香港とし、内藤も「香港の歴史」のコレクションを出品しています。

 また、会期中の12日13:00からは、拙著『(シリーズ韓国現代史1953-1865)日韓基本条約』の刊行を記念したトークイベントも行います。

 展覧会・トークイベントともに入場無料・事前予約不要ですので、ぜひ、遊びに来てください。


・よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治
 毎月第1火曜日 15:30~17:00
 1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可)


★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★

       (増補改訂版)アウシュヴィッツの手紙・表紙  本体2500円+税(予定)
 
 出版社からのコメント
初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


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 羽生が金、宇野が銀
2018-02-18 Sun 01:34
 現在開催中の平昌五輪は、9日目のきのう(17日)、フィギュアスケート男子シングルの羽生結弦が金、宇野昌磨が銀のワンツー・フィニッシュとなりました。羽生は前回ソチ五輪に続けての連覇で、この種目での連覇は1948-52年のサンモリッツ-オスロ大会のディック・バトン以来66年ぶり、冬季五輪での日本人選手の金銀独占は1972年の札幌五輪以来46年ぶりのことです。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・札幌五輪(フィギュア)

 これは、1972年の札幌五輪に際してチェコスロヴァキアが発行した記念切手で、フィギュアスケートの男子選手が取り上げられています。

 フィギュアスケートの切手の女子選手を描くものが圧倒的に多く、男子選手が描かれている場合でも女子選手とのペアで描かれることが多いのですが、そうした中で、チェコスロヴァキアが男子選手の切手を発行したのは、当時の欧州を代表するスケーター、オンドレイ・ネペラの存在が大きかったのではないかと思います、

 オンドレイ・ネペラは、1951年1月22日、ブラチスラヴァ(現スロヴァキア)生まれ。1964年のインスブルック五輪に初出場した時には22位でしたが、1966-68年の欧州選手権では連続2位と急成長を遂げました。1968年のグルノーブル五輪こそ8位と不調でしたが、1969-73年までは欧州選手権5連覇を果たし、さらに、1971-73年には世界選手権で3連覇を達成。全盛期で迎えた札幌五輪では、下馬評通り、金メダルを獲得しました。これは、チェコスロヴァキアにとって、冬季五輪初の金メダルだったというだけでなく、ソ連のセルゲイ・チェトベルヒンを下しての勝利だったため、彼は一躍国民的な英雄になりました。

 引退後の1973年から13年間、ヨーロッパのアイスショーで活躍した後、西ドイツでコーチに転身。1984年のサライェヴォ五輪と1988年のカルガリー五輪で西ドイツ代表となったクラウディア・ライストナーを育てるなど、指導者としても実績を残しましたが、1989年2月、エイズによる合併症のため38歳の若さで亡くなりました。


★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は22日!★★

 2月22日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第16回が放送予定です。今回は、前日の21日が国際母語デーということで、この国際デーの由来となったバングラデシュとベンガル語についてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


★★★ 世界切手展< THAILAND 2018>作品募集中! ★★★

 本年(2018年)11月28日から12月3日まで、タイ・バンコクのサイアム・パラゴンで世界切手展<THAILAND 2018>が開催される予定です。同展の日本コミッショナーは、不肖・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を3月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、お待ちしております。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 世界の鬼:チェコの赤鬼
2018-02-03 Sat 11:31
 きょう(3日)は節分です。というわけで、例年どおり、鬼に関連する切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・赤鬼

 これは、1981年7月2日にチェコスロヴァキアが発行したアマテュア人形劇団フェスティバルの記念切手で、左側に赤鬼の姿をした悪魔のあやつり人形が描かれています。ちなみに、チェコでは、毎年12月6日の“聖ミクラーシュの日(聖ニコラスの日に相当)”前日の5日、悪魔(に扮した人)が子供たちの家を周り、“よい子”にしていたかどうかを尋ね、「はい」と返事をして歌を歌えた子にはキャンディーなどのお菓子を配り、「いいえ」と答えた子どもには、ジャガイモや石炭が与えられるという風習があります。

 第一次大戦以前、チェコとスロヴァキアの地はハプスブルク帝国の支配下に置かれていましたが、ハプスブルク帝国は公の場でのチェコ語の使用を禁じていました。ただし、例外として、庶民の娯楽である人形劇だけはチェコ語での上演が認められていたため、チェコ人にとっての人形劇は、単なる娯楽ではなく、母国語を絶やさぬための“文化の命綱”として、また、公には許されぬ体制批判の手段として、重要な意味を持っていました。

 チェコの人形劇は、19世紀前半には名手コペツキーが出現し、1930年以降、スクパ率いるプロの人形劇団の活動により芸術として完成。現在、プラハだけでも数十軒の人形劇場があるなど、伝統文化として定着しています。

 さて、ことし(2018年)は1918年のチェコスロヴァキア独立ならびにミュシャがデザインしたプラハ城切手発行から100周年、1993年のチェコ・スロヴァキア分離から25周年にあたっており、8月にはプラハで世界切手展も予定されています。これにあわせて、7月20-22日に東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催予定の全日本切手展2018でも、プラハ城切手の特別展示を行う予定です。同展の詳細につきましては、今後、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いします。


★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は8日!★★

 2月8日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第15回が放送予定です。今回は、平昌五輪の開幕前日ということで、平昌のある江原道にちなみ、金剛山の切手についてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 こどもの日
2016-05-05 Thu 18:07
 きょう(5日)は“こどもの日”です。今年(2016年)は、ユダヤ暦5776年ニサン月(1月)27日の“ショアの日(ホロコースト記念日。西暦1945年1月27日のアウシュヴィッツ解放記念日をユダヤ暦に換算して制定)”とも重なりましたので、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコスロヴァキア・テレジーン収容所30年(児童画)

 これは、1968年にチェコスロヴァキアが発行した“ミュンヘン協定30年”の記念切手のうち、テレジーン(ドイツ語名テレジエンシュタット)収容所の子供が描いた収容者の子供(画面左側)とゲシュタポの児童画を取り上げた1枚です。

 1938年9月29-30日に行われたミュンヘン会談の結果、対独宥和政策を取る英国のネヴィル・チェンバレン首相、フランスのエドゥアール・ダラディエ首相は、「ズデーテンラントは我々の最後の領土的要求であり、チェコスロヴァキアの独立を侵害するつもりはない」と主張するヒトラーに譲歩し、ズデーテン地方のドイツ編入を容認。同年10月1日には、ズデーテンラントでのドイツによる軍政が施行されました。その後、ヒトラーは前言を翻し、1939年3月、チェコスロヴァキア国家を解体。ドイツはチェコ地域の主要部を併合して、ボヘミアとモラビアの主要部分にベーメン・メーレン保護領(ボヘミア・モラビアのドイツ語読み)を設置しました。

 さて、テレジーン(テレジエンシュタット)は、もともとは、18世紀後半にオーストリアが建設した要塞で、その名は女帝マリア・テレジアにちなんで命名された都市です。

 1941年10月、ベーメン・メーレン保護領副総督にして国家保安本部長官だった親衛隊大将のラインハルト・ハイドリヒは、同年末までに保護領を“ユーデンライン(ユダヤ人が存在しない地)”にすると宣言し、11月26日から12月3日にかけてプラハとブルノのユダヤ人5000人をリッツマンシュタット(ポーランド名ウッチ)のゲットーへ追放しようとしました。しかし、リッツマンシュタットの行政当局は同地のユダヤ人の受け入れは限界に達しているとしてこれを拒否。このため、保護領のユダヤ人を一時的に収容する中継収容所が必要となり、1941年11月に建設されたのが、テレージエンシュタット強制収容所です。

 この収容所は、国際赤十字の視察調査を受け入れるための施設という色彩が強かったため、他の収容所より外観が丁寧に整えるなど、収容者を優遇していることを装う風が整えられていたことでも知られています。その一環として、1943年7月には、テレージエンシュタット収容所から発送する小包用の切手も発行されました。

 もっとも、実際のテレージエンシュタット収容所には、1941年11月24日から1945年4月20日までの間、総計14万人以上のユダヤ人が収容され、そのうち3万3000人以上が亡くなっています。この数字は、他の収容所よりは多少はましだったのかもしれませんが、それでも、過酷な状況であったことには変わりありません。

 また、『夜と霧』の作者、ヴィクトール・フランクルを含む8万8000人は、ここからさらにアウシュヴィッツなどへ移送されており、テレージエンシュタットは、欧州各地から移送した収容者を次の目的地に送るまでの中継地点、すなわち、“通過収容所”としての性格も強かったといえましょう。

 テレジエンシュタットを含むヨーロッパ各地からすし詰め状態の貨車に乗せられて、アウシュヴィッツに連れて来られたユダヤ人は、13歳以上の男性、女性(の大半)と13歳以下の子供、老人に分けられ、家族は離れ離れにされました。そして、収容所到着後、大半の女性と13歳以下の子供、老人などのグループは“無用”と見なされて、剃髪された後、そのままシャワールームに似せたガス室に送られ、登録もされぬまま処刑されました。現在、アウシュヴィッツの犠牲者の数が諸説入り乱れてよくわからないのは、この段階で処刑された人々が多かったことも一因となっているといわれています。

 なお、テレジエンシュタットとアウシュヴィッツの関係については、拙著『アウシュヴィッツの手紙』でもいろいろとまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 

 * 本日、アクセスカウンターが165万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

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 世界の国々:チェコスロヴァキア
2014-12-10 Wed 09:45
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2014年12月10日号が、先週、刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はチェコスロヴァキアにフォーカスを当てました。その記事の中から、こんな切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      チャコスロヴァキア・人形劇

 これは、1961年に発行された人形劇シリーズのうちの60ハレル切手です。

 かつて、チェコとスロヴァキアの地はハプスブルク帝国の支配下に置かれていましたが、ハプスブルク帝国は公の場でのチェコ語の使用を禁じていました。ただし、例外として、庶民の娯楽である人形劇だけはチェコ語での上演が認められていたため、チェコ人にとっての人形劇は、単なる娯楽ではなく、母国語を絶やさぬための“文化の命綱”として重要な意味を持っていました。

 19世紀前半には名手コペツキーが出現し、1930年以降、スクパ率いるプロの人形劇団の活動により芸術として完成。現在、プラハだけでも数十軒の人形劇場があるなど、伝統文化として定着しています。

 さて、『世界の切手コレクション』12月10日号の「世界の国々」では、かつて存在していたチェコスロヴァキアの歴史について、第一次大戦後の国家成立の時代と、ナチス・ドイツによる占領と国家解体の時代についての概説のほか、プラハのカレル橋、チェコとスロヴァキアの分離、ボヘミア・グラス、アールヌーボーの旗手ミシャの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の12月17日号では、「世界の国々」はベナンを特集していますが、こちらについては、来週水曜日に、このブログでもご紹介する予定です。 

 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 毎週水曜日、インターネット放送・チャンネルくららにて、内藤がレギュラー出演する番組「切手で辿る韓国現代史」が配信されています。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は1月6日(都合により、12月はお休みをいただきます)で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
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 捏造された細菌兵器
2011-07-27 Wed 23:52
 きょう(7月27日)は、1953年に朝鮮戦争の休戦協定が調印された日です。というわけで、最近入手した朝鮮戦争関連のマテリアルの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコスロヴァキア・プロパガンダ葉書(朝鮮戦争)

 これは、朝鮮戦争の時代に“米軍による細菌兵器の使用”を非難するためにチェコスロヴァキアが発行したプロパガンダ葉書です。

 朝鮮戦争中の1952年2月、中国・北朝鮮・ソ連は、米軍が朝鮮の戦線でコレラやペストなどの細菌に感染したハエやノミ、ダニ等を航空機で大量に投下し、最近被害が中国東北部にまで及んだと大々的に宣伝しました。今回ご紹介の葉書も、そうした文脈に沿って、東側陣営の一員だったチェコスロヴァキアが制作・発行したものです。

 これに対して、米軍側は細菌戦は事実無根と全面的に否定し、双方の主張は平行線をたどりましたが、最終的に、米軍が細菌兵器を使った事実はなかったことが確認され、この一件は共産側による完全な虚偽捏造であったことが明らかになりました。

 なお、朝鮮戦争と切手や郵便については、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』でもそれなりのページを割いてまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


  ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

    5月29日付『讀賣新聞』に書評掲載
  『週刊文春』 6月30日号「文春図書館」で
  酒井順子さんにご紹介いただきました !

        切手百撰・昭和戦後
         切手百撰 昭和戦後
       平凡社(本体2000円+税)    

  視て読んで楽しむ切手図鑑!
  “あの頃の切手少年たち”には懐かしの、
  平成生まれの若者には昭和レトロがカッコいい、
  そんな切手100点のモノ語りを関連写真などとともに、オールカラーでご紹介

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 切手が語る宇宙開発史(5)
2009-12-29 Tue 11:43
 ご報告が遅くなりましたが、雑誌『ハッカージャパン』の2010年1月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手が語る宇宙開発史」では、今回は、この1枚を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・スプートニク

 これは、スプートニク2号の打ち上げを記念して1957年12月にチェコスロヴァキアが発行した切手です。

 かつての“共産圏ジョーク”の一つに「スプートニク号の仕組みは?」という質問に対して「1.チェコのウラン、2.ドイツの技術、3.ソ連の犬」と応えるというものがありました。

 チェコスロヴァキア共産党の創設メンバーで、1948年以降、大統領を務めたクレメント・ゴットワルトは純然たるスターリン主義者で、すべての生産設備を国有化し、農業集団化を強行しただけでなく、議会制度を完全に放棄し、体制に批判的な人物は容赦なく粛清します。1953年3月14日、スターリンの葬儀から帰国して5日後に亡くなったのは、“小スターリン”として本家のコピーに徹しきった彼の生涯を象徴するような幕引きといえましょう。

 ゴットワルトの死後、党第一書記に就任したアントニーン・ノヴォトニーはゴットワルトの路線を継承しつつ権力基盤を固め、1957年には大統領職も兼務しました。

 ときあたかも1956年2月のフルシチョフによるスターリン批判を機に東欧諸国ではソ連支配への反発が強まっており、同年10月には隣国ハンガリーで大規模な反ソ暴動(いわゆる“ハンガリー動乱”)がおこっていますが、ノヴォトニーは国内の反ソ世論を封じ込めることに成功。ハンガリーに対するソ連の軍事介入を積極的に支持しています。

 当然、ノヴォトニー政権にとっては、ソ連によるスプートニクの打ち上げは、西側に対してソ連が科学的・軍事的優位を確保したことの象徴として慶賀すべきことであり、12月20日には“国際地球観測年”の名目で、スプートニク2号の打ち上げを記念する切手(今回ご紹介の切手です)も発行し、ソ連に対する忠勤ぶりをアピールしています。なお、10月4日のスプートニク1号の打ち上げではなく、11月3日の2号の打ち上げが切手発行の対象となったのは、制作日数の問題で、2号の打ち上げ前に記念切手が準備できなかったためでしょう。

 ところで、実際のスプートニク1号の打ち上げに使われたR7ロケットの燃料は液体酸素とケロシン(石油を分留して作られる液体の炭化水素です。これは、ナフサよりも重く軽油よりも軽い)であって、(少なくともこの件に関しては)チェコのウランが重要な役割を果たしたわけではありません。しかし、ノヴォトニー政権は冒頭で紹介したような、事実と異なるジョークが西側世界に流布していても、あえて訂正しませんでした。そのことによって、彼らは自分たちが東側諸国の“優等生”としてソ連の宇宙開発を支えており、自分たちに敵対する者に対してはソ連によって鉄槌が下されるであろうことを暗示させる効果を狙ったのです。

 しかし、ノヴォトニー体制下での硬直化した国家運営や西側諸国との経済格差の拡大は、次第に、チェコスロヴァキア国民の不満を鬱積させ、1962年5月1日には、プラハ大学の学生が「我々はスプートニクをもっているが、肉をもっていない。我々はスプートニクより肉が欲しい」とのスローガンをかかげてメーデーに参加しています。これに対して、ノヴォトニーは、学生たちの要求に対して徹底的な弾圧で応え、その後も1968年1月まで党第一書記・大統領としてチェコスロヴァキアの“小スターリン”の座を維持し続けることになるのです。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 下記の日程で、拙著『昭和終焉の時代』の即売・サイン会(行商ともいう)を行います。入場は無料で、当日、拙著をお買い求めいただいた方には会場ならではの特典をご用意しておりますので、よろしかったら、遊びに来てください。

 1月10日(日) 切手市場 於・桐杏学園(東京・池袋) 10:15~16:30
 詳細はこちらをご覧ください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

  総項目数552 総ページ数2256  
  戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結!

      昭和終焉の時代  『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込)

 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。

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 公共的施設受動喫煙防止条例
2009-03-25 Wed 12:31
 神奈川県議会ではきのう(24日)、公共的施設受動喫煙防止条例案が本会議で可決、成立しました。条例の提出当初に目指された全面禁煙からは大幅に後退する内容となりましたが、屋内での喫煙を規制する条例は全国で初めてのことだそうです。というわけで、今日はこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコ・禁煙切手

 これは、1976年にチェコスロバキアが発行した“禁煙キャンペーン”の切手で、煙草を吸う男女と骸骨が並べて描かれています。いわゆる禁煙キャンペーンの切手は世界各国からいろいろと発行されていますが、その最初の1枚と言われているものです。

 さて、僕自身は煙草を嗜みませんし、煙草を吸う人が周囲の吸わない人へ配慮するのは当然のことだと思っています。しかし、あたかも禁煙・嫌煙といえばすべてがまかり通ってしまい、問答無用で煙草を悪と決め付け、何が何でもそれを排除しようとする“禁煙活動家”に対しては非常に不快感を感じます。

 たしかに、煙草の煙は人体に有害といわれていますし、においや煙に不快感を感じる人が多いのも事実でしょう。しかし、健康に悪影響を与えるという点でいえば、他人に影響を及ぼさないような環境を作り、その中で個人が自己責任で煙草を吸うというのであれば、誰もそのことについてとやかく言う権利はないはずです。少なくとも、僕は自分の健康状態について、全く見ず知らずの人間からあれこれ文句を言われることは不愉快以外の何物でもありません。

 煙草は現在の日本では合法的な嗜好品であり、税収にも少なからず寄与していることを考えた場合、愛煙家の側から、煙草を吸う権利を維持するためにも密閉式の禁煙ルームを設けてほしいという要求が出され、たとえば煙草の販売会社がそのための費用を負担するということになった場合、それを拒否するということは理屈としては難しいのではないでしょうか。“権利”としての禁煙・嫌煙を主張するのであれば、同じように、喫煙の権利にも一定の配慮がされてしかるべきでしょう。禁煙活動家の人たちが言うように、喫煙が単に反社会的な行為であるのなら、少なくともコロンブス以来、数百年にわたって全世界の少なからぬ人々が煙草を愛好し、それにまつわるさまざまな文化も生み出されてきたということはありえないはずです。

 また、匂いが厭だというのであれば(僕も決して煙草の匂いが好きというわけではないのですが)、香水はどうなのでしょうか。満員電車やエレベーターの中で、臭いの強い香水をつけている女性が乗り込んで来て気分が悪くなったという経験をお持ちの方は少なくないと思います。さらに、いわゆるホームレスと思しき人が電車に乗り込んできたときなど、その悪臭に思わず顔をしかめる経験は誰にでもあると思います。これらは、いずれも、本人の努力や心がけで他人に不快感を与えないで済むようにできるわけで、こういう“匂い”を何ら規制せず、煙草の臭いのみをやり玉にあげるのは、どう考えても不公平なように思えてなりません。

 もちろん、煙草を吸う人たちの中にはマナーの悪い人も少なからずいますし、吸い殻のポイ捨てや煙草の火の不始末による火災などは大いに問題です。しかし、それらは、個別の行動に対してペナルティを課せばいいだけの話で、煙草そのものの罪ではありません。携帯電話を使った犯罪が多いからと言って、携帯電話そのものに罪がないのと同じことです。

 現在、東京や神奈川などではタクシーも全面禁煙になっていますが、どうして、完全禁煙車と喫煙可能な車を別々に走らせ、利用者がそれぞれの価値観に応じて選択するという発想がないのか、非常に奇異なことのように思われます。あるいは、タクシー会社としてはそういう選択肢も考慮した(している)ものの、禁煙活動家の圧力に屈して実現できないということなのでしょうか。仮にそうだとしたら、実に困った話です。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★  
   
 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中!
  
 年賀切手   夕刊フジ(イメージ)  『年賀切手』   日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込)
 
 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中!
 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。
 
 もう一度切手を集めてみたくなったら 
 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 
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 コシツェ版小型シートと菩提樹
2006-05-08 Mon 23:58
 今日(5月8日)は、VEデイ。ヨーロッパでのナチス・ドイツに対する勝利の記念日です。というわけで、第二次欧州大戦の終結を物語るカバー(封筒)の中から、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      チェコスロバキアのカバー

 第二次大戦中、チェコスロバキアはナチス・ドイツによって分割され、チェコがドイツ保護領のボヘミア・モラビア、スロバキアが親独国家となっていました。このうち、スロバキア地域に関しては、ソ連軍が1944年末までに進駐し、勢力扶植に乗り出していましたが、チェコ地域へのソ連軍の進駐は1945年春まで遅れます。このため、1945年4月、スロバキア東部の都市、コシツェでチェコスロバキア共産党が「コシツェ綱領」を発表し、エドヴァルド・ベネシュを中心とするロンドン亡命政府との連立政権を発足させました。ちなみに、チェコ全土の“解放”は、ドイツ降伏後の1945年5月9日のことでした。

 さて、このカバーに貼られているのは、そうした解放直後のチェコ地域、ハブリチクーフ・ブロートから差し出されたもので、ベネシュ帰国の記念小型シート(6月25日発行)と菩提樹を描く10ハレーシュ切手(10月8日発行)が貼られています。

 この小型シートはコシツェで作られたもので、収集家の間では“コシツェ版”と呼ばれています。1945年の段階では、チェコスロバキアは共産国家ではありませんが、すでにソ連赤軍兵士の横顔が切手に取り上げられるなど、ソ連とのその後の関係が暗示されているようです。

 一方、菩提樹の切手は、ドイツ時代のものと同じデザインで、旧チェコ地域でのみ有効とされていたものですが、はやくも11月15日には使用禁止になっています。10月8日の切手発行から使用禁止までの間はわずか39日しかなく、11月12日の消印が押されているこのカバーの場合も、使用禁止3日前に何とか間に合ったという感じです。

 なお、消印はドイツ時代のものが使われましたが、さすがに、地名のドイツ語表示はまずいということになったのか、その部分は削り取られています。

 いずれにせよ、ドイツが降伏し、ソ連軍が進駐して、チェコスロバキアという国家の枠組が再建されつつあった時代をいろいろな面から物語ってくれているカバーとして興味深いマテリアルなので、図体はでかくて収納に困るのですが、それなりに気に入っています。

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 チェコ vs 日本
2006-02-23 Thu 23:48
 今日は2・23の語呂合わせで“富士山の日”だそうです。というわけで、富士山を取り上げた切手の中から、こんな1枚をご紹介してみましょう。

      チェコの北斎

 この切手(画像はクリックで拡大されます)は、1970年の大阪万博に際して、チェコスロバキアが発行した切手で、葛飾北斎の『富嶽三十六景』のうちの「甲州三島越」が取り上げられています。

 大阪万博に際しては、経済大国となった日本のコレクターを当て込んで諸外国がさまざまな記念切手を発行していますが(この辺の話は、その昔、『外国切手に描かれた日本』という本の中で詳しく書いたので、ご興味がおありの方は、お読みいただけると幸いです。)、これもその類といえます。

 ただ、この切手が凡百の万博便乗切手と違うのは、チェコスロバキア政府が切手を通じて、自国の凹版印刷の技術を世界に見せつけようという姿勢を鮮明に示していた点にあります。

 実は、万博が開催される前年(1969年)の10月、日本の郵政は「国際文通週間」の切手として、やはり「甲州三島越」が取り上げられています。(下の画像:クリックで拡大されます)

      甲州三島越

 こうして、チェコと日本の切手を並べてみると、元ネタが一緒なだけに、チェコ側の技術水準の高さが際立っているのがよくわかります。まぁ、さすがに、「おんなじデザインでも、うちで作ればこんなにいいものが出来るんだよ」ということをアピールして喧嘩を売ってくるだけのことはありますね。

 もっとも、北斎の専門家に言わせると、「甲州三島越」は全体が青系統で統一されているところに味があるんだそうです。チェコのほうは原画として使った版画の色がそうなかったんで仕方ないのでしょうが、その辺に、外国人の作る浮世絵切手の限界のようなものがあるといえるのかもしれません。

 さて、2001年から刊行を続けている記念切手の“読む事典”、<解説・戦後記念切手>ですが、現在、シリーズ第4作の『一億総切手狂の時代 昭和元禄切手絵巻 1966-1971』を4月上旬に刊行すべく、鋭意準備を進めているところです。今回ご紹介した切手を含め、期間中の北斎の文通週間切手についてもさまざまなエピソードを盛り込んでいますので、刊行の暁には、是非、お手にとってご覧いただけると幸いです。


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