2019-01-07 Mon 18:21
1989年1月7日に昭和天皇が崩御されてから、きょうでちょうど30年です。これにあわせて、皇居では30年式年祭の「皇霊殿の儀」があり、東京都八王子市の武蔵野陵では30年式年祭の「山陵の儀」が行われました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1972年にパラグアイが発行したアルフレド・ストロエスネル大統領訪日の記念切手のうち、宮中晩餐会で昭和天皇と大統領を取り上げた切手シートです。 ストロエスネルは、1912年11月3日、パラグアイ南部のエンカルナシオンの生まれで、17歳で陸軍に入り、1932年にボリビアとの間に闘われたチャコ戦争で軍功を立てて一躍有名になりました。1951年に陸軍総司令官に就任。1954年5月に軍事クーデターを起こして実権を掌握し、1954年から1989年まで、通算8期35年間大統領を務めました。 さて、ストロエスネルは、生年が明治天皇崩御の1912年、誕生日が旧明治節の11月3日ということから、みずからを“明治大帝の生まれ変わり”と信じていました。このため、個人的には大の親日家で、1959年には日本・パラグアイ移住協定に調印し、30年間に8万5000人の日本人移民の受け入れを約束しています。実際にはそこまで多くの移民は集まらなかったものの、日本はパラグアイに対する援助を拡充し、日系移民の社会的な地位も大いに向上しました。 こうしたこともあって、1972年4月14-20日、ストロエスネルが国賓として日本を訪問した際には、日本側は彼を歓待。昭和天皇は帰国する大統領を空港までお見送りに来られましたが、そのことはストロエスネルを大いに感激させ、今回ご紹介の切手発行につながったといわれています。 ちなみに、東西冷戦という国際環境の下で反共の旗幟を鮮明にしたことで、日米をはじめとする西側諸国の支援を得てパラグアイに経済成長をもたらしたストロエスネルでしたが、昭和から平成への御代代わりにあたる1989年、アンドレス・ロドリゲス将軍(後に大統領)のクーデターによって政権の座から追われ、ブラジルに亡命。2006年にブラジリアで亡くなりました。 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|