2022-04-15 Fri 04:13
南アフリカ共和国東部、クワズールー・ナタール州のダーバンを含むエテクウィニ都市圏で、4月12日頃から60年ぶりとなる豪雨(ダーバンでは48時間で年間降水量の半分近い450ミリの雨量)による洪水や土砂崩れが相次ぎ、これまでに306人が亡くなりました。というわけで、亡くなった方のご冥福と被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りしつつ、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第2次ボーア戦争中の1899年12月19日、ダーバン(当時は英領ナタール植民地)からヨハネスブルク(当時はトランスヴァ―ル共和国)宛に差し出された郵便物です。通常であれば、ナタールートランスヴァ―ル間は陸路で直送するところ、開戦によりナタールとトランスヴァ―ルを結ぶ直通ルートが途絶したため、いったん、中立国のポルトガル領ロレンソマルケス(現モザンビーク・マプート)に運ばれ、そこからプレトリア経由でトランスヴァ―ルに至る迂回ルートで運ばれています。そのことを示す裏面(部分)の画像を下に貼っておきます。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 4月22日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月22-24日(金-日) スタンプショウ2022 於・都立産業貿易センター台東館 毎年恒例、世界切手祭り・スタンプショウですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します 4月22日(金) 14:00~ 「アフガニスタン現代史」 *3月に刊行された拙著『アフガニスタン現代史』の出版記念イベントです。 4月23日(土) 11:00~ 「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」 *5月に日本郵趣出版から刊行予定の「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。 両イベントとも、事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 ★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 好評発売中!★ 出版社からのコメント 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史! 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-07-16 Fri 01:37
ズマ前大統領収監への抗議に端を発した略奪や放火、暴行が拡大し、14日(現地時間)までに、少なくとも72人が死亡し、1200人が逮捕される事態になっている南アフリカで、マピサヌカクラ国防相は、同日、特に治安の悪化が深刻なクワズールー・ナタール州(ズマ前大統領の地元)とハウテン州(州都はヨハネスブルク)の2州に対し、兵士最大2万5000人を展開し、配備数を10倍にする計画を明らかにしました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、(第2次)ボーア戦争中の1899年12月6日、トランスヴァ―ル占領下の英領ナタール植民地(現在のクワズールー・ナタール州の前身)のダンディーから、トランスヴァ―ルのハイデルベルク(現在は南アのハウテン州)宛に差し出された郵便物で、占領軍の持ち込んだトランスヴァ―ル切手が貼られているのがミソです。 1886年、ヨハネスブルク近郊で金鉱が発見されると、ボーア人(オランダ系移民)の支配下にあったトランスヴァ―ル共和国の領域(現在の南ア北東部に相当)には金鉱を求めて多くの人々が集まるゴールドラッシュが到来しました。 これを受けて、現地の英国人企業家を代表するセシル=ローズは、ケープ植民地の首相に就任するとともに、英国南アフリカ会社(BSAC)を設立。1890年、南アフリカ会社は遠征を開始し1894年までに南東アフリカ地域の広大な土地を支配下に収め、“ローデシア”と命名しました。 このローデシアを拠点に、ローズはトランスヴァール共和国への侵攻を企てたものの失敗し、1896年に失脚しましたが、英本国政府はローズの植民地拡大策を継承し、ボーア人のトランスヴァ―ル共和国とオレンジ自由国を挑発。両国に対して、在留英国人に選挙権を与えることを要求するとともに、両国内の同胞が“奴隷状態”に置かれていると宣伝して、国民の開戦熱を煽り、1899年10月、両国に対する侵略戦争を開始しました。 開戦当初の戦況は、地元のボーア軍が圧倒的に優位で、ボーア軍は国境を越えて英領ケープ植民地や同ナタール植民地の域内に進攻していくつかの都市を占領します。今回ご紹介のカバーの差出地、ダンディーは、ダーバンの北北西約 200kmの地点に位置しており、石炭、鉄鉱石採掘の中心地であったことから、当時は激戦地となり、一時はボーア軍が占領していました。 しかし、1900年2月、英本国からの増援部隊が到着。2月18日から27日にかけてのパールデベルグの戦いで英軍がボーア軍を破ったことで戦況は逆転し、3月13日にはオレンジ自由国の首都ブルームフォンテーンが、6月5日にはトランスヴァール共和国の首都プレトリアが陥落します。さらに、イギリス軍は、6月11日から12日にかけて、プレトリア近郊のダイアモンド・ヒルでボーア軍の残党を掃討し、正規軍同士の戦いは事実上終結しました。 しかし、その後もボーア人はゲリラ戦術で激しく抵抗。大苦戦を余儀なくされた英国は、ボーア人ゲリラに対する食糧補給を断つべく、ボーア人の婦女子を強制収容所に隔離するなど、なりふり構わぬ戦術を展開しました。ちなみに、後にヒトラー政権はユダヤ人の収容所に“強制収容所”との名前を付けていますが、これは、ボーア戦争時の英国の先例に倣ったものと言われています。 なお、第2次ボ-ア戦争に始まる“強制収容所”の歴史については、拙著『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 7月19日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2015-09-30 Wed 10:55
アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年9月30日号が先週刊行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回は南アフリカの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)
これは、現在の南アフリカ共和国の一部になっているナタールで、1863年に発行された1ペニー切手です。 1488年に喜望峰を“発見”したのはポルトガル人のバルトロメウ・ディアスですが、1652年、この地に最初の植民地としてケープタウンを築いたのは、ヤン・ファン・リーベック率いるオランダ人でした。その後、ナポレオン戦争中の1806年、英国はそれまでオランダ領だったアフリカ南端のケープ植民地を接収し、1815年のウィーン議定書により、正式に英領として編入します。 これに伴い、ケープ植民地には英国人の移民が大量に流入。このため、ファン・リーベック以来、この地に定住していたオランダ系のアフリカーナー(ボーア人とも)は、英国の圧迫を逃れて北東部の奥地へ大移動を開始し(グレート・トレック)、先住アフリカ人諸民族と戦いながらトランスヴァール共和国やオレンジ自由国、ナタール共和国を建国しました。 このうち、1839年に建国を宣言したナタール共和国は、1842年には英国の攻撃を受け、翌1843年、英領ナタールとなりました。英領ナタール最初の切手は着色紙に王冠をエンボス加工した簡素なもので、1857年の発行ですが、1859年以降はヴィクトリア女王の肖像を描く本国製の切手が使用されています。 さて、 『世界の切手コレクション』9月30日号の「世界の国々」では、ボーア戦争と南アフリカ連邦の結成、およびアパルトヘイトとマンデラの時代を扱った長文コラム2本のほか、ケープワイン、テーブルマウンテン、特産品のダチョウなどの切手をご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。また、併せて、拙著『喜望峰』もご覧いただけると幸いです。 なお、次回の僕が担当する「世界の国々」は、1週お休みをいただいて、次回は10月7日発売の10月14日号での旧ユーゴスラヴィアの特集になります。こちらについては、10月14日にこのブログでもご紹介する予定です。 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細はこちらをご覧いただくか、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★ 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます) ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『日の本切手 美女かるた』 好評発売中! ★★★ 税込2160円 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました! 【出版元より】 “日の本”の切手は美女揃い! ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え! <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾン、boox store、e-hon、honto、YASASIA、紀伊國屋書店、セブンネット、ブックサービス、丸善&ジュンク堂、ヨドバシcom.、楽天ブックスをご利用ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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