2021-02-18 Thu 03:19
きょう(18日)は、1911年2月18日に世界最初のエアメールがインドのアラハバード=ナイニ間を運ばれたことにちなむ“エアメールの日”です。というわけで、“航空切手”の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1929年10月6日に発行された“芦ノ湖航空”の切手のうちの16銭5厘切手です。 第一次世界大戦後、欧米などでは定期航空輸送が盛んになりましたが、わが国では、東西定期航空会、日本航空株式会社(戦後の日本航空とは無関係)、日本航空輸送研究所の民間3社があったものの、いずれも規模が小さすぎて発展が期待できませんでした。このため、政府支援の下、1928年10月20日に逓信省航空局所管の航空会社として日本航空輸送株式会社が発足。政府は既存の民間3社に日本航空輸送への合流を求め、東西定期航空会と日本航空株式会社の2社は昭和4年3月31日、合流に同意して日本航空輸送に無償吸収合併されました。ただし、日本航空輸送研究所は合流を拒否し、短距離路線に限り運航を継続します。 民間2社を吸収した日本航空輸送は、早速4月1日から営業運航を開始し、陸軍から払い下げられた乙式一型偵察機(サルムソン2)18機を用いて、東京=大阪間週12往復の郵便・貨物輸送を行いました。これに伴い、4月1日付で国内航空郵便制度が正式にスタートします。 航空郵便の開始当初の料金は、内地区内相互の書状基本料金が18銭、葉書が8銭5厘、内地と朝鮮・大連・台湾間の書状基本料金が33銭、葉書が16銭5厘でしたが、内地と植民地間の航空郵便は、9月に福岡=蔚山=京城=平壌=大連間での旅客輸送が開始されてから取り扱いが開始されました。 これらの料金に相当する4種の切手は、いずれも、芦ノ湖上空を飛ぶフォッカー7型3M機を描いているため、“芦ノ湖航空”と呼ばれています。なお、切手は、制度初日の4月1日ではなく、半年後の10月6日に発行されましたが、これは、朝鮮・大連への路線開設を待ってのことと考えられます。ちなみに、制度初年の航空郵便の取扱は約8万6000通でした。 さて、今年(2021年)は、明治4年3月1日(1871年4月20日)に日本の近代郵便が創業されてから150周年の節目の年に当たっており、それにちなむ企画として、日本切手の歴史を概観する3巻本の書籍を刊行の予定です。そのうち、1945年までを扱った第1巻は、ことし4月に刊行の予定で、現在、執筆作業を進めているところです。正式な書名や発売日、定価などが決まりましたら、このブログでもご案内していきたいと思っておりますので、なにとぞよろしくお願いします。 ★★ テーマティク切手展、開催中! ★★ 2021年2月13-21日(土~日) テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。 通常は東京・目白の切手の博物館を会場として開催しておりますが、ことしは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEB上でコレクションを閲覧できる「オンライン切手展」となりました。ぜひ、こちらをクリックしてご覧ください。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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