2006-03-15 Wed 21:10
所得税の確定申告は今日まででしたが、皆さんは無事に済まされましたか?手回し良く2月中に済ましたという方も多いのでしょうが、僕なんかは今年もまた〆切ギリギリの提出で、ようやくホッと一息ついたというところです。
というわけで、今日は“taxe(=tax)”に関するモノということで、こんな1枚をお見せしましょう。 これは、1859年にフランスで発行された不足料切手です。 近代郵便が料金の前納制を原則としている以上、料金の未納・不足というのは一定の割合で必ず発生します。そうした場合、郵便サービスを提供する側としては、不足分+ペナルティを受取人から徴収しようとするわけですが、そうしたペナルティ込みの料金を徴収するための切手、すなわち不足料切手を発行している国というのは少なからずあります。(日本では発行されたことがありません) 今回ご紹介しているのは、フランス最初の不足料切手ですが、1867年から翌1868年にかけてフランスに滞在していた渋沢栄一が日本に持ち帰り、日本最初の切手を作る際にデザインの参考資料にもされたともいわれているものです。(これは日本の“郵便の父”といわれる前島密の回想録に出てくるエピソードですが、冷静に分析してみると、いろいろと不自然なところがないわけではありません。その点については拙著『皇室切手』をご覧いただけると幸いです) さて、フランス語では郵便料金(=郵税)のことをtaxeといいますが、郵便物の上にその頭文字のTが表示されている場合には、それは、不足料を徴収すべきであることを意味しています。今回の切手にも、しっかり、TAXEの文字が入っているので、よろしかったら画像(クリックで拡大されます)で確認してみてください。 なお、国際的な郵便交換のための組織である万国郵便連合の公用語はフランス語ですから、Tの表示はフランス国内のみならず、世界的にも使われています。まぁ、税というのは徴収するものですから、これ以上、わかりやすい略号もないような気がします。 なお、日本で郵便を示すマークは〒ですが、最初は逓信省の頭文字であるTをデザインしたものでした。ところが、国際的にはTは不足料の表示でどうもイメージが良くないので、横棒をもう一本付け足して〒とし、これは逓信省の“テ”であるということにしたという経緯があります。間抜けといえば間抜けな話ですが、泥縄生活を続けている僕は、こういう機転の利かせ方って実は嫌いじゃありません。 |
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