2024-05-24 Fri 01:54
20世紀を代表するジャズの作曲家、ピアニスト、オーケストラ・リーダーのデューク・エリントンが1974年5月24日に亡くなってから、ちょうど50年になりました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1986年4月29日、米国が発行したデューク・エリントンの切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月24日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 5月31日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-11-29 Tue 07:07
世界最大の活火山として知られるハワイ島のマウナロア火山が、27日午後11時30分頃(現地時間。日本時間28日午後6時30分)、1984年以来38年ぶりに噴火しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1984年3月12日、米国が発行した“ハワイ州25周年”の記念切手で、先住民の伝統的なカヌーの背景に、噴煙を上げるマウナロア火山が描かれています。ちなみに、マウナロア火山の前回の噴火は、この切手が発行されて間もない1984年3月24日のことでした。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 12月9日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 12月24日(土) 13:00~ 大英帝国のクリスマス 英国は、1840年に世界で最初に郵便切手を発行した国で、かつて”日の沈まぬ国”と呼ばれたその広大な領土では、ヴィクトリア女王からエリザベス女王に至るまで、歴代の国王の切手を貼った郵便物が縦横無尽に往来していました。今回は、クリスマスに関する切手・郵便物をピックアップし、それぞれの時代の英国・英領の歴史や社会を読み解きます。お申込などの詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★ 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 |
2020-08-21 Fri 02:07
ご報告が遅くなりましたが、『本のメルマガ』第760号(7月25日号)から、「沖縄切手モノ語り」と題する新連載を始めました。今回は初回ということで、まずは“ニミッツ布告”について取り上げました。その記事の名から、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます。
第二次世界大戦末期の沖縄戦は1945年3月26日、米第77歩兵師団が慶良間諸島の座間味島など数島に上陸したことから始まりました。 慶良間諸島に上陸した米軍は、即日、“太平洋艦隊司令長官・太平洋区域司令官兼米国軍占領下の南西諸島及びその近海の軍政府総長 チェスター・ニミッツ米海軍元帥”の名で米国海軍軍政府布告第1号を公布します。つづいて沖縄本島に上陸した1945年4月1日にも同名の布告を公布、4月5日には読谷村比謝に軍政府(琉球列島軍政府。長官はニミッツ)を開設しました。 この米国海軍軍政府布告第1号は、米軍占領地おいて日本政府の全ての行使権を停止し、南西諸島及び近海並びにその居住民に関するすべての政治及び管轄権並びに最高行政責任が、占領軍司令官兼軍政府総長、米国海軍元帥であるニミッツの権能に帰属すると宣言するもので、同布告の第10号までは“ニミッツ布告”と総称されています。 ニミッツは、1885年2月24日、テキサス州フレデリックスバーグ生まれ。1905年に114人中7番の成績で海軍兵学校を卒業後、少尉候補生として東アジア航海に参加した際、日本海海戦の勝利で一躍時の人となっていた東郷平八郎と会話して大いに感銘を受けたそうです。 その後、第一次世界大戦中に大西洋潜水艦隊参謀長。1939年に海軍省航海局長を歴任し、日米開戦直後の1941年 12月、太平洋艦隊司令長官に任命され、陸軍のダグラス・マッカーサーが担当した太平洋南西部を除く太平洋における最高指揮官となりました。 1942年6月にはミッドウェイ海戦で勝利を収め、以後、ソロモン海戦、ギルバート諸島の戦い、マリアナ沖海戦、フィリピン進攻で軍功を挙げ、マッカーサーと並ぶ米軍の象徴的存在として、1944年12月、海軍元帥に昇進。日本の戦時歌謡「比島決戦の歌」では「いざ来いニミッツマッカーサー 出て来りゃ地獄へ逆落とし」と歌われています。 日本側に「来い」と言われるまでもなく、ニミッツはフィリピンを経て沖縄戦を指揮して米軍に勝利をもたらし、7月31日付で軍政長官は陸軍大将のジョゼフ・スティルウェルに交替して沖縄を去りました。しかし、彼の名前で出された“ニミッツ布告”は、1972年5月の沖縄の本土復帰まで効力を保ち、現在に至るまで沖縄の米軍基地問題の原点となっています。 なお、沖縄を去ったニミッツは、1945年9月2日、戦艦『ミズーリ』での降伏調印式に参加し、1945年12月から1947年12月まで海軍作戦部長を務めて引退。1966年2月20日、80歳で亡くなりました。ちなみに、今回ご紹介の切手は1985年、ニミッツの生誕100年に合わせて、米国で普通切手として発行されたものです。 * 昨日(19日)、アクセスカウンターが223万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★★ Web講座のご案内 ★★ 武蔵野大学の生涯学習講座で、「切手と仏像」と題して4回に分けてお話しします。配信期間は8月26日から10月6日まで。お申し込みなどの詳細はこちらをご覧ください。皆様、よろしくお願いします。 ★ 内藤陽介の最新刊 『みんな大好き陰謀論』 ★ 本体1500円+税 出版社からのコメント 【騙されやすい人のためのリテラシー入門】 あなたは大丈夫?賢い人ほどダマされる! 無自覚で拡散される負の連鎖を断ち切ろう まずは定番、ユダヤの陰謀論を叱る! ! 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-05-03 Sun 00:59
きょう(3日)は憲法記念日です。というわけで、毎年恒例、世界の憲法関連切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1987年9月17日に米国が発行した“合衆国憲法200年”の記念切手です。 1620年、英国から北米への最初の移民としてメイフラワー号に乗ってやってきた清教徒たちは、英国国教会の弾圧を逃れ、新大陸で自分たちの信仰生活が保障される理想社会を実現すべく、先住民のマサチューセッツ族の土地に侵入し、マサチューセッツ湾植民地を建設しました。 彼らは、自分たちの航海を旧約聖書のノアの方舟の物語になぞらえ、自分たちはエルサレムの代わりにニューイングランドにたどり着いたのであって、清教徒のみが“約束の地”を独占すべきだと考え、初期の頃は、ユダヤ教徒はもとより、キリスト教他宗派の人々も排除しました。 このため、続いて北米にやってきた他宗派のキリスト教徒たちは、それぞれの宗派ごとに別々の植民地を形成するようになります。たとえば、国教会系のキリスト教徒はヴァージニア植民地、クエーカー教徒はペンシルヴァニア、カトリックはメリーランドといった具合です。 こうした経緯から、アメリカ合衆国は東部13州の連合体として出発しました。現在ではstateを日本語で“州”と訳していますが、昔は“邦”と訳されたほど、各々の自立性が高い自治体組織でした。今でも中央政府はFederal Governmentであり、日本語も“連邦政府”です。 当然のことながら、連邦政府に関しては、特定の宗教を偏重することのないよう、慎重な配慮が払われており、独立宣言が発せられた1776年の時点で、独立派の長老、ベンジャミン・フランクリンは、旧約聖書への敬意と“約束の地”としての米国のイメージから、新国家の印章には、モーセがイスラエルの民を率いて航海の水が分れた中を進むデザインを用いるように提案したものの、このアイディアは否定されています。 また、合衆国憲法(1787年9月17日作成、1788年発効)では、米国が事実上のキリスト教国家として建国たにもかかわらず、“神”、“至高の存在”、“偉大なる統治者”、“創造主”など、神を意味する文言は避けられているほか、その第6条第3項において「合衆国の信任によるいかなる公職についても、その資格として宗教上の審査を課せられることはない」と規定しています。この規定はユダヤ人を想定してつくられたものではありませんが、これにより、ユダヤ人でも、能力さえあれば連邦政府の職員に就くことができるということが認められていたのも、注目すべき点です ただし、この規定はあくまでも連邦政府の職員に関するもので、州によっては、公務員の就職資格に宗教的な制約を設けているところも少なくありませんでした。たとえば、ニューハンプシャー州でユダヤ教徒が公務員に就くことが完全に自由化されたのは1868年のことでした。 さらに、1791年、合衆国憲法の最初の修正10ヶ条として「権利章典」が批准されましたが、その第1条は「合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律、言論または報道の自由を制限する法律、ならびに、市民が平穏に集会しまた苦情の処理を求めて政府に対し請願する権利を侵害する法律を制定してはならない」として、冒頭で宗教と国家(連邦)の分離を明確に謳っています。これにより、少なくとも連邦の憲法においては、キリスト教徒のみならじ、ユダヤ人にも無制限の自由と平等が保障されることになりました。 さて、現在、いわゆる“ユダヤ陰謀論”の矛盾や、そうした陰謀論が出てきた背景などを解説する書籍を刊行すべく作業中です。すでに、本文は脱稿していますが、米国におけるユダヤ人/ユダヤ教徒の歴史についてもかなりのページを割きました。正式な書名や刊行日、定価などが決まりましたら、このブログでも随時ご案内いたしますので、よろしくお願いします。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2011-10-30 Sun 23:56
アメリカ北東部一帯で現地時間の29日、例年より大幅に早い大雪が降り、200万世帯以上が停電し、倒木の下敷きになるなどして3人が死亡。ニュージャージー、コネティカット、マサチューセッツ、ニューヨークの4州で非常事態宣言が出されたそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1982年10月28日にアメリカで発行された1982年用のクリスマス切手で、ティングルの「冬の子どもたち」のなかから4点が田型連刷の形式で取り上げられています。雪遊びをする子どもたちという図案は、いかにもアメリカのクリスマス・シーズンを思わせる切手ですが、こうした状況が見られるのは、例年なら1月以上先の話です。ちなみに、AP通信によれば、ニューヨークでは10月の積雪は記録の残る135年間で3日間だけだそうですから、クリスマス切手が発行される時期に、まさかクリスマス切手と同じ風景を目にすることになるとは、想像だにしていなかったアメリカ人がほとんどではなかったかと思います。 それにしても、今年はニュージーランド大地震にはじまり、東日本大震災、トルコ大地震、タイの洪水など、世界各地で自然の猛威をまざまざと見せつけられるような出来事が続きましたね。もうじき10月も終わり、2011年もほぼ残り2ヶ月となりましたが、どうかこれ以上、妙なことが起きずに平穏に過ぎて行ってほしいものだと願わずにはいられません。 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★ 11月5日(土)、東京・池袋で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、以下のトークを行います。 ・11:00 ハバロフスク…日本人の足跡を訪ねて 切手紀行シリーズ④『ハバロフスク』の刊行を記念してのトークです。同書の中から、シベリア抑留の痕跡を中心に、ハバロフスクに残る日本人の活動の跡をたどります。なお、1フレーム作品として出品の「シベリア抑留日本人用往復葉書」についても、あわせて、簡単な解説を行います。 ・16:00 年賀状の戦後史 角川 one テーマ21(新書)『年賀状の戦後史』の刊行を記念してのトークです。同書の内容をご紹介しつつ、10日の一般発売に先駆け、会場内でのみの先行発売(限定30部)も行います。 今回は、2冊の刊行時期が接近しているため、トークイベントもダブル・ヘッダーとなりました。ぜひ、遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ ハバロフスク(切手紀行シリーズ④) 彩流社(本体2800円+税) 空路2時間の知られざる欧州 大河アムール、煉瓦造りの街並み、金色に輝く教会の屋根… 夏と冬で全く異なるハバロフスクの魅力を網羅した歴史紀行 写真・図版多数 オールカラー シベリア鉄道小旅行体験や近郊の金正日の生地探訪も加え、充実の内容! amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoorBOOKS、セブンネットショッピングなどで好評発売中! |
2009-09-15 Tue 22:45
世界的な金融危機の引き金となったリーマン・ブラザースが2008年9月15日に破綻してから、きょうでちょうど1年になりました。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1981年にアメリカで発行された“貯蓄貸付組合150年”の記念切手です。日本語版の某カタログでは、“貯蓄ローン協会”という訳語がつけられています。まぁ、“Savings and Loan Association”をそのまま訳せば間違いではないのでしょうが、ほかではちょっと見ない例ですな。 貯蓄貸付組合というのは、アメリカで貯蓄と住宅ローンに特化した貯蓄金融機関のことで、預金者と借主の代表によって経営方針が決められるという点で、協同組合に近い性質のものといってよいかもしれません。 19世紀のアメリカでは、住宅ローンは銀行では無く保険会社が貸付を行っており、ほとんどのローンが短期で一括返済するか、満期までは利子のみの支払い、満期時に一括返済するといういうシステムになっていました。このため、満期でローンを返済しきれない借主は、そのたびに借り替えを続けて借金を増やすか、あるいは、それができなければ競売にかけられて家を失うケースが続発しました。 当然、こうした状況は社会的に問題となったため、アメリカ政府は連邦住宅貸付銀行を作り、他の銀行に対し長期の償還型のローンを提供するための資金を提供することになりました。そして、その担い手として急成長を遂げたのが、貯蓄貸付組合でした。 かつてのアメリカの連邦準備制度では、貯蓄貸付組合は預金の利息が高く付けることが認められており、それにより、貯蓄貸付組合に資金を集め、住宅ローンの貸し出しを容易にするという方針がとられていました。“3%の利子で貯金を集め、6 %の利子で融資し、 3時にゴルフ場で営業活動を行う”という3-6-3が貯蓄貸付組合のビジネス・モデルといわれたこともありました。 ところが、1980年代の規制緩和により、貯蓄貸付組合は不動産関連融資やジャンクボンド投資を積極的に乗り出すようになります。結果的に、これらの投資は失敗に終わり、多くの組合が経営危機に陥りました。1988年には229社が倒産し、預金保険機関による支援合併や清算措置を受けています。このため、アメリカ政府は破綻処理のため整理信託公社を設立し、不良債権を買い取り、1995年末ごろまでに、約1300億ドルの公的資金を投入せざるをえませんでした。 その後、2000年代に入り、金利が引き下げられるとカネ余りが生じ、この資金が住宅市場に流れ込み、住宅価格が上昇。こうした状況の中で、住宅価格の値上がりを前提に、信用度の低い人々を対象としたサブプライムローンの利用が急増し、住宅バブルの破綻とともにそれらが不良債権化したことで、深刻な経済危機をもたらしたというわけです。 まぁ、貯蓄貸付組合は、かならずしもサブプライムローン問題の主役というわけではないのですが(もちろん、一連の金融危機で破綻した組合はあります)、今回ご紹介の切手は、貯蓄とローンという単語が非常に目立っているので、持ってきてみました。 * 昨晩、カウンターが58万PVを超えました。いつも遊びに来ていただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 異色の仏像ガイド決定版 全国書店・インターネット書店(アマゾン、bk1、7&Yなど)・切手商・ミュージアムショップ(切手の博物館・ていぱーく)などで好評発売中! 『切手が伝える仏像:意匠と歴史』 彩流社(2000円+税) 300点以上の切手を使って仏像をオールカラー・ビジュアル解説 仏像を観る愉しみを広げ、仏教の流れもよくわかる! |
2009-06-27 Sat 16:15
「スリラー」「BAD」など多くの世界的ヒット曲で知られ、キング・オブ・ポップと呼ばれたマイケル・ジャクソンが、現地時間午後2時26分、ロサンゼルス市内の自宅で倒れ、搬送先の病院で死亡が確認されました。というわけで、きょうは彼のヒット曲“Beat It”にちなみ、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1981年にアメリカで発行されたアルコール依存症撲滅のキャンペーン切手で、「アルコール依存症 あなたは打ち勝つ(beat it)ことができます!」とのスローガンが大きく入っています。ちなみに、マイケルの“Beat It”は1983年の発売ですから、ほぼ同時代のモノといってよいでしょう。 アルコホリズム(alcoholism)という英語の病名に対して、日本では1970年代までは“(慢性)アルコール中毒症”という訳語があてられていました。略して“アル中”です。 一般に、中毒というのは、細菌などによる食中毒や一酸化炭素中毒などのように、毒性のある物質によっておこる体の不調をいい、どちらかというと短期間に症状が出てくるものを指します。このため、大学生がイッキ飲みで倒れて病院に担ぎ込まれるようなケースは、現在でも、急性アルコール中毒と呼ばれています。 これに対して、アルコホリズムの訳語としての“慢性アルコール中毒”に関しては、自らの意志で飲酒行動をくりかえす病気に対して“中毒”という表現は適切ではないとの指摘や、“アル中“という表現に“飲んだくれて道に転がっているどうしようもない人”、“ダメ人間”という侮蔑的なニュアンスがあるとされたことから、1970年代半ば以降尾、訳語の見直しが検討されるようになります。 おりしも、アメリカの精神医学会(APA)やWHO(国際保健機関)は、精神病の分類を改める時期にもあたっており、アルコホリズムには、アルコール依存症(Alcohol Dependence)という病名が与えられることとなり、この訳語が用いられるようになったわけです。ちなみに、APAの定義によれば、アルコール依存は、広くは物質依存(Substance Dependence)のひとつであり、他の依存物質として、アヘン類・大麻類・鎮静剤あるいは睡眠剤・コカイン・カフェイン・幻覚剤・タバコ(ニコチン)・揮発性溶剤・アンフェタミン(覚醒剤)・抗不安剤・これら複数の多剤への依存が挙げられているそうです。 さて、マイケル・ジャクソンの死因については、特定までにしばらく時間がかかりそうですが、1984年にCM撮影で大やけどを負い、皮膚移植手術を受けて以来、日常的に大量の鎮痛剤などを服用していたとみられることから、薬物の過剰摂取が原因ではないかとする見方が強いようです。音楽界の頂点を極めた彼をしても、薬物中毒ないしは依存症を“beat it”することは困難だったということなんでしょうかね。 なお、アメリカにおける飲酒問題といえば、歴史的には禁酒法が有名ですが、こちらについては拙著『大統領になりそこなった男たち』でもその概要をまとめていますので、機会がありましたら、ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 異色の仏像ガイド決定版 全国書店・インターネット書店(アマゾン、bk1、7&Yなど)・切手商・ミュージアムショップ(切手の博物館・ていぱーく)などで好評発売中! 『切手が伝える仏像:意匠と歴史』 彩流社(2000円+税) 300点以上の切手を使って仏像をオールカラー・ビジュアル解説 仏像を観る愉しみを広げ、仏教の流れもよくわかる! |
2008-11-16 Sun 13:05
(財)建設業振興基金の機関誌『建設業しんこう』の11月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手の中の世界のダム」では、今回は、アメリカ大統領選挙の月ということで、この1枚を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1983年に“テネシー川流域開発公社(TVA)50年“を記念してアメリカで発行された切手で、TVA事業のシンボルともいうべきダムが描かれています。 1933年に発足したアメリカのフランクリン・ルーズベルト政権はテネシー州ノックスビルに本部を置くテネシー川流域開発公社(TVA)を設置し、大規模公共事業を展開。1929年の世界恐慌で発生した大量の失業者を労働力として吸収したことは広く知られています。 TVAはテネシー川流域には32個もの多目的ダムが建造しただけでなく、植林、土壌保全、河川整備、窒素肥料その他の化学製品生産、漁業・鉱業・観光資源開発など、さまざまな事業を展開。現在でも活動を続けています。当時、TVAの建設した多数のダムにより提供された安価な電力は、第2次大戦中、原爆開発や軍需生産にも利用されました。 さて、今回の切手に取り上げられているダムですが、TVAの第一号ダムとして1936年に完成したノリス・ダムのイメージで原画が作成されたのではないかと思います。 ノリスダムは、ネブラスカ選出の上院議員、ジョージ・ノリスがルーズベルトの当選以前から提唱していたプランに基づいて作られました。建設に際しては、土壌保全の名目で619平方キロの土地が買収されましたが、実際にダムの底に沈んだのは137平方キロしかなかったそうです。その過程で、約3500世帯が立ち退き、政府は巨額の補償金を支払っています。これもまた、恐慌対策の一環と考えられたわけですが、実際には、立ち退きを強要された農民のおよそ4割が小作人で、彼らには立ち退きの補償金が支払われなかったとか。結局、彼らはダム建設やTVA関連ビジネスに携わってその後の生活を支えていくことになるのですが、机上のプランで組み立てられたバラマキ行政が、えてして期待した効果を上げられないという状況は、古今東西、たいして変わらないということなんでしょうかねぇ。 なお、拙著『大統領になりそこなった男たち』では、そうしたルーズベルト政権と彼のニューディール政策に戦いを挑み、敗れていった政治家たちのドラマもいろいろとご紹介していますので、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ アメリカ史に燦然と輝く偉大な「敗者たち」の物語 『大統領になりそこなった男たち』 中公新書ラクレ(本体定価760円+税) 出馬しなかった「合衆国生みの親」、リンカーンに敗れた男、第二次世界大戦の英雄、兄と同じく銃弾に倒れた男……。ひとりのアメリカ大統領が誕生するまでには、落選者の累々たる屍が築かれる。そのなかから、切手に描かれて、アメリカ史の教科書に載るほどの功績をあげた8人を選び、彼らの生涯を追った「偉大な敗者たち」の物語。本書は、敗者の側からみることで、もう一つのアメリカの姿を明らかにした、異色の歴史ノンフィクション。好評発売中! もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
2008-05-12 Mon 12:31
雑誌『中央公論』6月号が発売になりました。僕の連載「大統領になりそこなった男たち」では、今回は、アメリカ史上最高の雄弁家の一人とされるウィリアム・ジェニングス・ブライアンを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
ウィリム・ジェニングス・ブライアンは、1860年3月、イリノイ州セイラムの出身。1880年代後半にネブラスカ州に移り、以後、同州を拠点に政治活動を展開しました。 南北戦争後のアメリカはデフレ不況下にありました。特に、1873年、実質的に金本位制に移行すると物価の下落は深刻な状況となりました。これは、当時の国際社会で金本位制を導入する国が相次いだことで、金の絶対量が不足し、その結果として金と連動していた通貨価値が上昇し、物価の下落を招くという構図によるものです。 この結果、アメリカ国内では、東部の銀行からの借金に頼っていた南部や西部の農民の負担は増し、農村の犠牲の上に資本家が豊かになるという状況が生まれました。そこで、金本位制から金銀複位制に移行し、銀貨の自由鋳造を認めて通貨の供給量を増やすことによってインフレを起こし、農家の負債を実質的に軽減しようとする自由銀運動が起こります。 自由銀運動の熱心な活動家だったブライアンは、1896年の民主党大会で「人民を金の十字架にかける(金本位制の維持によるデフレで人民が苦しめる)べきではない」とする“金の十字架”演説をぶちます。この演説はアメリカ史上もっとも有名な演説の一つとされていますが、これにより、集まった聴衆を熱狂させた彼は、36歳にして民主党大統領候補の座を射止めてしまいます。このあたりは、現在のオバマ人気とも通じる面があるといえるかもしれません。 選挙戦では、持前の弁舌を生かして大統領候補としては初めて全国遊説を行い、前回の当選者(現職大統領のクリーブラント)を100万票上回る得票を得ましたが、残念ながら、共和党のマッキンリーに破れます。 その後も、ブライアンは1900年と1908年の2度、民主党の大統領候補となりましたが、いずれも落選。1913年に誕生したウッドロー・ウィルソン政権で国務長官に就任し、社会的弱者を尊重するリベラリストの立場から、累進課税制、上院議員の直接選挙制、婦人参政権などの実現に尽力しました。しかし、第1次大戦中の1915年、ドイツによる潜水艦攻撃への対応をめぐって大統領と対立し、職を辞し、中央政府でのキャリアはわずかな期間に終わりました。 国務長官辞任後のブライアンは、弱肉強食の資本家の横暴を正当化するものとの誤解からダーウィンの進化論を排斥するキリスト教原理主義に接近。進化論を公立学校で教えて逮捕された教師の裁判では検察側の代表として出廷したが、かえって原理主義側の主張の矛盾を突かれ、晩節を汚しています。 * 昨晩、カウンターの数字が33万PVを超えました。いつも、遊びに来ていただいている皆様には、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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