台北で行われていたアジア国際切手展も今日が最終日。せっかく、会期初日の日記 で台湾のカバー(封筒)をご紹介したのですから、最終日の今日も台湾がらみのものをご紹介しようかと思います。
1895年、清朝が日清戦争で負けて、台湾を割譲することが決まると、台湾に住む清朝の役人と中国系移民の一部は清朝の判断に反発して“台湾民主国”を作り、これに抵抗しようとします。しかし、台北に進軍した日本軍が現地を制圧すると、組織としての台湾民主国はあっけなく崩壊してしまいます。
さて、その台湾民主国は、自分たちの存在を諸外国にアピールするため、1895年8月、下の画像のような切手を発行しています。
切手は民主国の黒旗軍の象徴であるトラを薄い手漉きの紙に手押しで印刷したもので、30銭(緑)・50銭(朱)・100銭(紫)の3種類があります。
民主国そのものの寿命が短かったことから、実際に現地の住民が郵便に使った例は非常に少なく、現存するカバー(封筒)の大半は、コレクターを意識して作られた記念カバーです。ご紹介しているのも、そうした記念カバーの一部分です。押されている消印は1895年9月12日の台南のもの。ちなみに、民主国の壊滅は同年10月のことでした。
その後、日本領となった台湾では日本切手が使われるようになりますが、しばらくは現地住民の反乱がしばしば発生しています。そうした反乱を鎮圧する際に、日本側は緊急時の通信を確保する目的で料金無料の“非常郵便”の制度を行います。そのカバーは、機会があれば手に入れたいと思っているのですが、なかなかご縁がありません。