2024-08-07 Wed 06:57
現在開催中のパリ五輪は、現地時間6日、レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎が金、スケートボード女子パークの開心那が銀、レスリング女子68キロ級の尾崎野乃香が銅メダルを獲得しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1961年9月22日、アフガニスタンが発行した第4回アジア競技大会の記念切手のうち、レスリングを取り上げた3プル切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 8月9日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 8月10日(土) 13:30~ 本当は恐ろしい!こわい切手 よみうりカルチャー荻窪にて、拙著『本当は恐ろしい!こわい切手』からの選りすぐりのエピソードを中心にお話しします。詳細はこちらをご覧ください。 8月13日(火) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2024-05-13 Mon 10:30
アフガニスタンを実効支配するタリバン政権当局は、きのう(12日)、今月10日からの豪雨により北部のバグラーン(バグラン)州を中心に複数の村が洪水に見舞われ、315人が死亡し、1600人余が負傷したと発表しました。現地で支援活動にあたっている国連世界食糧計画(WFP)は被害がさらに拡大する恐れがあると警告しています。というわけで、亡くなった方に哀悼の意を表するとともに、負傷者の方のご快癒と被災地の復旧・復興をお祈りしつつ、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1942年にアフガニスタンが発行した1.25アフガニ切手で、バグラーン州の製糖工場が描かれています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、アフガニスタンとその切手については、拙著『アフガニスタン現代史』で詳しくご説明しております。同書を含め、えにし書房から刊行の拙著につきましては、内藤総研の会員の皆様(無料登録会員を含む)を対象に、こちらでサイン本の割引販売を行っておりますので、ぜひご登録の上、ご利用いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月17日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 5月24日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-08-28 Mon 06:27
アフガニスタンを実効支配するタリバン(ターリバーン)暫定政権のモハンマド・ハリド・ハナフィ勧善懲悪相は、同国中部バーミヤン(バーミヤーン)州にあるバンデ・アミール国立公園でヒジャーブなしの女性が男性同伴で楽しんでいる様子がインターネット上で紹介されたことを問題視し、同公園への女性の立ち入りを禁止すると発表しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1961年8月7日、王制時代のアフガニスタンで発行されたバンデ・アミール湖の切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、アフガニスタンとその切手については、拙著『アフガニスタン現代史』で詳しくご説明しております。同書につきましては、内藤総研の会員の皆様(無料登録会員を含む)を対象に、こちらでサイン本の割引販売を行っておりますので、ぜひご登録の上、ご利用いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 9月8日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『今日も世界は迷走中』 好評発売中!★ ウクライナ侵攻の裏で起きた、日本の運命を変える世界の出来事とは!内藤節炸裂。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-03-07 Tue 10:18
アフガニスタンで、きのう(6日)、大学の新学期が始まりましたが、女子学生がタリバン政権の導入した厳格な服装規定や、登下校に男性親族の同伴を求める規則に従っていなかったことなどを理由にした女子教育の無期限停止措置は解除されず、女子の大学教育は禁じられたままとなっています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1950年12月22日にアフガニスタンが発行した“(カブール大学)医学部創立19周年”の記念切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、アフガニスタンにおける教育の問題については、拙著『アフガニスタン現代史』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2023年3月10日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月8日スタート! 平成日本の歴史 4月8・15・22日 13:30-15:00 文京学院大学での3週連続の講座です。1989年に始まる平成30年間の日本現代史をさまざまな角度から語ります。一般的な通史に加え、その時々の時代・社会の変化を切手や郵便物を通じて読み解くことで、モノから読み解く歴史の面白さを感じていただきます。詳細はこちらをご覧ください。 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 北千住 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』 好評発売中! ★ 関係省庁、政治家、業界団体等が国民が知らないところで粛々と作り続けているさまざまな規制。「レジ袋の有料化」という規制ができるまでの政治的・行政的プロセスを詳細に分析し、規制の新設防止、そして規制廃止を訴える。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-06-23 Thu 06:57
アフガニスタンでは、ここ数日来の豪雨により洪水が相次ぎ、首都カブールとその周辺州を中心に、きのう(22日)までに少なくとも計400人が亡くなっていましたが、追い打ちをかけるように、22日未明、パキスタンとの国境に近い東部山間地域で、現地時間の22日未明、マグニテュード6前後の強い地震が発生。この記事を書いている時点で、「1000人が死亡、1500人が負傷」と報告されるなど、大きな被害が生じています。というわけで、犠牲者の方のご冥福と被災地の一日も早い復旧をお祈りしつつ、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1972年10月16日にアフガニスタンが発行した赤新月切手です。直接的には、前年の1971年7月29日にヒンドゥークシュ山脈のケンジャン峠近くで発生した大規模洪水を受けて発行されたものですが、アフガニスタンではしばしば大規模地震に見舞われていることもあり、地震や水害を問わず、大規模災害の際の赤新月の活動をイメージさせる内容の1枚になっています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。また、拙著『アフガニスタン現代史』も併せてご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 6月24日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 6月24日(金) 19:00~ 読書人Web 「切手がつなげた人と時代」 『切手でたどる 郵便創業150年の歴史』シリーズ完結を記念して、『読書人』で田中秀臣先生とトークイベントをやります。イベントの詳細とご来場チケット(1500円)の販売はこちら、オンラインのライブ配信チケット(1500円)の販売はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編』 好評発売中!★ 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの最終巻。平成以降、郵政省が郵政事業庁、日本郵政公社を経て、株式会社化され現在に至るまでを扱っています。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-05-04 Wed 02:20
きょう(4日)はみどりの日です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1964年1月5日にアフガニスタンが発行したボーイ&ガールスカウトの切手で、植樹する男女のスカウトが描かれています。(切手の表示は1963年ですが、実際の発行は1964年までずれ込んでいます) 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、アフガニスタンとその切手については、拙著『アフガニスタン現代史』でもいろいろまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。 5月7日(土) 14:00~ 第4回 救国シンクタンクフォーラム 東京・永田町の星稜会館で開催の第4回救国シンクタンクフォーラムのパネリストとして内藤が登場します。今回のお題は“ウクライナとレジ袋”です。詳細はこちらをご覧ください。 5月13日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 ★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 好評発売中!★ 出版社からのコメント 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史! 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-03-28 Mon 04:50
きょう(28日)は、1900年3月28日、スヴェン・ヘディンによって、シルクロードの古代都市・楼蘭の遺跡が発見されたことにちなむ“シルクロードの日”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1971年6月26日、アフガニスタンが発行した“クシャーナ朝国際セミナー”の記念切手で、下半身のみが残っているカニシカ王の彫像が取り上げられています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 なお、現在のアフガニスタン北部はかつてシルクロードの拠点として繁栄し、古代遺跡からはさまざまな文化財が発見されていますが、それらについては、拙著『アフガニスタン現代史』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 3月28日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 スタンプショウ2022 於・都立産業貿易センター台東館 毎年恒例、世界切手祭り・スタンプショウですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します 4月22日(金) 14:00~ 「アフガニスタン現代史」 * 3月に刊行された拙著『アフガニスタン現代史』の出版記念イベントです。 4月23日(土) 11:00~ 「切手でたどる郵便創業15o年の歴史 vol.3 平成・令和編」 * 5月に日本郵趣出版から刊行予定の「切手でたどる郵便創業15o年の歴史 vol.3 平成・令和編」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。 両イベントとも、事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 3月5日発売!★ 出版社からのコメント 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史! 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★ 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。 |
2022-01-12 Wed 09:51
きょう(12日)は、1911年1月12日、新潟県の高田(現・上越市)で、 オーストリアのフォン・レルヒ少佐が高田陸軍歩兵連隊の青年将校にスキー指導を行い、日本に本格的なスキーが伝えられたことにちなむ“スキーの日”です。というわけで、スキー関連の切手の中からこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1964年1月22日にアフガニスタンが発行した“児童保護の日”の記念切手で、パシュトゥーン人の伝統的な民族服のベストを着てスキーをする若者が描かれています。切手には“1963”の年号が入っていますので、同年中、おそらくは世界こどもの日にあたる11月20日頃の発行を目指していたものと思われますが、実際は越年して1964年1月の発行となりました。 さて、アフガニスタンでは、もともと、駐留外国人がアフガニスタンの天然の丘陵地帯での積雪を利用してスキーを楽しんでいましたが、アフガニスタン国民がスキーを行うようになったのは1960年代のこととされています。 アフガニスタン・スキー連盟は、アフガニスタンのスキー史の初期のエピソードとして、1965年にカブールとその周辺が大雪に見舞われた際、カブール近郊、ナーディル・シャーの墓廟があるタパ・マランジャンの丘で、富裕な家具商人の一家であったカルガール家の3兄弟がお盆を使って滑り遊びをしていたところ、ドイツ人のハンメル氏がスキーをしているところに出くわし、同氏から道具を借りて滑ってみたという話を紹介しています。 今回ご紹介の切手はそれ以前の発行ですから、アフガニスタンにおける最初期のスキーのイメージといってよいでしょう。切手の青年はスキー板1枚で滑っているように見えますが、おそらく、切手のデザイナーを始めアフガニスタン国民の大半は、この時点では、スキーの何たるかをイメージできなかったというのが実情で、それゆえ、切手のデザインもどこかぎこちないものとなったのだと思われます。 その後、1967年には、カブール南西のチョウク・エ・アルガンデの丘にアフガニスタン最初のスキー場が設定され、ドイツ人スキーヤーの協力も得て、700メートルの滑走が可能な環境が整えられました。 上述のカルガール家は、当時のアフガニスタンにおけるスポーツの一大スポンサーとして知られており、それまでにもサッカーやバレーボール、卓球などへの支援を行っていましたが、スキーに関しても、長兄のシェール・ムハンマド・カルガールがイランから大量のスキー道具(一般のアフガニスタン国民には高価で手が出ません)を購入してスキーに興味を持つ若者たちに提供したほか、弟のアミーンとアーティフは、カブール大学在学中から、アフガニスタン教育省の援助を得て大学生を対象にしたスキー教室などを行っていました。ちなみに、シェール・ムハンマドの息子のユースフも幼少期からスキーを徹底的にたたき込まれましたが、彼自身は、後にサッカーのアフガニスタン代表選手として活躍し、2008年に代表監督に就任し、2013年には南アジア選手権でチームを初の優勝に導いています。 1970年代に入ると、カルガール兄弟の努力のかいもあって、大学生など富裕層のスポーツとしてスキーは定着し、大学ではスキークラブも組織され、チョウク・エ・アルガンデのスキー場では競技会も開催されるようになりました。しかし、1978年4月にクーデターで人民民主党の左翼政権が誕生し、これに反対するムジャーヒディーン闘争が開始され、アフガニスタン国内の治安が急速に悪化したこともあり、1978年を最後に、チョウク・エ・アルガンデのスキー大会も行われなくなってしまいます。 それでも、カルガール兄弟はアフガニスタンでのスキー存続のために奔走し、1979年末のソ連の軍事介入後も、比較的治安が安定していたカブール近郊のタパ・マランジャンやアサマイ・ヒルなどの丘陵地を使ってのスキーが続けられていました。しかし、ソ連軍撤退後の1990年代には内戦が激化し、さらに第一次タリバン政権下では西洋式の近代スポーツそのものの実施が事実上不可能となったため、それも途絶してしまいます。 2001年の第一次タリバン政権崩壊後、アフガニスタン国内におけるスキーの復興も進められ、バーミヤーン州を中心にスキーツアーも復活。外国人ジャーナリストやスキー会社の支援を受け、冬季五輪に2名の代表選手を派遣すべく努力が続けられてきましたが、残念ながら、2022年の北京冬季五輪までに実現することはできませんでした。 さて、現在、『アフガニスタン現代史(仮)』と題する書籍を刊行すべく、作業を進めています。なんとか旧年中に刊行したかったのですが、諸般の事情で作業が遅れて越年してしまい、申し訳ございません。すでに、本文の原稿は書き上げており、近々、このブログでも正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細をご案内できると思いますので、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 1月17日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2022-01-02 Sun 06:14
かつての日本では、元日には煮炊きや洗い物、風呂などを避ける習慣があったことから、翌2日は、1年で最初に火や水を使う“火水(ひめ)はじめ”の日とされていました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、王制時代のアフガニスタンで作られた年末年始のグリーティング絵葉書(クリスマス+新年)で、放牧の羊を背景に、水を運ぶ民族服姿の女性が取り上げられています。葉書が作られた正確な年代は調べ切れていないのですが、この葉書に使われている写真をもとにした“女性の日”の切手が1964年1月5日に発行されていますので、それとほぼ同じ時期のものなのではないかと思います。 アフガニスタンは、1948年の世界人権宣言の原署名国の一つですが、同宣言への署名後も、パシュトゥーンワーリー(アフガニスタンの最大民族であるパシュトゥーン人の伝統的な“掟”)やイスラムの価値観・生活習慣が深く浸透していたため、女性が公の場で顔を出すことへの抵抗感が根強くありました。これに対して、そうした習慣は女性への人権侵害であり、世界人権宣言にも抵触するとの国際的な批判があったため、1959年8月、アフガニスタン政府は、女性のチャドル着用の義務を(法制度としては)完全に廃止します。 これを受けて、1961年以降、“女性の日”と題して、顔がはっきり見える女性を描く切手が発行されるようjになります。今回ご紹介の切手もその一例で、オーストリア国立印刷局がアフガニスタン郵政の依頼を受けて製造しました。当初は1963年に発行予定だったため切手の年号が1963年になっていますが、実際の発行は1964年の年明けまでずれ込んでいます。(ちなみに、1961年の“女性の日”の切手は、同年7月23日の発行です) なお、1964年には10月1日に『アフガニスタン王国憲法』(1964年憲法)が公布されましたが、この切手はその制定作業中に発行されており、アフガニスタン当局としては、“女性の権利”への配慮が盛り込まれた新憲法への国民の理解を促進すると同時に、アフガニスタン国民には(一定の範囲内で)女性の権利や信仰の自由が認められていることを国際的にアピールしようとする意図が込められていたと考えられます。 さて、現在、『アフガニスタン現代史(仮)』と題する書籍を刊行すべく、作業を進めています。なんとか旧年中に刊行したかったのですが、諸般の事情で作業が遅れて越年してしまい、申し訳ございません。近々、正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 1月10日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-12-24 Fri 03:03
クリスマス・イヴの日(厳密にいうと、“イヴ”は日没からなのですが…)になりました。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます。(画像はクリックで拡大されます)
これは、王制時代のアフガニスタンから米国宛に差し出されたクリスマス・カードで、雪の山岳地帯を進むラクダの隊商の写真が取り上げられています。ちなみに、裏面はこんな感じです。 アフガニスタンは標高の高い内陸国なので、毎年、12月から2月にかけての冬季には気温が氷点下に下がるところも多く、首都のカブールでも積雪があるほか、山岳地帯では豪雪も珍しくありません。今回ご紹介の葉書もそんなアフガニスタンの冬景色を取り上げたもので、あるいは、東方の三博士の故事をイメージしてラクダを取り上げたということなのかもしれません。 差出人は、米国のボランティア組織“平和部隊”の一員としてアフガニスタンに駐在していた人物で、その住所はカブールの米国大使館気付になっています。 平和部隊は、1961年、当時のケネディ政権が創設したもので、ボランティアの米国市民が3ヵ月の訓練の後、途上国で24ヶ月(延長可)の活動を行うもので、現地の政府、学校、NPOやNGOとともに教育、飢餓、ビジネス、IT、農業、環境といった諸問題に取り組むことで、技術的支援の提供、外国の人々が米国文化を理解する手助け、米国人が外国の文化を理解する手助けを行おうという者です。この活動が一定の成果を上げたことから、わが国でも、1965年、平和部隊に倣った“青年海外協力隊”が創設されました。 さて、現在、『アフガニスタン現代史(仮)』と題する書籍を刊行すべく、作業を進めています。なんとか年内に刊行したかったのですが、諸般の事情で作業が遅れ、実物ができあがるのは年明けになってしまい、申し訳ございません。近々、正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 12月27日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-12-10 Fri 10:03
きょう(10日)は、1948年に世界人権宣言が採択されたことにちなむ“世界人権デー”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1958年12月10日にアフガニスタンが発行した“世界人権宣言10周年”の記念切手で、地球を照らす人権のたいまつが描かれています。地球の図が発行国のアフガニスタンを中心としたものになっているので、わが国を含む太平洋沿岸部が影になっているのは、まぁ仕方がないでしょう。 1945年6月26日に採択された国連憲章の前文には、世界平和を維持するために人権を尊重することが定められていますが、人権の具体的内容についての規定はありませんでした。そこで、1946年6月21日、国連の経済社会理事会に設置された人権委員会により、国際的人権章典を制定するための実務作業が進められ、1948年12月10日、パリで開催された第3回国連総会で「世界人権宣言」が採択されました。 世界人権宣言は、人間の基本的自由の内容を具体的に示したもので、全文は30ヵ条からなっています。内容面では、市民的・政治的自由に重点が置かれていますが、社会的・経済的な権利についても、加盟各国が達成すべき最低基準を示すものとなっています。 なお、世界人権宣言の採択に際して、イスラム諸国の中では、サウジアラビアが、第16条の結婚の権利、および第18条の宗教変更の自由に同意できないとして棄権したほか、イエメンが採決を欠席していますが、アフガニスタンは賛成票を投じています。 1958年は、そうした世界人権宣言の採択10周年にあたっており、国連の人権委員会は、人権宣言を周知宣伝し、世界各国における基本的人権の保護を伸張させるため、各種の記念事業を行うことを決定。その中には、加盟各国が「(採択記念日の)1958年12月10日、国内において記念切手を発行し、特別消印を使用する」との一項も含まれており、ハマーショルド国連事務総長名で、各国に対して記念切手発行の要請が行われました。今回ご紹介の切手もこれに応えて発行されたものです。 さて、現在、『アフガニスタン現代史(仮)』と題する書籍を刊行すべく、作業を進めています。今後、正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 * 昨日(9日)、アクセスカウンターが244万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 12月13日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 三鷹市生涯学習センター 「宗教と国際政治」 2022年1月10~23日 国際紛争や諸外国のタイムリーな重大ニュースを取り上げ、その背後にある「宗教」をめぐる諸問題をじっくり解説する講座です。今回は、混迷続くアフガニスタンとその歴史に焦点を当ててお話します。お申し込みは12月11日(土)までで、ご応募多数の場合は抽選になります。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-11-20 Sat 04:37
きょう(20日)は、1959年11月20日に「児童の権利に関する宣言」が、1989年11月20日に「児童の権利に関する条約」が国連で採択されたことにちなむ“世界こどもの日”です。というわけで、子供を題材にした切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1950年5月28日にアフガニスタンが発行した“児童福祉基金”の切手で、アフガニスタンの少数民族、ハザーラ人の少年が描かれています。 ハザーラ人はアフガニスタンを中心に居住するモンゴル系の民族で、アフガニスタン国内の人口比では1割程度のマイノリティです。宗教的には、ハナフィー派(スンナ派4法学派のひとつ)が主流を占めるアフガニスタン国内では例外的に、シーア派が大半を占めています。 このため、アフガニスタン国内では歴史的にハザーラ人に対する差別や弾圧が繰り返されてきましたが、特に、1880年代のアマーヌッラー・ハーン時代の弾圧は苛烈で、ハザーラ人の約6割が国外に脱出するか、奴隷として売られたと推定されています。 また、1929年に即位したムハンマド・ナーディル・シャーは、1931年10月21日、アマーヌッラー・ハーン時代(1919-29)の『アフガニスタン政治の基本原則』(憲法に相当)の改正として新原則を施行しましたが、この新原則はハナフィー派を“国教”に準ずるものと位置付けていたため、ナーディル・シャーの意図とは無関係に、国民のシーア派差別ならびにシーア派信徒の多いハザーラ人差別を助長する結果をもたらしました。 ナーディル・シャー本人は、1931年10月に創設された常備軍の中核にハザーラ人を登用しており、ハザーラ人を排斥しようとは考えていなかったとみられていますが、権力闘争の過程でアマーヌッラー・ハーンの寵臣だったグラーム・ナビ・ハーンが粛清されると、その恩顧を受けていたハザーラ人学生のアブドゥル・ハーリクは、1933年11月8日、ネジャート高等学校の優秀生徒表彰式に出席したナーディル・シャーを暗殺しました。潜在的にハザーラ人差別が横行しているアフガニスタン社会において、ハザーラ人が“テロリスト”としてパシュトゥン人の国王を暗殺した事件のインパクトはきわめて大きく、それだけに、社会的な処罰感情もすさまじいものがあり、ハザーラ人に対する差別も増幅されていくことになりました。 ナーディル・シャーの死後、王位に就いたザーヒル・シャーは、ハザラ人に対する宥和政策を進め、その一環として今回ご紹介の切手を発行したわけですが、1996年にアフガニスタンのほぼ全土を実効支配に置いた第一次タリバン(ターリバーン)政権下ではハザーラ人に対する迫害が深刻化。今月13日には、首都・カブールのハザラ人居住区で、多くの市民を乗せた小型バスが爆発する事件も発生しています。 さて、現在、来月下旬を目標に、『アフガニスタン現代史(仮)』と題する書籍を刊行すべく、作業を進めています。今後、正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 11月22日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-11-18 Thu 02:13
きょう(18日)は11月の第3木曜日。いわずと知れたボジョレ(ボージョレ、ボジョレーとも)・ヌーヴォーの解禁日です。というわけで、毎年恒例、「ボジョレだけがワインじゃないよ」ということで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1961年にアフガニスタンが発行した赤十字切手で、アフガニスタンの特産品としてブドウが取り上げられています。 アフガニスタンの地は気候・土壌の両面からブドウの栽培に適しており、紀元前4世紀にはすでにワインが生産されていました。ムガール帝国初代皇帝のバーブル(在位1526-30)は、1504年にカブールを征服し、同地でワインの味を覚えたと伝えられており、彼の回想録『バーブル・ナーマ』には、カブールの北西29キロの村、イスターリフは「川の水は冷たく清浄で、その両脇にはブドウ園と果樹園がある」との記述があります。また、ムガール帝国の時代、アフガニスタンの地ではワイン生産が盛んに行われており、宮廷にはアフガニスタンの地から上質はワインが献上されていましたが、1722年、アフマド・シャーの興したドッラーニー朝がアフガニスタンを制圧すると、ワインの生産も禁止されました。 その後長らく、アフガニスタンではワインの生産は途絶えていましたが、第二次大戦後、国王ザーヒル・シャーの下でワイン生産が復活。1968年にはアフガニスタン国内のブドウ園は、ヘラート、カンダハール、カブールなどを中心に、北部の国境地帯の小規模なものを含めると、全土で6万ヘクタールにまで拡大しました。今回ご紹介の切手も、こうした背景の下、アフガニスタンのブドウをアピールする意図を込めて発行されたものです。 1978年の共産革命に始まる混乱でアフガニスタンのワイン生産も大きな打撃を受けましたが、1996年、タリバン(ターリバーン)が全土を制圧したことで生産は全面的に禁止され、ブドウ園の多くも破壊されました。2001年に第一次タリバン政権が崩壊した後も、アフガニスタン国内では法律による禁酒政策が続けられており、現在、国内で生産されたブドウは、生食用以外には、ジュースもしくは干しブドウに加工されているというのが建前です。 ただし、ことし8月に新共和国が崩壊するまでは、在留外国人を対象に酒類の販売・提供が例外的に認められていましたし、カブールおよびヘラートでは非合法の密造ワインが闇市場で販売されていたほか、北部の世俗主義軍閥、アブドゥッラシード・ドスタムの支配地域ではウズベキスタンからの酒の密輸が横行し、マザーリシャリフ市内では半ば公然と飲酒が行われていたとの報告もありますが、8月以降の現状については不明です。 さて、現在、来月下旬を目標に、アフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、作業を進めています。今後、正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 11月22日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-11-01 Mon 00:42
きょう(1日)は、“ワン(1)ワン(1)ワン(1)”の語呂合せで“犬の日”だそうです。というわけで、犬の切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1962年4月21日にアフガニスタンが発行したアフガン・ハウンドの切手です。 アフガン・ハウンドは、その名の通り、アフガニスタン原産の大型狩猟犬で、体高は63-73センチ、体重は23-27キロ。口吻が長く細面で腰が高く、全身が長く美しい毛で覆われているのが特徴です。毛色はさまざまで、ブラック、クリーム、レッドが中心ですが、フォーン(金色がかった茶色)やゴールデン、チンチラ、ホワイト、グレー、ブリンドル(基本の毛色に差し色あり)、白・黒・黄褐色のトライ・カラー(3色)などがあります。 ペルシャを原産とするサルーキが祖先と推測されていますが、古くから狩猟犬や護畜犬として利用され、アフガニスタンの山岳や砂漠地帯の気温差の激しい環境に順応するため、独特の長い被毛を持つようになったと考えられています。 古代の原始的な狩猟犬の姿を残し、現存する犬種の中でも最も古い犬として、旧約聖書の“ノアの方舟”に乗った犬との伝承もありますが、西洋社会に知られるようになったのは、アングロ・アフガン戦争を機に英国に持ち込まれてからのことで、19世紀末以降、その美しい容姿からショードッグとしての改良が重ねられ、世界の富裕層を中心に広く飼育されるようになりました。 特に、1907年に英国に持ち込まれた“ザルディン”はその優美な姿が同年のクリスタル・パレス・ショーで話題になった名犬として知られています。なお、現在のアフガン・ハウンドの祖となったのは、1920年代に英国で紹介された“ガズィーニ号”で、1926年にザ・ケネルクラブに登録されました。 さて、現在、11月中をめどにアフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、作業を進めています。その事前プロモーションとして、11月7日13時から、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館で開催の全国切手展<JAPEX2021>会場内にて、「アフガニスタン現代史」と題するトークイベントを行いますので、ぜひ、遊びに来ていただけると幸いです。(切手展の詳細はこちらをご覧ください) ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 11月1日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 全国切手展<JAPEX 2021> 於・都立産業貿易センター台東館 毎年恒例、全国切手展<JAPEX>ですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します 11月6日(土) 11:00~ 「切手でたどる郵便創業150年の歴史Vol.2 戦後編」 * 11月20日付で刊行の『切手でたどる郵便創業の歴史』第2巻の会場内先行販売を兼ねた出版記念イベントで、同書の内容の一部をご紹介します。 11月7日(日) 13:00~ 「アフガニスタン現代史」 * 12月上旬にえにし書房から刊行予定の「アフガニスタン近現代史(仮)」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。 両イベントとも、イベントそのものは事前予約不要・参加費無料ですが、会場の切手展へは入場料が必要です。切手展の詳細は、主催者サイトをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 |
2021-09-30 Thu 01:36
アフガニスタンを実効支配しているイスラム主義勢力タリバン(ターリバーン)は、28日、暫定政権による統治期間中の措置として、王制時代の1973年まで施行されていた旧憲法(『アフガニスタン王国憲法』)を、“(彼らの理解による)イスラム法の解釈に照らした修正”を施して復活させる方針を明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1965年9月11日にアフガニスタンが発行した『アフガニスタン王国憲法』(今回、タリバンが復活させるとした憲法)公布の記念切手で、中央の座っている人物が当時の国王、ザーヒル・シャーです。 アフガニスタンで憲法に相当する法典としては、1923年4月9日、国王アマーヌッラー・ハーンの近代化(西洋化)改革の一環として、イランの1906年憲法を参考に制定された『アフガニスタン政治の基本原則』(73ヶ条)が最初です。(以下、条文の邦訳などは、主として西修「世界の憲法制度概要 ⑵」から引用しました) 『基本原則』は、第1条で「アフガニスタンは、完全に自由かつ独立国であり、国の全土は(世襲の)国王陛下の権威のもとにある」、第5条で「国王はイスラムの守護者であり、またアフガニスタン全臣民の統治者である」として、イスラムを国教とする世襲の王制国家であることを規定したうえで、(国王を輔弼する機関としての国家評議会と接見会議(ダルバール)、疑似議会としての国民大会議(ロヤ・ジルガ)、内閣の設置が謳われ、西洋式の新刑法、民法、商法などを志向するための司法制度も整えられました。また、部族社会の伝統であった“血の代金(同害報復の代わりに、報復権を持つ被害者が加害者に対して賠償を行うこと)”は禁止され、部族の長や(国王以外の)王族の特権も原則として廃止されています。 その後、1927-28年に欧州諸国を歴訪した国王アマーヌッラー・ハーンは、さらなる近代化を進めるため、帰国後の1928年8月、ロヤ・ジルガで、『基本原則』の部分改正として、国王の輔弼機関である国家評議会を解散し、成人男性の直接普通選挙による下院を設立して代議制に移行することを表明。この改正案は承認されましたが、アマーヌッラー・ハーンが同時に提案した近代化路線(①男女共学、②男子20歳、女子18歳未満の結婚の禁止、③一夫多妻制の禁止、④女性の髪や体の線を隠す服装“チャードリー(チャドル)”の着用義務の廃止、⑤首都カブール市内での洋服の着用義務化など)に対しては、翌9月、国内の主だったイスラム法学者400人が国王に対して西洋化反対の陳情を行うなど、根強い反対論がありました。 こうした背景の下、1928年11月、ジャラーラーバードで、サカーウィーと呼ばれる武装集団の叛乱(バッチャ・イ・サカーウの乱)が発生。叛乱側は一時的に首都カブールを制圧し、アマーヌッラー・ハーンは退位に追い込まれたため、彼の提案した『基本原則』改革も頓挫してしまいました。 1929年、バッチャ・イ・サカーウの乱を鎮定して王位に就いたムハンマド・ナーディル・シャーは、体制立て直しのため、1931年、『基本原則』の改正に着手します。 1931年の改正『基本原則』は、旧原則をベースに、トルコ、イラン、フランスの各国憲法の要素とイスラム法を組み合わせた者でしたが、アマーヌッラー・ハーンの近代化改革が挫折したことを受けて、第5条で「国王陛下(ガージ・ムハンマド・ナジール・シャー・アフガン陛下)は、 独立したアフガニスタンの王位に即位するにあたり、アフガニスタンの代表者と貴族の面前で、聖なる預言者(彼の上に平和あれ)の聖法の解釈者たちの指示、ハナフィー派法学および「国の基本原則」に従って行政を行うこと、アフガニスタンの独立の保持を自己の最も重要な義務の一つとすること、国民と国に忠実であること、ならびに上述の約束を破らないことを公に約束した。それゆえ気高いアフガニスタン国民は、アフガニスタンの王位が国の発展を希求するこの国王の一族に伝えられること、および王位の継承は陛下とアフガニスタン国民の選任に従ってなされることに同意する」との条文が入れ、新原則が伝統的なイスラムの価値観を尊重する姿勢を示しています。その一方で、新原則の第76条では大臣の国民立法議会(一院制)に対して連帯責任を負うとの規定もおかれるなど、旧原則に比べて、国家の体制としては近代化が進んだ面もありました。 これに対して、第二次大戦後の1964年に公布された『アフガニスタン王国憲法』(前文、128条)は、アフガニスタンが立憲君主国であること、主権が国民にあること(第1条)、国王が国民統合の中心であること(第7条)、王族の政党への国政参加、首相や閣僚、国会議員、最高裁長官などへの就任禁止(24条)、政党条項(32条)、司法権の独立(97条)などを規定していました。その一方で、同憲法も、新旧の『基本原則』同様、政党結社の自由や言論報道の自由は認められていません。 その後、1973年の共和革命に伴う1977年2月の『アフガニスタン共和国憲法』、ソ連軍の撤退決定を受けての1987年11月の『アフガニスタン共和国憲法』などを経て、2001年の第一次タリバン政権崩壊を受けての2004年1月の『アフガニスタン・イスラム共和国憲法』が今年8月まで現行憲法として機能してきました。 なお、2004年憲法では、第1条で「アフガニスタンは、イスラム共和国であり、独立、単一かつ不可分の国家である」としたうえで、大統領を国家元首とする三権分立の体制であることが明記されています。また、国民の基本的人権として、表現の自由、通信の秘密、住居の不可侵、政党結成の自由、私有財産の不可侵、政府情報へのアクセス権、学士レベルまでの無償の教育、無償の医療措置、社会の基本的単位としての家族に対する国家の保護、殉教者・行方不明者の遺族・身体障害者への支援、外国人の権利の保障などが挙げられ、「何人も、この憲法に定められている権利および自由を濫用することは許されず、また独立、領土保全、国家主権ならびに国家の統合に反する行動をとることは許されない」(第59条)とされています。 また、「アフガニスタン市民のあいだで、いかなる種類の差別も禁じられる。アフガニスタン市民は、男女を問わず、法律の前で平等の権利と義務を有する」(第22条)として、(実態はともかく制度上は)上記の基本的人権は男女等しく尊重されることになっています。 今回、タリバンが復活させた『アフガニスタン王国憲法』では、2004年憲法に比べて、個人の権利をかなり制約していますが、タリバン側はさらに“(彼らの理解による)イスラム法の解釈”に照らして憲法を修正するとしていますので、さらに個人の(特に女性の)人権が制限されるか王制が高いとみられています。 さて、現在、11月中をめどにアフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、作業を進めています。このため、しばらくはこのブログでもアフガニスタン関連の話題が多くなるかと思いますが、お付き合いいただけると幸いです。なお、今後、拙著の正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 * きのう(29日)、アクセスカウンターが241万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 10月4日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です! 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-09-28 Tue 04:46
ニューヨークで開催中の国連総会一般討論演説で、最終日の27日(現地時間)に予定されていたアフガニスタンのグラーム・イサクザイ国連大使(国連常駐代表)の演説が、当日になって取り止めになりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1948年10月24日にアフガニスタンが発行した“国連デー(国連3周年)”の切手で、国連マークを中心に国王ザーヒル(ザヒル)・シャーとアフガニスタンの国章が描かれています。 アフガニスタンは国連の原加盟国ではありませんが、王制時代の1946年11月19日に国連に加盟しています。その後、1973年の共和革命後は共和国政府が、1978年のサウル革命後は人民民主党政権がアフガニスタンの代表権を継承しました。1989年のソ連軍撤退後、アフガニスタンは内戦状態に陥りますが、その後も1992年までは人民民主党政権が国連の代表権を維持し、1992年4月10日、国連の仲介によりイスラム暫定評議会の設立が正式に決定されると、暫定評議会を経て、1993年1月に発足したアフガニスタン・イスラム国が代表権を継承しました。 その後もアフガニスタン国内では内戦が続き、1996年9月にはタリバン(ターリバーン)がカブールを占領し、アフガニスタン・イスラム国の大統領だったラッバーニーもカーブルから脱出してアフガニスタン・イスラム国は事実上崩壊。タリバンが“(第1次)アフガニスタン・イスラム首長国”の成立を宣言したのに対して、反ターリバーン諸派は“アフガニスタン救国・民族イスラム統一戦線(北部同盟)”を結成します。これに対して、国際社会はタリバン政権を国家承認せず、“アフガニスタン・イスラム国”が指名した国連大使がそのままその地位にとどまっていました。 2001年12月、米軍のアフガン進攻によりタリバン政権が崩壊し、同年12月22日、米国の支援でアフガニスタン暫定行政機構が発足すると、2002年、国連の代表権は同機構に移り、2004年のアフガニスタン・イスラム共和国(新共和国)が発足すると国連の代表権も同共和国が継承します。 2021年8月15日、カブールが陥落して新共和国が崩壊し、タリバンが行政を事実上掌握。タリバンは、8月19日、(第2次)アフガニスタン・イスラム首長国の建国を宣言しましたが、同政権を国家承認している国はなく、現在も国連の代表権は(少なくとも制度上は)新共和国側にあります。 このため、新共和国時代にガニー政権から任命を受けていたイサクザイ国連大使は、9月15日付で国連に対して引き続き大使の職にとどまる意向を表明。一方、タリバン側は、今回の国連総会開会前日の9月20日付で、タリバン暫定政権のマウルヴィ・アミール・カーン・ムタキ外相代行が国連のアントニオ・グテーレス事務総長に書簡を送り、イサクザイ“前”大使はもはやアフガニスタン国家を代表していないので、暫定政権のスハイル・シャヒーン報道担当(ドーハ駐在)を新国連大使に任命するとしたうえで、同大使の国連総会での演説機会を要求。このため、アフガニスタンの代表権をめぐり、加盟国の代表を審査する信任状委員会で議論されることになっていました。 さて、現在、11月中をめどにアフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、作業を進めています。このため、しばらくはこのブログでもアフガニスタン関連の話題が多くなるかと思いますが、お付き合いいただけると幸いです。なお、今後、拙著の正式なタイトルや発売日、販売価格などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。 * 昨日(27日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は来週月曜日・10月4日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 10月4日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です! 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-09-24 Fri 06:53
科学技術振興機構とポーランド大使館は、同国出身のキュリー博士の名を冠した「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ・キュリー賞)」を創設。第1回受賞者は、日本国籍の女性で、来年(2022年)4月1日時点で大学院生(博士後期課程)か博士号取得後約5年以内に相当する研究者を対象に、ことし(2021年)10月1日から12月13日まで募集し、来年5月に最優秀賞(賞金50万円)1人、奨励賞(同25万円)2人を発表するそうです。というわけで、キュリー博士の切手は全世界から数多く発行されていますが、きょうはその中からこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1938年12月22日にアフガニスタンが発行した“癌征圧”の強制貼付切手のうち、実験中のピエールとマリー(マリア)のキュリー夫妻を描く15プル切手です。 1938年はキュリー夫妻によるラジウム発見(1898年)から40周年にあたっていたため、フランスおよび仏領では実験中の夫妻を描く“癌征圧”の寄附金つき切手をオムニバス形式で発行しました。アフガニスタンは仏領ではないのですが、カブールのアリアバード病院の運営資金を集める必要もあって、この機会に便乗する形で、フランス切手のデザインをほぼそのまま真似した強制貼付切手を発行しています。 アフガニスタンでは、1938年12月22日の発行日から同28日までの間に外国宛郵便物を差し出す場合、正規の郵便料金分の切手に加え、この切手を貼ることが義務付けられていました。外国宛の郵便物にしか貼られない切手なので、パシュトゥー語の表示はなく、上段には“ピエールおよびマリー・キュリーは1898年11月にラジウムを発見した”、下段には“癌に対する国際連帯”の文言がフランス語で入っています。この文言はフランスの切手と同じです。 一方、フランス本国・仏領の切手とのデザインの大きな違いとしては、夫妻の肖像の周囲が枠で囲まれていることと、その枠内の左下には、カニ(古代ギリシアの医師、ヒポクラテスが癌の幹部をカニにたとえたことから、癌のシンボルとされています)が描かれていることが挙げられます。原画作者はアブドゥル・ガフール・ハーンです。 さて、ことし8月にタリバンが全土を掌握して以来、アフガニスタンの話題がメディアでも盛んに取り上げられています。僕も、急遽、某社からの依頼を受け、11月中をめどにアフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、最近は“アフガン三昧”の日々を過ごしていますので、しばらくはアフガニスタン関連の話題が多くなるかもしれません。今後、拙著の正式なタイトルや発売日、ページ数や販売価格などが決まりましたら、このブログでもご案内していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 9月27日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です! 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-08-27 Fri 06:45
きのう(26日、現地時間)、アフガニスタンのカブール空港でタリバンと敵対する過激派組織“イスラム国(IS)”の戦闘員による自爆テロが発生し、少なくとも170人(うち米軍兵士13人)が死亡、200人(同18人)が負傷しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1964年にアフガニスタンが発行した航空切手で、当時のカブール国際空港が描かれています。 カブール国際空港は、1960年、ソ連の技術支援によってカブール北部に建設されました。1979年のソ連軍の侵攻後、親ソ政権の時代にはソ連軍およびアフガニスタン国軍との軍民共用となり、ソ連軍撤退後の内戦を経て、1996年9月にカブールしたタリバン(ターリバーン)は、同年11月までに空港の掌握を完了しています。ただし、タリバン政権の人権侵害に対する国際的な制裁もあって、1990年代末期には、ごく一部の例外を除いてカブール発着のフライトは事実上停止され、空港もほぼ閉鎖状態となりました。 2001年、米軍のアフガニスタン進攻時には空港も米軍の空爆で破壊されましたが、同年末、国連安保理決議に基く国際治安支援部隊(ISAF)が設立されるとその管理下に置かれ、国際社会の援助により、2005年にレーダーシステムが設置。2008年11月6日には日本の国際協力機構(JICA)の支援により、総工費3500万ドルをかけた新ターミナルビルが完成。翌2009年6月から営業を開始しました。なお、これに伴い、旧ターミナルは国内線用として使われることになりました。 2014年9月29日、ハーミド・カルザイ大統領が任期満了で退任すると、同年10月、アフガニスタン国民議会での決議を経て、空港名は“ハーミド・カルザイ国際空港”と改称されました。 2021年8月、タリバンがアフガニスタン各地を制圧していく中で、同12日、米国防総省のカービー報道官は米大使館職員を国外退避させるためカーブル国際空港に兵士3000人を直ちに派遣すると発表するとともに、アフガニスタンに滞在する米国民に対し即座に出国するよう要請。これを受けて、同15日、タリバンがカーブルを掌握した数時間後、米国務省のプライス報道官により、米大使館の外交官はヘリコプターなどで退去が完了し、米軍がカーブル国際空港周辺を確保したことが発表されました。 また、翌16日には、国外避難を希望する市民も空港に殺到したため、民間側の旅客機の出発は一時中止となり、米軍輸送機に人々がしがみつくのを阻止するため、米軍が空に向けて発砲。混乱の中、5人が死亡したと報じられています。また、、同日付で、タリバンにより旧アフガニスタン国軍と国家警察は解体され、NATOがその業務を当面代行することになり、翌17日から、国外に退避する市民向けの航空便の運行が再開されました。 ただし、空港周辺の治安状況は相当悪化しており、23日には、空港のゲート近くでアフガニスタン人の警備員に向かって何者かが発砲する事件も発生。米軍やドイツ軍なども巻き込んだ銃撃戦に発展し、警備員1人が死亡、3人が負傷しています。このため、現地の米大使館は、事件発生前日の25日、SNSなどに脅威情報を流し、カブールに残っている米国民に対して、具体的な内容は示さずに“安全上の脅威”があるとして、米政府から個別の指示があるまで空港のゲートには来ないように勧告するとともに、すでに空港ゲートに来ている人々にはただちにその場を離れるよう指示。英外務省も、空港に向かわないよう勧告していました。 さらに、26日には、英国のヒーピー国防担当閣外相が、アフガニスタンのカブール空港に集まった人に対して「過激派組織・ISが自爆攻撃を計画しているという“非常に信頼性の高い”情報が存在する」と明らかにし、オーストラリアもカブール空港から離れるよう勧告、ベルギーは攻撃の危険性があるとして退避活動を終わらせ、オランダ政府は、退避資格のある人を一部残したまま、同日で退避便の運航を終了する見通しを示していました。 謹んで、亡くなられた方の御冥福をお祈りしつつ、負傷者の方の御快癒をお祈りします。 * この記事を最初にアップした時点では、米国防総省の発表では、空港近くで国外退避の便を待つ米国人らが待機する場所として使われていたバロンホテルでもテロがあったされていましたが、後に、ホテルでの爆発はなかったと訂正発表がありましたので、それに合わせて記事内容を一部修正しました。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 8月30日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です! 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-08-19 Mon 03:26
英国の保護国だったアフガニスタンが1919年8月19日に独立を果たしてから100周年となりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1964年にアフガニスタンで発行された“独立記念日”の記念切手で、当時のアフガニスタン国旗が描かれています。 1837年、ヘラートの領有権をめぐり、ロシアの支援を受けたカージャール朝ペルシアがアフガニスタンを攻撃。このため、ロシアの南下を恐れる英国はアフガニスタンを支援することで対抗しようとしました。これに対して、カブール王として、現在のアフガニスタン国家の領域にほぼ相当する地域を支配していたドースト・ムハンマドは、ペシャワールをシーク教徒から奪回する聖戦への協力を英国に要求したものの、シーク教徒との結びつきを強めていた英国はこれを拒否しました。 このため、シーク教徒に対抗する必要からドースト・ムハンマドがロシアに接近すると、危機感を抱いた英国はアフガニスタンへの武力侵攻を決定し、1838年、いわゆるアングロ=アフガン戦争(第一次)が勃発します。 開戦当初、英軍は大勝を収め、カンダハル、ガズニを相次いで占領。首都のカブールも攻略して、ドースト・ムハンマドを追放し、サドーザイ氏族のシャー・シュジャーを擁立して傀儡政権を樹立しました。しかし、アフガニスタンの諸部族は、“異教徒との聖戦”を掲げて英国に激しく抵抗したため、1842年1月、英国はカブールからインドへ撤退。その途中、アフガン兵は雪で覆われた山道を撤退する英軍を追撃し、4500人の英印軍と1万2000人の民間人のうち、成人男女1人ずつと1人の子供を残して皆殺しにしました。さらに、同年4月には、シャー・シュジャーも暗殺され、ドースト・ムハンマドが君主の座に返り咲きます。 1863年にドースト・ムハンマドの後を継いだシェール・アリーの時代、ロシアが再び南下政策を進ねたため、シェール・アリーは英国に支援を要請しましたが、色好い返答が得られなかったため、1878年、ロシアと外交交渉を開始。すると、危機感を抱いた英国はアフガニスタンに侵攻し、1878年11月、第2次アングロ=アフガン戦争が勃発します。 その結果、シェール・アリーは失脚し、1879年1月に調印されたガンダマク条約により、アフガニスタンは英国の保護国となりました。しかし、英国に保護国化された後もアフガン人の抵抗は頑強で、1881年までに英軍はアフガニスタンからの完全撤退を余儀なくされました。 こうして、武力によるアフガニスタン支配が困難であることを悟った英国は、新たにアフガニスタンの君主となったアブドゥル・ラフマーン(ドースト・ムハンマドの孫)を支援してアフガニスタンの中央集権化を推進し、アフガニスタンをロシアに対する緩衝国として育成すべく方針を転換。英国の支援を受けたアブドゥル・ラフマーンは、1884年、念願の国内統一を達成し、1891年にはアフガニスタン王国の成立を宣言しました。 1914年に第一次大戦が勃発すると、国王ハビーブッラー(1901年に即位)は中立を宣言。これは、英露両国との戦争は不可能という現実的な判断と、同じムスリム国家としてオスマン帝国への攻撃は忍びないという妥協の産物でしたが、こうした現実的な外交姿勢は、国内反英民族主義者の反感を買うことになりました。その結果、大戦終結後の1919年、ハビーブッラーはジャララバード近郊で謎の死を遂げ、息子のアマーヌッラーが即位します。 そして、1919年5月、アマーヌッラーは、大戦後の英国の衰退とインドの混乱(インドでは、大戦への協力の代償として約束されていた戦後の独立が反故にされたことから、ガンディーによる反英運動が昂揚していました)に乗じてインドに侵攻。第三次アングロ=アフガン戦争(アフガニスタン独立戦争)が勃発します。 すでに大戦で疲弊していた英国はアフガニスタン支配の意欲を喪失していたこともあって、戦争は早期に終結。講和条約として1919年8月19日に結ばれたラーワルピンディー条約により、アフガニスタンの独立が国際的に承認されました。 今回ご紹介の切手は、ここから起算して45周年、1919年を初回とすると46回目の独立記念日に際して発行されたものですが、左上のパシュトー語の記念銘が、なぜか“独立33年”となっていたため、急遽、その部分を金色の加刷で塗りつぶしてから発行されています。 さて、アフガニスタン政府は、きょうの独立100周年に際して、再建されたダルラマン宮殿で記念式典を行う予定でしたが、おととい(17日)夜、式典会場近くで行われていた結婚式で、過激派組織イスラム国ことダーイシュ系の地元組織が自爆テロを行い、この記事を書いている時点で、63人が死亡、182人が負傷したため、式典は延期となりました。 亡くなられた方のご冥福と負傷者の方の一日も早い御快癒をお祈りしております。 ★★ 講座のご案内 ★★ 武蔵野大学生涯学習の秋講座で、以下の講座をやりますので、よろしくお願いします。(詳細は講座名をクリックしてご覧ください) ・2019年10月13日(日) 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 全7回) ・2019年10月31日 ー11月21日 (毎週木曜・4回) 切手と浮世絵 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2009-08-20 Thu 12:17
2001年のターリバーン(タリバン)政権崩壊後、5年ぶり2度目となるアフガニスタン大統領選挙の投票がはじまりました。といわけで、きょうはアフガニスタンといえば、やっぱりこれだろうという1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1951年にアフガニスタンが発行した20プル切手で、いまはなきバーミヤーン(バーミヤン)の大仏が取り上げられています。 バーミヤーンはカブールの北西約240 km、アフガニスタンのほぼ中央部に位置する都市で、西暦1世紀からバクトリアによって近郊に仏教の石窟寺院が開削され始めました。有名な大仏は5世紀から6世紀にかけて彫られたもので、周囲の壁画などから弥勒菩薩像と考えられています。また、630年にこの地を訪れた玄奘(いわゆる三蔵法師ですな)は、大仏が金色に光り輝き、僧院には数千人の僧が居住していたと記録しています。 その後、この地域はムスリムの支配下に入り、一部は略奪を受けたりもしましたが、多くの壁画は残され、19世紀以降、この地を探検した西洋人や日本人によって、その美術的価値が世界的に高く評価されるようになりました。しかし、2001年には、当時アフガニスタンを実効支配していたターリバーン政権の手により爆破され、現在では国際支援による修復作業が進められているのはご存じのとおりです。 なお、バーミヤーンの大仏を取り上げたマテリアルというのは、今回ご紹介の切手以外にもいろいろあるのですが、それらについては拙著『切手が語る仏像:意匠と歴史』でも取り上げていますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 異色の仏像ガイド決定版 全国書店・インターネット書店(アマゾン、bk1、7&Yなど)・切手商・ミュージアムショップ(切手の博物館・ていぱーく)などで好評発売中! 『切手が伝える仏像:意匠と歴史』 彩流社(2000円+税) 300点以上の切手を使って仏像をオールカラー・ビジュアル解説 仏像を観る愉しみを広げ、仏教の流れもよくわかる! |
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