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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ヴォドゥンの大祭
2021-01-10 Sun 01:30
 きょう(10日)は年に1度のヴォドゥン(ヴードゥー教)の大祭の日です。というわけで、毎年恒例、ヴォドゥンに関する切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます) 

      ベナン・蛇寺の洗礼

 これは、幼児の首にニシキヘビを巻き付けるヴォドゥンの儀式を取り上げたベナンの切手(1987年発行)です。

 西アフリカおよびカリブ海地域のアフリカ系黒人の間で広く信仰されているヴォドゥンは、ベナンの最大民族であるフォン人の言葉で“精霊”を意味する語です。

 もともと、ヴォドゥン信仰は、西アフリカにおける太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型だったと考えられており、ベナンのフォン人のみならず、ナイジェリアのヨルバ人、トーゴのミナ人・カブイェ人、トーゴおよびガーナのエウェ人などの間で広く信仰を集めていました。

 現在のベナン国家のルーツにあたる旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合する過程で、ヴォドゥンは“ヴードゥー”に転訛し、この名称が世界的に定着することになりました。

 なお、カリブのヴードゥーは、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させたもので、奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色です。このため、西アフリカの伝統的な精霊信仰とはやや趣を異にしていますが、一般には、両者を一括して “ヴードゥー”と呼ばれることも少なくありません。

 さて、フォン人の創世神話によると、世界の始まりの時、精霊の長とされるダンバラ・ウェドゥはヘビに姿を変え、そのとぐろで土を集めて人間に住む場所を与え、造物主を口にくわえてあちこちに運んで世界を創ったとされています。また、世界の陸地は3500段もある巨大なヘビのとぐろの最下段の内側にあり、その外側に海が、さらにその外側は球体が取り囲んでいるというのが、ヴォドゥンの伝統的な宇宙観です。

 こうしたこともあって、旧ダホメ王国では人々はヘビ、特に、アフリカニシキヘビは豊穣の象徴として信仰の対象とされ、歴代のダホメ王は重要な政治判断を下す際には、アフリカニシキヘビを用いた占いを行っていました。

 かつての奴隷貿易の拠点となった港町のウィダーは、そこから全世界にヴォドゥンが拡散していくことになった出発点として、現在では、ヴォドゥンの聖地とされています。市内のダンベウエ通りにあるダグン寺院は、境内に無数の蛇が飼育されているヘビ寺院として有名です。今回ご紹介の切手では、同寺院での宗教儀礼として、霊験あらたかなニシキヘビを幼児の首に巻き付け、そのご利益で子供の健やかな成長を祈る場面が描かれています。


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 出版社からのコメント
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 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は
 いかなる歴史をたどり、
 中国はどのように浸透していったのか

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 ヴォドゥンの大祭
2020-01-10 Fri 01:08
 きょう(10日)は年に1度のヴォドゥン(ヴードゥー教)の大祭の日です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・ダゲソゥ

 これは、ヴォドゥンの神々のうち、日と月の杖を持つ武神ダゲソゥのタペストリ―を取り上げたダホメ(現ベナン)の切手です。

 西アフリカおよびカリブ海地域のアフリカ系黒人の間で広く信仰されているヴォドゥンは、ベナンの最大民族であるフォン人の言葉で“精霊”を意味する言葉です。

 もともと、ヴォドゥン信仰は、西アフリカにおける太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型だったと考えられており、ベナンのフォン人のみならず、ナイジェリアのヨルバ人、トーゴのミナ人・カブイェ人、トーゴおよびガーナのエウェ人などの間で広く信仰を集めていました。

 現在のベナン国家のルーツにあたる旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合する過程で、ヴォドゥンは“ヴードゥー”に転訛し、この名称が世界的に定着することになりました。

 なお、カリブのヴードゥーは、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させたもので、奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色です。このため、西アフリカの伝統的な精霊信仰とはやや趣を異にしていますが、一般には、両者を一括して “ヴードゥー”と呼ばれることも少なくありません。

 ヴォドゥンの信仰や文化は、西アフリカの自然や生活の中から生まれたもので、統一的な教義や教典はなく、組織化された教団もないため、民族・地域により大きな差があります。また、いわゆる布教活動も行われていません。このため、日本の宗教法人法によればヴォドゥンは“宗教”に該当しないことになります。

 しかし、ヴォドゥンを国教に指定しているベナン以外にも、2003年にはハイチのカトリック大司教もヴードゥーを“宗教”として認知していますし、ヴォドゥンを宗教もしくはそれに準じる民間信仰と認定している国も数多くあります。なお、ヴォドゥンおよび類似の信仰を有している人口は全世界で5000万人以上と推定されており、その規模は約3000万人といわれるチベット仏教をはるかに凌駕していることは見逃してはならないでしょう。


★★ イベント等のご案内 ★★

 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名をクリックしてご覧ください。

第11回テーマティク研究会切手展

      JTPC展2020ポスター


 1月11-12日(土・日) 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き11回目の開催で、香港情勢が緊迫している折から、メインテーマを香港とし、内藤も「香港の歴史」のコレクションを出品しています。

 また、会期中の12日13:00からは、拙著『(シリーズ韓国現代史1953-1865)日韓基本条約』の刊行を記念したトークイベントも行います。

 展覧会・トークイベントともに入場無料・事前予約不要ですので、ぜひ、遊びに来てください。


・よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治
 毎月第1火曜日 15:30~17:00
 2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可)


★★  内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★

      日韓基本条約・表紙 本体2000円+税

 出版社からのコメント
 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す!
 丁寧に読むといろいろ々発見があります。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


★ 2020年はアウシュヴィッツ収容所解放75周年!★

       (増補改訂版)アウシュヴィッツの手紙・表紙 本体2500円+税
 
 出版社からのコメント
 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


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 ヴォドゥンの大祭
2019-01-10 Thu 00:50
 きょう(10日)は年に一度のヴォドゥン(ヴードゥー教)の大祭の日です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・グレレの印章

 これは、ヴォドゥンの信仰に基づくダホメ王グレレの印章を取り上げたダホメ(現ベナン)の切手です。

 西アフリカおよびカリブ海地域のアフリカ系黒人の間で広く信仰されているヴォドゥンは、もともと、ベナンの最大民族であるフォン人の言葉で“精霊”を意味する言葉です。

 もともと、ヴォドゥン信仰は、西アフリカにおける太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型だったと考えられており、ベナンのフォン人のみならず、ナイジェリアのヨルバ人、トーゴのミナ人・カブイェ人、トーゴおよびガーナのエウェ人などの間で広く信仰を集めていました。

 現在のベナン国家のルーツにあたる旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合する過程で、ヴォドゥンは“ヴードゥー”に転訛し、この名称が世界的に定着することになりました。

 なお、カリブのヴードゥーは、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させたもので、奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色です。このため、西アフリカの伝統的な精霊信仰とはやや趣を異にしていますが、一般には、両者は一括して “ヴードゥー”と呼ばれることも少なくありません。

 ヴォドゥンの信仰や文化は、西アフリカの自然や生活の中から生まれたもので、統一的な教義や教典はなく、組織化された教団もないため、民族・地域により大きな差があります。また、いわゆる布教活動も行われていません。このため、日本の宗教法人法によればヴォドゥンは“宗教”に該当しないことになります。

 しかし、ヴォドゥンを国教に指定しているベナン以外にも、2003年にはハイチのカトリック大司教もヴードゥーを“宗教”として認知していますし、ヴォドゥンを宗教もしくはそれに準じる民間信仰と認定している国も数多くあります。なお、ヴォドゥンおよび類似の信仰を有している人口は全世界で5000万人以上と推定されており、その規模は約3000万人といわれるチベット仏教をはるかに凌駕していることは見逃してはならないでしょう。

 さて、旧ダホメ王国の王には、それぞれ、ヴォドゥンの信仰を反映した印章が決められており、王の衣服などに使われていました。今回ご紹介の切手に取り上げられているのは、そのうちのダホメ王グレレ(在位1858-89)のもので、“ライオンと剣”がデザインされています。この印章に取り上げられた剣は、ヴォドゥンで鉄と火の神とされているグーから賜ったものとされており、王権の正統性の根拠とみなされていました。


★★ 昭和12年学会・第1回公開研究会 ★★

 1月19日(土)、14:00-17:30、東京・神保町のハロー貸会議室 神保町で、昭和12年学会の第1回公開研究会が開催されます。内藤は、チャンネルくららでおなじみの柏原竜一先生とともに登壇し、「昭和切手の発行」(仮題)としてお話しする予定です。

 参加費は、会員が1000円、非会員が3000円。皆様、よろしくお願いします。 


★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★

      表紙帯つき 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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★★★ 近刊予告! ★★★

 えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です!
 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。

      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 

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 ヴォドゥンの大祭
2017-01-10 Tue 11:43
 きょう(10日)は、年に一度のヴォドゥン(ブードゥー教)の大祭の日です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・ヘビエッソへの生贄

 これは、1988年にベナンで発行された切手で、ニワトリを屠り、ヴォドゥンの雷神、ヘビエッソに捧げる祭礼の場面が描かれています。

 西アフリカおよびカリブ海地域のアフリカ系黒人の間で広く信仰されているヴォドゥンは、もともと、ベナンの最大民族であるフォン人の言葉で“精霊”を意味する言葉です。

 もともと、ヴォドゥン信仰は、西アフリカにおける太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型だったと考えられており、ベナンのフォン人のみならず、ナイジェリアのヨルバ人、トーゴのミナ人・カブイェ人、トーゴおよびガーナのエウェ人などの間で広く信仰を集めていました。

 現在のベナン国家のルーツにあたる旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合する過程で、ヴォドゥンは“ヴードゥー”に転訛し、この名称が世界的に定着することになりました。

 なお、カリブのヴードゥーは、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させたもので、奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色です。このため、西アフリカの伝統的な精霊信仰とはやや趣を異にしていますが、一般には、両者は一括して “ヴードゥー”と呼ばれることも少なくありません。

 ヴォドゥンの信仰や文化は、西アフリカの自然や生活の中から生まれたもので、統一的な教義や教典はなく、組織化された教団もないため、民族・地域により大きな差があります。また、いわゆる布教活動も行われていません。このため、日本の宗教法人法によればヴォドゥンは“宗教”に該当しないことになります。

 しかし、ヴォドゥンを国教に指定しているベナン以外にも、2003年にはハイチのカトリック大司教もヴードゥーを“宗教”として認知していますし、ヴォドゥンを宗教もしくはそれに準じる民間信仰と認定している国も数多くあります。なお、ヴォドゥンおよび類似の信仰を有している人口は全世界で5000万人以上と推定されており、その規模は約3000万人といわれるチベット仏教をはるかに凌駕していることは見逃してはならないでしょう。

 今回ご紹介の切手の題材となっているヘビエッソは800にも及ぶヴォドゥンの神々のうち、最も多くの信者を集めている神の一つです。非業の死を遂げたジャンゴ(サンゴ、シャンゴとも)王はヘビエッソの化身だったとの信仰から、ジャンゴと呼ばれることもあります。そのシンボルは双頭の斧で(今回ご紹介の切手でも老人の背後、左側の壁には双頭の斧が描かれているのが見えます)、その霊力で、盗人の身体を雷で引き裂くとされています。

 ヴードゥーの多神崇拝は、欧米のキリスト教社会的な価値観では“邪教”であり、その独特の儀式や呪術は、ながらく、黒魔術と同一視されてきました。また、1960年にフランスから独立したダホメ共和国が西洋式の近代国家建設を目指して伝統文化を軽視したことに加え、1972-90年の社会主義政権時代(この間、1975年にベナン人民共和国に改称)には、ヴォドゥンの信仰と儀礼は“因習”として社会的に大きな圧迫を受けました。

 しかし、民主化後の1992年、伝統文化の再評価が進められると、ベナン国民の間に深く浸透しているヴォドンは国教に指定され、ヴォドゥンの大祭が行われる毎年1月10日は国民の祝日に指定されました。

 なお、ベナンでは、統計上は人口の42.8%がキリスト教徒、24.4%がムスリム、17.3%がヴォドゥンとなっていますが、キリスト教徒やムスリムの中にも、ヴードゥーの信仰を(部分的に)維持し、ヴードゥーの儀式に参加する場合も多いため、ヴードゥーの“信徒”の実数は統計よりもはるかに多いと推定されています。


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 世界の国々:ベナン
2016-11-29 Tue 11:54
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2016年11月23日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はベナンの特集(2回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・エグン

 これは、ヴォドゥンの大祭の日に死神“エグン”の扮装をする人を描いた1983年の切手です。

 西アフリカおよびカリブ海地域のアフリカ系黒人の間で広く信仰されているヴォドゥンは、もともと、ベナンの最大民族であるフォン人の言葉で“精霊”を意味する言葉です。

 もともと、ヴォドゥン信仰は、西アフリカにおける太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型だったと考えられており、ベナンのフォン人のみならず、ナイジェリアのヨルバ人、トーゴのミナ人・カブイェ人、トーゴおよびガーナのエウェ人などの間で広く信仰を集めていました。

 現在のベナン国家のルーツにあたる旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合する過程で、ヴォドゥンは“ヴードゥー”に転訛し、この名称が世界的に定着することになりました。

 なお、カリブのヴードゥーは、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させたもので、奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色です。このため、西アフリカの伝統的な精霊信仰とはやや趣を異にしていますが、一般には、両者は一括して “ヴードゥー”と呼ばれることも少なくありません。

 ヴォドゥンの信仰や文化は、西アフリカの自然や生活の中から生まれたもので、統一的な教義や教典はなく、組織化された教団もないため、民族・地域により大きな差があります。また、いわゆる布教活動も行われていません。このため、日本の宗教法人法によればヴォドゥンは“宗教”に該当しないことになります。

 しかし、ヴォドゥンを国教に指定しているベナン以外にも、2003年にはハイチのカトリック大司教もヴードゥーを“宗教”として認知していますし、ヴォドゥンを宗教もしくはそれに準じる民間信仰と認定している国も数多くあります。なお、ヴォドゥンおよび類似の信仰を有している人口は全世界で5000万人以上と推定されており、その規模は約3000万人といわれるチベット仏教をはるかに凌駕していることは見逃してはならないでしょう。

 さて、ヴォドゥンにはおよそ800もの神がいるとされているが、その中でも至高の存在とされているのが“マウ=リサ”です。

 マウ=リサは“ナナ=ブルク”と呼ばれる原初の神から生まれた女性神マウと男性神リサの双子の神で、創造の神として男女両性の特徴を備えており、今回ご紹介の切手に描かれたエグンを含め、ヴードゥーの神々はマウ=リサの子供、孫、子孫と考えられています。ただし、人々の信仰の対象は日常の事柄にかかわる個々の神々に集中しており、マウ=リサ自身が祭祀の対象になることはあまりありません。

 ヴードゥーの多神崇拝は、欧米のキリスト教社会的な価値観では“邪教”であり、その独特の儀式や呪術は、ながらく、黒魔術と同一視されてきました。また、1960年にフランスから独立したダホメ共和国が西洋式の近代国家建設を目指して伝統文化を軽視したことに加え、1972-90年の社会主義政権時代(この間、1975年にベナン人民共和国に改称)には、ヴォドゥンの信仰と儀礼は“因習”として社会的に大きな圧迫を受けました。

 しかし、民主化後の1992年、伝統文化の再評価が進められると、ベナン国民の間に深く浸透しているヴォドンは国教に指定され、ヴォドゥンの大祭が行われる毎年1月10日は国民の祝日に指定され、現在に至っています。

 なお、ベナンでは、統計上は人口の42.8%がキリスト教徒、24.4%がムスリム、17.3%がヴォドゥンとなっていますが、キリスト教徒やムスリムの中にも、ヴードゥーの信仰を(部分的に)維持し、ヴードゥーの儀式に参加する場合も多いため、実際には、ヴードゥーの“信徒”の実数は統計よりもはるかに多いと推定されています。

 さて、『世界の切手コレクション』11月23日号の「世界の国々」では、ベナンのヴォドゥンについてまとめた長文コラムのほか、旧ダホメ王国の事実上の最後の王・ベハンジン、世界遺産のアボメイの王宮群、国際汚職事件の舞台となった海底油田の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、ベナンの次は、22日に発売された11月30日号でのセントルシアの特集(2回目)になります。こちらについては、近々、このブログでもご紹介する予定です。


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 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

       リオデジャネイロ歴史紀行(東京新聞)


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 ヴォドゥンの大祭
2016-01-10 Sun 15:52
 きょう(10日)は、ヴォドゥン(ブードゥー教)の大祭の日です。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・ヘビ寺院

 これは、1963年、ダホメ(現ベナン)が発行した切手で、ダグン寺院の呪術医が描かれています。

 ヴォドゥンは、もともとは西アフリカのフォン人の言葉で“精霊”の意味で、太鼓を使った歌舞音曲や動物の生贄、シャーマンによる降霊などの儀式を伴う精霊信仰がその原型です。

 旧ダホメ王国は奴隷貿易を行っていましたが、その支配下からカリブ海地域へ送られたフォン人伝来の精霊信仰がカトリックと習合して成立したのが現在のヴォドゥンで、ハイチのマルーン(プランテーションからの逃亡奴隷)の指導者であったフランソワ・マッカンダルが発展させました。奴隷の信仰として、白人による弾圧を逃れる必要から、伝統的な精霊信仰に聖母マリアなどのキリスト教の聖人崇敬を組み込んでいるのが一つの特色となっています。

 今回ご紹介の切手のダグン寺院の所在地であるウィダーは、ベナン南部、大西洋に面した港町で、かつての奴隷貿易の拠点として、ここからヴォドゥンが世界各地に拡大したことから、ヴォドゥンの聖地とされており、毎年、多くの信徒が巡礼に訪れます。ダグン寺院はヘビを信仰の対象として祀っており、境内には無数の蛇が飼育されていますが、ヴォドゥンでは、ヘビは精霊の長とされるダンバラ・ウェドゥの化身とされているほか、旧約聖書に登場するモーセの奇跡で用いられている杖は蛇が長く伸びて固まったものと考えられています。

 1972年に発足したマチュー・ケレク政権(第1期)は、ベナン人民革命党の一党独裁による社会主義路線を推進したため、ヴォドゥンは冷遇されていましたが、民主化後の1992年、当時のソグロ政権が「(国境である)ヴォドゥンの権威を保ち、繁栄を願う」ためとして、1月10日の大祭を開催しました。以後、毎年、この日にはヴォドゥンの大祭が行われるようになり、今年の大祭で25回目の節目を迎えたということになります。


 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第7回テーマティク出品者の会切手展 1月17-20日(日ー水。ただし、18日は休館)
 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年の香港展に出品した香港の歴史のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。

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 アマゾネス
2015-12-04 Fri 11:47
 米国のカーター国防長官は、3日、米軍のすべての戦闘任務で女性の着任を認めると発表しました。これにより、現在は男性兵士のみで占められている歩兵部隊や機甲部隊、偵察部隊、一部の特殊部隊など戦闘任務にあたる部隊(計22万人)で、“適性があり基準に達している”女性の配属が認められ、米軍における性別の壁が完全に取り払われることになります。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・アマゾネス

 これは、1986年にベナンで発行された旧ダホメ王国(現在のベナン共和国の地域を領土としていた国家)の女性戦士軍団アマゾンの兵士を描いた切手です。

 1650年頃に建国された同国は、当初、政治的・軍事的に隣国のオヨ王国に臣従していましたが、奴隷貿易で実力を蓄え、1818年、ゲゾ王の下で自立を果たします。ゲゾは、奴隷貿易に力を入れつつ、奴隷廃止という世界の趨勢に対応すべくギニアアブラヤシの生産に力を入れてパーム油の輸出を奨励。その富によって、富国強兵政策を推進し、王国の絶頂期を築きましたが、その象徴的とされたのが、盛況を誇った女性戦士の軍団“アマゾン”です。

 アマゾンは、もともと、ギリシャ神話に登場する女性のみの狩猟民族で、弓のほか、槍や斧、スキタイ風の半月型の盾で武装し、多くの戦闘で勇猛に戦った武勇伝が数多く残されています。神話によれば、彼女たちは、子を産むときは他部族の男性の元に出向いて交わり、男児が生まれた場合は、殺害もしくは国外追放、障害を負わせて奴隷としたり、父親に引き渡したりするなどして、女児のみを後継者として育てたされています。また、弓を引くため右の乳房を切り落としたとの伝説もあります。今回ご紹介の切手に取り上げられた女性兵士の軍団名アマゾンもこの神話にちなんで命名されたもので、ダホメ王国の戦闘で大いに活躍しました。

 さて、19世紀後半、西アフリカの植民地化を進めていたフランスは、1851年、“奴隷海岸”進出の足掛かりとしてダホメと友好条約を締結していました。しかし、1889年、フランスの影響下にあったウエメの村がダホメの攻撃を受けると、フランスはダホメに宣戦布告。アマゾネス軍団を撃破し、ポルト・ノヴォを保護領とし、コトヌーの関税権を獲得します。さらに、1892-94年には再び戦争を仕掛けてダホメ全域を制圧。ダホメ王ベハンジンは退位を強制され、フランスは王族のアゴリ・バボを新ダホメ王として擁立し、彼に保護領条約を結ばせて、植民地化を完成させています。


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 世界の国々:ベナン
2014-12-17 Wed 10:56
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2014年12月17日号が、先週、刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はアフリカのベナンにフォーカスを当てました。その記事の中から、こんな切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン・ミッテランのベナン訪問

 これは、1983年にベナンで発行されたミッテラン訪問の記念切手で、ミッテランと握手する大統領のケレクが取り上げられています。

 1960年にフランスから独立した当時のダホメー政界は、バリバ人のユベール・マガ率いるダホメー民主連合と、ヨルバ人のスル・ミガン・アピティ率いるダホメ共和党、フォン人のジャスティン・アホマデグベ率いるダホメー民主同盟の主要3党の勢力が拮抗しており、大統領に就任したマガの政権基盤は脆弱で国家建設も進まず、経済は低迷していました。

 このため、1963年10月、軍参謀長のクリストファ・ソグロがクーデターを敢行し、マガ政権を打倒。以後、マガ、アピティ、アホマデグベの3者に軍を加えた4大勢力による政争が繰り返され、1972年まで、計5回のクーデターが発生する混乱が続きます。

 これに対して、1972年10月、陸軍少佐のマチュー・ケレクが軍事クーデターを敢行。マガ、アオマテベ、アピティの大統領経験者による政権たらいまわしの源となっていた大統領協議会を打倒し、自ら大統領に就任しました。

 ケレク政権は、1975年11月、“ダホメー”は国土南部の限られた地域の呼称であり、北西部のアタコラや、北東部のボルグを含む国土全体を示すには不適切であるとして、国名を“ベナン人民共和国”に改称。また、ケレクは一党独裁の政権党としてベナン人民革命党を組織して反対派を弾圧し、大企業の国営化などの社会主義政策を進めたが結果的に経済建設に失敗し、国民生活は貧困から抜け出せなませんでした。

 このため、ケレク政権は1980年代以降、西側諸国にも接近するとともに、1990年には国民の民主化要求を容れて複数政党制を認め、国民議会を招集しました。これに伴い、1990年3月1日、社会主義路線は正式に放棄され、国名も現在のベナン共和国に改められました。

 翌1991年、ケレクは民主化後の初大統領選挙に出馬したものの落選。しかし、1996年の大統領選挙では復活当選を果たし、2006年までの2期10年の任期を務め、市場経済化の推進やアフリカ諸国へのPKO部隊の派遣などの現実的な政策を進め、現大統領のヤイ・ボニへの平和的な政権移行を実現し、民主化を定着させて引退しています。
 
 さて、『世界の切手コレクション』12月17日号の「世界の国々」では、仏領時代から現在にいたるまでのダホメーおよびベナンの歴史についての概説のほか、ハイチ独立の英雄となったルーヴェルテュール、プラハのカレル橋、チェコとスロヴァキアの分離、ボヘミア・グラス、ヴィダーの蛇寺院、アフリカ最大の水上都市・ガンヴィエの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の12月24日号では、「世界の国々」はセントヴィンセント・グレナディーンを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。

 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 毎週水曜日、インターネット放送・チャンネルくららにて、内藤がレギュラー出演する番組「切手で辿る韓国現代史」が配信されています。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は1月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 ベナン独立50年
2010-08-01 Sun 22:11
 西アフリカのベナンが1960年8月1日にダホメーとして独立してから、きょうでちょうど50年です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ベナン加刷

 これは、1892年、フランスの植民地共通切手に“BENIN”の文字を加刷して発行されたもので、現在のベナンの領域で発行された切手としては最初の1枚となります。

 ベナンはベニン湾に面した西アフリカの国で、南北に長く、西にトーゴ、北西にブルキナファソ、北東にニジェール、東にナイジェリアと接しています。なお、“BENIN”を英語読みないしはローマ字読みすればベニンとなりますが、フランス語読みにするとベナンとなります。メディアでの日本語のカナ表記が揺れているようにも思いますが、湾の名前は最大の港湾都市がナイジェリア(旧英領)のラゴスなので英語読み、国名は国の公用語がフランス語なのでフランス語読み、ということなのかもしれません。

 もともと、現在のベナンの領域ではベナンやダホメーなどの土着の君主国が奴隷貿易を行っていました。ナイジェリア、ベナン、トーゴ、ガーナの沿岸はかつて“奴隷海岸”と呼ばれていましたが、これが現在のベナン海岸にほぼ相当しており、往時の奴隷貿易の繁栄がしのばれます。

 19世紀後半、西アフリカに進出したフランスは、まず、ベナン王国を支配下におさめ、1892年、今回ご紹介の加刷切手を発行します。ついで、ダホメー王国を征服し、1894年、旧ベナン王国と旧ダホメー王国を統合して仏領ダホメー(フランス語風の読み方だと“ダオメー”となります)を創設。翌1895年に発足した仏領西アフリカの一部としました。

 仏領ダホメーは1958年12月4日に自治共和国となり、1960年にダホメー共和国として独立します。独立後はクーデターが頻発し、1972年、5度目の政変で成立したマチュー・ケレク政権は、社会主義路線を採択して、1975年11月、国名をベナン人民共和国に改称しました。これは、ダホメーが国土南部の限られた地域を指す名称であり、北西部のアタコラ県や、北東部のボルグを示すのには不十分だったため、ダホメーが面していたベニン湾の名前をフランス語読みして国名にしたというものです。その後、東西冷戦の終結とともに社会主義体制は崩壊し、1990年、現在のベナン共和国となりました。

 さて、今年はアフリカ諸国の独立が相次ぎ、“アフリカの年”と呼ばれた1960年からちょうど半世紀にあたります。この年、独立したアフリカ諸国は、①ソマリランド(のちソマリアに統合)、②ソマリア、③モーリタニア、④チャド、⑤ニジェール、⑥マリ連邦(のちセネガルとマリ共和国に分裂)、⑦セネガル、⑧マリ、⑨コートジボワール、⑩オートボルタ(現ブルキナファソ)、⑪トーゴ、⑫ダホメー(現ベナン)、⑬ナイジェリア、⑭カメルーン、⑮中央アフリカ共和国、⑯コンゴ(コンゴ・レオポルドヴィル、現コンゴ民主共和国)⑰コンゴ(コンゴ・ブラザヴィル、現コンゴ共和国)の17ヵ国ありますが、いずれも、こういう機会でもないとなかなか取り上げづらい国ではありますな。

 このうち、いままで、このブログで取り上げたことのあるのは、今回のベナンを含め、ソマリアモーリタニアニジェールマリ(マリ連邦を含む)トーゴナイジェリアカメルーン中央アフリカ共和国コンゴ民主共和国なので、まだ、ソマリランド、チャド、セネガル、コートジボワール、ブルキナファソ、コンゴ共和国が残っています。かなり、いろんな国を取り上げて来たつもりですが、まだまだ漏れも多いですね。なんとか、年内に理屈をつけて取り上げたいところです。

 
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 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。

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* 2010年7月に頂戴した拍手の数の多かった記事のベスト3は以下のとおりです。ありがとうございました。
 1位(33票):目隠しで居座り
 2位(28票):“漢江の奇跡”の原資
 3位(12票):軽井沢の鳩山邸

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