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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 蛇の文化史⑥
2024-10-05 Sat 08:53
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、雑誌『キュリオマガジン』2024年9月号が発行されました。僕の連載「蛇の文化史」は、今回は、医学のシンボルとしての“アスクレピオスの杖”について話題にしましたが、その記事の中で取り上げた切手の中からこの1枚をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

     ギリシャ・第五回欧州循環器学会議

 これは、1968年9月8日、ギリシャが発行した“第5回欧州循環器学会議”の記念切手で、アスクレピオスの杖が見える古代彫刻の断片が描かれています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。
 
 * 昨日(4日)のニッポンジャーナルの内藤出演回は無事に終了しました。次回は10月8日(火)に登場の予定です。引き続きよろしくお願いします。

★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 10月8日(火) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 10月11日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 10月27日(日) 13:30~  アメリカ大統領選挙~より理解するために
 よみうりカルチャー荻窪にて、アメリカ大統領選挙をより理解するための基礎知識と最新情報を交え解説します。詳細はこちらをご覧ください。

 11月3日(日) 14:00~ 正しい多文化共生セミナー 
 TKP新橋汐留ビジネスセンターにて、救国シンクタンク主催の第8回セミナーとして、埼玉県南部の川口市を中心とした“クルド人問題”を中心に内藤がお話しします。お申込みなどの詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★

      切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード

 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 オリンピックデー
2024-06-23 Sun 10:29
 きょう(23日)は、いまから130年前の1894年6月23日、ピエール・ド・クーベルタンの提唱により、オリンピック復興が決定し、国際オリンピック委員会 (IOC) が創設したことにちなむ“オリンピックデー”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・1896五輪20レプタ

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪の開催に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、“アテナイの女神を描く花瓶”を描く20レプタ切手です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 なお、この切手を含む1896年のアテネ五輪の切手については、拙著『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』でも“世界最初のオリンピック切手”として取り上げております。同書を含め、日本郵趣出版から刊行の拙著につきましては、内藤総研の会員の皆様(無料登録会員を含む)を対象に、こちらでサイン本の販売を行っておりますので、ぜひご登録の上、ご利用いただけると幸いです。


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 6月26日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 6月28日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 7月4日(木) 19:00~ 日本ウイグル協会・追悼集会
 東京・四谷のTKPスター貸会議室 四谷2にて開催の緊急特別講演会「7.5ウルムチ虐殺から15年、中国のウイグル政策がどこへ向かうのか」(日本ウイグル協会主催)にて、「ウルムチ虐殺以降の中国のウイグル政策がどこに向かっているのか」と題して、内藤がお話します。参加無料。お申し込みなどの詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

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 エドワード7世の郵便学⑤
2023-04-28 Fri 02:09
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、雑誌『キュリオマガジン』2023年4月号が発行されました。僕の連載「エドワード7世の郵便学」は、今回は、皇太子時代のエドワード7世のギリシャ訪問の話を中心に取り上げましたが、その記事の中からこの1枚をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・イオニア諸島領有75年

 これは、1939年5月21日にギリシャが発行した“イオニア諸島併合75周年”の記念切手のうち、1864年の併合当時のイオニア諸島切手のヴィクトリア女王の肖像と、当時のギリシャ国王でエドワード7世の義弟、ゲオルギオス1世の肖像が並べて描かれています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。
 

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 4月28日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門
 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。
 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
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 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。
 
 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 

★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★

      現代日中関係史2

 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 エルギン・マーブルの返還をめぐり英希が秘密協議
2022-12-04 Sun 11:56
 12月3日付のギリシャ紙『タネア』は、19世紀に英国の外交官、第7代エルギン伯トマス・ブルースがパルテノン神殿から削り取って英国に持ち出し、現在は大英博物館に展示されている“エルギン・マーブル(パルテノン・マーブルとも)”について、11月下旬、ギリシャ政府と大英博物館の間で”秘密協議”が行われていたと報じました。これに対して、大英博物館も12月3日付の声明で、ギリシャ側との「新たなパートナー関係」を望むとしつつ、「素晴らしい収蔵品を手放すことはない」としています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・エルギンマーブル・シート(1984)

 これは、1984年3月15日、ギリシャが発行した“パルテノンの至宝”の切手のうち、エルギンマーブル(の一部)を取り上げた切手シートです。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 12月9日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 12月24日(土) 13:00~  大英帝国のクリスマス
 英国は、1840年に世界で最初に郵便切手を発行した国で、かつて”日の沈まぬ国”と呼ばれたその広大な領土では、ヴィクトリア女王からエリザベス女王に至るまで、歴代の国王の切手を貼った郵便物が縦横無尽に往来していました。今回は、クリスマスに関する切手・郵便物をピックアップし、それぞれの時代の英国・英領の歴史や社会を読み解きます。お申込などの詳細はこちらをご覧ください。

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 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

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 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 


★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★

      現代日中関係史表_第1部

 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 

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 ギリシャ東部の島で“コロナフリー”宣言
2021-03-02 Tue 03:55
 ギリシャ最東部に位置するカステロリゾ島(メギスティ島)が、2月末までに住民の約8割が新型コロナウイルスワクチンの2度の接種を終えたとして“コロナフリー”を宣言しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      フランス・カステロリゾ加刷(種まき)

 これは、1920年6月22日、フランス占領下のカステロリゾ島で、フランス本国の種まき切手に“O.N.F./ Castellorizo”と加刷して発行された切手です。

 アナトリア半島のトルコ沿岸から3キロの地点に位置するカストロリゾ島は、1512年以降、オスマン帝国の支配下に置かれ、オスマン帝国の切手が使用されていましたが、第一次大戦が勃発すると、1915年12月24日、フランス海軍が上陸し、フランスの占領に置かれます。

 カステロリゾ島を占領したフランスは同島に郵便局を設置し、本国の切手とオスマン帝国内のフランス局で使用していたレバント切手を持ちこみ、使用させました。無加刷切手は“占領軍”を意味する“CORPS D'OCCUPATION”の文字と錨のマークが入った印で抹消され、同島から差し出された郵便物はポートサイドのフランス軍基地を経由して各地に運ばれました。

 1918年にオスマン帝国が降伏した後もフランス軍はカステロリゾ島への駐留を続けていましたが、1920年6月、それまでの無加刷切手に代わり、加刷切手を使用することが決定され、“フランス海軍占領 カステロリゾ島”を意味する“O.N.F.(= Occupation Navale Française )/ Castellorizo”と加刷された切手が発行され、次いで、“フランス海軍基地 カステロリゾ島”を意味する“B.N.F.(= Base Navale Française)/ Castellorizo”加刷および“フランス占領 カステロリゾ島”を意味する “OF/ Castellorizo”加刷の切手が短期間のうちに発行されました。

 1920年8月10日、オスマン帝国と連合国との講和条約としてセーヴル条約が結ばれると、カストロリゾ島はイタリア領とされ、1921年3月1日にイタリア軍が上陸。1922年以降、イタリア切手に“CASTELROSSO”と加刷した切手の使用が開始されます。

 第二次大戦中の1943年9月8日、イタリアが連合国に降伏するとカストロリゾ島は連合国の占領下に置かれ、1947年のパリ講和条約を経て、1948年3月7日付で正式にギリシャ領に編入され、現在にいたっています。


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 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】
 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は
 いかなる歴史をたどり、
 中国はどのように浸透していったのか

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 きょうからJTPC展です
2021-02-13 Sat 01:16
 きょう(13日)から21日(日)まで、第12回テーマティク研究会(JTPC:Japan Thematic Philatelists Club)の切手展が開催されます。例年、東京・目白の切手の博物館を会場として開催される同展ですが、ことしは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEB上でコレクションを閲覧できる「オンライン切手展」として開催いたします。(展示はこちらをクリックしてご覧ください。)

     テーマティク研究会小型印(2021)

 今回は、五輪開催年ということで、犬飼英明さんの「オリンピックと日本」をメイン展示とするとともに、犬飼さんのご尽力で、上の画像のような小型印を郵頼のみの受付で使用することになりました。すでに、郵頼の申し込みは締め切っているのですが、記録として、このブログでも画像をご紹介しておきます。ちなみに、小型印のデザインは、1896年に発行されたアテネ五輪の切手のうち、レスリングを描いた下の切手のイメージしたものです。

      ギリシャ・五輪(1896・1レプトン)

 1896年のアテネ五輪の切手は、大会の開催資金を捻出するために12種セットで発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられました。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されています。

 切手は、エミール・ジリエロンが古代オリンピックをイメージした原画を制作し、フランス政府印刷局で製造されました。12種のデザインの内訳は、レスリング(1レプトン:上の切手および2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。
   
 さて、JTPCは、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回は、僕自身は出品できなかったのですが、展示内容はいずれも力作ぞろいで、オンライン開催ならではの特性として、会期中は時間無制限でじっくりと作品をご覧いただけます。ぜひ、こちらをクリックしてご覧いただけると幸いです。


★★ テーマティク切手展、開催中! ★★

      テーマティク研究会ポスター2021

 2021年2月13-21日(土~日)

 テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。

 通常は東京・目白の切手の博物館を会場として開催しておりますが、ことしは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEB上でコレクションを閲覧できる「オンライン切手展」となりました。ぜひ、こちらをクリックしてご覧ください。


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 出版社からのコメント
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 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は
 いかなる歴史をたどり、
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 “レズビアン”の由来となった島
2017-06-13 Tue 11:42
 きのう(12日)、エーゲ海北東のレスボス島プロマリの南11キロ、深さ約10キロを震源とするM6.3の地震が発生し、住宅が損壊・倒壊するなどの被害が出たほか、現在判明している時点で、同島の女性1人が亡くなったほか、10人が負傷したそうです。というわけで、亡くなられた方々の御冥福と負傷された方々の一日も早い御快癒をお祈りしつつ、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・レスボス島

 これは、1912年末、レスボス島を占領したギリシャが発行した暫定加刷切手です

 レスボス島は、1462年、メフメト2世統治下のオスマン帝国に占領されて以来、約450年間に渡ってその支配下にありましたが、1912年の第一次バルカン戦争でギリシャが占領し、ギリシャ領に編入しました。レスボス島を占領したギリシャ軍は、島で使われていたオスマン帝国の切手を接収し、地元の新聞印刷所で“ギリシャ占領ミティリニ(ミティリニはレスボス島の中心都市)”を意味するギリシャ語の“Ελληνική Κατοχή Μυτιλήνης”と加刷した切手を発行しました。ただし、当時のミティリニではギリシャ通貨のドラクマは流通していなかったため、切手は、従来通り、トルコ通貨のピアストル額面で販売されています。

 さて、レスボス島といえば、紀元前7世紀末から紀元前6世紀初にかけて活動した古代ギリシャの女流詩人、サッフォーの出身地として知られています。彼女は、自らが選んだ若い娘しか入れない“学校”をレスボス島に作るとともに、様々な女性に対する愛の詩を多く残したため、生前から女性の同性愛と結び付けて語られてきました。このため、彼女の出身地である“レスボス島の”を意味する英語の形容詞、“lesbian”やそこから派生した“Lesbianism”は、女性の同性愛を意味する言葉(日本語でいう“レズビアン”)として、20世紀以降、世界各国に広まります。

 この結果、レスボス島、特にサッフォーの出身地であるエレソスは女性同性愛者の間では“聖地”として観光地になりましたが、その反面、地元ではそうした観光客を歓迎しない人も大勢います。このため、現在では、レスボス島の名に変えて、中心都市ミティリニにちなむ“ミティリニ島”の呼称を使い地元住民も多いのだとか。今回ご紹介の切手の地名表記にも、あるいは、そうした意識が働いたのかも知れません。

 自分たちの出身地または居住地が性的な用語と結び付けて語られれば、それに不快感を持つ人が多いのも当然のことで、2008年、レスボス島民を中心とするグループは、ギリシャ国内のLGBT団体、“ギリシャ・ゲイ・レズビアン連合(OLKE)”を相手どり、団体名から“lesbian”の語を削除することを求める訴訟をアテネの裁判所に起こしました。ところが、これに対して、裁判所は「島民たちがこの名称によって侮辱されたと感じる理由はない」として訴えを棄却。門前払いを食らわせています。

 そういえば、日本でも、ソープランドに相当する施設はかつて“トルコ風呂”と呼ばれていましたが、1984年、東京大学で地震学を学んでいたトルコ人留学生、ヌスレット・サンジャクリが、小池百合子(現東京都知事。当時は通訳・キャスター)に相談の上、厚生省(当時)に名称変更を訴え出たことが発端となり、同年12月19日、現在の名称“ソープランド”に改称されたということがありましたな。

 レスボス島の人たちからすれば、同島の出身者として “I am Lesbian.”と語ることが憚られるというのは、納得できなくて当然です。そうであれば、人権や反差別を主張する人たちこそ、“トルコ風呂”の先例に倣い、自ら率先して“レズビアン”やLGBTの語を使うのを止め、それに代わる用語を提案すべきだろうと思います。少なくとも、レスボス島民の苦悩に無頓着なまま、LGBTの権利のみを声高に主張し、挙句の果てに、自分たちの意見に賛同しない人たちを“差別主義者”と糾弾して回るような輩は、“人権”を隠れ蓑にした“差別の当たり屋”以外の何物でもなく、心の底から軽蔑するしかありませんな。
 
 
 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回 は15日! ★★★ 

 6月15日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第4回目が放送予定です。今回は、6月10日に開幕したばかりのアスタナ万博にちなんで、開催国のカザフスタンにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。

 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 きょうからオリンピックとブラジル切手展(+全日展)
2016-07-22 Fri 01:52
 かねてご案内の通り、きょう(22日)から、東京・錦糸町のすみだ産業会館8階で、オリンピックとブラジル切手展(全日本切手展2016=全日展と併催)がスタートします。また、本日11:05~11:54にNHK総合テレビで放送の「ひるまえほっと」(首都圏域放送)では、11:36頃からの“1minほっと”のコーナーで、同展のことが紹介される予定です。というわけで、きょうは、オリンピック関連の展示の目玉のひとつとして、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・アテネ五輪初日印

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪の開催に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、プラクシテレスの“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”を描く2ドラクマ切手の初日使用です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 1896年アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1および2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。

 プラクシテレスは紀元前4世紀の最も有名なアッティカの彫刻家で、初めて等身大の女性のヌード像を作った彫刻家として知られています。切手に取り上げられた“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”は、1877年にオリンピアで発見されました。彫刻は、ヘルメスがニュンペーたちのところにディオニューソスを運んでいる場面を表現したもので、神話の内容から、失われた右手は、子供(ディオニューソス)に与えるための一房のブドウを掲げていたものと推測されています。

 さて、今回展示されている市村正生貴コレクションは、1896年のアテネ五輪の切手では、きわめて完成度の高いコレクションとして知られています。展示には、今回ご紹介の初日印の押された切手のみならず、プルーフなどの試作品や貴重な使用例が多数含まれています。また、郵政博物館所蔵の東京オリンピック関連の切手原画もガラスケースで展示されています。ぜひ、この機会を逃さず、会場にてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 全日本切手展(+内藤陽介のトーク)のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
      
      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 会期中の7月23日15:00から、すみだ産業会館9階会議室にて「リオデジャネイロ歴史紀行」と題するトークイベントを行います。ぜひ、ご参加ください。


 ★★ 内藤陽介の最新刊  『リオデジャネイロ歴史紀行』  8月9日発売! ★★ 

       リオデジャネイロ歴史紀行(書影) 2700円+税

 【出版元より】
 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介
 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行!

 発売元の特設サイトはこちらです。


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 中国がピレウス港を買収
2016-04-10 Sun 15:45
 中国政府の管理下にある国有企業で中国海運最大手の中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)は、きのう(8日)、ギリシャ最大の港で地中海の要衝、ピレウス港を管理するピレウス港湾公社(OLP)の株式の67%を2段階に分け、計3億6850万ユーロ(約450億円)で取得する契約を正式に調印しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・ピレウス港50年

 これは、1980年にギリシャが発行したPPA50年の記念切手で、同港でのコンテナ埠頭が描かれています。

 ピレウスはアテネの外港で、古代ギリシャ時代から水深の深い3つの港があり、紀元前493年にはアテナイの海軍基地が建設されました。軍事・商業の両面で重要な港湾都市であったために、紀元前5世紀のアテナイとスパルタの戦い以来、幾度となく破壊されましたが、395年、ゴート族によって破壊されたことで、ながらく停滞の時期に入ります。

 1832年、近代ギリシャが独立し、首都がアテネに置かれると、首都に近いピレウスは再び脚光を浴びることになり、港湾都市としての再開発が始まり、1869年のアテネ=ピレウス鉄道開通、1893年のコリントス運河完成を経て、1898年、第1埠頭が完成。1904年には港への電力提供が始まり、1906年には第2埠頭が完成して、5350隻・325万トンの船舶処理能力を持つ近代的な港湾としての体裁が整えられました。

 ピレウス港の管理・運営については、1911年、15人からなるピレウス港湾委員会が設立され、同委員会の下で港湾施設の拡充が行われていましたが、1930年、同委員会はOLPに改組され、以後、同公社がピレウス港の管理・運営を行っていました。今回ご紹介の切手はここから起算して発行されたものです。

  2010年以来、深刻な経済状況が続いているギリシャは、現在、EUとIMFの支援を受けて財政再建中ですが、ピレウス港などの国有資産の民営化が支援実行の条件とされています。当初、チプラス政権は民営化に反対していましたが、現在では民営化推進姿勢に転じており、今回のOLP売却はその象徴的な出来事となりました。

 一方、中国側としては、ピレウス港の買収は、いわゆる“新シルクロード構想”にとって不可欠の事業であり、将来的には、中国海軍が欧州に進出する際の拠点として同港を利用することも視野に入れているといわれています。報道によれば、中国の外交関係者は「中国企業がピレウス港をうまく運営できれば、ほかの港を買収する際の抵抗が少なくなる」と話しているそうですが、ちょっと不気味な話ですな。


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 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

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       ペニーブラック表紙 2350円+税

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 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

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 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


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 近代五輪120年
2016-04-06 Wed 10:39
 1896年4月6日、ギリシャの首都・アテネで第1回近代五輪大会が開催されてから、きょうでちょうど120年です。というわけで、きょうはストレートにこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・アテネ五輪(1896-60レプタ)

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪の開催に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、戦車競技を描く60レプタ切手です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 1896年アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1及び2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“ヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。このうち、レスリングと円盤投げは第1回のアテネ大会以来、前回のロンドン大会まで欠かさず実施されてきましたが、今回ご紹介の切手に取り上げられた戦車競技は近代五輪では行われたことがありません。(当たり前か)

 古代五輪の戦車競技には、2頭立て(シノリス)と4頭立て(テトリッポス)の2種目がありましたが、切手に描かれているのはテトリッポスのほうです。オリンピアの丘の真下の川沿いに設けられた競技場では、長さ約549m の両端に急な折り返し点の標柱があるコースを12周するレースが行われました。折り返し地点での衝突・転覆事故が多く、危険な競技でしたが、それゆえ、多くの観客は熱狂したところは、現在のモーター・スポーツにも通じるところがあるともいわれています。


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 ギリシャ国立銀行最大の資産
2015-06-29 Mon 17:18
 2010年以来、深刻な経済状況が続いていたギリシャで、欧州連合(EU)側が金融支援再開の代わりに受け入れを迫っていた財政改革案をギリシャ政府が拒んだことから、ユーロ圏財務相会合は、ギリシャ側が求めていた6月末の金融支援の期限延期の要求を拒否。これを受けて、きょう(29日)から1週間、ギリシャでは銀行が休業となり、預金の引き出し制限などの資本規制が実施されることになりました。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ国立銀行

 これは、1966年、ギリシャで発行された“ギリシャ国立銀行125年”の記念切手のうち、アテネにある同行本店の建物を描いた4ドラクマ切手です。

 ギリシャ国立銀行は1841年創立のギリシャ最古の銀行で、ギリシャ農業銀行と並んで、同国最大の商業銀行の一つです。純然たる民間企業ですが、1928年に中央銀行としてのギリシャ銀行が創設されるまでは、紙幣の発行権も持っていました。

 切手に取り上げられている本店の建物は、もともとは、1840年代に建てられたドムナド・マンション(左側)とアギーラ・ホテル(右側)のふたつの建物に分れていました。1845年、銀行の創業者、ゲオルギウス・スタヴロウは、まず、ドムナド・マンションを購入して銀行の店舗として使用するために改修。さらに、1855年には、店舗を拡張するため、アギーラ・ホテルも購入しました。この二つの建物は構造が良く似ていたため、1899年、一つの建物として連結され、中央の接合部分には現在の銀行の“顔”ともなっているファサードが作られました。その優美な外観はアテネ市内の観光名所の一つともなっています。それだけに、2010年以降、「ギリシャ国立銀行の最大の資産は、いまや(金庫の中のお金ではなく)本店の建物だ」とも言われているのだそうですが、今回のような事態になると、ちょっと洒落になりませんな。
 

 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 

 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展チラシ  全日展チラシ(裏)

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。

 
 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 コロンビアに続いてギリシャ
2014-06-25 Wed 11:08
 今年もまた、朝鮮戦争の始まった“ユギオ(韓国語で625の意)”がやってきました。現在開催中のサッカーW杯は、日本はコロンビアに負けて決勝トーナメントへの進出は果たせませんでした。この結果、1次リーグC組からは日本戦以前に決勝進出を決めたコロンビアに続き、ギリシャが決勝に進むことになりました。というわけで、昨日のコロンビアの記事と平仄をあわせる意味で、きょうはギリシャの朝鮮戦争関連でこんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ国連軍宛カバー

 これは、朝鮮戦争末期の1953年5月6日、アテネから朝鮮半島に派遣されたギリシャ軍の兵士宛に差し出された軍事郵便のカバーです。

 朝鮮践祚の勃発後、国連の要請を受けたギリシャは、第2次大戦と戦後のギリシャ内戦に参加したヴェテランを中心に、空軍および陸軍の兵力を朝鮮に派遣しています。

 このうち、空軍からは、輸送機のダグラスC-47sが7機と67名の将兵が1950年11月11日にエレフシナ空軍基地を出発し、12月3日、韓国に上陸しました。ギリシャ空軍は直ちに米空軍と合流し、1951年5月14日以降、ソウル近郊の金浦空港を拠点に、1955年5月23日まで2916回、計1万3777時間の輸送業務に従事し、韓国・国連側の7万568名(うち負傷者9243名)と大量の物資を運搬しました。

 一方、陸軍に関しては、当初、旅団規模の兵力の派遣が計画されていましたが、1950年秋に国連軍が38度線を越えて中朝国境まで到達したことを受けて、大隊規模の派遣に縮小され、当初は、ギリシャ陸軍の第1、第8、第9歩兵師団からの志願者849名で構成されることになりました。なお、国連軍に参加したギリシャ軍は“スパルタ大隊”と呼ばれています。

 スパルタ大隊は1950年11月15日にピレウス港を出航し、12月9日に釜山に上陸。16日に水原に移動し、米第7騎兵連隊の指揮下に入り、38度線近くの陣地争奪戦で中国人民志願軍と戦いました。中国人民志願軍との戦闘では損耗も激しかったため、1951年8月23日には兵力は1063名に倍増され、1953年7月の休戦までその規模が維持されています。具体的な戦闘としては、1951年10月3-10日、28名の戦死者を出しながら丘の占領に成功した“スコッチ・ヒル(313高地)の戦い”等が有名です。

 休戦後もギリシャ軍は停戦監視のために朝鮮駐留を続けたため、兵力は1955年4月の時点で2163名にまで拡大しました。しかし、1955年9月、トルコ最大の都市イスタンブルで大規模な暴動が発生し、ギリシャ系住民が多数殺害されると、ギリシャ政府は事態に対処するため、同年12月までに191名の連絡要員を残してスパルタ大隊を引き揚げさせました。その後、朝鮮駐留のギリシャ軍は縮小を重ね、1958年5月、最後まで残っていた10名が帰国しています。

 さて、現在、朝鮮戦争を題材とした本を今夏に刊行すべく、準備を進めています。正式なタイトルや刊行日などが決まりましたら、随時、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いいたします。


 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

 ★★★ 『外国切手に描かれた日本』 電子書籍で復活! ★★★

      1枚の切手には 思いがけない 真実とドラマがある

    外国切手に描かれた日本(表紙)     外国切手に描かれた日本(ポップ) 
    光文社新書 本体720円~

 アマゾン紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月20日から配信が開始されました。よろしくお願いします。(右側の画像は「WEB本の雑誌」で作っていただいた本書のポップです)


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 明日はギリシャ戦
2014-06-19 Thu 14:30
 サッカーのW杯は、日本時間の明朝(20日)、日本代表がギリシャと対戦します。というわけで、今日は日本×ギリシャということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アテネ=東京聖火リレー航空便

 これは、1964年の東京五輪に先立ち、同年8月21日、ギリシャ・オリンピアで行われた聖火採火式の記念印を押して東京宛に差し出された葉書の航空便で、1963年8月1日発行の「第11回世界ジャンボリー(同年7月29日から8月16日までマラトンで開催された)」の記念切手が貼られています。

 東京オリンピックの開会式に先立つ聖火リレーは、1964年8月21日(以下、日時はすべて現地時間)、ギリシャ国王コンスタンティノス2世臨席の下、オリンピアにあるヘラ神殿跡で聖火が採火されたところから始まりました。

 国王コンスタンティノス2世は、1964年3月6日、父王パウルス1世の崩御に伴い、国王として即位しました。その直前の2月9日にオーストリアのインスブルックで行われていた冬季オリンピックは閉幕していたため、8月21日の採火式は国王として参加した最初のオリンピック大会関連行事となりました。ところが、ギリシャでは1967年4月21日に軍事クーデターが発生し、同年12月、国王一家はローマに脱出。国王不在のまま、軍事政権は1973年に共和制を宣言し、民政移管後の翌1974年には国民投票により君主制の廃止が正式に決定されています。このため、コンスタンティノス2世にとっては、東京オリンピックがギリシャ国王として関わった唯一の大会となりました。

 採火式の後、聖火は古代オリンピアの競技場で東京オリンピック組織委員会会長の安川第五郎と聖火空輸派遣団長の高島文雄らに引継がれた後、アテネに運ばれ、“シティ・オブ・トウキョウ”号によって、8月23日、次の目的地であるイスタンブルまで運ばれました。

 ところで、今回ご紹介の葉書には、エアメールの表示としてプロペラ機をあしらった印が押されていますが、実際、採火式翌日の8月22日午後3時15分、オリンピアからアテネに運ばれてきた聖火を次の目的地、トルコのイスタンブルへ運んだ特別機“シティ・オブ・トウキョウ”号は、ダグラスDC-6Bというプロペラ式のレシプロ機でした。

 当時、わが国の国際航空路線を独占していた日本航空は、1960年8月12日、羽田=ホノルル=サンフランシスコ線で初のジェット機としてDC8型機を就航させていました。しかし、旧型のDC-6B型機に“シティ・オブ・トウキョウ”という名前の機体があったため、あえて、聖火運搬用の特別機としてはこちらが採用されています。

 ただし、もともと“シティ・オブ・トウキョウ”と呼ばれていた機体は、日本航空の所有するDC-6Bの中でも最も古いものだったため、DC-6Bの中では最新の機体だった“シティ・オブ・ナゴヤ”号を臨時に塗り替えて“(新)シティ・オブ・トウキョウ”号とし、ギリシャに派遣されたということです。

 * 本日のラジオ放送への出演は、無事、終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。 

 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

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 詳細は、こちらをご覧ください。

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 ★★★ 『年賀状の戦後史』が電子版になりました! ★★★

  日本人は「年賀状」に何を託してきたのか?
  「年賀状」から見える新しい戦後史!

      年賀状の戦後史(帯つき) 

   角川oneテーマ21 本体720円~

 アマゾン紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月10日から配信が開始されました。よろしくお願いします。


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 サーベラスの正体
2013-06-26 Wed 10:59
 上場時期などをめぐり筆頭株主の米投資会社サーベラスCBS.ULと対立している西武ホールディングスは、きのう(25日)、定時株主総会を開催。サーベラスが提案していた8人の取締役選任は否決され、会社側が提案した社外取締役2人を含む4人が取締役として選出され、両社の対立はひとまず会社側に軍配が上がるかたちとなりました。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました(画像はクリックで拡大されます)

       ケルベロス

 これは、1970年にギリシャが発行した“ヘラクレスの12の難行”シリーズのうち、ケルベロスを生け捕りにするヘラクレスを描く30レプタ切手です。手元には使用済みの切手しかなかったのですが、いずれ未使用に差し替えますので、とりあえずはこの画像でご勘弁ください。ちなみに、ギリシャ語のケルベロスを英語読みにすると“サーベラス”になります。

 ケルベロスはギリシア神話に登場する冥界の番犬で、龍の尾とヘビの髭をもつ三首の犬として描かれるのが一般的です。死者の魂が冥界にやってくる時には尻尾を振って歓迎するものの、生者や冥界から逃げ出そうとする者には容赦なく襲いかかり、貪り食うとされています。そういう意味では、西武グループが上場廃止という冥界に入ってきたときには友好的だったものの、(西武側の理解によれば)再上場の際には無理難題を突き付けて食い物にしようというのは、まさに“サーベラス”という社名にふさわしい行動といえましょうか。

 なお、ギリシャ神話では、ケルベロスは吟遊詩人オルフェウスの奏でる竪琴によって眠らされたほか、甘いものが好きでソップ(蜂蜜入りの焼き菓子)を与えられると冥界から逃げ出す者を通してしまうのだとか。そういう話を聞くと、昨日の株主総会も、ハープのBGMを流しながら、サーベラス側の関係者には、プリンス・ホテルのケーキでも出しておけばよかったんじゃないかなぁ…などと下らぬことを考えてしまいました。

 さて、本日未明(26日00:00-00:45)に僕が出演したTBSラジオの「荻上チキ・Session-22:切手からみる世界(Session袋とじ)」は無事に終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。

 番組内では、ニュースへのコメントとして、“サーベラス”について今回の記事で書いたようなことをお話ししたほか、「命令だけください」と題された北朝鮮切手ハイパーインフレで額面が表示できなくなったジンバブエの切手2012年以来の北部の争乱で配達不能になったマリ・トンブクトゥ宛のカバーイラクのフセイン政権崩壊後にフセインの肖像を抹消した切手を貼って差し出されたカバー(番組で紹介したのとは別のモノですが、イメージとしてはこんな感じです)、グレナダの南野陽子切手などをご紹介しました。また、郵便がらみということで、ビートルズの“Please Mr. Postman”とエルビス・プレスリーの“Return to Sender”を流していただきました。

 その様子は、こちらからもお聞きいただけますので、よろしくお願いいたします。

 
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 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、
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 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は7月2日、7月30日、9月3日(原則第一火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 レスリング、五輪から除外か
2013-02-13 Wed 10:04
 きのう(12日)、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会がスイスのローザンヌで開かれ、昨夏のロンドン五輪で実施された26競技のうち、2020年の夏季五輪でも確実に行われる25の中核競技を決定しましたが、その中から、第1回大会からおこなわれてきたレスリングが除外されることになり、波紋を呼んでいます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        アテネ五輪(1896)・レスリング

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、レスリングを描く2レプタ切手です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1及び2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“ヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。

 これを見ると、“近代五輪”とはいいながら、古代ギリシャのイメージが濃厚ですが、切手に取り上げられたレスリングと円盤投げは近代五輪でも第1回のアテネ大会以来、昨年のロンドン大会まで欠かさず実施されてきた競技であり、いわば、時代を超えて五輪を象徴する競技の一つといってよいでしょう。ちなみに、今回の理事会では、円盤投が中核競技から外されたということはないようです。

 さて、今後の五輪でのレスリングの扱いですが、次回、2016年のリオデジャネイロ大会では従来通り正式競技として行われるものの、2020年の大会に関しては、月にロシア・サンクトペテルブルクで開催のIOC理事会で復活を目指す野球・ソフトボールや空手など他の7競技とともに絞り込みを行い、最終的に9月の総会で2020年の大会で追加実施される1競技に選ばれるかどうか、ということになっています。

 まぁ、競技数の制限があるのでいずれかの競技が外れなければならないとはいえ、第1回からの伝統競技で日本人選手の活躍も期待できる種目、さらには、女子王者の吉田沙保里選手が2020年の大会を東京に招致するための日本の顔として活動をしているだけに、なんとかならないのか、というのが僕を含めて多くの日本人の率直な気持ちではないでしょうかね。


 【世界切手展BRASILIANA 2013・出品募集中】

 今年11月、ブラジル・リオデジャネイロで世界切手展 <BRASILIANA 2013> が開催される予定です。現在(国内での受付期間は14日まで)、僕が日本コミッショナーとして、その出品作品を募集しております。詳細はこちらをご覧ください。


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 悲劇か喜劇か
2012-05-17 Thu 23:29
 今月6日に総選挙が行われたものの、組閣に向けた連立協議が決裂したギリシャで、6月17日に再選挙が行われることが決まり、それまでの選挙管理内閣の暫定首相に国家評議会(行政事件の最上級審)のピクラメノス長官が任命されました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        ギリシャ悲劇

 これは、1966年にギリシャで発行された劇場2500年の記念切手のうち、ギリシャ悲劇の仮面を取り上げた1ドラクマ切手です。

 ギリシャ悲劇は、もともとは、古代アテナイのディオニュシア祭で上演されていた悲劇のことで、仮面をつけた俳優と舞踊合唱隊(コロス)の掛け合いによって進行します。ちなみに、コロスの登場する舞台をオルケストラといい、劇場は円形のオルケストラを底とするすり鉢状となっていました。もともと、俳優一人で演じられていましたが、後に3人となりました。

 さて、2010年に発覚した経済危機以来、ギリシャ経済はまさに悲劇的な状況にあるわけですが、今回、再選挙を余儀なくされたことで、事態の一層の深刻化は避けられなさそうです。ちなみに、暫定首相の名前のピクラメノスはギリシャ語で「つらい」ないしは「悲嘆にくれた」という意味で、暫定首相は宣誓式前の大統領との会談で「(財政危機に直面したギリシャの現状を考えると)私はこの役目にぴったりですね」と冗談を飛ばしていたのだとか。悲劇なんだか喜劇なんだか、よくわかりませんな。
 
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 プロメテウス
2010-11-10 Wed 23:19
 沖縄・尖閣諸島沖の中国による不法越境と海上保安庁の巡視船への攻撃事件をめぐるビデオ映像が流出した事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)の男性職員が、自分がビデオを流出させたと名乗り出ました。警視庁は国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで取り調べ、容疑が固まれば逮捕する方針だそうです。このニュースを聞いて思い出したのが、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

         プロメテウス

 これは、1997年にギリシャが発行した“ヨーロッパ切手”の1枚で、人類に火を伝えるプロメテウスが取り上げられています。

 ギリシャ神話によると、プロメテウスは神々の姿に似せて創造された人類に火や数、建築、気象、文字などの知恵を伝えましたが、ゼウスはこれに激怒。プロメテウスをカウカソス山の山頂に張り付けにさせ、生きながらにしてハゲタカに肝臓を食べさせる責め苦を与えました。プロメテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、朝、目覚めると再びハゲタカが彼の肝臓をついばむということが繰り返され、それは、ヘラクレスが彼を解放するまで続けられたといいます。

 さて、今回、名乗り出た海上保安官は、中国による尖閣侵略の証拠ビデオが今月1日に一部の国会議員だけに7分程度に編集された映像が公開されただけで終わったことに危機感を募らせ、「このままでは国民がこの映像を見る機会を失う」として、ビデオを流出させたのだそうです。また、彼は、マスコミのインタビューに対して、「国民の誰もが見る権利がある。誰もやってくれないなら自分でやるしかないと、誰にも相談せず一人でやった」「私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまう」などとも動機を述べています。流出した映像を見る限り、多くの人が彼の主張に賛同することと思われます。

 たしかに、現政権の側からすれば、彼の行為は“守秘義務違反”に問われるのかもしれませんが(ただし、今回のビデオの内容が“守秘義務”の対象となりうるかどうかについては専門家の間でも否定的な見解が多く、そもそも、問題の海上保安官を起訴できるのか、あるいは、起訴しても有罪にできるのかは大いに疑問があるようです)、中国による我が国への明白な侵略行為のこれ以上ない証拠を白日の下にさらして広く国民に真相を知らしめることと、わが国の主権を損ねてまで中国に配慮し証拠ビデオを闇に葬ろうとすることでは、どちらが、真に日本国民の国益にかなっているか、あらためて言うまでもないでしょう。

 ちなみに、中国では以前から囚人の臓器売買が行われていますが、その中には、中国の現実を世界に知らしめようとして逮捕された政治犯や法輪功関係者も少なからず含まれているとされています。まぁ、彼らにしてみれば、プロメテウスに責め苦を与えたゼウスのどこが悪いということにもなるのでしょうがね。

 いずれにせよ、現在の民主党政権が、そうした国に配慮して、現代日本のプロメテウスの肝臓をハゲタカに喰らわせるようとしているのだとすれば、そう遠からず、ヘラクレスが現れて彼を救出せんことを強く望むところです。


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 11月13日(土)13:00から、東京・池袋で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『マカオ紀行:世界遺産と歴史を歩く』刊行記念のトークイベントを予定しております。一般書店での販売は11月25日以降の予定ですが、今回は会場限定での先行発売も行いますので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。


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 クレタ臨時政府の切手
2010-05-07 Fri 09:16
 経済危機に陥っているギリシャで、政府の財政赤字削減計画に対する抗議行動が暴動に発展するとともに、大規模なストライキが発生。これをきっかけに世界同時株安という状況になっています。というわけで、ギリシャがらみの暴動・叛乱ネタということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴェニゼロス切手カバー

 これは、1905年10月に発行されたヴェニゼロス切手のカバーです。

 オスマン帝国の支配下に置かれていたクレタ島では、1830年のギリシャ独立以来、ギリシャ本土への統合(エノシス)を求めてオスマン帝国に対してしばしば反乱が起こっていました。1897年2月、エノシスを求めるギリシャ正教徒の反乱がおこると、かねてからクレタ島に対する領土的な野心を抱いていたギリシャは、総動員を下令。テッサリアに軍を集中するとともに、クレタ島に艦隊を派遣し、同月14日、クレタ島の併合を宣言します。

 これに対して、バルカンの安定を求める6大国(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、イタリア、オーストリア)は反発。英仏伊三国が地中海艦隊を派遣してクレタ島を封鎖し、6大国が共同でハニアを占領し反乱を鎮圧。その一方で、6大国は、ギリシャ系住民に対して、オスマン帝国の援軍を排除することを約束し、列強の監督下での“クレタ自治政府(以下、自治政府)”の樹立を約束し、1899年3月、ギリシャ国王の次男・ゲオルギオスを高等弁務官とするクレタ自治政府が、イギリス、フランス、ロシア、イタリアの4ヶ国の占領下で発足します。これは、もともとは、この地域の不安定要因となっていたクレタ島を、いったん、オスマン帝国とギリシャの双方から切り離すことによって、バルカン地域の勢力均衡を維持しようという発想に基づくものでした。

 こうした状況の下で、1905年3月、ギリシャの政治家でクレタ島出身のヴェニゼロスは、列強諸国との摩擦を恐れてエノシスに消極的であった高等弁務官ゲオルギオスに抗議して蜂起し、テリソンを拠点に、イタリア占領地域において、“クレタ臨時政府(以下、臨時政府)”の樹立を宣言。そして、同年8月頃(正確な日付に関しては諸説あります)から、テリソン、ヴァモス、マラクサなど島内西部の支配地域内の8ヶ所に郵便局を設置し、独自の切手を発行して郵便サービスを提供しはじめました。

 今回ご紹介のカバーに貼られている切手は、その臨時政府が1905年10月に発行したもので、ヴェニゼロスの支援者であった、アテネの印刷会社・グルントマン・シュタンゲル社によって製造されました。

 このとき発行された切手は全部で6額面ありますが、このうち、5~50レプタの低額4種の切手に描かれているのは“囚われのクレタ”を象徴する女性像で、これは、エノシスが認められない現状は牢獄にいるようなものであるという臨時政府の政治的主張を表現したものです。一方、1ドラクマおよび2ドラクマの高額切手に取り上げられているのは、ギリシャ国王ゲオルギオス1世です。これは、エノシスに消極的な高等弁務官に対してではなく、ギリシャ国王への忠誠を示すことによって、エノシスの実現を強く求める臨時政府の姿勢を表現したものと考えてよいでしょう。

 その後、ヴェニゼロスの臨時政府は、1906年11月頃までに、隣接地域を占領していたロシア軍によって鎮圧され、以後、これらの地域では、ふたたび、クレタ自治政府の切手が使われるようになります。


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 300億€のギリシャ支援
2010-04-12 Mon 12:05
 きのう(11日)、欧州単一通貨ユーロを採用している16ヵ国の財務相は財政危機に陥っているギリシャ支援を協議するための緊急電話会議を開催。ギリシャからの要請があった場合、2010年度に最大300億ユーロ(約3兆8000億円)を各国の2国間融資(金利5%)のかたちで支援することで合意しました。国際通貨基金(IMF)との合同で策定するギリシャへの緊急支援計画は、3年間では総額800億ユーロ(約10兆円)に達する見通しだそうです。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・ユーロ10年

 これは、昨年(2009年)、ギリシャが発行したユーロ10年の記念切手のマキシマムカードです。

 1999年1月1日にユーロが欧州11ヵ国の決済通貨として導入されましたが、当時、ギリシャはユーロ加盟基準(当時のポイントは“財政赤字はGDPの3%以内”でしたが、2005年には“国債残高はGDPの60%以下”とする修正が加えられています)を満たしていませんでした。しかし、翌2000年6月19日、欧州理事会は「ギリシャは高い水準で持続的な収斂性を有しており、ユーロの導入に必要な状況になった」として、2001年1月1日からのギリシャでのユーロ導入を承認します。

 ユーロ圏への加盟により、ギリシャは従来の自国通貨ドラクマを放棄し、信用力の高いユーロ建て国債を発行し、低利で資金を融通できるようになり、ギリシャ経済は好転。1999年に12.13%だった失業率は2008年には7.65%まで低下しました。こうした好景気を背景に、ギリシャ政府は、公務員の給与引き上げなど、財政支出の拡大を続けていました。また、2004年のオリンピック開催も、ギリシャの経済力からすると、分不相応なイベントだったという面は否定できません。

 ユーロ加盟後も、ギリシャの財政状況は、対GDP比で財政赤字は3%以内、国債残高は60%以下という基準をクリアしたことは一度もありませんでしたが、ギリシャはGDP統計に地下経済などの通常はGDP統計に加えられない数値を上乗せして統計を水増したり、国債発行をスワップとして処理して債務額を減らすなどの細工をして、体裁を取り繕っていました。なお、ユーロ加盟時にギリシャから提出された財政収支のデータは、2004年になって大幅に訂正されており、実は加盟基準を満たしていなかったことが判明しています。

 こうした弥縫策は、2008年のリーマンショックで世界経済が急激に落ち込み、税収が激減して財政赤字が膨らんだことで、ついに続かなくなります。さらに、2009年10月、政権交代で中道左派政権が発足すると、前政権による財政赤字の粉飾が発覚。国立病院の未払い金に計上漏れがあったとして、2009年の財政赤字見通しが対GDP比で当初の3.7%から12.5%へ大きく修正され、一挙に経済危機が深刻化したというわけです。

 ギリシャ政府は2010年に8.7%、2012年には2.8%にまで赤字を削減する目標を掲げ、公務員人件費削減や燃料税増税、年金支給年齢の引き上げなど緊縮策を発表していますが、まぁ、実現は困難でしょうな。

 今回ご紹介の切手は、ユーロそのものの10周年を記念したモノですが、ギリシャがユーロに加盟してから10周年に当たる2011年には記念切手が発行されるでしょうかねぇ。もちろん、ギリシャとしては記念切手を発行したいところでしょうが、それまで、彼らがユーロ圏から追放されずにいられるかどうか…。

 ちなみに、ユーロ圏最大の経済大国であるドイツは、放漫財政を続けてきたギリシャへの支援に関しては消極的ですが、この点をとらえて、ギリシャ国内では「ナチスによる過去の侵略」を持ち出してドイツを批判する動きもあるのだとか。支援を受ける側が“侵略”カードを持ち出して、弱者の恫喝に走るという構図は、洋の東西を問わないということなんですかね。


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 NATO60年
2009-04-04 Sat 13:42
 1949年4月4日にNATO(北大西洋条約機構)の元になった北大西洋条約が調印されてから今日でちょうど60周年になりました。というわけで、今日はこの1枚をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 NATO5周年(ギリシャ)

 これは、1954年5月15日にギリシャが発行したNATO5周年の記念切手(航空切手)の1枚で、武装したアテナイの女神が描かれています。航空切手ということで女神の背後には飛行機が飛んでいますが、なかなかカッコいいデザインですな。切手には、条約調印日の4月4日の日付も入っています。

 第2次世界大戦後の東西冷戦の中で、東側の脅威に対抗するための西欧防衛同盟として、1948年3月、イギリス、フランス、ベネルクス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)の5カ国はブリュッセル条約機構が結成します。ただし、この5カ国だけでは東側の脅威に対抗するには必ずしも十分とはいえませんでした。

 おりしも、1948年6月、ソ連によるベルリン封鎖が行われると、アメリカも西欧防衛の必要性を認識。同年11月、アメリカ上院は西欧諸国への防衛協力を打ち出したバンデンバーグ決議を採択します。

 こうした経緯を経て、1949年4月4日、ブリュッセル条約加盟国を核に、①国連憲章の目的及び諸原則に従い、②自由主義体制を擁護し、③北大西洋地域の安定と福祉を助長し、④集団的防衛並びに平和及び安定の維持のためにその努力を維持すること、目的とする北大西洋条約が調印されました。条約の原加盟国は、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、イギリス、アメリカの12カ国で、今回ご紹介のギリシャは、1952年2月にトルコとともに加盟しました。なお、条約の発効は1949年8月24日のことです。

 ちなみに、今回ご紹介の切手を発行したギリシャですが、実は、1974年に一度NATOを脱退しています。これは、同年7月、いわゆるキプロス内戦が勃発した際、アメリカが核兵器をギリシャやトルコから撤去し、実戦に使用される不安を除去したことに対して、ギリシャ側がこれをNATOによるトルコ擁護策だとして抗議したことによるものです。その後、ギリシャは1980年にNATOに再加盟しますが、それまでの間、ギリシャ軍はNATO軍の指揮下から外れ、独自の防衛路線を取っていました。
  

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