2010-10-06 Wed 18:17
ペルーのパラカス国立自然保護区で、現存するペンギンでは最大種のコウテイペンギンをはるかに超える体長1.5メートル、体重60キロという、3600万年前の巨大ペンギンの化石が見つかったそうです。というわけで、巨大なペンギン切手といえば、これでしょうかね(画像はクリックで拡大されます)
これは、2008年にサウス・ジョージアで発行されたペンギン切手の小型シートです。個々の切手そのものはごくフツーの大きさですが、4種収めた小型シートがペンギンの型抜きになっているのがミソです。 サウス・ジョージア島は、南大西洋にある英領の島で、フォークランド諸島の東約1000キロの地点にあります。 1502年、アメリゴ・ベスプッチによる南極公開の過程で発見されましたが、その後は長らく忘れられ、1675年、ロンドン商人のアンソニー・デ・ラ・ロッシュにより再発見されました。当初、島の名前はロッシュ島と呼ばれていました。その後、1775年1月にジェームズ・クックが島の周辺を航海し、イギリスの領有を宣言しています。 19世紀以降、サウス・ジョージア島は捕鯨基地となっており、1900年にはフォークランド政府が本格的な捕鯨を開始しましたが、英本国が1904年12月から捕鯨を開始したため、フォークランド政府の捕鯨は禁止されました。その後、同島を拠点とした捕鯨は、イギリスのサーブセン株式会社、ノルウェーのハバルファンガーセルスケップ社、南アフリカのシーリング・カンパニー、そして日本の国際漁業株式会社が中心となって行われました。ちなみに、1909年の時点では、捕鯨基地として720が居住していました。 1982年のフォークランド紛争では、一時、アルゼンチンに占領されましたが、最終的にイギリスの領有権が守られています。現在では捕鯨は禁止され、定住者の多くは島を去りましたが、2001年から観光客の上陸が可能となり、現在では、グリトビケンに2人の定住者がいるそうです。 人口2人の島ですから、当然のことながら、切手の発行も実際に郵便に使用するためというよりも、収集家に販売して外貨を稼ぐのが目的と見るのが妥当でしょう。もっとも、島ならではの風景や動物を取り上げている点では、わけのわからない芸能人切手の類を出すよりも、よっぽど感じが良いですな。 なお、切手を売って外貨を稼ぐ国については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 事情のある国の切手ほど面白い メディアファクトリー新書007(税込777円) カッコよすぎる独裁者や存在しないはずの領土。いずれも実在する切手だが、なぜそんな“奇妙な”切手が生まれたのだろう?諸外国の切手からはその国の抱える「厄介な事情」が見えてくる。切手を通して世界が読み解ける驚きの1冊! 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、DMM.com、JBOOK、livedoor BOOKS、TSUTAYA、Yahoo!ブックス、7&Y、紀伊国屋書店BookWeb、ジュンク堂書店、楽天ブックスなど)で好評発売中! |
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