2024-12-28 Sat 10:24
エジプトのシーシー大統領は、26日、2024年のスエズ運河通航収入が前年比60%以上の減収となり、本来得られるはずだった約70億ドルの収入が失われたと発表しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2015年8月6日、エジプトが発行した“新スエズ運河竣工”の記念切手シートで、運河の拡張により、運河の大半の区間で船が同時に双方向に航行することができるようになることを示すデザインになっています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 * 昨日(27日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。 同番組への年内の出演は今回が最後で、明年は1月2日(木)が最初の登場になる予定です。今後とも引き続きよろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 1月2日(木) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 1月7日(火) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 現在配信中の「日本の歴史を学びなおす ―近現代編その11―」と「切手・郵便物でみる朝鮮半島現代史 1956-61」は、2025年1月7日までの配信となり、1月8日からは新たに「切手・郵便物でみる朝鮮半島現代史 1956-61」と巳年にちなむ新企画「蛇の文化史」の配信がスタートします。詳細は各講座名をご覧ください。 ★ 『蛇の文化史』 好評発売中!★ 「干支の文化史」シリーズ第2作。巳年にちなんで、蛇をめぐるポジティヴ・ネガティヴ、さまざまなイメージの背景にある歴史的・社会的文脈について、主に切手を手掛かりとして読み解いています。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-05-08 Mon 08:25
アラブ連盟は、きのう(7日)、カイロで臨時の加盟国外相会合を開き、反体制派への武力弾圧を理由に2011年に参加資格を停止したシリアの復帰を決議しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年3月22日、エジプトが発行した“アラブ連盟75周年”の記念切手です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月12日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★ 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-01-25 Mon 00:29
エジプトのホスニ・ムバーラク政権を崩壊させた2011年の“1月25日革命”から10周年になりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2014年1月25日にエジプトが発行した“1月25日革命3周年”の記念切手です。 2000年以降、エジプトのムバーラク政権は経済の自由化を進め、年間5-7%の経済成長率を維持していましたが、富の再分配が進まないまま物価は高騰。この結果、国民の格差は拡大し、20代の失業率は2割を越え、国民の約2割が1日2米ドル以下で、4割以上が1米ドル以下で生活するという状況が続いていました。さらに、1981年のサダト暗殺以来、29年間にわたって独裁体制を維持してきたムバーラク政権下では政府による言論の弾圧と腐敗が常態化していたことも、国民の不満を醸成していました。 こうした状況の中で、2011年1月14日、チュニジアでいわゆるジャスミン革命が発生。これに感化された人々がフェイスブックを使って、1月25日を“警察の日”ならぬ“怒りの日”にしようと呼びかけます。これは、前年(2010年)6月、アレクサンドリアの若者ハーリド・サイードが警官による押収麻薬の横流しをインターネットで告発しようとしたところ、警官の激しい暴行を受けて殺害された事件をふまえ、政権の腐敗に抗議しようというもので、1月25日当日にはエジプト各地で抗議行動や暴動が発生しました。これが、いわゆる“1月25日革命”の発端で、2月11日、ムバーラクは退陣に追い込まれます。 ムバーラク政権の崩壊後、エジプトでは国軍最高評議会による暫定統治期間を経て、民政移管に向けた準備が進められ、2011年11月28日から2012年1月3日まで3回に分けて行われた人民議会選挙ではイスラム教系の政党が7割を占めて圧勝。その後、5月23-24日に行われた大統領選挙では、イスラム穏健派のムハンマド・ムルシーが1位となったものの過半数の票を獲得できなかったため、6月16-17日、第1回投票で2位となった元首相のアフマド・シャフィークとの決選投票が行われ、ムルシーが当選。同月30日にムルシー政権が正式に発足しました。 しかし、すでに決選投票の時点で、イスラム系のムルシーと旧ムバーラク政権の幹部であったシャフィークの一騎打ちとなったことに不満を抱く者も多く、政権発足後もそうした国民の不満は解消されないまま、政権と野党との対話は進展せずに政治の空転が続き、エジプト経済は急速に悪化しました。 すなわち、エジプトの収入源はスエズ運河の通行料と観光が大きなウェイトを占めていますが、このうちの観光収入に関しては、革命後の混乱により外国人観光客が激減して大幅な減収となりました。そのこと自体は、かならずしもムルシー政権のみの責任とは言い切れないのですが、そうした経済的に苦境にある時こそ、イデオロギーとは無関係に有能な経済官僚ないしは専門家が大胆な対策を打ち出していかねばならないのはいうまでもありません。 ところが、ムルシーの出身母体であるムスリム同胞団は、それまで、貧困層の生活支援をボランティアとして組織的に行ってきた経験はあるものの、国家レベルでの経済運営の専門家は無きに等しい集団で、ムルシー政権は経済対策という点では無為無策に終始していました。その結果、失業者数は革命前から100万人以上増えて343万人(失業率は12%)にも達し、食料品も小麦が約28%、卵が約22%、牛乳や鶏肉が約15%値上がりするなど、国民生活は大きな打撃を受けます。 さらに、2012年12月にはムルシーが大統領に絶対的な権限を付与する憲法宣言を発したり、政権に批判的な活動家らを名誉毀損などの容疑で次々と拘束したりするなど強権的な手法で乗り切ろうとしたことに加え、2013年6月17日には、外国人観光客の減少で苦境に陥っている観光業界の反対を押し切って、1997年にルクソールで外国人観光客58人を殺傷するテロ事件を起こした“イスラム団”の関係者を、あろうことか、ルクソール県の知事に任命するということまでやっています。たしかに、現在のイスラム団はテロとの決別を宣言してはいるのですが、イメージが大きな意味を持つ観光業にとって、わざわざイメージを悪化させるような経歴の知事の任命は受け入れがたいというのが世論の大勢でした。 エジプト国民の多数派は宗教的には穏健保守というスタンスですから、穏健派イスラム主義をベースに掲げたムルシー政権に対する国民の期待はかなり大きかったのですが、ことほど左様に、ムルシー政権とムスリム同胞団は、彼らの主義主張とは別の次元で、統治能力のなさを白日の下にさらしてしまい、民心も完全に離反。 2013年6月下旬以降、エジプト各地ではムルシーの退陣を求める反政府デモが各地で激化。これに対して、大統領とその支持派は“国民の選挙で選ばれたこと”を根拠に一歩も引かない構えで、国を二分する対立が続いていたところ、7月3日夜、エジプト軍トップのアブドルファッターフ・シーシー国防相が全土に向けたテレビ放送を通じ、憲法を停止して議会選挙を実施し、最高憲法裁判所のマンスール長官がムルシーに代わって暫定大統領に就任すると発表。政変後の7月16日に成立したベブラーウィー内閣では、シーシーは国防省兼第一副首相に就任します。 翌2014年5月の大統領選挙ではシーシーが得票率96.91%で当選し(2018年に再選され、現在は2期目の任期中)、エジプトは軍主導の権威主義体制の下で安定を回復することになりました。 ちなみに、かつてダマスカス(現シリア共和国の首都)で大法官を務めたイブン・ジャマーアは「40年間の専制は1時間の無政府状態より良い」との言葉を残しましたが、革命の混乱を経験した現在のエジプト国民もまた、この言葉に共感するのでしょうかねぇ。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2017-10-06 Fri 19:11
きょう(6日)は、1973年10月6日にエジプト軍がスエズ運河を渡り、“10月戦争(一般に第四次中東戦争と呼ばれている戦争です)が始まったことにちなみ、エジプトでは“陸軍記念日”になっています。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、昨年(2016年)、エジプトが発行した“10月の勝利43周年”の記念切手で、カイロの無名戦士の墓を背景にスエズ運河を渡する兵士が描かれています。 第三次中東戦争(1967年)の敗戦後、エジプトにとっての最重要課題はイスラエルからシナイ半島を奪還することにありました。 1970年にナセルの死を受けて政権を継承したサダトは、それぞれの思惑から中東に関与しているだけの米ソ両国に任せていてもシナイ半島の奪還は無理であると喝破し、武力による自力奪還以外に、エジプトの採るべき現実的な選択はないという結論に到達。こうした判断にもとづき、シリア大統領ハフィズ・アサドとも連携をとりながら、対イスラエル戦争のプランを練り始めます。 戦争計画の策定にあたっては、戦争の長期化は絶対に避けるとの前提の下、イスラエルに軍事的な大打撃を与えることで、大国による和平の仲介を引き出すという基本方針が確認されました。このため、戦争計画は、緒戦の電撃的な侵攻作戦に重点が置かれ、スエズ運河の潮流や月齢などを考慮した結果、ユダヤ教の贖罪日(ヨム・キップール)でイスラエル軍の態勢が手薄になる1973年10月6日が開戦予定日として設定されます。 かくして、1973年10月6日、エジプト・シリア連合軍によるイスラエルの奇襲攻撃によって、第4次中東戦争の火ぶたが切って落とされました。 開戦当初の3日間、エジプト軍はイスラエルに対する大規模攻撃を展開し、スエズ運河を渡河して、イスラエルの航空機50機と戦車550両を撃破するという華々しい戦果を挙げました。このうち、スエズ運河渡河作戦の成功は、イスラエルに対するアラブ最初の勝利として大々的に喧伝され、サダトは「渡河作戦の最高指揮官=イスラエル軍不敗神話を破ったアラブの英雄」として、その権威は絶大なものとなります。 一方、イスラエル=シリア国境のゴラン高原では、シリア軍が快進撃を続け、アラブに対するイスラエルの不敗神話は崩壊しました。 もっとも、エジプト・シリア両軍の優勢は長続きしませんでした。はやくも10月11日にはイスラエルはゴラン高原での大反攻を開始し、シリア領内に突入。さらに、シナイ半島方面でも、同16日にはスエズ運河の逆渡河に成功してエジプト領内に進攻し、形勢は逆転しました。 戦況が次第にイスラエル有利に傾いていくと、ソ連はエジプトとシリアが第三次中東戦争に続いて大敗することを懸念し、米国と協議を開始。ソ連がエジプトとシリアに対して、米国がイスラエルに対して、それぞれ、早期の停戦を受け入れるよう、強く説得します。 一方、イスラエル敗北の既成事実を作った上で停戦協定を結び、シナイ半島を奪還することを目的としていたサダトも、緒戦の優位が失われていたことから、停戦の受け入れに前向きな姿勢を示しました。これに対して、戦況が好転しつつある中での停戦受諾はイスラエルにとっては不満の残るものではあったが、米国はなんとかイスラエルを説得します。 こうして、10月22日の国連安保理において関係諸国に対する停戦決議(決議第338号)が採択され、第4次中東戦争の終結から、エジプト・イスラエル和平へと向かいます。しかし、その結果、エジプトはアラブ世界で孤立し、1981年、サダトは8年前のスエズ渡河の記念日にあたる10月6日、陸軍記念日の閲兵式で暗殺されるという悲劇的な最期を迎えることになるのです。 なお、第四次中東戦争と関連の切手・郵便物については、拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★★ 10月5日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第9回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、10月19日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 なお、5日放送分につきましては、10月12日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。 ★★★ 世界切手展<WSC Israel 2018>作品募集中! ★★★ 明年(2018年)5月27日から31日まで、エルサレムの国際会議場でFIP(国際郵趣連盟)認定の世界切手展<WSC Israel 2018>が開催される予定です。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。 現在、出品作品を11月10日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、待ちしております。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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