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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ルーヴル・アブダビ開館
2017-11-11 Sat 12:56
 アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ・サーディヤト島で建設が進められていたフランスのルーヴル美術館の別館 “ルーヴル・アブダビ”がオープンし、きょう(11日)から一般公開されます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ザール・ミラノの貴婦人

 これは、1956年12月10日にザールで発行された慈善切手で、ダ・ヴィンチの「ミラノの貴婦人」が取り上げられています。「ミラノの貴婦人」はパリ・ルーヴル美術館の収蔵品として有名ですが、今回のルーヴル・アブダビのオープンを記念して、ルーヴル・アブダビに移管され、その目玉として展示・公開されることになりました。

 ルーヴル・アブダビは、2007年の政府間の合意を経て、当初、2012年に開館の予定でしたが、世界的な金融危機や原油価格下落などの影響で完成が大幅に遅れていました。

 洋上に建設された美術館はプリツカー賞を受賞したフランスの建築家、ジャン・ヌーヴェルの設計で、直径180m・高さ36mの8層構成(4層の外層はステンレススチール、4層はアルミニウム)のドーム型。総重量はエッフェル塔と同じ7500トンあり、110m間隔で設置された4つの桟橋によって支えられています。ドームは7850個の星を組み合わせたデザインで、星々の隙間から光が差し込むと、ヤシの葉から落ちる木漏れ日を思わせる“光の雨”が降る仕掛けになっています。

 美術館としては23のギャラリーがあり、600点の所蔵作品に加えて、フランスの13の美術館・博物館から、今回ご紹介の切手に取り上げられた「ミラノの貴婦人」を含む300点が貸し出され、年間4回の企画展が予定されています。

 今回ご紹介の切手に取り上げられた「ミラノの貴婦人」はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品といわれており(異説もあります)、フランス革命以前からフランス王室が所蔵していました。17世紀初めの時点では、作品に描かれている女性が金物商の妻もしくは娘と考えられていたことから、欧米では『美しき金物商(フランス語では La Belle Ferronnière)』と呼ばれるのが一般的ですが、モデルについては、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァの公妃ベアトリーチェ・デステもしくは愛人のルクレツィア・クリヴェッリという説もあります。
 
 *  明年(2018年)5月にエルサレムで開催予定の世界切手展<WSC Israel 2018>の出品申し込みは、かねてご案内の通り、昨日(10日)でいったん締め切りました。同展の日本コミッショナーとして、お申込みいただきました皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 なお、現在、主催者側に送るべく書類の取りまとめ作業中ですが、うっかり申し込みを忘れたという方は、急ぎ内藤宛に申込書をお送りいただければ、可能な限り対応いたしますので、よろしくお願いいたします。


★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★★

  11月9日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第11回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲のため1回スキップして、11月30日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 

 なお、9日放送分につきましては、16日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

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 ヒトラーの亡霊
2013-06-02 Sun 11:57
 米百貨店大手J・C・ペニーが販売するやかんの広告写真がヒトラーに「そっくりだ」とインターネット上で話題になり、看板広告が撤去されたそうです。(下は問題の看板とヒトラーを並べて報じた英デイリー・テレグラフのHPに掲載されていた写真です)

       ヒトラー激似のやかん

 というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       ザール20ペニヒ(1947)

 これは、1947年にザールで発行された普通切手のうち、製鉄労働者を描いた20ペニヒ切手です。

 さて、ザールは独仏国境地帯に位置するドイツの州で、ヨーロッパ有数の炭田地域として知られています。第一次大戦でドイツが敗れた後は、1920~35年の間、国際連盟の管理下に置かれていましたが、1935年の住民投票によってドイツに返還されました。第2次世界大戦で再びドイツが敗れると、フランスの占領下に置かれました。フランスはドイツを弱体化させるとともに、石炭の利権を確保すべく、ザールの独立を画策し、住民投票を行いましたが、その結果、ドイツへの復帰を求める住民が多数派となり、1957年1月1日、ドイツに復帰しています。

 今回ご紹介の切手は第2次大戦後のフランス占領下で発行されたもので、画像の20ペニヒ切手の他、15ペニヒ、16ペニヒ、24ペニヒが同図案です。切手を上下をひっくり返すと、右側の労働者の両脚の間に“ヒトラーの顔”が見えるということで話題になりました。まぁ、偶然そうなったということなのでしょうが、欧米はそれだけ“ヒトラーの亡霊”に関して敏感だということなのでしょう。下にその画像を貼っておきますが、今回のやかん同様、ちょっと苦しいような気もします。

       ザール20ペニヒ(1947・部分拡大)

 さて、今回問題となったやかんですが、もともとは定価40ドルですが、今回の騒動で注目を集めた結果、現在品薄状態で、ネット・オークションでは定価の5倍以上の値もつけられているとか。ちなみに、“ヒトラーの亡霊”があるザール切手はどの額面でもカタログ評価1枚1ドル以下と、非常に安価です。

 *昨日(1日)の切手市場は無事終了いたしました。ご来場の皆様、とりわけ、拙著をお買い上げいただいた皆様には、あらためて、この場をお借りしてお礼申し上げます。


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 嬉しいニュース
2006-07-25 Tue 01:59
 相互リンクをお願いしているきってコレクションblogで、こんな新聞記事が紹介されていました。(切手コレクションblogでは抜粋でしたが、ここでは、全文引用してみました)

***以下、引用開始***

 切手展:図柄は時代の反映 視覚・聴覚障害関連の130種展示--筑波技術大

 ◇大沢助教授が収集--筑波技術大できょうと25日

 視覚・聴覚に障害を持つ学生が学ぶ国立大学法人・筑波技術大学(つくば市)で、大沢秀雄保健科学部助教授の切手コレクションを展示する「視覚・聴覚の障害に関連した切手展」が22、25の両日、同大キャンパスで開かれる。点字入りや障害者のスポーツを描いたものなど世界約60カ国約130種類の切手が展示される。

 子供のころに切手収集が趣味だった大沢助教授が、切手の博物館副館長の内藤陽介さんの著書『切手と戦争』を読んで、切手から読み解く国の政策や文化などに興味を持ったのがきっかけで、2年ほど前から視覚・聴覚障害に関係する切手の収集を始めた。

 アイマスクをした青年がアルゼンチン代表のブルーの縞(しま)のユニホームを着て、サッカーをするブラインドサッカーの絵柄の切手は、点字も打ち込まれ、同国が03年に発行したもの。そのほか、ひもを持って山を登るケニアの視覚障害者の登山や、ヘレン・ケラーを図柄にしたものも。第一次大戦中の1916年に現在のボスニア・ヘルツェゴビナで発行された切手は、失明した兵士を誘導する少女の絵が描かれているほか、76年にバングラデシュが発行した栄養失調をテーマにした切手には、目にいいとされるビタミンAが豊富なニンジンや牛乳などの絵が描かれている。

 大沢助教授は「まさに切手の図柄は時代を反映していると思う。これほどの視覚・聴覚障害に関連した切手があるとは思わなかった」と話している。

 展示は22日が同市春日4の春日キャンパス、25日が同市天久保4の天久保キャンパスの各食堂入り口で。【石塚孝志】
 
(7月22日付毎日新聞朝刊・茨城版より)

***以上、引用終わり***

 自分の仕事がこういうかたちで誰かに影響を与えていたことがわかると、照れくさい気もしますが、とっても嬉しいです。というわけで、今日は、大沢先生に感謝の意を込めて、視覚障害がらみの1枚として、こんな切手を紹介してみましょう。(画像はクリックで拡大されます)

ザールの慈善切手

 この切手は、1928年にザールで発行された慈善切手で、19世紀のオランダの画家、ヨゼフス・ローレンティウス・ダイクイマン(Josephus Laurentius DYCKMANS、1811-1888)の作品「盲の乞食」(差別用語ばかりですが、“視覚を失ったホームレス”では雰囲気が出ないので、勘弁してください)の一部が取り上げられています。

 ザールは独仏国境地帯に位置するドイツの州で、第一次大戦でドイツが敗れた後は、1920~35年の間、国際連盟の管理下に置かれ、1935年の住民投票によってドイツに返還されました。国際連盟管理下のザールでは、ドイツ切手の使用が認められなかったため、独自の切手が発行されていましたが、今回の切手もその1枚です。なお、切手上には付加金の表示がありませんが、郵便局の窓口では、額面の倍額(つまり、額面と同額の寄付金をつけて)で発売されました。

 切手に取り上げられたダイクマンの絵は、教会の入口のところにたたずむホームレスと少女を描いたもので、オリジナルでは、右側に協会から出てくる女性の姿も描かれていますが、その部分はトリミングでカットされています。この絵は、19世紀のヨーロッパでは非常に人気を博し、さまざまな複製が作られましたが、オリジナルは、現在、ロンドンのナショナルギャラリーに所蔵されています。

 この切手の実物が展示されているのかどうかは未確認ですが、今日(25日)、筑波技術大学の天久保キャンパスで開かれる大沢先生の展覧会のご盛会を心よりお祈りしております。

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