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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手から見る世界と歴史:トルコ・シリア国境とハタイ
2023-03-09 Thu 09:43
 潮流社の雑誌『カレント』の2023年3月号が発行されました。僕の連載「切手から見る世界と歴史」は、今回は2月6日に発生したトルコ・シリア大地震で大きな被害が生じた都市、ハタイに関連して、こんな切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      ハタイ・地図(1939)

 これは、1939年に発行された“ハタイ独立共和国”の切手で、同国の地図が取り上げられています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2023年3月10日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 4月8日スタート! 平成日本の歴史 
 4月8・15・22日 13:30-15:00 文京学院大学での3週連続の講座です。1989年に始まる平成30年間の日本現代史をさまざまな角度から語ります。一般的な通史に加え、その時々の時代・社会の変化を切手や郵便物を通じて読み解くことで、モノから読み解く歴史の面白さを感じていただきます。詳細はこちらをご覧ください。

 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門
 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。
 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。
 
 よみうりカルチャー 北千住
 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30
 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 

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 シリアからハタイへ着弾
2012-10-06 Sat 14:51
 きのう(5日)、内戦が続くシリアからトルコ南部ハタイ県アルトゥノズに迫撃砲弾が着弾し、トルコ軍がシリア側に直ちに反撃しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ハタイ国旗

 これは、1939年に発行されたハタイ独立共和国の切手で、同国の国旗が描かれています。

 第一次大戦後、フランスは現在のシリア国家の領域を委任統治下に置き、典型的な分割統治を行いました。その一環として、1922年、シリアはダマスカス国、アレッポ国、エッドゥルーズ(ドゥルーズ派国)、アラウィー派国)の緩やかな連邦に再編されます。このうち、アラウィー派国はラタキアを中心とする海岸部に設定され、アラウィー派住民による自治が認められました。

 その後、シリアでフランスからの独立運動を求める民族主義運動が発生すると、1936年、フランスは妥協策としてフランス・シリア友好条約を締結。結果的に第二次大戦により延期されたものの、3年後の完全独立が決められ、アラウィー派国とドゥルーズ派国はシリア本土に合流することになりました。

 ところで、旧ラタキア国ではアラブ系が多数派を占めていましたが、例外的に、アレクサンドレッタ県ではトルコ系住民が多かったため、アラブが圧倒的多数を占めるシリアへの合流に反対が強く、分離運動が展開されていました。このため、1937年、国際連盟は、アレクサンドレッタ県をハタイ自治州とし、トルコ語を公用語として自治を行う一方、財政・外交をシリアが管理する仲裁案を提示します。

 ところが、国際連盟の仲裁案を受けて、1938年にフランスの監視下でこの地域で議会選挙が行われると、トルコ系議員が過半数を獲得。同議会はハタイ独立共和国の独立を宣言しました。今回ご紹介の切手は、こうした状況の下、ハタイ独立共和国の名義で発行された切手です。切手がトルコ語表示となっていることに加え、国旗のデザインもトルコ国旗と酷似しており、トルコとの一体性をアピールしようという意図がはっきりと見て取れます。

 その後、ハタイはトルコとフランスの軍事的管理下を経て、1939年7月、国民投票に基づいてトルコの県となりました。その結果、この地域のアラブやアルメニア人はハタイから離れ、シリアの他の地域に移住していくことになりましたが、今回の内戦で、シリア領内からトルコ・ハタイ県へと逃れるアラブ系難民も少なくありません。

 さて、トルコとシリアの国境地帯では、今月3日にも、トルコ南東部シャンルウルファ県アクチャカレでシリア側からの砲撃で住民5人が死亡する事件があったばかりです。現時点では、両国ともに衝突拡大は回避する姿勢ですが、シリアのアサド政権に対して批判的なトルコ政府はシリア反体制派への武器供与などの支援を強化しており、アサド政権も反体制派への攻撃を緩める気配はありませんので、当面、両国の国境付近では緊張状態が続くことになりそうです。


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 10月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

 T-moneyで歩くソウル歴史散歩
・よみうりカルチャー北千住
 10月17日、12月19日、1月16日、2月20日、3月20日 13:00-15:00 
 
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 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30



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 シリアからトルコへ
2011-06-09 Thu 23:48
 トルコのアナトリア通信によると、反政府デモに対するアサド政権の弾圧が続くシリア北部ジスル・シュグールの住民ら約1000人が8日から9日にかけて国境を越えトルコに避難するなど、シリアからトルコに流入する難民が急増しているそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      サンジャク加刷カバー

 これは、1939年3月、フランス委任統治領シリアのハタイ自治州(アレクサンドレッタ県)の加刷切手が貼られたベイルート宛のカバーです。

 現在、トルコ共和国のハタイ県となっている地域は、歴史的にはアレクサンドレッタと呼ばれていました。

 第一次大戦後の英仏によるアラブ分割の過程で、シリア北西部沿岸のイスラム教アラウィー派の居住地域には、1920年、フランス委任統治領シリアの自治区域としてアラウィー派国が樹立されました。その後、1930年、アラウィー派国はラタキア国に再編され、1936年、シリア本土に合流します。

 ところで、旧ラタキア国ではアラブ系が多数派を占めていましたが、アレクサンドレッタ県ではトルコ系住民が多かったため、アラブが圧倒的多数を占めるシリアへの合流に反対が強く、分離運動が展開されていました。このため、1937年、国際連盟は、アレクサンドレッタ県をハタイ自治州とし、トルコ語を公用語として自治政治を行う一方、財政・外交をシリアが管理する仲裁案を提示します。

 これを受けて、1938年にフランスの監視下でこの地域で議会選挙が行われると、トルコ系議員が過半数を獲得。同議会はハタイ独立共和国の独立を宣言しました。その後、トルコとフランスの軍事的管理下を経て、1939年7月、ハタイは国民投票に基づいてトルコの県となりました。これに伴い、この地域のアラブ人やアルメニア人はハタイから離れ、シリアの他の地域に移住していくことになります。

 今回ご紹介の切手とカバーは、仏領シリアのアレクサンドレッタがトルコのハタイへと変質していく過渡期のモノで、消印のアンタキヤはアレクサンドレッタないしはハタイの中心都市です。

 オスマン帝国解体後の東地中海、なかでも、現在のシリアの枠組が作られていく過程では、郵便史的にもいろいろと面白いマテリアルが生まれており、いずれは、それらを集めてまとまったコレクションを作ってみたいと考えているのですが、現時点では、まだまだ道のりは遠そうです。どうせなら、シリア情勢がホットな間に、なんとかしてみたいのですが…。


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