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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イスラエル首相 ポケベル作戦への関与を認める
2024-11-12 Tue 11:02
 レバノンで、ことし9月17日以降、レバノンのシーア派組織、ヒズボラ(ヒズブッラー)の戦闘員らが持っていたポケベルなど通信機器が次々と爆発し、ヒズボラの幹部・戦闘員および一般市民に多くの死傷者が発生し、9月27日には、ベイルート近郊のヒズボラ本部への空爆により、ヒズボラの最高指導者ハサン・ナスララ(ナスルッラー)書記長が死亡した件について、イスラエルのネタニヤフ首相は、10日の閣議で、「ポケベルの作戦とナスララの殺害は、国防当局幹部らの反対にもかかわらず実行された」と発言し、関与を認めました。というわけで、ヒズボラ関連の切手ということで、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・ムグニー追悼(2008)

 これは、2008年3月10日、ヒズボラの軍事作戦顧問として数々のテロ事件を立案・指揮していたイマード・ムグニーヤが、モサドによって殺害されたことを受けて、ヒズボラの支援者であるイランが発行したムグニーヤの追悼切手で、ムグニーヤの背後には、黄色のヒズボラの旗も見えます。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 また、雑誌『カレント』11月号の僕の連載、「切手から見る世界と歴史」では、この切手をご紹介しつつ、ヒズボラとその歴史についてもまとめておりますので、機会がありましたら、併せてご覧いただけると幸いです。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 11月15日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 11月22日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★

      切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード

 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 イラン大統領にペゼシュキヤーン元保健大臣
2024-07-07 Sun 10:59
 ライースィー前大統領の事故死に伴うイランの大統領選挙の決選投票が5日に行われ、内務省は、きのう(6日)、マスウード・ペゼシュキヤーン(ペゼシュキアンとも)元保健大臣が、サイード・ジャリーリー最高安全保障委員会元事務局長を破り、当選したと発表しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・母乳週間(2000)

 これは、2000年7月31日、イランが発行した“世界母乳育児週間”の記念切手です。ペゼシュキヤーンは1997年にハータミー政権の保険副大臣として初入閣し、2001-05年には保健大臣を務めたというキャリアの持ち主なので、この間のイランの保健行政に関する切手ということで選んでみました。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 7月8日(月) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 7月12日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。


 ★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月13-15日(土-月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)が開催されます。

      全日本切手展2025

 今回は、内藤がオスロ合意後のパレスチナ自治政府の郵便史を題材としたコレクション「パレスチナ郵便史 1995-2001」を展示するほか、会期中、毎日13:00から展示解説を行います。展覧会の情報は全日本切手展のオフィシャルサイトなどで、随時アップしていきますので、よろしくお願いいたします。


★ 7月20日(土) 13:30~  栃木「正論」友の会 第22回講演会 ★
 7月20日 (土) 13:30-15:00(開場13:00)、栃木県護国神社・護国会館(宇都宮市陽西町1-37)で開催の栃木「正論」友の会 第22回講演会にて、「迷走する国際情勢の背景を読み解く」と題してお話しします。会費は2000円。お申し込みは、下記画像のチラシをプリントアウトして、03-3241-4281までFAXでご送信いただくか、 seiron.k★sankei.co.jp (スパム防止のため★を@に変えてご利用ください)に必要事項をお送りください。 皆様のご参加をお待ちしております。

      正論の会・チラシ

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 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 イラン・ケルマーンのテロでISが犯行声明
2024-01-05 Fri 12:02
 イラン南東部のケルマーン(ケルマン、キルマーン、キルマンとも)の殉教者墓地付近で、2回の爆弾テロ事件が発生し、約100人が亡くなった事件で、昨日(4日)、いわゆる“イスラム国(IS)”が犯行声明を出しました。テロ事件が起きた際、現地では2020年1月3日に米軍に殺害された革命防衛隊・ゴドゥス部隊元司令官、ガーセム・ソレイマーニー(ソレイマニとも。元司令官の墓は殉教者墓地内にあります)の追悼式典が行われていました。

 というわけで、テロの犠牲になった方々への哀悼の意を表し、負傷者の方の一日も早いご快癒をお祈りしつつ、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・ソレイマーニー追悼(2020)

 これは、2020年12月30日、イランが発行したソレイマーニーの追悼切手です。客観的な事実として、ソレイマーニー本人がゴドス部隊司令官として、革命防衛隊によるイラン国外でのテロ活動を指揮していたことを考えると、多くの民間人が犠牲になった今回の事件も何とも皮肉な話に思えてなりません。なお、今回の事件について、日本政府は「無辜の民間人に対する攻撃は、いかなる理由によっても許されるものではありません」との談話を発表しています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


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 2024年1月10日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がゲスト出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 1月12日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。


★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★

      龍とドラゴンの文化史・帯なし

 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 イランとサウジが国交回復
2023-03-11 Sat 10:23
 2016年以来、国交を断絶していたイランとサウジアラビアが、きのう(10日)、中国の仲介により国交を回復し、双方は互いに大使館を再開、国家主権を尊重し内政干渉しないことで合意したと発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・シルクロード(2018)

 これは、2018年10月17日にイランが発行した“シルクロード”の切手です。

 2014年11月10日、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で、習近平は中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の“シルクロード経済ベルト(一帯)”と中国沿岸から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の“21世紀海上シルクロード”(一路)で、インフラ整備、貿易促進、資金の往来を促進する“一帯一路”計画を提唱しました。

 2016年に中国との“包括的戦略パートナーシップ”についての共同声明を発表したイランは、一帯一路に協力し、これを推進していく方針を明らかにしていましたが、2018年5月、米国のトランプ政権がイランとの核合意を離脱し、11月からイランに対する原油の全面禁輸などの制裁を復活させたことで、イランは従来以上に中国への傾斜を強めることになりました。今回ご紹介のシルクロードの切手が、こうした状況の下で、一帯一路への支持を表明する意図を込めて発行されたものであることは明らかです。

 一方、当初、サウジは必ずしも一帯一路に対して積極的に関与していたわけではありませんが、トランプ政権末期からの対米関係の冷却化に伴い、中国との関係を強化しており、昨年末の習近平のサウジ訪問時には、同国の大規模開発計画である“ビジョン2030”と中国の“一帯一路”構想との協調計画をうたった共同声明を発表しています。

 このように、両国は一帯一路への関与という点では、まさに呉越同舟という関係にあり、そのことが、今回、中国の仲介で両国の外交関係が回復したことにつながったと考えられます。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 なお、一帯一路については、拙著『現代日中関係史 第2部 1972-2022』でもまとめております。同書につきましては、すでに版元ドットコム内に専用ページができており、同ページのリンクでは、楽天アマゾンでの予約受付も始まっておりますので、よろしくお願いします。

 * 昨日(10日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は3月24日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2023年3月24日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 4月8日スタート! 平成日本の歴史 
 4月8・15・22日 13:30-15:00 文京学院大学での3週連続の講座です。1989年に始まる平成30年間の日本現代史をさまざまな角度から語ります。一般的な通史に加え、その時々の時代・社会の変化を切手や郵便物を通じて読み解くことで、モノから読み解く歴史の面白さを感じていただきます。詳細はこちらをご覧ください。

 4月30日(日) 英秘密情報部(MI6)入門
 4月30日(日) 13:00~14:30 よみうりカルチャー荻窪での公開講座です。
 映画「007シリーズ」などにも名前が出てくる英秘密情報部(MI6)について、実際の歴史的事件とのかかわりなどを中心にお話します。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。
 
 よみうりカルチャー 北千住
 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30
 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 

★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 3月20日発売!★

      現代日中関係史2

 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

★ 『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』 好評発売中! ★

      なぜレジ袋は「有料化」されたのか・帯付き

 関係省庁、政治家、業界団体等が国民が知らないところで粛々と作り続けているさまざまな規制。「レジ袋の有料化」という規制ができるまでの政治的・行政的プロセスを詳細に分析し、規制の新設防止、そして規制廃止を訴える。

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 イラン・シーラーズのシャー・チェラーグ廟で銃撃
2022-10-27 Thu 03:37
 イラン南部、シーラーズのモスク・霊廟として知られるシャー・チェラーグ廟で、きのう(26日)、武装した3人組の男による銃撃事件が発生し、少なくとも15人が死亡、40人が負傷しました。国営イラン通信によると、犯人グループはスンナ派過激派の”タクフィリ”のテロリストで、警察は2人を逮捕し、残り1人の行方を追っているそうです。というわけで、亡くなられた方のご冥福と負傷者の方の一日も早い御快癒をお祈りしつつ、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・シャーチェラーグ廟(2010)

 これは、2010年10月14日、イランが発行したシャー・チェラーグ廟の切手です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 
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 全国切手展<JAPEX 2022> 於・都立産業貿易センター台東館
 11月5日(土) 11:00~ 「日中国交正常化50年とは何だったのか」
 * 11月20日付で日本郵趣出版から刊行予定の拙著『現代日中関係史:切手・郵便に秘められた軌跡 第1部 1945-1972』の刊行記念イベントです。

 イベントそのものは事前予約不要・参加費無料ですが、会場の切手展へは入場料が必要です。切手展の詳細は主催者サイトをご覧ください。

 11月11日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

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★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★

      『本当は恐ろしい! こわい切手』

 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 … 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。
 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。
 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。

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 おかげさまで6000回
2021-11-03 Wed 08:42
 2005年6月1日にスタートしたこのブログですが、毎日1つずつ記事をアップしていたら、今日の記事でちょうど6000回目になりました。日頃、このブログを応援していただいている皆様には、あらためて、この場をお借りしてお礼申し上げます。というわけで、きょうは額面“6000”のこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・Q(2015)

 これは、ペルシャ語の文字を題材にしたイランの普通切手のうち、2015年9月15日に発行された ق(カーフ)の6000リヤール切手です。ちなみに、本日(3日)の為替レートだと1リヤールが0.0027円なので6000リヤールは16円強。現行のイランの郵便料金(基本料金)は1万8000リヤールなので48.52円です。
 
 さて、イランの公用語となっているペルシャ語の表記にはアラビア文字が使われます。ただし、アラビア語を表記するためのアラビア文字は28文字ですが、ペルシャ語の表記には、アラビア語にない音を表記するための4文字が追加されているので、ペルシャ語の文字としては32文字が使われます。

 今回ご紹介の切手に取り上げられた ق は、アラビア語、ペルシャ語に共通の文字で、ラテン文字(ローマ字)のアルファベットではQに相当します。ただし、その発音に関しては、アラビア語の ق が日本語のカタカナ表記ではカ(クァ)行となるのに対して、ペルシャ語ではガ行になるのが一般的(前後の文字のつながりでカ行で読まれることもありますが)です。

 この違いが最も分かりやすいのが、エルサレムを意味する القُدس (ペルシャ語の場合は、アラビア語の冠詞の ال を除いてقُدس)です。この語をラテン文字に転写すると”al-Quds”となりますが、これをアラビア語としてカタカナ表記する場合は、“アル・クドゥス”となるのが一般的ですが、ペルシャ語での発音をカタカナ表記する場合は”ゴドゥス”が近くなります。

 地名としてのエルサレムをあえてペルシャ語読みする必要はないじゃないかと言われそうですが、実は、泣く子も黙るイラン革命防衛隊の特殊部隊には日本語訳すると“エルサレム部隊”というのがあって、そのقُدس のカタカナ表記はなかなか頭の痛い問題なのです。つまり、قُدس のカタカナ表記には、もともとクドゥスとゴドゥスの揺れがあるうえ、ラテン文字に転写した“Quds”を英語読みした場合、クッズ、コッズ、ゴッズといったカタカナ表記も出てくるので、なかなか厄介です。

 ちなみに、アフガニスタンで広く使われているダリー語は、もともと、1964年にアフガニスタン政府がそう命名するまでは“アフガン・ペルシャ語”と呼ばれており、新ペルシャ語(現在一般に使われているペルシャ語)の標準形の一つとして、ペルシャ語と同じ文字が使われていました。ところが、発音に関しては、ダリー語はかなり保守的で、新ペルシア語の初期の時代に使われていた音の区別が現在でも残っています。

 ق はその一つで、現在のペルシャ語では上述のように、この文字の音がカタカナ表記のガ行の音に合流しているのに対して、ダリー語ではカ(クァ)行の発音がそのまま残っています。このため、アフガニスタン第2の都市カンダハールの表記も、ダリー語では قندهار となり、これをそのままラテン文字に転写すると”Qandahar”になります。ただし、カンダハールに関しては、やはりアフガニスタンの公用語であるパシュトゥー語の表記 کندهار‎ が、ラテン文字に転写する場合に”K”を使う ک‎ で始まることもあって、ラテン文字表記ではKandaharとするのが一般的です。

 さて、現在、11月中をめどにアフガニスタンを題材とした書籍を刊行すべく、作業を進めています。その事前プロモーションとして、11月7日13時から、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館で開催の全国切手展<JAPEX2021>会場内にて、「アフガニスタン現代史」と題するトークイベントを行いますので、ぜひ、遊びに来ていただけると幸いです。(切手展の詳細はこちらをご覧ください) 


★ 放送出演・講演・講座などのご案内★

 全国切手展<JAPEX 2021> 於・都立産業貿易センター台東館
 毎年恒例、全国切手展<JAPEX>ですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します

 11月6日(土) 11:00~ 「切手でたどる郵便創業150年の歴史Vol.2 戦後編」
 * 11月20日付で刊行の『切手でたどる郵便創業の歴史』第2巻の会場内先行販売を兼ねた出版記念イベントで、同書の内容の一部をご紹介します。

 11月7日(日) 13:00~ 「アフガニスタン現代史」
 * 12月上旬にえにし書房から刊行予定の「アフガニスタン近現代史(仮)」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。

 両イベントとも、イベントそのものは事前予約不要・参加費無料ですが、会場の切手展へは入場料が必要です。切手展の詳細は、主催者サイトをご覧ください。

 11月8日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
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★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★

      切手でたどる郵便創業150年の歴史②表紙 2530円(本体2300円+税)

 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。

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 イラン、初の軍事衛星打ち上げに成功
2020-04-23 Thu 01:41
 イランのイスラム革命防衛隊は、きのう(22日)、同国初の軍事衛星“ヌール(光)”を打ち上げ、軌道に乗せることに成功したと発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・国産人工衛星成功(2009)

 これは、イランが同国初の国産人工衛星オミードの打ち上げ成功を記念して2009年に発行した切手の1枚で、オミードを搭載したサフィール1ロケットが取り上げられています。

 1979年のイラン・イスラム革命後のイランでは、当初、宇宙開発を行うことは全く想定しておらず、“西でも東でもないイスラム共和国”との国是に従って、最高指導者のホメイニも、米ソの宇宙開発競争を皮肉って「彼らは月へでもどこへでも好きなところへ行くが良い」といった主旨の発言をしていました。

 ホメイニ死後の1990年6月21日、ソ連のミハイル・ゴルバチョフとイランのハーシェミー・ラフサンジャーニーとの首脳j会談で、イランはソ連と共同で、宇宙ステーション“ミール”に向かう共同有人飛行の実現を目指すことで原則合意しましたが、1991年末にソ連が崩壊したことで、この計画も有耶無耶に終わります。

 一方、イランでは、1979年の革命直後から極秘裏に核開発に着手していましたが、1990年代には少量のプルトニウムの抽出に成功。さらに、2002年にイランの核開発問題が表面化し、2003年には国際原子力機関(IAEA)定例理事会で、イランに対する非難決議案が全会一致で採択されました。

 こうした状況の下、2003年12月10日、「通信情報技術省の役割と権限に関する法律」が議会を通過。同胞第9条に基づき、翌2004年2月1日、大統領が議長を務める宇宙最高評議会の指示の下、イラン国内の宇宙科学、技術の平和的利用に関する全ての活動を総轄、支援する組織として、イラン宇宙機関(ISA)が創設されました。

 2005年10月28日には、ISAはイラン初の人工衛星、スィーナー1号の打ち上げに成功し、独自の人工衛星を保有する43番目の国となります。ちなみに、スィーナー1号はイランが設計しましたが、製造はロシアで行われ、ロシアのプレセツク宇宙基地から、ロシアのコスモス3Mロケットによって打ち上げられています。

 さらに、2008年には、北朝鮮や中国から技術協力を受けて開発されたと推測される国産ロケット、サフィール1の軌道投入が行われており、翌2009年2月2日、革命30周年の記念事業として、今回ご紹介の国産衛星“オミード”がサフィール-2によって打ち上げられ、イランは衛星を自国で打ち上げた9番目の国となりました。なお、オミードの打ち上げについて、当時の大統領、アフマディーネジャードは「“一神教と平和と正義」”を世界に広める」ことが目的であると説明。さらに、外務大臣のモッタキーも“純粋な平和目的”のものと説明していますが、そのことを示すため、近隣諸国の上空を通らないように南東のインド洋に向かって打ち上げられるなどの配慮が払われています。

 こうした実績を踏まえ、2010年8月、アフマディーネジャードは、2017年までに有人宇宙飛行を実現する意向を表明。2013年1月には、サルを搭乗させた衛星ロケット“ピーシュガーム”の打ち上げ(弾道飛行)に成功しました。

 ところで、核爆弾の運搬手段である大陸間弾道ミサイル(ICBM)は大気圏外を飛行する技術が必要で、それゆえ、宇宙開発と核兵器開発は表裏一体の関係にあります。そもそも、“飛翔体”としての広義のミサイルには、いわゆるロケット(狭義には“飛翔体”の推進体を指す)も含まれますが、一般にはロケットの先端部に爆発物を搭載した軍事目的の“飛翔体”をミサイルと呼び、先端部に人工衛星などが搭載されていれば宇宙ロケットと呼ばれており、ロケットとミサイルは本質的に同一の技術です。

 現在、イランは新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況になっていますが、それでも、軍事衛星の打ち上げを敢行したのは、やはり、米国をはじめ世界各国が自国でのウイルス対応に追われ、イランに対する締め付けが緩んでいる隙に、宇宙技術(≒ミサイル開発)を進めておこうという確固たる意志があってのこととみるべきでしょう。

 なお、米国のトランプ大統領は、この記事を書いている時点では、イランの軍事衛星については特に言及していませんが、今月15日に革命防衛隊の艦船がペルシャ湾で米海軍と沿岸警備隊の艦船に異常接近したことを取り上げ、「イランの小型砲艦が海上で米戦艦に嫌がらせをしてくれば、それら全てを撃沈して破壊するよう米海軍に指示した」とツイートし、革命防衛隊の“暴走”を牽制しています。


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 出版社からのコメント
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 テヘランで同時テロ
2017-06-08 Thu 07:53
 イランできのう(7日)、複数の武装グループが首都テヘラン中心部の国会議事堂と郊外のホメイニー廟をほぼ同時に襲撃。治安当局との銃撃戦で、民間人を含む少なくとも12人が死亡、40人以上が負傷しました。事件に関しては、“イスラム国”を自称するテロリスト集団、ダーイシュが「両事件はいずれもイスラム国の兵士らが実行した」とする声明を発表しています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・ホメイニー廟

 これは、1991年6月4日にイランが発行した“ホメイニー追悼”シリーズのうち、今回の事件現場のひとつ、ホメイニー廟を取り上げた切手です。

 ホメイニー廟は、イラン・イスラム革命の指導者、アーヤトッラー・ホメイニーと彼の家族(妻のハディージャ・サカフィーと次男のアフマド・ホメイニー)、ラフサンジャーニー大統領、ハサン・ハビービー副大統領、アリー・サイイド・シーラーズィー中将、思想家サーデク・タバタバーイーの遺体を安置した墓廟を中心とした複合施設です。

 ホメイニー廟の建設は、1989年6月にホメイニーが亡くなった直後の同年7月19日、テヘラン南郊のベヘシュテ・ザフラー墓地内で建設が開始され、墓廟本体は1992年6月2日に完成。4本のミナレットに囲まれた金色のドーム屋根は周辺一帯のランドマークとなりました。現在も、複合施設としてのホメイニー廟の建設は続けられており、に、最終的には、文化・観光センター、イスラム大学、ショッピング・モール、2万台収容可能な駐車場などからなる敷地面積20平方キロの複合施設となる予定です。

 ホメイニー廟はホメイニーの孫でイスラム法学者のアーヤトッラー・サイイド・ハサン・ホメイニーが管理しており、ホメイニーを慕う人々の参詣の場であるとともに、国賓がイランを訪問した際に訪れる象徴的な場所とされています。また、毎年6月4日のホメイニーの命日にはイラン政府要人と外国大使、それに一般国民が参加しての式典が行われています。今回の事件は、そのわずか3日後に起きたわけで、犯行が6月4日の式典当日に行われていたら…と考えると、本当に恐ろしいことです。

 あらためて、亡くなられた方々の御冥福と負傷された方々の一日も早い御快癒をお祈りいたします。
 
 
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 イラン、現職大統領再選
2017-05-21 Sun 21:58
 19日に実施されたイランの大統領選挙は、対外融和路線を進める現職のロウハーニー(ロウハニ)大統領が57%以上の票を獲得して再選を果たしました。というわけで、今日は大統領の旧名、フェリドゥーンにちなんで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・国際フェルドゥーシー学会(ザッハーク封じ)

 これは、1990年にイランが発行した“国際フェルドゥーシー学会”の記念切手のうち、フェルドゥーシーの代表作『シャー・ナーメ』の写本のうち、フェリドゥーンが暴君ザッハークを封じ込めた場面の細密画を取り上げた1枚です。

 今回、再選を果たしたイランの大統領の現在のラストネームは“ロウハーニー”ですが、1948年11月12日に彼が生まれた時のラストネームはフェリドゥーンでした。フェリドゥーンは、近世ペルシャ語文学の最高傑作とされる叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』に登場する英雄にちなむ名です。彼が、“精神性の高い”という意味のロウハーニーという名をいつから使い始めたのかは定かではありませんが、イラン・イスラム革命後の1981年、国会議員時代の彼の名前は“ハサン・フェリドゥーン・ロウハーニー”となっていました。その後、前回の2013年の大統領選挙期間中には、フェリドゥーンを名乗ることはなくなり、現在では、ロウハーニーというラストネームが定着しています。

 さて、フェリドゥーンの登場する『シャーナーメ』は、ササン朝時代の史書『フワダーイ・ナーマグ』を元に、詩聖フェルドゥーシーが980年頃から30年余の年月をかけて1010年に完成させました。当初、フェルドゥーシーは、自らの作品をサーマーン朝に献じる予定でしたが、999年、サーマーン朝は滅んでしまったためため、後継のガズナ朝の君主、マフムードに捧げています。

 『シャーナーメ』に登場するフェリドゥーンの父親は、両肩に蛇を生やした暴君、ザッハークの蛇の生贄として殺されました。その後、復讐を恐れたザッハークはフェリドゥーンを殺そうと追っ手を差し向けますが、フェリドゥーンはこれを逃れ、エルブルス山に隠れます。それから16年の後、フェリドゥーンは山を下り、ザッハークの圧政に苦しめられていた人々を集めて挙兵。天使の助けを得て、ザッハークの魔法を解く方法を学び、バグダードからチグリス川を渡り、ザッハークの城があるエルサレムを攻め落としました。

 エルサレム陥落時、インドにいたザッハークは、ただちに、悪魔と人間の混成軍を率いて戻り、フェリドゥーンの軍と戦い、宮殿内の一騎打ちで、フェリドゥーンはザッハークの頭を牛頭の矛で打ち砕きます。しかし、この時点ではザッハークには死期が来ていないことを天使ソルーシュから聞かされたため、フェリドゥーンはソルーシュの助言に従い、ザッハークの手足をライオンの皮で作った縄で縛り、ダマーヴァンド山の洞窟に幽閉して、さらに鉄の杭と鎖で動きを封じました。切手に取り上げられているのはこの場面で、中央には手足を縛られて封じ込められるザッハーク(両肩にはしっかりヘビが描かれています)が、その右側には赤い装束のフェリドゥーンが描かれています。

 その後、フェリドゥーンは王位に就き、ザッハークに王位を奪われて殺されたイラン王ジャムシードの娘で、ザッハークに囚われていた2人の姫・シャフルナーズとアルナワーズを王妃に迎えています。

 ちなみに、『シャー・ナーメ』によれば、フェリドゥーンの王位はその後500年間続いたことになっていますが、今回再選を果たした(元)フェリドゥーン、ロウハーニー大統領の任期は2021年までの4年間です。

 * 本日未明、アクセスカウンターが179万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。


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 シリア化学兵器廃棄決議採択
2013-09-28 Sat 16:54
 国連安全保障理事会が、シリアに化学兵器の廃棄を義務付ける決議を全会一致で採択しました。安保理での採択に先立ち、化学兵器禁止機関(OPCW)は廃棄計画を策定しており、10月1日からは専門家による現地査察が始まる見通しです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・化学兵器禁止条約

 これは、2007年にイランが発行した化学兵器禁止条約発効10周年の記念切手で、化学兵器の残骸と被害を受けた子供が描かれています。

 戦時における化学兵器の使用は1925年のジュネーヴ議定書で禁じられていましたが、兵器の開発・生産・貯蔵などは禁じられていなかったため、化学兵器の開発や生産は続けられていました。

 イラン・イラク戦争中の1985年から88年にかけて、イラク東部のサルダシュトやハラブジャなどでは、主としてクルド系住民がイラン側に協力したとして、当時のフセイン政権がマスタードガス、サリン、VXガスなどの化学兵器を使用し、多くの住民を殺害しました。イラク政府はこの事実を否定し、イランと戦うフセイン政権を支援していた米国も化学兵器はイラン側が使用したとの見解を発表していましたが、難を逃れたクルド人の証言により、次第に化学兵器使用の実態が明らかになります。

 1988年8月、イラン・イラク戦争が停戦になると、ヨーロッパでは、軍事目的に使用されることを知りながらイラクに化学兵器の原料を売却した当時の関係者の責任を問う声があがり、オランダ人実業家のフランス・ファン・アンラートがイタリアで逮捕されています。その後、ファン・アラートはイタリアから逃亡してイラクに亡命し、2003年のフセイン政権崩壊まで、イラクにかくまわれていましたが、2004年、オランダに帰国したところを逮捕され、禁錮15年・イランとイラクの住民に対する2万5000ユーロの賠償金の支払いを命じられています。

 こうした個別の犯罪追及と並行して、化学兵器の使用だけではなく、開発から生産、貯蔵までをも禁止するべきだとの国際世論が高まり、1992年、化学兵器禁止条約が署名されます。条約は1997年に発効し、これを受けて、実行機関としてオランダのハーグに設置されたのが、シリアでの査察を行う予定の化学兵器禁止機関(OPCW)です。

 さて、一連のシリアで化学兵器が使用されたことは確実ですが、アサド政権と反政府側のどちらが使用したかという点については、現時点では明らかになっていません。というよりも、現在のシリア情勢は、シリアのアサド政権を背後から支えるロシア(タルトゥースには地中海唯一のロシア海軍の補給拠点があります)とイランに対して、中東地域でのイランの勢力拡大を望まないサウジアラビア、トルコ、米国が反政府勢力を支援しているものの、反政府勢力側には統一的な司令部はなく、いわゆるイスラム原理主義過激派を含む諸勢力が入り乱れて、くんずほぐれつの状態というのが実情のようです。ここはひとまず、どの勢力であれ、一般国民に対する化学兵器の使用を止めさせるということを最優先して考えるしかありませんな。

     
 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★

 10月17日19:00より、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店ふらっとすぽっとにて、おくればせながら、拙著『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークをやります。

 入場無料でプレゼントもご用意しております。今年の11月は世界切手展<Brasiliana 2013>へ参加のため、ブラジルに行っており、恒例の<JAPEX>でのトークはできませんので、この機会に、ぜひ遊びに来てください。

 なお、出版元の告知ページもあわせてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★

 『蘭印戦跡紀行』広告

 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 * 出版元特設ページはこちらをご覧ください。

 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は10月1日(原則第1火曜日)で、以後、11月5日、12月3日、1月7日、2月4日、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 イラン軍艦、スエズ運河を通過
2012-02-19 Sun 23:22
 イランならびにシリアをめぐる状況が緊迫する中、イラン海軍の駆逐艦と補給艦の計2隻がスエズ運河を通過し、イスラエル沖の地中海を抜けてシリア西部タルトゥースに入港しました。というわけで、きょうはイランの軍艦切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ジャマラン

 これは、昨年(2010年)イランで発行された駆逐艦ジャマラン就役の記念切手で、ペルシャ湾の地図を背景に、ジャマランと国旗を背にした最高指導者ハメネイの肖像がデザインされています。

 ジャマランは、昨年2月に竣工したイラン初の国産駆逐艦で、全長は94m、満載排水量1500トン超排水量約1400トン。後部デッキはヘリコプターが発着できる飛行甲板になっています。昨年の就役後、アデン湾の海賊出没海域周辺で海賊対処任務、付近海域を航行するイラン船舶に対する護衛任務を行っていますが、今回のスエズ運河通過には参加していません。

 今回、スエズ運河を通過したのは、駆逐艦のシャヒード・カンディと補給艦のハルグの2隻で、航海の表向きの目的は、カスピ海沿岸のイマーム・ホメイニ海軍大学の学生の訓練ということになっていますが、海軍司令官のハビーブッラー・サイヤーリーがメディアの取材に「イランの国力を示し、地域に平和と友好のメッセージを伝えるのが目的だ」と応じているように、軍事的な示威行為にして、友好国であるシリア・アサド政権への支持表明であることはだれの目にも明らかです。

 なお、イラン軍艦のスエズ運河通過は、昨年2月以来、1979年の革命後は2度目のことですが核開発問題をめぐってイランと激しく対立しているイスラエルは、昨年の軍艦通過の際委は、イランの“挑発行為”に対して激しく反発しています。今回の一件もイスラエルを刺激することは確実でしょうな。

 ちなみに、1967年6月に第3次中東戦争が勃発する直前、エジプトはシナイ半島の国境地帯に兵力を進駐させ、第2次中東戦争の終結以来駐留を続けていた国連緊急軍に撤兵を要求するとともに、イスラエルにとって紅海への出口となるチラン海峡を封鎖。さらに、エジプトとシリア、ヨルダンの間では軍事同盟が結成され、イラク、クウェート、スーダン、アルジェリアの各国も有事の際の派兵を約束していたことは見逃してはなりません。結局、イスラエルは、これら一連の状況を“挑発行為”と判断し、アラブ諸国に対して先制攻撃に打って出ることになります。

 まぁ、外交というのは「なめられたら負け」ですので、ある程度の示威・挑発が必要なことは十分に理解できるのですが、こと相手がイスラエルの場合は、ほどほどにしておいた方がいいんじゃないのかなぁ。


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 今夜は皆既月食
2011-12-10 Sat 16:24
 今晩(10日夜)は晴れていれば、日本中で皆既月食の初めから終わりまで見ることができるそうです。このような好条件の月食は約11年振りなのだとか。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ビールーニーの月食図

 これは、2009年にイランが発行した世界天文年の記念切手で、ビールーニーの月相図が取り上げられています。

 アブー・ライハーン・ビールーニーは、973年、現在のウズベキスタン領内にあるホラズム地方の首府カース近郊で生まれました。イランや中央アジアの各地を回って諸学を修め、サーマーン朝の君主マンスール2世やホラズム・シャーのマァムーン、ガズナ朝のスルタン・マフムードなどに仕えて、数学、天文学、哲学、薬学、占星学、歴史、旅行記、言語学など多岐にわたる分野の著述を残しました。

 切手に取り上げられた月相図は、ペルシャ語で書かれた『占星術教程の書』に収められているもので、太陽光によって生じる光っている部分と影の部分との対応関係が示されています。右のやや大きめの円が太陽、左の大円の周囲に配された小円は地球を公転する月のそれぞれ位置を示しており、赤い直線は陽光などの光線です。いうまでもなく、月が一番左側の位置にあるときが月食になります。

 イランの切手というと、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でもご紹介したようなプロパガンダ切手が強いという方も多いと思いますが、今回ご紹介した切手のように、自国の文化伝統を紹介するモノも少なからずあることは記憶にとどめておいてもよいかもしれません。

 さて、今夜の月食ですが、21時45分から部分月食が始まり、23時05分には皆既月食に突入。その後、皆既月食は23時58分まで続き、日付が変わった11日の01時18分には部分月食も終わりとなります。月食は、晴れていれば、肉眼でも十分に観察でき、インターネット中継も数多く予定されているそうです。

 なお、月食が始まる前の19:00-20:55の時間帯、僕は『年賀状の戦後史』の著者としてTBSラジオ(954kHz )で放送の鈴木おさむ 考えるラジオに出演いたします。僕の出番は20時を回った頃からですので、よろしかったら、ぜひ、お聞きいただけると幸いです。


  ★★★ ラジオ出演のご案内 ★★★

 ・12月10日(土) 鈴木おさむ 考えるラジオ
 
 TBSラジオ(954kHz )で19:00から放送の番組に『年賀状の戦後史』の著者として内藤が生放送出演します。ぜひ聞いてやってください。なお、放送番組の常として、諸般の事情により、急遽、内容が変更となる可能性もありますが、その場合はあしからずご容赦ください。


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 アフマディネジャド再選
2009-06-13 Sat 15:46
 きのう(12日)投票が行われたイランの大統領選挙は、現職で対外強硬派とされるアフマディネジャド大統領が投票総数の過半数を獲得、対外穏健派のムサビ元首相ら3人の候補を破り、再選を果たしました。というわけで、今日はこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・核の平和利用

 これは、アフマディネジャド政権1期目の2007年にイランが発行した「核の平和利用」と題する切手です。

 イランは1970年に核拡散防止条約(NPT)が発足した当初から加盟していますが、1979年のイスラム革命以降、極秘裏に核開発に着手し、1990年代には少量のプルトニウムの抽出に成功したとされています。その後、2002年にイランの核開発問題が表面化し、2003年には国際原子力機関(IAEA)定例理事会にて、イランに対する非難決議案を全会一致で採択していますが、2005年に発足したアフマディネジャド政権は核開発続行の意思を表面し、国際社会の懸念が高まっていました。

 2006年4月、アフマディネジャド大統領はイランが核燃料サイクルに適合するウランの精製に成功したと発表。さらに、11月には“完全な核燃料サイクル技術を獲得した”との発表も行われています。この間、 7月31日には国連安保理がイランに核開発中止を求める決議1696を賛成14、反対1(カタール)で採択しています。

 今回ご紹介の切手も、こうした背景の下で、イランとしては(実態はともかく建前としては)あくまでも自国の核開発が平和利用のためのモノであることを強調するために発行されたものです。

 再選を果たしたアフマディネジャド大統領は、反米・反イスラエルの姿勢が極めて鮮明な人物として知られていますが、そのイスラエル筋はイランが2009年末までには核兵器を保有すると言う展望を示しています。また、アメリカのシンクタンク“ワシントン近東政策研究所”も、イランの核兵器保有阻止の為にイスラエルが向こう2年以内にイラン攻撃に踏み切る可能性があるという報告書を発表しています。

 もっとも、イランの場合は“法学者の統治”と呼ばれる特殊な統治体制になっていて、核開発や核兵器の使用などについては、最高指導者から任命された委員によって構成される最高国家安全保障会議の管轄となっており、最高指導者のアリー・ハメネイーは核兵器に反対していますので、大統領の暴走には一定の歯止めがかかることになっています。とはいえ、敵国のイスラエルが現実に核兵器を保有しているといわれている中で、イランが自国の防衛のために核兵器を保有しようとするのは、(是非善悪は別として)軍事バランスという点からすれば当然の対応なわけで、この点でイランのみを責めてみても説得力はないでしょう。まぁ、中国や北朝鮮が核武装し、ミサイルの照準を東京にあわせていても、日本だけは核武装を絶対してはならないと主張する人たちがどうおっしゃるかは知りませんがね。

 いずれにせよ、投票前は対外穏健派のムサビ優勢、あるいは、大接戦で過半数を制する候補がなく決選投票にもつれ込むのではないかとの観測が西側メディアでは盛んに流れていましたが、結果的に、予想が大きく外れ、アフマディネジャドの圧勝となったことで、今後ともイラン問題は西側諸国にとっての頭痛のタネという状況がしばらく続きそうです。


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 英雄/テロリスト図鑑:ホメイニー
2007-03-14 Wed 06:41
 『SAPIO』3月28日号が発売になりました。僕が担当している連載「世界の『英雄/テロリスト』裏表切手大図鑑」では、今回は、イラン・イスラム革命の指導者ホメイニーを取り上げてみました。(画像はクリックで拡大されます)

      ホメイニ

 この切手は、ホメイニーの死後、1989年12月13日に発行された追悼切手の1枚で、アメリカを後ろ盾にしたパーレビ王制によって祖国を追われるホメイニーの姿が描かれています。

 ルーホッラー・ホメイニーは、1900年5月17日(1902年9月24日説もあり)、イラン中部のホメインで生まれました。5歳のときに父親を亡くしましたが、エスファハーンやアラク、コムなどでの修業を経て、イスラムの法学・哲学・神秘主義などに通じた碩学として知られるようになり、シーア派イスラム法学の最高位、マルジャエ・タクリードとなりました。

 1963年、当時、親米政策を採っていた国王(いわゆるパーレビ国王です)は“白色革命”を発動します。“白色革命”というのは、赤色革命の対義語として、国王主導の大規模な社会変革を意味していましたが、その本質は開発独裁による上からの近代化・西洋化です。

 ホメイニーは白色革命を伝統的なイスラムの価値観に反するものと断じ、政府に対する抵抗運動として、白色革命の是非を問う国民投票へのボイコット、イラン暦の新年(イラン暦では春分の日が元日)の祝賀行事やアーシュラー(シーア派の伝統的な宗教行事)への不参加などを呼びかけたほか、モスクでの説教でも国王を罵倒しました。

 こうした活動が反国家的と取られて、1963年6月5日、彼は逮捕されますが、これに抗議する暴動がイラン全土で発生し、およそ400人が亡くなる騒動となります。その後、いったんは釈放されるものの政府批判は止めず、1964年11月、国王とアメリカを非難して国外追放処分を受けましたが、反国王の象徴的存在として、亡命後もシーア派法学の最高権威という立場でイラン国内での影響力を保ちます。

 1978年、そんな彼のことを誹謗中傷する記事がイランの日刊紙に掲載されると、宗教都市のコムで反国王デモが発生。これをきっかけに、開発独裁に対する国民の不満が爆発して反政府暴動が全土に広がり、1979年2月、王制は崩壊し、帰国したホメイニを迎えてイラン・イスラム共和国が樹立されました。

 彼は、亡くなる年の2月、小説『悪魔の詩』の作者、サルマン・ルシュディーと同書の発行、翻訳などに関わった者への死刑宣告を発し、西側社会から激しい非難を浴びています。

 イスラムの法理論からすれば、イスラム教徒はどの国にいようともイスラムの法に従うことが求められており、その意味で、イスラム教徒でありながらイスラムを冒涜したルシュディーの行為は死に値する大罪ということになるのですが、現代世界の“常識”では、ホメイニーの宣告は、国境を無視した言論弾圧としか認識されないのもやむを得ないでしょう。実際、日本語版翻訳者の五十嵐一をはじめ、『悪魔の詩』の外国語翻訳者に対するテロ事件が何軒か起きているのですから。

 その意味では、現在でも、ホメイニーはイラン国民にとっての革命のシンボルであると同時に、アメリカのいう“テロリスト国家”の象徴的な存在でもあるといってよさそうです。

 ところで、生前のホメイニーは、米ソの宇宙開発を評して「月でも火星でも好きなところへ行くが良い」といった趣旨の発言をしていますが、僕なんかは、先ごろ国産宇宙ロケットの打ち上げに成功して意気揚がるイラン国民に、このホメイニ発言をどう思うか、質問してみたい誘惑に駆られています。まぁ、「わが国のロケットは、月なり火星なりに行くためのものではなくって、核弾頭を積んで“敵国”めがけてぶっ放すためのモノなんだから良いんだよ」と即座に反論されるのがオチでしょうけれど。
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 試験問題の解説(2007年1月)-3
2007-01-29 Mon 00:37
  昨日に引き続いて、試験問題の解説の3回目(最終回)です。今日は、このカバーに貼られている切手について説明するよう求めた問題を考えて見ましょう。 なお、試験の問題では、切手と消印の部分のみを使いましたが、せっかくですので、このブログではカバーの全体像をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      安保理決議598

 これは、イラン・イラク戦争の停戦翌年の1989年にイランが発行した切手のカバーで、切手と同図案の記念印が押されています。切手の額面は国内書状料金の20リアルですから、今回のようにアメリカ宛の郵便物の場合、他の切手(1989年のパリ国際切手展の記念切手)も貼り合せて料金を充当しています。

 1980年に勃発したイラン・イラク戦争の本質は、イスラム革命の混乱に乗じてイラクのサダム・フセイン政権が発動した侵略戦争でした。しかし、イスラム革命の波及を恐れる国際社会は、反イランの一点で団結し、イラクの敗戦を防ごうとします。このため、戦争は長期化し、膠着状態に陥りました。こうした状況の中で、1987年7月、国連安保理はイラン・イラク戦争の停戦決議(安保理決議598)を採択しました。

 この安保理決議598は、受諾を拒否する国に対しては、制裁などの措置を行いうるとして受諾圧力をかけた上で、停戦とともに双方が占領地域から撤退することを掲げていました。これは、一見、公平なようにも見えますが、イラン領内に占領地を持たないイラクにとっては有利で、イラク領内に占領地を有していたイランにとっては不利な内容です。このため、イラン国内では、この決議は、イランが拒否することを見越して、対イラン制裁措置を導き出そうとするアメリカの意図に沿って作成されたものと受け止められていました。

 しかし、1987年7月22日に安保理決議598が成立すると、イラクは最後の大攻勢をかけて被占領地を奪回しはじめ、1988年6月までに作戦をほぼ完了させました。このため、もはや泥沼の長期戦を続けていくだけの余力を完全になくしたイランは、ついに停戦決議の受諾を決定。1988年8月、イラン・イラク戦争は勝者なきまま、ようやく終結しました。なお、戦争終結に際して、イラク側は大々的に勝利を喧伝しましたが、イランではそうした声は聞かれず、ホメイニーは停戦「毒を飲むより辛い」と評しています。

 今回取り上げた切手も、そうしたイラン国内の空気を反映して発行されたもので、安保理決議598の文面にイラク国旗の鉛筆で大きく?を記しているデザインが目を引きます。また、右上には、鉄条網に覆われたイラン地図の中で苦しむ人物と鳩が描かれており、国際社会の押し付けた“停戦”の内容に対するイランの不満が表現されています。

 試験の答案としては、イラン・イラク戦争に際してのイラン包囲網のことについて触れた上で、イランが安保理決議598に強い不満を持ちながらもそれを受諾せざるを得なかった状況を説明してくれればOKです。

 さて、今回の試験では、この3日間でご紹介した問題のほかに、“ハマス”や“アラブ首長国連邦”について説明する問題も設けましたが、これらについては、wikipedia等で検索することも可能ですから、僕のブログではあえて解説しません。

 なお、明日(30日付)からは通常通りの内容に戻ります。僕の授業の試験を受けているわけでもないのに、お付き合いいただいた皆様、お疲れ様でございました。
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 外国切手の中の中国:イラン
2006-04-17 Mon 21:20
 NHKラジオ中国語講座のテキスト5月号が出来上がりました。僕が担当している連載「外国切手の中の中国」、今回のお題は最近何かとお騒がせの国“イラン”。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イラン・中国友好

 この切手は、2003年にイランが中国との友好を謳いあげるために、中国とほぼ同じデザインで発行したもので、西安の鐘楼とエスファハーン(テヘランの南約340キロの地点にある古都。イスファハンとも)のモスクが取り上げられています。

 西安とエスファハーンは互いに友好都市関係を結んでいますから、両国でそれぞれの文化遺産を題材とした切手を発行しても不思議ではないのですが、2003年という時期を選んでの切手発行となると、背後にある政治的事情についても目を向けておく必要がありそうです。

 2002年8月、イランの反体制組織であるイラン抵抗全国会議は、イラン政府が少なくともアラクとナタンズの二つのサイトで核兵器開発計画を進めていると告発。これを受けて、翌2003年2月にIAEAの事務局長らがイラン訪問したとき、イラン側が、初めて、ナタンズの二つの濃縮プラントとアラクの重水プラントとについてIAEAに説明し、1991年のウラン輸入についても認め、イランの核開発が一挙に国際社会にとって深刻な問題として浮かび上がることになりました。

 じつは、ここで問題になっている1991年の“イランのウラン輸入”は、イランがIAEA(国際原子力機関)に申告せず、中国からUF6(6フッ化ウラン)1000キロ、UF4(4フッ化ウラン)400キロ、UO2(二酸化ウラン)400キロを密かに輸入していたことを指しています。

 その後も、中国は、イランの核開発への強力を継続しており、1996年にはテヘラン駐在の中国大使が「アメリカのイラン内政への干渉に反対する」とまで発言しています。

 こうした事情を考えると、イランとしては、中国とのジョイント・イシュー(共同発行)の切手を発行することで、アメリカに対抗する“同盟国”としての中国との絆をアピールしようとしたとみるのが妥当でしょう。

 一方、イランの切手発行と同時に、中国側でも、イランと同じ題材でほぼ同じデザインの切手を発行しています。その背後には、イランの核開発に一定理解を示しつつ(核開発の舞台の一つとなったエスファハーンのモスクが取り上げられているのは意味深長です)、国際的に孤立するイランとの関係を維持することで、万一、イランに対する国際社会の経済制裁が発動されても、イラン産の石油を確保する道筋を作っておこうという中国側の意図が見え隠れしているように思われます。

 今回の「外国切手の中の中国」では、2003年の切手を題材として、そうしたイランと中国との関係をいろいろな角度からまとめてみました。ご興味をお持ちの方は、是非、ご一読いただけると幸いです。

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 ボスニア紛争とイラン
2006-03-12 Sun 23:41
 元ユーゴスラビア大統領のスロボダン・ミロシェビッチが亡くなりました。というわけで、今日はこんな1枚を持ってきました。

      ボスニア・ヘルツェゴビナのムスリム支援

 旧ユーゴスラビア連邦が解体していく過程で、1992年、ボスニア・ヘルツェゴビナが独立を宣言します。これに対して、国内のセルビア人とクロアチア人・ボシュニャク人(イスラム系住民)が対立し、セルビア人が分離を目指して内戦となったのが、いわゆるボスニア紛争です。

 ボスニア紛争に際しては、旧ユーゴの中心であったセルビアが介入してイスラム系住民に対する“民族浄化”が大々的に行われたことが報じられ、ミロシェビッチとセルビアは国際的に指弾されました。このため、彼はその責任を問われて旧ユーゴ国際戦犯法廷で裁判を受けている途中でした。

 さて、今回ご紹介している切手は、ボスニア紛争が始まってまもない1992年にイランが、ボスニア・ヘルツェゴビナのイスラム系住民への支援を呼びかけて発行したものです。

 イスラム共和国の看板を掲げているイランは常々“全世界のムスリム、団結せよ!”と主張していますから、この切手もそうした彼らの国是に沿ったもので、彼らの頭の中では、こうした切手を発行することは自然なことなのでしょう。なお、イランでは、その後も何度かボスニアのムスリム支援を題材としたプロパガンダ切手を発行していますが、デザイン的には、今回のものが一番インパクトがあるように思います。

 ボスニア紛争に関しては、切手や郵便の面でも、さまざまな国のいろいろなプロパガンダが飛び交っていて、丹念に見ていくと面白いだろうと思います。ただ、僕自身は、まず旧ユーゴの紛争そのものの知識がほとんどないので、まずはそこから整理してみないと、はっきりいって何がなんだかよく分からないというのが正直なところです。ま、とりあえず、今日のところは、手持ちのストックの中から、パッと取り出せたものをご紹介してみました。

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 ホメイニ
2005-09-19 Mon 11:45
 どんな人間でも子供の頃はあったし、若い頃もあったはずなのですが、歴史上の人物の中には、年を取ってからのイメージが強烈すぎて、若い頃の顔を想像できない人というのが少なからずいます。

 たとえば、伊藤博文にしろ板垣退助にしろ、我々がすぐに思い浮かべる顔は立派なヒゲをたくわえたお札の肖像であって、幕末維新期の青年時代の顔ではありません。世界史に目を転じてみれば、イランのホメイニなんかが、若い頃の顔を想像しにくい人物の典型ではないかと思います。

 6月13日の日記 でもご紹介したように、1979年のイスラム革命後、1980年代、イランは自らの政治的主張を内外にアピールするために積極的に切手を活用してきました。しかし、そうしたプロパガンダ切手の洪水の中でも、ホメイニの肖像を正面から取り上げた切手は、いっさい、発行されませんでした。

 これは、シーア派最高位のイスラム法学者であるホメイニが、自分の肖像の入った切手を発行することは、偶像崇拝を禁止しているイスラムの教えに抵触するとして、現にこれを戒めていたためといわれています。実際、彼の肖像を描く切手は、彼が生きている間は発行されず(反国王デモの風景として、一部の参加者が彼の肖像を掲げている場面の切手はありますが・・・)、1989年7月に発行された追悼切手(↓)が彼の肖像を描いた最初の1枚となりました。

      ホメイニ

 ホメイニが亡くなる前年の1988年、長きに渡ったイラン・イラク戦争がようやく停戦となり、イランの外交戦略は大きく変わることになります。それに伴い、それまで、国際社会に対して自らの正当性を訴えるためのプロパガンダの媒体として活用されてきた切手は、一転して、国内の戦後復興や戦争によって頓挫した革命後の国家建設を国民に訴えるためのメディアとなりました。そして、ほぼ同時期に革命のカリスマであったホメイニが亡くなったことで、イラン政府は、ホメイニの理想を継承するという立場をアピールするため、ホメイニ切手を大量に発行していくことになるのです。

 それにしても、イランが発行するホメイニの切手は、年をとってからの肖像ばかりで、青年時代あるいは40代の脂が乗り切った頃の肖像というのは、ついぞお目にかかれません。敬老の日におばあちゃんの家に遊びに行った孫が、彼女の若かりし頃の写真を見てびっくりし、おばあちゃんから「私だって最初から年寄りだったわけじゃないのよ」といわれるというのは、まぁ、ありがちな光景なのでしょうが、ことホメイニに関する限り、最初から老人の顔をしていたと思いたくなるのは、僕だけではないように思います。
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