2024-12-05 Thu 09:58
作日(4日)17:00少し前に、無事、上海から帰国いたしました。現地滞在中、審査員の佐藤浩一さん、井上和幸さん、斎藤環さん(アプレンティス)、ジュリーアカデミー参加の吉田敬さん、出品者の永井正保さん、正田幸弘さん、山崎太郎さん、ブース出展の落合宙一さんとスタッフの皆さんをはじめ、多くの方々にいろいろとお世話になりました。おかげさまで、いろいろと実りの多い滞在となりました。その成果につきましては、追々、皆様にもご報告して参りますが、まずは、現地滞在中、お世話になった全ての方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 冒頭の写真は、11月19日から12月3日まで開催されたアジア国際切手展<CHINA 2014>の会期初日にコミッショナーとして参加した証として、ゼネラルコミッショナーの高洪涛さんから感謝状を頂いている時に撮影してもらいました。(以下、画像はクリックで拡大されます) ちなみに、感謝状の実物はこんな感じです。 また、併せてこのようなメダルもいただきました。表面には今回の展覧会のマスコットで、郵便ポストを擬人化した“邮筒弟”が、裏面には上海・陸家嘴地区の風景がデザインされています。 今回の切手展に際しては、会期初日に記念切手(4種+切手シート1種)が発行されましたが、邮筒弟はそのうちの1枚にも取り上げられています。(下の画像) ちなみに、実際の郵便ポストはこんな感じです。 さて、来年(2025年)の国際切手展は、2月にウルグアイのプンタ・デル・エステで世界切手展<URUGUAY 2025>の開催が予定されているほか、8月にはバンコクでアジア国際切手展が、9月にはソウルで世界切手展が、それぞれ予定されています。このうち、2月のウルグアイ展については、コミッショナー兼審査員として参加することが決まっているほか、バンコクとソウルの切手展にもなんらかの形でかかわることになりそうです。今後とも、皆様にはいろいろとお世話になりますが、引き続き、ご指導・ご支援のほどよろしくお願いいたします。 なお、今回ご紹介の切手に取り上げられている邮筒弟のモデルになった郵便ポストについての補足情報は、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 12月10日(火) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 12月13日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2024-12-02 Mon 08:40
11月29日から上海の上海展覧中心(Shanghai Exhibition Centre)で開催中の国際切手展<CHINA 2024>は、すべての作品の審査が終了し、下記の通り、受賞結果が発表されました。受賞者の皆様、おめでとうございます。 以下、そのリストを掲載します。出品者名は日本語表記(敬称略)、作品名は英文でリスト記載のとおり、カッコ内は点数で、GPHCはチャンピオン・クラスのグランプリに相当するグランプリ・ドヌールの候補にノミネートされたことを、CPは参加証を意味しています。速報ゆえ誤記などがありましたら、後日訂正いたしますので、ご容赦ください。 ・永井正保 Private Printing Period in Victoria 1850-1859 LG(96) ・正田幸弘 Postal History of Brazil 1795-1877 GPHC ・石澤司 Ryukyus 1945-52 LG(95) ・内藤陽介 Postal History of Auschwitz 1939-1946 G(92) ・嘉ノ海暁子 Floriculture - Its Development Process and Uses of Garden Plants LV(85) (文献) ・山崎太郎 Modern-est Stamps CP(56) なお、冒頭の切手は、今回の切手展の会期初日に当たる2024年11月29日、中国が発行した今回の切手展の記念切手のうち、会場の上海展覧中心を描いた1枚です。ちなみに、実物の上海展覧中心の外観はこんな感じです。 今回ご紹介の切手に取り上げられた“上海展覧中心”についての追加情報は、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 12月10日(火) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 12月13日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2024-04-08 Mon 09:24
きょう(8日)はお釈迦様の誕生を祝う“花まつり”の日です。というわけで、お釈迦様を取り上げた切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年9月26日に中国が発行した”莫高窟”の切手シートで、第45窟の塑像群が取り上げられています。塑像群の中央は釈迦如来像で、その両脇に弟子の阿難と迦葉、さらにその外側に菩薩が2体、もっとも外側には天王が2体、配されています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 なお、遺跡としての莫高窟の保護に関しては、“日中友好”の名目の下、中国は日本から巨額の資金を引き出していますが、そのあたりの事情については、拙著『現代日中関係史 第2部 1972-2022』でもまとめておりますので、機会がありましたら、併せてご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 4月10日(水) 11:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 4月12日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月26-28日(金-日) スタンプショウ 2024 毎年恒例、東京・浅草で開催の世界切手祭り・スタンプショウの会期中、以下の日程でトークイベントを行います。事前予約不要・参加費無料ですので、ぜひご参加ください。なお、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。 4月26日(金) 14:30-15:30 「セント・ジョージの龍退治:ソヴリン金貨と切手」 4月27日(土) 11:00-12:00 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』出版記念講演 4月27日(土) 12:30-13:30 「加賀・能登と戦後の記念切手」 4月29日(月・祝) 謀略の世界史 特別編~リヒャルト・ゾルゲ 毎月第1土曜日に開催している講座、「謀略の世界史」の特別編として、戦前の日本を震撼させたソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲについてお話しします。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★ 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★ 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2024-02-24 Sat 05:32
きょう(24日)は、旧暦1月15日(旧暦での新年最初の満月の日)の“元宵節”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年3月2日に中国が発行した“元宵節”の切手で、元宵節の伝統芸能として、龍舞と獅子舞が描かれています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 なお、切手に描かれた龍については、拙著『龍とドラゴンの文化史』でもいろいろご紹介しております。同書につきましては、 オンラインサロン・内藤総研にて会員の方向けにサイン本の割引販売も行っておりますので、よろしかったら、こちらで会員登録(無料会員で可)の上、ご利用いただけると幸いです。 * 昨日(23日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。次回は3月8日に登場予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2月28日(水) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 3月3日(日) 13:00~ 「オスマン帝国と切手・郵便」 3月2・3日(土・日)に東京・目白の切手の博物館で「第15回テーマティク研究会切手展」が開催されます。今回は、日・トルコ外交関係樹立100周年にちなんで斎藤良昭さんの作品「オスマン帝国の没落とトルコの近代化ーケマル・アタテュルクの活躍を中心にー」をメインの展示としており、僕も「オスマン帝国と切手・郵便」と題して、下記の要領でトークを行います。切手展の参観と合わせて、ぜひ、ご参加ください。(切手展の詳細はこちら) 【日時】 3月3日(日) 13:00~14:00 【会場】切手の博物館3階会議室 【参加費】無料 ※先着順・最大20名 【問合先】(公財)日本郵趣協会 TEL:03-5951-3311 3月8日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★ 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★ 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-06-18 Sun 10:43
きょう(18日)は“父の日”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2015年6月13日、同年の父の日(6月21日)を前に中国で発行された“感恩父親(父への感謝)”の切手で、左上のハート部分がホログラム箔のスクラッチになっており、削ると、“爸爸,我愛您(お父さん、大好き)”、“父愛如山(父の愛は山のごとし)”、“祝爸爸平安幸福(お父さんの平安と幸せを祈ります)”、“爸爸,您辛苦了(お父さん、お疲れ様)”の4種類のメッセージのいずれかが出てくる仕掛けになっています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 6月23日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★ 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-05-24 Wed 03:01
愛知県は、きのう(23日)、今秋に中国・杭州、2026年に同県内で開かれるアジア大会のPRのため、27日に名古屋市内で開催予定だった“杭州アジア競技大会オフィシャルファンラン”を中国側の申し出で中止すると発表しました。中国側の説明はありませんが、G7広島サミットへの反発が理由とみられています。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2019年5月18日、2022年に開催予定だった杭州アジア大会(新型コロナウイルス禍のため2023年に延期)の事前プロモーションのために発行された宣伝切手です。切手は、大会のロゴマークを描いた切手本体と、メイン会場の“杭州オリンピック・スポーツ・エキスポセンター”を描くタブの連刷形式で発行されました。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 5月26日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第2部 1972-2022』 好評発売中!★ 2022年11月に刊行された「第1部1945-1972」の続編で、日中国交”正常化”以降の1972年から2022年までの半世紀の、さまざまな思惑が絡まり合う日中関係の諸問題を、切手とともに紐解いていきます。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-01-18 Wed 05:37
中国国家統計局は、きのう(17日)、2022年末の中国の総人口(台湾や香港、マカオを除く)が前年末と比べ85万人減り、14億1175万人になったと発表しました。前年末と比べ減少するのは、いわゆる大躍進政策の失敗で餓死者が大量に発生した1961年以来61年ぶりで、出生率も1949年の中華人民共和国成立以来最低となったことから、世界首位の人口大国の座から陥落し、インドが最多となった可能性もあります。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年11月1日、前回の人口調査に際して中国が発行した記念切手で、デザイン化された“人口”の文字と“7”を組み合わせ、その下に調査票と家族、人口グラフのイメージが配されています。人口グラフのイメージで、一時的に人口が大きく落ち込んでいるのは、大躍進時代の人口減を反映させたものなのかもしれません。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2023年1月27日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 1月28日(土)開講! よみうりカルチャー 北千住 エリザベス女王の現代史 毎月第4土曜日 13:00~14:30 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★ 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 |
2022-03-04 Fri 10:00
2月20日に閉幕した北京冬季五輪に続き、今夜(4日夜)、北京冬季パラリンピックが開幕します。というわけで、五輪の時と平仄を合わせて、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年1月16日、北京冬季五輪・パラリンピックの事前プロモーションのために中国が発行した切手のうち、今回のパラリンピックの公式マスコット“雪容融(シュエ・ロンロン)”を取り上げた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 3月7日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 3月13日(日) 13:00~ 「アフガニスタン現代史」 3月12・13日(土・日)に東京・目白の切手の博物館で開催される「第13回テーマティク研究会切手展」にあわせて、下記の通り、拙著『アフガニスタン現代史』の刊行記念トークイベントを開催します。切手展の参観と合わせて、ぜひ、ご参加ください。(切手展の詳細はこちら) 【日時】 3月13日(日) 13:00~14:30 【会場】切手の博物館3階会議室 【参加費】無料 ※先着順・最大20名 【問合先】(公財)日本郵趣協会 TEL:03-5951-3311 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 3月5日発売!★ 出版社からのコメント 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史! 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★ 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。 |
2022-02-04 Fri 01:35
北京冬季五輪の開会式が、今夜(4日夜)、行われます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年1月16日、北京冬季五輪の事前プロモーションのために中国が発行した切手のうち、今回の五輪の公式マスコット“冰墩墩(ビンドゥンドゥン)”を取り上げた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、本日21時から“上念司チャンネル ニュースの虎側”にて配信予定の「チベット、ウイグル、香港の人権問題に抗議しながら、北京オリンピック開会式を勝手に副音声! 」に内藤がゲスト出演する予定です。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2月7日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 2月15日(火) 19:00~ 内藤陽介×掛谷英紀オンライントークイベント 掛谷英紀先生と2022年の“世界”を語る『読書人』のオンラインイベントです。お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です。お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★ 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-07-27 Tue 02:08
現在開催中の東京五輪ですが、きのう(26日)は、スケートボード女子ストリートの西矢椛(日本選手の金メダル最年少記録を更新)、柔道男子73キロ級の大野将平(2大会連続)、卓球混合ダブルスの水谷隼・伊藤美誠組が金、体操男子団体総合の日本代表チームが銀、スケートボード女子ストリートの中山楓奈、アーチェリー男子団体の日本代表チーム、柔道女子57キロ級の芳田司が銅、の各メダルを獲得しました。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、ことし(2021年)7月23日(五輪開会式の日)、中国が発行した東京五輪の記念切手のうち、卓球の混合ダブルスを取り上げた1枚です。 卓球が五輪の正式競技に採用されたのは1988年のソウル五輪からで、2004年のアテネ五輪までは男女シングルスと男女ダブルスの計4種目が実施されていました。その後、2008年の北京五輪からは男女ダブルスに代わり、男女団体(1チーム3人)が実施されています。 このうち、1992年のバルセロナ五輪は4種目実施で銅メダルが各2個授与されたため、前回(2016年)のリオデジャネイロ五輪までのメダルの総数は100個になりますが、このうち、中国が獲得したメダル数は金28、銀17、銅8の計53で他を圧倒していました。ちなみに、わが国は、2012年のロンドン五輪で女子団体が銀、2016年のリオデジャネイロ五輪で男子団体が銀、女子団体と男子シングルスの水谷隼がそれぞれ銅の計4で、これまで金メダルはありませんでした。 こうした過去の実績から、今回の東京五輪から新種目として行われる混合ダブルスについても、中国は金メダルの最有力候補とみられており、そうした前評判を踏まえ、中国側は自分たちが新種目の初代王者となることを見越して記念切手の題材を選んだのでしょうが…。 ちなみに、五輪で中国選手が敗れたのは、2004年のアテネ五輪で男子シングルス決勝以来のことで、女子がタイトルを逃したのは初開催となった1988年のソウル五輪ダブルス以来のことでしたから、水谷隼・伊藤美誠組の金メダルは、日本卓球界初の快挙という枠を超えて、世界の卓球史に残る歴史的快挙の大金星といっても過言ではありません。日本人としては、実に喜ばしいですな。 * 昨日(26日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は来週月曜日・8月2日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 8月2日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-04-08 Thu 02:34
きょう(8日)は、お釈迦様の誕生を祝う“花まつり”の日です。というわけで、毎年恒例、お釈迦様ネタの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2014年5月18日に中国が発行した“タンカ”の切手の1枚で、中央に描かれた釈迦は、左手をひざの上に置き、右手を垂らして地を指す降魔印(触地印)と呼ばれる印相(手の形)をとっています。 タンカは、もともと、チベット仏教の僧侶が村々を回って仏教の教えや釈迦の生涯などを人々に説くために仏画や曼荼羅を伝記などを掛軸として軸装し、持ち運びしやすくしたもので、現在では、チベット仏画の掛軸を総称する言葉となっています。 今回ご紹介の切手は、チベットが自国の領土であることを誇示しようという中国政府のプロパガンダの一環として、北京の故宮博物院に収蔵されているタンカの名品を取り上げたものです。 ところで、この切手が発行された2014年には、チベット人画家、テンジン・リグドゥが、伝統的なタンカの形式を用いた作品“My world is in Your Blind-spot(私の世界はあなたの死角にある)”を発表しているので、ご紹介したいと思います。(下の画像) リグドゥは、1982年、ネパールの首都、カトマンドゥで亡命チベット人家庭(両親は1960年代にチベットから脱出)に生まれました。1999年からインドのチベット・タンカ芸術学校やカトマンドゥの寺院などでタンカを学んだ後、2005年米コロラド大学などで絵画と芸術史を学びました。現在はニューヨーク在住で、2010年に劉暁波がノーベル平和賞を受賞した際には、リチャード・ギアが彼の作品を授賞式で披露したことで世界的にその名が知られるようになりました。ちなみに、リグドゥ本人は一度もチベットの地に足を踏み入れたことはありません。 2014年の作品、「私の世界はあなたの死角にある」は、伝統的なタンカの手法を用いて、炎に包まれる釈迦の姿を描いたもので、切手のタンカと同じく、釈迦は降魔印の印相で描かれています。 悟りを得る前の釈迦がガヤー村(現ブッダガヤー)の菩提樹の下で瞑想にふけっていると、魔物が次々と現れて修行を妨害しましたが、地の神は釈迦に加勢し、魔物はことごとく降伏されました。降魔印はその時の姿を表現したものです。 2008年3月10日以降、中国政府の支配に反発するチベット人がチベット自治区ラサで抗議活動を開始。抗議活動は、周辺の四川、青海、甘粛各省のチベット族居住地域にも波及し、同14日には地方政府機関や商店などが破壊される大規模な“暴動”に発展しました。これに対して、中国政府は治安部隊を動員し、200人以上を殺害して“暴動”を鎮圧しましたが、この騒乱を契機として、中国の圧政を世界に発信するため、抗議の焼身自殺を行うチベット人が急増します。 チベットの状況について、多少なりとも関心のある人なら、炎に焼かれながら、魔物を追い払うべく降魔印の印相をとる釈迦の姿を見て、すぐに、抗議の焼身自殺を敢行するチベット人の姿を連想することでしょう。 伝統的なタンカでは、中国絵画の影響もあって、15世紀以降、背景には緑と青を基調とした風景を描くのが主流となっていましたが(今回ご紹介の切手のタンカはその典型)、リグドゥは、そうした中国の“影響”が中国によるチベット植民地化の端緒になったとして、これを拒否し、「私の世界はあなたの死角にある」の背景は、金地にウチェン体(書体のひとつ)のチベット語経文で埋め尽くしています。 チベット人としてのアイデンティティと中国に対する抵抗の意思が明確に示された作品ですが、そうした政治的な意図を抜きにしても、絵画作品として非常に美しく、特に、釈迦の身体を焼き尽くす炎の表現は実に見事です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 4月12日(月) 05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月23日(金) 15:00~ 東京・浅草の東京都立産業貿易センター台東館で開催のスタンプショウ会場にて、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』の刊行記念トークを行います。入場無料・事前予約不要ですので、お気軽にご参加ください 5月15日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座 5月15日、22日、6月5日、19日、7月3日、17日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。詳細については、武蔵野大学地域交流推進室宛にメール(lifelong★musashino-u.ac.jp スパム防止のため、アドレスの@は★に変えています)にてお問い合わせください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』4月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第1巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱いました。今後、2021年11月刊行予定の第2巻では昭和時代(戦後)を、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『世界はいつでも不安定』 ★★ 本体1400円+税 出版社からのコメント 教えて内藤先生。 地上波では絶対に伝えられない国際情勢の事実をユーモアを交えて解説! チャンネルくらら人気番組「内藤陽介の世界を読む」が完全書籍化! 版元特設サイトはこちら。また、ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-02-04 Thu 01:34
2022年2月4日の北京冬季五輪の開会式まで1年となったのを機に、きのう(3日)、世界ウイグル会議や国際チベットネットワークなど約180の人権団体などが、中国における人権問題を理由に大会参加をボイコットするよう各国首脳に呼び掛ける書簡を公開しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2017年12月31日、中国が発行した北京冬季五輪の宣伝切手で、大会のエンブレム「冬の夢」がデザインされています。 「冬の夢」は、主催者側によると、“冬”の字をイメージしたもので、赤や青、水色などの伸びやかな線でスキーやスケートの選手の姿を表現するとともに、躍動感のある書道の手法も取り入れ、奥深い東洋の文化と現代の融合という意味も込めているそうです。 さて、現在に中華人民共和国は、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)やチベットにおける苛烈な人権侵害、香港での民主派弾圧などにみられるように、世界最悪の人権侵害国家として、国際社会から厳しく指弾されています。 こうした事態を踏まえ、米国のトランプ前政権は、中国共産党による人権侵害を正面から批判して、香港人権法・ウイグル人権法・チベット人権法を成立させ、特に、ウイグルに関しては中国共産党の行動を“ジェノサイド”に認定しました。 さらに、バイデン政権の発足後の2月2日には、共和党の上院議員5人が、2022年冬季五輪の開催地変更を求める決議案を議会に提出。法案を提出したリック・スコット議員は「中国政府は新疆ウイグル自治区のウイグル族に対し集団虐殺を行い、香港の人々の人権を制限し、台湾を脅かしている」として、「2022年の五輪開催を許されるべきではない」との声明を発表し、同じく提案者のトム・コットン議員は、「国際オリンピック委員会(IOC)は、2022年大会を市民の生命と権利を尊重する国に移すべき」と主張しました。 今回の公開書簡は、「(2015年に北京が2022年冬季五輪の開催都市に選ばれて以来、)習近平国家主席が基本的な自由と人権に対する容赦ない弾圧に及んでいる」ことを指摘したうえで、「五輪が悪用され、中国政府によるおぞましい人権侵害や弾圧がエスカレートする」ことがないよう、各国首脳に北京冬季五輪のボイコットを求めたもので、“血塗られた五輪”に反対する意思を込めて、下の画像のような“エンブレム”も作られています。 公開書簡を受けて、国際オリンピック委員会(IOC)は、「(人権などをめぐる懸念については)中国政府および現地当局に対し、過去にもまた現在も指摘を続けている」と説明していますが、中国外務省の汪文斌報道官は「こうした動きは国際社会の支持も得られなければ、成功もしないだろう」と述べ、今後もジェノサイドや各種の人権侵害を止める意思が全くないことを明らかにしています。 ★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★ 2月5日(金)05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-12-23 Wed 04:02
米上下両院は、21日(現地時間)、チベットでの人権弾圧を批判し、人権や信教の自由を擁護する法案(チベット人権法案)を賛成多数で可決しました。今後、同法案はホワイトハウスに送付され、大統領の署名を経て成立することになっています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2019年1月10日、同年2月5日の春節を前に、中国が発行した同年用の年賀切手で、ラサのポタラ宮を背景に、伝統的な民族服を着て新年の縁起物を捧げ持つチベット人男女が描かれています。原画作者は清華大学美術学院教授の吳冠英で、切手の左右に配された対聯の文字(雪月冰星春酒暖 吉祥興旺彩雲飛)は、中国を代表する書家で、先日(2020年11月5日)、92歳の天寿を全うした歐陽中石によるものです。 中国では、干支の動物を描くオーソドックスなデザインの年賀切手に加え、2015年から2019年まで、歡歡と喜喜という男女のキャラクターとローカルな正月風景を組み合わせたデザインした年賀切手として発行されていました。2015年と2016年の切手では歡歡と喜喜は現在の若者の服装(特定の民族を連想させる要素はない)で描かれていましたが、2017年からは“民族大団結”をテーマとして、歡歡と喜喜は、モンゴル人(2017年)、チワン人(2018年)、チベット人(2019年)の民族服姿で描かれました。 ちなみに、中国では、2014年に雲南省・昆明駅で、刃物を持った集団が通行人らを襲撃する無差別殺傷事件が発生し、31人が死亡、130人以上が負傷。公安当局は容疑者4人を射殺し、1人を拘束したうえで、“新疆分裂勢力による計画的かつ組織的な重大暴力テロ事件”と断定し、習近平は「独裁の仕組み」を活用して「テロリズム、侵入、分離独立」に対する「情け容赦は無用」の全面闘争を指示していました。 そうした方針の下、2016年、陳全国が新疆ウイグル自治区の党委書記、朱海侖が党委副書記兼政法委員会書記にそれぞれ抜擢され、翌2017年2月には、朱海侖が武装警察、公安部、民兵を集めた決起大会で「人民民主独裁の強力な拳で、全ての分離主義者とテロリストは粉砕する」と演説。以後、中国国内では強制収容所の数が急増したとされています。 歡歡と喜喜の年賀切手のテーマが“民族大団結”となったのもこうした政策の反映であることは明らかです。なお、歡歡と喜喜の年賀切手は2019年間で発行されたものの、2020年には発行されませんでした。その理由は明らかにされていませんが、2019年12月8日には新型コロナウイルスの最初の症例が報告されていますので、あるいは、その影響があったのかもしれません。 なお、今回ご紹介の切手が発行された2019年は、1959年3月10日にチベット民族蜂起が発生し、同17日にダライ・ラマ14世がインドに亡命してから60周年という節目の年に当たっていました。今回ご紹介の切手のテーマとしてチベットが取り上げられたのも、この機会をとらえて、あらためて、チベットが中国の一部であり、チベット人は中国共産党の指導の下で幸福に生活しているとの主張を強調しておこうという意図があったものと思われます。 もっとも、実際には、漢族の急激な流入により、チベットの伝統的な社会構造が破壊され続けていることもあって、強圧的な共産党の支配と強引な中国化・社会主義化への抵抗運動が続けられています。また、中国政府は、チベットの独立運動家やその支援者(とみなされた人々)に対しては容赦のない人権抑圧を日常的に行っており、そのことが国際社会から厳しく指弾されているのは周知のとおりです。 今回、米議会を通過した米国のチベット人権法案は、香港デモへの対応で中国を牽制する香港人権・民主主義法、ウイグル人への弾圧に対応を求めるウイグル人権法に続くもので、中国がダライ・ラマ14世の後継者選定に介入した場合、米国は制裁を検討すると明記しているほか、チベットの首府、ラサに米領事館の設置を認めない限り、在米中国領事館の新設を承認しないよう米政府に求めています。 チベット人権法案は、今年1月28日に下院で可決されていたものの、上院での審議は大幅に遅れ、今回、新型コロナウイルス危機の追加経済対策などと一括してまとめられた法案に盛り込まれて、上院を通過したという経緯があります。それだけに、トランプ大統領には1月20日の任期切れの前にぜひとも法案に署名していただき、2月12日の春節を前に、チベットの人々に少しでも「雪月冰星春酒暖 吉祥興旺彩雲飛」の気分を味あわせてあげてほしいですね。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-12-08 Tue 01:00
WHO(世界保健機関)が公式に発表している世界最初の新型コロナウイルスの症例(当初は原因不明の肺炎とされていました)が、2019年12月8日、中国湖北省武漢市の保健機関により報告されてから、ちょうど1年になりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、ことし(2020年)5月11日、(あくまでも彼らの主張によれば)新型コロナウイルスを克服したとして中国が発行した「众志成城 抗击疫情(大意:一致団結すれば困難を克服できる 疫病発生の状況に抵抗して反撃を加える。なお、众は衆、击は撃の簡体字)」と題する切手(以下、抗疫郵票)です。 もともと、中国郵政は、3月30日、「新型コロナウイルスとの戦いで重要な成果を出したこと」を記念するとして、4月7日に抗疫郵票を発行することを発表し、あわせて、発行予定の切手の図案(下の画像)を公表していました。 これに対して、ウイルスの発生源である中国が、いまだ全世界でウイルス禍が深刻な状況にある中で “ウイルス克服”の記念切手を発行するのはあまりにも無神経だとの非難の声が世界各国から寄せられます。さらに、4月4日、中国郵政は図案に“重大失誤”があったとして切手発行の延期を突如発表。5月7日、「切手愛好者やインターネットユーザーの意見を取り入れ、図柄を完全なものにした」として、図案を一部変更した切手を11日に発行することをあらためて発表し、実際に発行されたのが最初の画像の切手です。 中国政府・共産党のプロパガンダ政策の一環として発行された抗疫郵票に関しては、その政治的な重要性から、図案に関しても何重ものチェックを経て最終的に決定されたとみるのが自然です。したがって、いったん発表された図案が、わずか数日後、突如変更されたということは、当初の図案が制作された時点ではその内容は国策に反するものではなかったが、その後の状況の変化により“不適切”なものになったと理解するのが妥当と思われます。 抗疫郵票の発行がいつ決定され、デザイナーがいつから図案の制作を始めたのか、その正確な日時は中国郵政の資料が公開されない限り確定的なことは言えませんが、およその推測は可能です。 すなわち、4月4日に発行延期を発表してから5月11日に新図案の切手1450万組が発行されるまでの日数は38日間。おそらく、現在の中国郵政の処理能力では、印刷済みの切手を回収するとともに、修正した図案の切手を製造し、全国の郵便局に配給するにはその程度の日数が必要ということなのでしょう。上記の38日間の中には5月1-5日の連休がありましたから、それを差し引けば、準備期間は1ヵ月強に短縮することも可能かもしれません。そうすると、当初の予定通り、4月7日に抗疫郵票を発行するためには、切手制作の実務作業は3月7日前後には開始されていたと推測できます。 新型コロナウイルスの感染が拡大し、発生源とされる武漢市の都市封鎖が行われたのは1月23日でしたが、当初の中国政府によるプロパガンダでは、習近平国家主席は1月20日(後に7日に前倒し)以来、「卓越した指導力を発揮して、早期に感染拡大を終わらせ、世界に貢献した」と強調されていました。2月27日に刊行された『大国戦「疫」:二〇二〇 中国阻撃新冠肺炎疫情進行中』は習の指示と演説内容を紹介し、“領袖の決断”を称賛していましたし、3月6日には武漢市党委書記の王忠林が「武漢市民は習近平総書記と中国共産党に感謝すべきだ」として“感恩教育(党への感謝の強制)”を展開しています。 しかし、実際に多くの人民がウイルス禍に苦しむ中で、習と党を露骨に礼賛するプロパガンダに対しては人々の反発も強く、インターネット上でも政府・党批判があふれたため、翌7日頃から、プロパガンダの内容も感恩教育から「武漢市民に感謝する」ものへと徐々に変化していきました。 すなわち、3月8日には、湖北省党委員書記の応勇が、武漢の人々は「党の統制措置を積極的に支援し、協力した」と称賛したほか、同日付の『長江日報』は、武漢政府は武漢市民の貢献に心から感謝していると報道。さらに、10日には習近平が自ら武漢入りし、「武漢市民は英雄。全党全人民はあなたがたに感動し、感謝している」と述べ、翌11日の『人民日報』は「武漢の名は英雄として歴史に再び記される」との習の言葉を一面の見出しに使っています。 切手の発行予定日から逆算すると、おそらく、抗疫郵票の当初の図案が作成されたのはこの時期だったと考えてよいでしょう。そうであればこそ、抗疫郵票は、武漢のランドマークで、日本人にとっても唐詩で馴染みのある黄鶴楼や、臨時医療施設の“方艙医院”に転用された武漢洪山体育館の建物などを描き、武漢市民に感謝し、ウイルス禍に立ち向かうため国民に団結を呼びかけるという意図が強調される内容となったものと推測可能です。なお、切手上部には、共産党の象徴である“鎌と槌”と「众志成城 抗击疫情」のスローガンが入っていますが、この文言もウイルスを克服した勝利宣言というよりは、共産党の指導の下、団結してウイルスとの戦いに臨もうというスローガンと考える方がしっくりします。 なお、ウイルスに対する“勝利”の記念切手ではなく、ウイルスとの戦いにおいて、医療従事者を讃え、国民の団結を訴える趣旨の切手は、イランが3月20日のノウルーズ(イラン暦での新年で、春分の日)を前に発行したのが最初で、その後、各国で発行されていますので、抗疫郵票も当初はその系譜に連なるものとして企画されたものと考えられます。 ところで、ウイルスの全世界的な拡散に伴い、世界各国は中国政府の対応を批判し、西側諸国では発生の起源を明確にするためには“武漢”の地名を入れた“武漢肺炎”、“武漢ウイルス”などの用語を使うべきだとの論調が強かったのですが、中国外務省や国営メディアは、そうした表現が出るたびに火消しに躍起となっていました。 WHOには、差別や偏見、経済的な不利益が生じるのを防ぐためとの理由から、ヒトの新興感染症の名称に地名は使えないというルールがありますので、新型コロナウイルスによる疾患の正式名称も、2月11日、“COVID-19”と命名されましたが、その後も、トランプ米大統領は“中国ウイルス”の言葉を使い続けます。3月25日のG7外相会合でも、米国は“武漢ウイルス”と表記すべきだと主張しましたが、これは受け入れられず、翌26日のG20首脳会合では、“新型コロナウイルス”によるパンデミック克服のために協力するとした共同声明が発表されます。これにより、ウイルスの名称をめぐる米中の対立はとりあえず棚上げとなりました。 この間、3月23日には、中国政府は新規感染がなくなったと発表。25日には湖北省在留の北京市民の北京市への帰還が始まったほか、黄岡市では省外から湖北省に通じる道路の通行規制が解除され、車の往来が復活するなど、中国は感染の“終息”を本格的にアピールし始めています。そのハイライトが、WHOの創立記念日で世界保健デーにあたる4月7日に合わせての武漢市の封鎖解除でした。 3月30日というタイミングで、中国郵政が4月7日に抗疫郵票を発行すると発表したのは、そうした状況をとらえてのことと考えてほぼ間違いありません。すでに、G20首脳会議でウイルスの呼称問題は沈静化(したはずだと中国側が認識)した以上、共産党の指導と「武漢市民に感謝する」イメージは、そのまま、ウイルスを克服したとの実績のアピールと併置させても問題はないとの判断だったのでしょう。 ところが、4月に入ると、ウイルスの発生源である中国に損害賠償を要求すべきとの声が西側諸国で沸き上がるようになります。たとえば、英国のシンクタンク、ヘンリー・ジャクソン協会は、中国政府が国際保健規則に違反し、新型コロナウイルス感染のデータを隠蔽したこと、感染数に関する誤った情報をWHOに提供したこと、感染発覚後も国民の海外渡航を規制しなかったことなどを指摘し、英国は3510億ポンド(4490億ドル)、米国は1兆2000億ドル、カナダは590億ドル、オーストラリアは370億ドルの損害賠償請求が可能であるとの報告書を4月5日付で発表しました。 中国郵政が、4月4日、抗疫郵票の発行延期を突如発表したのは、中国への損害賠償を求める国際世論の高まりを察知し、新型ウイルスと(全世界がその発生源と認識している)武漢や中共を結び付けるようなデザインの切手は対外情報戦略の観点から不利との判断が働いた結果とみることができます。なお、香港、台湾などインターネットの華字メディアでは、黄鶴楼の存在が発行延期の理由であろうとの解説が、中国郵政の発表当初からなされていました。 こうして、5月11日、基本的なデザイン構成はほぼ当初案のままに、鎌と槌を削除されたほか、黄鶴楼の部分を目立たないように薄くし、方艙医院に関してはその看板の文字が消され、ウイルスのイラストも正式名称の“COVID-19”に改められるなど、“武漢ウイルス”と中共の責任を想起させる要素を排除する修正を施した抗疫郵票が発行されたというわけです。 ★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★ 12月11日(金)05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-09-09 Wed 04:05
米政府は、8日(現地時間)、中国・新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)産の綿花とトマト製品について、強制労働で生産されている疑いがあるとして輸入禁止措置を取る方針を明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2014年10月7日、東トルキスタンでの人権侵害に直接関与しているとされる“新疆生産建設兵団”の創立60周年を記念して中国が発行した切手のうち、同兵団の主導による新疆の開発を表現した1枚で、右下には機械化された綿花(今回の禁輸措置の対象)の収穫風景が取り上げられています。 東トルキスタンは、天山山脈の雪解け水を地下壕を通じて利用できることや、年間の最低気温がマイナス40℃、最高気温がから50℃と寒暖差が大きく、害虫が死滅することなどの好条件が整っていることから、高品質の超長綿花の栽培に適しています。このため、同地で生産される綿は“新疆綿”と呼ばれ、エジプト綿(ギザ綿)、スーピマ綿と並んで世界三大高級コットンの一つとされており、中国の主要輸出品のひとつとして、日米欧に輸出され高級シャツ、高級シーツなどに利用されています。 一方、切手の題材となった新疆生産建設兵団は、中国の新疆ウイグル自治区で開墾と辺境防衛を行う共産党傘下の準軍事組織で、いわゆる屯田兵に近いイメージです。その任務は、タクラマカン砂漠など辺境地域の開発、経済開発、社会の安定と調和の保証、東トルキスタン独立運動への弾圧などで、現在の兵団全体の総人口は258万人余、その86%が漢族です。 1949年、国共内戦の帰趨がほぼ明らかになる中で、中国共産党は東トルキスタンに鄧力群を派遣し、在地の民族政権であるイリ政府との交渉を開始し、毛沢東はイリ政府首脳陣を北京の政治協商会議に招きます。しかし、8月27日、北京行きの飛行機に乗った3地域首脳11人は、そのままソ連領内のアルマ・アタ(現アルマトイ)に連行・殺害され、東トルキスタン政府は事実上消滅。残されたイリ政府幹部のセイプディン・エズィズィは、陸路で北京へ赴き、政治協商会議に参加して共産党への服属を表明せざるをえなくなりました。 これを受けて、1949年末までに中国人民解放軍が東トルキスタン全域に展開し、東トルキスタンは完全に中華人民共和国に統合されました。その後も、中国人民解放軍第2軍、第6軍、第15軍の約10万人は中国本土には戻らずに東トルキスタンへの駐留を続け、1952年には開墾と辺境防衛任務を与えられます。その後、1954年には彼らを母体に“新疆軍区生産建設兵団”が設立され、初代司令官には国民党政権時代の新疆警備総司令である陶峙岳が就任しました。今回ご紹介の切手はここから起算して60周年になるのを記念して発行されたものです。 新疆生産建設兵団は、文革時代の混乱で一時はほぼ壊滅状態に陥りますが、1979年のイラン・イスラム革命やソ連軍のアフガニスタン侵攻など、中央アジア方面が緊張したことを受けて辺境防衛の重要性が高まったことから、1981年10月以降、組織の再建が図られました。その後は中国による東トルキスタン支配が強化されていくのにあわせてその規模を拡大し、現在では、新疆ウイグル自治区の経済的利益をほぼ独占しています。 現在、中国政府によるウイグル人など少数民族への人権侵害は、ナチス・ドイツのホロコーストをも凌ぐ非道として国際社会でも問題視されており、米国のポンペオ国務長官も声明で、中国による自治区での人権侵害は「世紀の汚点だ」と非難。ことし(2020年)7月31日には、兵団が自治区のムスリム少数民族の大量強制収容に「直接関与した」として、組織としての兵団と同幹部および元幹部の2人が米国政府による制裁対象に指定され、兵団の在米資産は凍結され、米国人との取引も禁止されました。 今回の禁輸措置では、農産物としての綿花とトマトだけでなく、新疆ウイグル自治区から輸出される織物、衣料品を含む綿製品の供給網全体やトマトペーストなどが「違反商品保留命令」の対象となり、米税関・国境警備局(CBP)は強制労働の疑いがある商品の輸入を停止することが可能になるというわけです。 ちなみに、日本企業では、無印良品(MUJI)とユニクロなどが“新疆綿”を原料として使用していることが、これまでも国際社会から問題視されてきました。今回の米国の禁輸措置を機に、日本企業も、中国の人権侵害に加担するようなビジネスは改めていただきたいですね。 ★★ Web講座のご案内 ★★ 武蔵野大学の生涯学習講座で、「切手と仏像」と題して4回に分けてお話しします。配信期間は8月26日から10月6日まで。お申し込みなどの詳細はこちらをご覧ください。皆様、よろしくお願いします。 ★ 内藤陽介の最新刊 『みんな大好き陰謀論』 ★ 本体1500円+税 出版社からのコメント 【騙されやすい人のためのリテラシー入門】 あなたは大丈夫?賢い人ほどダマされる! 無自覚で拡散される負の連鎖を断ち切ろう まずは定番、ユダヤの陰謀論を叱る! ! 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-12-16 Mon 02:37
サッカーの英アーセナルのメスト・エジル選手が、13日、東トルキスタン(いわゆる新疆ウイグル自治区)における中国政府のウイグル人弾圧を批判するコメントを自身のSNSに投稿したことに対して、中国国営中央テレビは、きょう(16日)未明に放送予定だったアーセナルの試合中継を中止し、別の試合に差し替える対抗措置を取りました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年に中国が発行した“カシュガルの風景”の切手のうち、中国新疆ウイグル自治区カシュガル地区タシュクルガン・タジク自治県とパキスタン・カシミール地方の国境付近に位置する中国側の出入国検査場“紅其拉甫口岸”を取り上げた1枚です。 今回ご紹介の切手に取り上げられた紅其拉甫口岸の向こう側、新疆ウイグル自治区に相当する東トルキスタンの地域は、18世紀に清朝の統制下に入りましたが、19世紀には各地で反清反乱が相継ぎ、ヤクブ・ベクの乱によって清朝は一時撤退。その後、清朝はこの地を再征服し、1884年に新疆省が設置されました。 1912年の中華民国建国後の新疆省では、漢民族の省主席によって半独立的な領域支配が行われていましたが、中央政府の統制はかならずしも十分に及んでおらず、1933-34年および1944-46年には2度にわたって東トルキスタン共和国(第1次)が独立を宣言しました。 しかし、1949年、国共内戦の帰趨がほぼ明らかになる中で、中国共産党は東トルキスタンに鄧力群を派遣し、東トルキスタンとの交渉を開始。8月27日、毛沢東の招きに応じて北京行きの飛行機に乗った東トルキスタン3地域の首脳11人は、そのままソ連領内アルマトイに連行・殺害され、東トルキスタン政府は事実上消滅。1949年末までに中国人民解放軍が新疆全域に展開し、東トルキスタンは完全に中華人民共和国に統合されます。 現在、東トルキスタンはチベットと並んで、中国にとって最も深刻な“民族問題”の一つとなっており、中国共産政府による人権侵害の象徴的な存在となっています。 特に、東トルキスタンに関しては、2014年 雲南省・昆明駅で、刃物を持った集団が通行人らを襲撃する無差別殺傷事件が発生し、31人が死亡、130人以上が負傷する事件が発生すると、中国公安当局は容疑者4人を射殺し、1人を拘束したうえで、“新疆分裂勢力による計画的かつ組織的な重大暴力テロ事件”と断定。その直後に、習近平が“独裁の仕組み”を活用して“テロリズム、侵入、分離独立”に対する“情け容赦は無用”の全面闘争を指示していたことが、最近、明らかになりました。 また、2016年、新疆ウイグル自治区の党書記長に就任した陳全国は、習の2014年演説を配布し、「拘束すべき者たちを一網打尽にせよ」と督励し、以後、収容施設の数が急増。今年(2019)年11月12日、米ワシントンを拠点とする“東トルキスタン国民覚醒運動(ETNAM)”は、グーグルアースにより、ウイグル人が自らの文化を捨てるよう圧力をかけられている“強制収容所” 182か所、刑務所とみられる施設209か所、労働収容所とみられる施設74か所を特定したと発表。収容者数は、これまで言われてきた約100万人よりもはるかに多い可能性があるとも指摘しました。 ちなみに、第二次大戦中、ナチス・ドイツの最大勢力範囲は最大面積は360万平方キロで、ここに、“強制収容所”と認定されている施設が約50ヵ所(ただし、戦時下のごく小規模なローカル施設を入れると数万に及ぶとの報告もあります)ありましたが、現在の新疆ウイグル自治区の面積はその半分以下の166万平方キロであるにもかかわらず、ウイグル人の収容施設数は450ヶ所以上でナチスの10倍近くにも及んでいます。 さらに、2019年2月9日、ウイグル人の著名な民謡歌手でドタール演奏家のアブドゥレヒム・ヘイット氏が“再教育キャンプ”で拘束中に死亡したことをきっかけに、在外ウイグル人の間で自分の身内に安否不明者がいることをSNS上で呼びかける“#Me Too運動”が拡大しましたが、中国側は、行方不明者家族からの問い合わせに対して、「“過激思想ウイルス”に感染したため、軽い病が深刻化しないうちに治療が必要だ」との説明する内容の想定問答集も作成しています。 当然のことながら、国際世論の大半は中国のウイグル政策と人権侵害をを激しく非難しており、米下院は、今月(12月)3日、ウイグルでの人権侵害に関与した中国政府や共産党の関係者に制裁を科したり、同自治区の政府機関に向けた米国製品の輸出を禁止したりする措置を取るよう、米国政府に勧告する“ウイグル人権法”を圧倒的多数で可決しています。 自らもトルコ系ムスリムであるエジル選手は、こうした状況を踏まえて、SNSで「(中国国内で)コーランが焼かれ、モスクは閉鎖され、宗教学者は次々に殺されている」などと当局によるイスラム教徒への迫害を非難するとともに、“東トルキスタン共和国”の独立を目指す運動の旗も掲示していました。これに対して、アーセナルは14日、中国版ツイッター微博で「エジル個人の観点であり、アーセナルは政治には関わらない原則を堅持する」との声明を発表し、火消しに躍起になっていますが、中国からは「エジルを追放するまで試合は見ない」などと不満の声が上がっているのだとか。ここはひとつ、アーセナルには「そういうことなら、無理に試合を見ていただかなくても結構」と応じていただきたいものです。 * 昨日(15日)の武蔵野大学生涯学習秋講座「飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年―」は、無事、盛況のうちに終了いたしました。年末のお忙しい中お集まりいただいた皆様、開催の労を取ってくださったスタッフの方々には、この場をお借りしてお礼申し上げます。 ★★ イベント等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名をクリックしてご覧ください。 ・第11回テーマティク研究会切手展 1月11-12日(土・日) 於・切手の博物館(東京・目白) * 12日(日)の13:00-14:30には、内藤の新刊書籍を題材としたトークイベントを開催の予定です。ぜひ、遊びに来てください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★ 本体2500円+税(予定) 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-06-19 Wed 00:26
作日14:00頃、無事、武漢から帰国いたしました。今回の武漢滞在中、ジュリー・アカデミーならびに世界切手展<CHINA 2019>では、、審査員の佐藤浩一さん、山田廉一さん、ご出品者の伊藤純英さん、伊藤文久さん、井上和幸さん、榎沢祐一さん、斎亨さん、須谷伸宏さん、永井正保さん、吉田敬さん(50音順)をはじめ、多くの方々にいろいろとお世話になりました。おかげさまで、コミッショナー兼審査員としての業務を何とかこなすことができただけでなく、いろいろと実りの多い滞在となりました。その成果につきましては、追々、皆様にもご報告して参りますが、まずは、現地滞在中、お世話になった全ての方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 冒頭の写真は、今回の切手展の期間中、郵便史部門の審査風景を現地メディアが撮影したものです。武漢では、今春、桜の名所として知られる武漢大学で、“和服(のような服装)”で花見をしようとした男性が警備員に取り押さえられ、暴行された事件がありました。このため、国際展には常に和装で参加することにしている僕としては、事前にプロフィール写真を送強うに求められた際、和装の写真を送ったうえで、先方から「やめてほしい」との申し入れがあれば洋装で参加仕様かとも考えていたのですが、結果的に、和装を止めてほしいという話はありませんでした。実際、和装で会場内を歩いていると、(毎度のことですが)現地の参観者からしきりと写真撮影を求められたほか、今回ご紹介の記事写真にも和装姿が取り上げられるなど、一般の市民感情としては和装に対する反発・反感はほぼなかったように思います。まぁ、これも無事に帰国できた今だからこそ、言えることなのかもしれませんが…。 さて、肝心の審査の方ですが、いままで、僕はテーマティク部門の審査を担当していましたが、今回は、郵便史部門に“見習い”として参加し、郵便史部門の担当能力もあるとのお墨付きを得て、晴れて、2部門目の審査資格も得ることができました。なお、審査最終日の13日には、下の画像のような参加メダルを頂戴しました。(右側は、焦暁光審査員長からメダルを授与していただいた際の記念写真です) メダルに描かれているのは、今回の切手展のマスコットキャラクターの“斌斌(ビンビン)”で、この名前は、もともとは、「形と内容とが調和し、充実しているさま」の意味です。また、斌斌の髪の毛は、武漢市の市の木であるメタセコイアがデザインされています。 一方、切手展の会期初日に発行された記念切手は、武漢市のランドマークで、今回の切手展のロゴマークにも取り上げられている黄鶴楼を描いた絵画、佚名(明代)の「江漢攬勝図軸」(武漢市博物館所蔵)の一部を描く連刷切手4点を収めたシート形式となっています。 武漢での切手展が終わると、次はいよいよ、7月13-15日に迫った全日本切手展およびポーランド切手展です。こちらの方でも、皆様にはいろいろとお世話になりますが、引き続き、ご指導・ご支援のほどよろしくお願いいたします。 * 昨晩、アクセスカウンターが206万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-12-15 Sat 01:42
スリランカで最高裁から首相権限の差し止め命令を受けたマヒンダ・ラージャパクサ氏が、きょう(15日)、首相職を辞任する見通しです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2013年のラージャパクサ訪中時(当時の彼の身分は大統領)に作れられた記念カバーで、ラージャパクサの肖像写真とサインが印刷された封筒に切手を貼って記念印が押されています。 マヒンダ・ラージャパクサは、英領セイロン時代の1945年11月18日、ハンバントータ郊外でシンハラ人仏教徒の家庭に生まれました。独立運動家で、1948年の独立後は国会議員も務めた父のドン・アルウィンが1967年に亡くなると、1970年、父の威光を背景に、スリランカ史上最年少の25歳で国会議員に初当選して政界入りし、以後、スリランカ自由党(SFLP)政権下で、労働・職業訓練大臣や漁業・水産資源開発大臣を歴任。2004年、SLFPのオーナー一族ともいうべきバンダラナイケ家のチャンドリカ・クマーラトゥンガ大統領の下、首相に就任しました。 2005年の大統領選挙では、憲法の3選禁止条項により出馬できないクマーラトゥンガの後継者として出馬し、野党・統一国民党(UNP)の候補、ラニル・ウィクラマシンハを僅差で破り、第6代大統領に就任します。 ラージャパクサの大統領就任当時、スリランカ国内は、1983年から断続的に続く政府軍と“タミル・イーラム解放のトラ (LTTE)”の内戦の最中にありました。 スリランカの内戦には、1980年代、LTTEと同じタミル人を国内に抱えるインドが介入し、一時的に休戦が成立したこともありましたが、1990年にインド軍が撤退すると戦闘が再開。200年代以降は、ノルウェーの調停により何度か断続的に停戦が成立したものの、LTTEのテロ攻勢は止まず、情勢は安定しませんでした。 このため、大統領に就任したラージャパクサは、インドの影響力拡大を防ぐため、インドの敵国である中国とパキスタンの支援を積極的に仰ぐことを決断。この戦略は、2004年以降、南アジアへの本格的な投資を開始した中国の政策とも合致することになります。 一方、国内政治においては、ラージャパクサは、議会の多数派工作として、2007年1月に内閣改造を実施し、54人もの大臣を任命。その中には、教育相や農相がいるにもかかわらず、“高等教育相”や“家畜相”など屋上屋を架すポストも新設され、副大臣も含めると、与党の国会議員114人のうち、9人を除き、何らかのポストが就任。こうした露骨な利益誘導により議員を懐柔し、権力基盤を固めていきました。 2009年、スリランカ政府軍はLTTEを滅ぼして全土の実効支配を回復。その実績をもって、ラージャパクサは、2010年の大統領選挙で再選されると、同年10月、ラージャパクサは憲法を修整して大統領の三選禁止などを撤廃して独裁的な傾向を強め、親族の不正な登用や大統領への権力集中をはかるとともに、不正蓄財に精を出すようになります。 ところで、中国の胡錦濤政権は、2008年以降、“真珠の首飾り戦略”としてインド洋侵出を加速しましたが、ラージャパクサは積極的にそれに加担することで、港湾整備や道路建設事業への“支援”名目で巨額の借款を獲得しました。 その典型とされる、セイロン島南部のハンバントータ港の建設は2008年から始まり、2010年までの第一期工事は中国が費用の85%を借款で支援し、中国の国有企業、中国港湾工程公司が担当して行われました。西部のコロンボ、東部のトリンコマリーなど、他の主要港と比べると、都市部からのアクセス整備は遅れており、港湾の稼働率は低迷していますが、“真珠の首飾り戦略”においては重要な拠点であるため、2014年には中国海軍の宋級潜水艦など複数の中国艦船が寄港しています。 こうした状況の下で、2015年1月に行われた大統領選挙では、マイトリパラ・シリセーナ前保健相がいったんSLFPを離党したうえで野党統一候補となり、ラージャパクサを下して当選しました。 シリセーナは、ラージャパクサ政権による文字通り“売国”的な対中依存とそれに付随する不正蓄財を批難。「スリランカは浅はかな外交政策、戦略によってイメージが破壊され、急速に国際社会からの孤立を深めていた」との認識の下、今後は「アジアの主要国であるインド、中国、パキスタン、日本との友好関係を強化し、新興国との関係も区別せず促進する」と宣言します。 シリセーナ政権は、UNPのウィクラマシンハ元首相を首班とする挙国一致内閣を組織し、大統領の権限を縮小して民主化を進めるとともに、対中依存路線の修正を試みましたが、政府の絶対的な資金難はいかんともしがたく、ハンバントータ港建設の借款免除と引換に、2017年8月、向こう99年間の港湾運営権を11億ドルで中国企業に貸し出す契約が締結されました。 中国企業との屈辱的な契約を結局は阻止できなかったことで、スリランカの政局は、国内産業の保護を重視する大統領と、インドとの経済関係強化を目指す首相が対立。議会は首相派が多数を占めているため、政府提出の法案はことごとく否決され、政治は機能不全に陥りました。 これにいらだったシリセーナ大統領は、2018年10月 ウィクラマシンハを首相から解任。内戦を終結させた剛腕に期待し、政権の安定化を目指すとして、ラージャパクサを後継首相に指名したことから、ウィクラマシンハは自らの解任の無効を訴えてポストに居座り、大統領派と(前)首相派がそれぞれ議会の多数派工作を展開する事態となります。 このため、11月9日、シリセーナは議会を解散し、来年1月5日に総選挙を行うとしましたが、反大統領派は解散を憲法違反だとして提訴。これに対して、11月13日、最高裁は大統領が宣言した議会解散の効力を差し止めたことから議会が招集され、翌14日、ラージャパクサ首相に対する不信任決議が賛成多数で可決されました。これを受けて、12月3日、裁判所はラージャパクサ首相の権限を差し止める命令を出したことに加え、13日には最高裁が大統領による議会の解散を違法と判断。追い詰められたラージャパクサは辞任を決断したというわけですが、これにより、スリランカの政治的混乱が収束していくかどうか、現時点では情勢は不透明です。 ★★ トークイベント・講演のご案内 ★★ 以下のスケジュールで、トークイベント・講演を行いますので、よろしくお願いします。(詳細は、イベント名をクリックしてリンク先の主催者サイト等をご覧ください) 12月16日(日) 武蔵野大学日曜講演会 於・武蔵野大学武蔵野キャンパス 10:00-11:30 「切手と仏教」 予約不要・聴講無料 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
2018-05-06 Sun 06:29
カール・マルクス(1818年5月5日生)の生誕200周年を祝う記念式典が、きのう(5日)、マルクスの出身地、ドイツ南西部トリーアで行われ、中国から“友好の証し”として贈られた高さ5.5メートルのマルクス像、《伟大的行者——马克思(偉大な行者 マルクス)》の除幕式が行われました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年5月4日に中国が発行された“マルクス誕生200周年”の記念切手のうち、マルクスの生家を背景に、今回、除幕式が行われた《偉大な行者》が取り上げられています。 マルクスの誕生日は5月5日ですが、ことしは土曜日にあたっていたため(中国は公的に週休2日制を取っており、公共機関は土日が休み)、前日の4日、北京の人民大会堂に最高指導部7人を含む共産党幹部や軍関係者ら約3000人を集めて記念大会が開かれ、記念切手もこれにあわせて発行されました。 切手に取り上げられた《偉大な行者》は、中国美術館館長で中国美術者協会副主席の彫刻家、呉為山が制作しました。 呉為山は、1962年、江蘇省東台市生まれ。幼少期から、家にあった古書の挿絵と陶磁器の模様に関心を持ち、11歳から写生を始めました。無錫工芸技術学校在学中、無錫の伝統的な泥人形作りの名人(当時80歳の老人)のもとに通って泥人形作りを学び、その経験から、簡単で大雑把な手法で人物の風格を表現する“写意”彫塑を制作するようになり、西洋彫刻の伝統にとらわれない、中国独自の作家として高い評価を得るようになりました。 代表作には、天安門広場東側、国家博物館前の《孔子像》や、1990年代半ばから制作されている中国文化人肖像シリーズの《老子》、《魯迅》等があります。 また、今回の《偉大な行者》のように、中国政府の意を汲んだ政治的な作品も少なからず制作しており、2014年12月、北京の中国国家博物館で開催された「魂を描き、歴史を刻む――呉為山作・中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館拡張工事テーマ彫刻展」では、「家も家族も失う」、「避難」、「怨霊の叫び」、「勝利の壁」の4部構成の作品を発表。それらは、現在、“南京大虐殺記念館”に展示されています。 なお、今回の《偉大な行者》の寄贈と除幕式について、ドイツ国内では、旧東独の独裁政党の流れをくむ連邦議会野党の左派党が「銅像は、200年前と同じように人々を搾取し、抑圧するシステムに対する抗議の象徴だ」などと肯定的に評価している一方、昨年9月の総選挙で連邦議会での初議席を取得した保守政党“ドイツのための選択肢”が「共産主義は多くの人々を殺害したのに、それを正当化してしまう」などと批判し、ネット上で反対デモへの参加を呼びかけ、旧東独で青年期を過ごした男性らも抗議のハンガーストライキをするなど、批判的な声も少なくありません。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が5月に刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-01-14 Sun 16:27
きょう(14日)は、1895年1月14日、日本政府が尖閣諸島の日本領への編入を閣議決定したことにちなむ“尖閣諸島開拓の日(尖閣の日)”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2015年6月3日、中国が発行した“中国船舶工業”の切手のうち、南海艦隊に所属する防空ミサイル駆逐艦“昆明(2012年8月29日進水、2014年3月21日就役)”を取り上げた1枚ですが、背景に、尖閣諸島(一番左が魚釣島)が描かれています。 わが国は、1885年以降、沖縄県当局等を通じて尖閣諸島の現地調査を幾度も行い、無人島であるだけでなく、清国を含むいずれの国にも属していない土地(無主地)であることを慎重に確認したうえで、1895年1月14日の閣議決定で、尖閣諸島を沖縄県に編入しました。 翌1896年、魚釣島と久場島はまもなく八重山郡に編入され、北小島、南小島と共に国有地に指定され地番が設定。同年9月、魚釣島、久場島、北小島及び南小島は実業家の古賀辰四郎に対して30年間無償で貸与されることになり(無償貸与期間終了後は1年契約の有償貸与)、1932年、4島は古賀辰四郎の嗣子である古賀善次に払い下げられ私有地となりました。 古賀家の私有地として、尖閣諸島では、アホウドリの羽毛の採取、グアノ(海鳥糞)の採掘、鰹漁業、鰹節の製造等が行われていましたが、1940年頃、古賀善次は尖閣諸島での事業を撤退し、再び無人島となります。 第二次大戦後の1946年1月29日、GHQは「外郭地域分離覚書」を発し、北緯30度以南の南西諸島の行政権は日本から分離されました。これに伴い、尖閣諸島は沖縄の一部として米国の施政権下に置かれることになりました。 ところが、1969年、国連アジア極東経済委員会の海洋調査で、尖閣周辺にイラクの埋蔵量に匹敵する大量の石油埋蔵量の可能性が報告されると、1971年4月、台湾の国民政府が尖閣諸島の領有権を主張しはじめます。さらに、同年12月には、中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めました。 しかし、そうした主張は国際的には全く相手にされず、1971年6月に沖縄返還協定が調印され、1972年5月に沖縄が祖国に復帰すると、尖閣諸島もそれに伴い、日本国沖縄県の一部となりました。 これに対して、近年、中国は尖閣諸島への領土的野心を隠そうとせず、2008年以降、尖閣諸島沖の日本領海内での侵略行為を頻繁に繰り返しているほか、彼らの息のかかった反日団体を魚釣島西側の岩礁に不法上陸させるなど、まさにやりたい放題の状態になっています。 こうした活動と並行して、中国側は“釣魚島(尖閣諸島の中国側の呼称)”の領有権を主張するための対外的なプロパガンダ攻勢を強めており、今回ご紹介の切手もその一環として発行されたものです。切手の発行時の報道資料には、この切手は昆明が尖閣周辺を航行している場面を取り上げたものであることは触れられていなかったため、日本側でもそのことに気付いた人は多くはなく、さしたる抗議行動も行われませんでした。この結果、尖閣周辺をわが物顔で航行する中国の駆逐艦を描く切手が、堂々と発行され、流通していくことになったというわけです。 尖閣諸島に限らず、 領有権を巡って複数の国が争っている地域や他国の侵略によって自国の領有権が脅かされている地域に関しては、あらゆる機会をとらえて、それが自国の領土であることを繰り返し訴え続けるというのが国際社会では常識です。その意味では、中国側が今回ご紹介のような切手を発行するのも、その主張の是非とは別の次元で、ある意味当然の行動といえます。 むしろ、そうした中国側の主張に対して、多くの日本国民が無関心で、日本政府もほぼ無策のまま過ごしてきたということが、今日の事態を招いてしまったのだという現実を受け止め、真剣に反省することがまずは必要ではないでしょうか。 なお、領土と切手をめぐる関係、そして、そうした問題に対する日本政府の対応の拙さについては、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★ 1月11日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」第14回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲のため1回スキップして、2月8日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 なお、1月11日放送分につきましては、1月18日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
NEXT≫
|