2024-01-18 Thu 09:16
“2024(令和6)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手の抽選”が、きのう(17日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は、71、69、00に決まりました。
というわけで、例年どおり、きょう(18日)から引換が始まった今年(2024年)のお年玉切手シートをご紹介します。なお、僕宛の今年の賀状の中では、有吉伸人さんと山田廉一さんから頂戴した通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 1月19日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤が出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 1月26日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★ 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2023-01-16 Mon 11:43
“2023(令和5)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手”の抽選が、きのう(15日)、弁護士立会いのもと、セレモニーを伴わない形で行われ、お年玉切手シートの当選番号は42、11、73に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(16日)から引換が始まった今年(2022年)のお年玉切手シートです。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 なお、お年玉葉書とその末等商品として切手シートが誕生した経緯については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、(株)ユキオスタンプさんから頂戴した1通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2023年1月27日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 1月28日(土)開講! よみうりカルチャー 北千住 エリザベス女王の現代史 毎月第4土曜日 13:00~14:30 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★ 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 |
2022-04-03 Sun 13:03
新型コロナ禍で1年延期となっていた善光寺の御開帳がきょう(3日)から始まりました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、テーマティク研究会の小林有さんから僕宛に送っていただいた2021年(令和3年)の年賀状で、2020年10月29日に発行された“令和3年用”の年賀切手を貼って初日印を押し、余白には、切手に取り上げられた郷土玩具を題材にした小林さんの版画が刷り込まれています。毎年、小林さんから頂戴する年賀状はこのスタイルで、とても素敵なので葉書の全体をご紹介してみました。 なお、切手の図案は、川崎巨泉が描いた長野県の郷土玩具、「善光寺友引牛」が取り上げられています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 武蔵野大学のWeb講座 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香 詳細はこちらをご覧ください。 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年) 詳細はこちらをご覧ください。 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末 詳細はこちらをご覧ください。 4月8日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 4月22-24日(金-日) スタンプショウ2022 於・都立産業貿易センター台東館 毎年恒例、世界切手祭り・スタンプショウですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します 4月22日(金) 14:00~ 「アフガニスタン現代史」 * 3月に刊行された拙著『アフガニスタン現代史』の出版記念イベントです。 4月23日(土) 11:00~ 「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」 * 5月に日本郵趣出版から刊行予定の「切手でたどる郵便創業15o年の歴史 vol.3 平成・令和編」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。 両イベントとも、事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 3月5日発売!★ 出版社からのコメント 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史! 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-01-17 Mon 11:40
“2022(令和4)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手の抽せん会”が、きのう(16日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は54、50、02に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(17日)から引換が始まった今年(2022年)のお年玉切手シートです。 かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月半ば以降の日曜日ということで毎年変わっています。 また、かつての切手シートは、(原則として)干支の郷土玩具を描く年賀切手と同じものを収めていましたが、2017年から、通常のシート切手とは別に、“年間を通して利用できる”オリジナルデザインの切手(書状基本料金用と葉書料金用1枚ずつ)を収めた構成となっています。 シートに収められている切手の題材は、2019年以降、干支とは直接関係のない縁起物となっていましたが、今回は2018年以来の干支の動物が復活し、手紙を携えた虎のデザインになっています。 さらに、2019年と2020年のシートの余白には、“HAPPY”および“LUCKY”の文字が、2021年のシートには“LUCKY”の文字が入っていましたが、今回はそうした文字はなく、虎の足跡のみ(一部はカラーマーク)になっています。 なお、お年玉葉書とその末等商品として切手シートが誕生した経緯については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、重山優さんから頂戴した1通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ** 本日(17日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は来週月曜日・1月24日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 1月24日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-12-15 Wed 03:09
きょう(15日)から年賀郵便の特別取り扱い期間がスタートし、年賀状の受付が始まります。というわけで、こんなモノをもってきました(画像はクリックで拡大されます)
これは、終戦後まもない1945年12月31日、埼玉県の荻島村(消印の局名は“埼玉・越谷”)から県内の南埼玉郡蒲生村宛に差し出された昭和21年の年賀状で、裏面には「新日本建設の第一年を迎へまして…」との文言があります。 年末の一定期間に、年賀状を一般の郵便物を区別して取り扱う年賀郵便制度は1906年に制定されました。この年末年始に取り扱われた年賀状の数は全国でおよそ4億通といわれています。 その後、関東大震災の起こった1923年末と大正天皇が崩御された1926年末の中断を除き、年賀状の取り扱い数は年々増加し、わが国最初の年賀切手の対象となった昭和11年度には、およそ8億5000万通に達しました。 ところが、年賀状の差出はどうしても年末ぎりぎりに集中し、逓信省としては対応に苦慮していました。すなわち、昭和10年度の年賀郵便の特別取扱期間は1934年12月20日から29日まででしたが、実際にこの期間内に差し出される年賀状は全体の70%にすぎず(逓信省の目標は99%)、さらに、全体の40%が取扱期間最終日の29日に集中していました。このため、逓信省では、立看板、ポスター、ビラ、新聞報道、ネオン等あらゆる宣伝手段を用いて、年賀状の早めの差出を利用者に呼びかけていましたが、効果はあまりありませんでした。 そこで、昭和11年度に関しては、前年までとは趣向を変えて、年賀切手を発行し、年賀日附印を使用することによって、年賀郵便の特別取扱期間の周知徹底をはかることが企画されます。 ところが、1937年7月に支那事変(日中戦争)が始まると非常時ゆえに年賀状を自粛すべきとの空気が急速に広まり、翌1938年用の年賀郵便物の取扱も前年の半分以下の3億2500万通にまで激減。さらに、1939年用の年賀郵便物はさらに半減して1億5000万通にまで落ち込んでしまいます。その結果、1940年には戦時下の虚礼廃止を理由に年賀郵便の特別取扱そのものが廃止されてしまいました。 しかし、その後も個人として年賀状を出す人がなくなったわけではなく、戦争末期の1945年も、終戦直後で大都市が焼け野原になっていた1946年も、今回ご紹介の葉書にみられるように、相当数の人々が年賀状のやり取りを行っていました。むしろ、空襲がはげしくなり、疎開によって転居を余儀なくされる人が多くなると、年賀状は単なる儀礼上のものというよりも、安否確認の手段として重要な意味を持つようになっていたのです。 一方、逓信省の側からすれば、ドル箱の年賀郵便を早々に復活させたいと考えるのも当然のことで、終戦によって“虚礼廃止”の必要がなくなったことは歓迎すべきことでした。 こうしたこともあって、さすがに1945年の年末こそ無理だったものの、翌1946年末には年賀郵便を復活させるべく、逓信省は準備を開始。1947年用の年賀郵便の取扱期間を12月21日から25日としたうえで「なるべく早目に御出し下さい」「一枚毎に年賀と朱書して郵便局へ御持ち下さい」などの文言が入ったポスターも作成しています。 ところが、このときは時期尚早との反対論が出されたことから年賀郵便は復活させられず、1948末になって、戦後復興に伴う経済状況の好転を理由に、ようやく、同年12月15日から年賀郵便の特別取り扱いが復活しました。 なお、年賀状の歴史と関連のビジュアル資料については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.1 戦前編』および『同vol.2 戦後編』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 12月20日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 三鷹市生涯学習センター 「宗教と国際政治」 2022年1月10~23日 国際紛争や諸外国のタイムリーな重大ニュースを取り上げ、その背後にある「宗教」をめぐる諸問題をじっくり解説する講座です。今回は、混迷続くアフガニスタンとその歴史に焦点を当ててお話します。お申し込みは12月11日(土)までで、ご応募多数の場合は抽選になります。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-09-06 Mon 01:17
8月24日から行われていた東京2020パラリンピック競技大会は、きのう(5日)、閉会式が行われ、7月23日から8月8日まで行われていた東京2020オリンピック競技大会とあわせて、今回の東京2020大会は全日程を終了しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2019年11月1日に発行された“東京2020大会[寄附金付]年賀葉書”のうち、和服姿で挨拶するオリンピックとパラリンピックのマスコット、“ミライトワ(左)”と“ソメイティ(右)”を描いた特殊印刷の絵入りはがきです。葉書は、東京オリンピック・パラリンピックの寄附金5円を上乗せした68円で販売され、印面の下。下の画像のように大会のエンブレムが入っています。 オリンピックのマスコット“ミライトワ”は、温故知新をコンセプトに、大会エンブレムと同じ藍色の市松模様を頭部とボディにあしらっており、どんな場所にも瞬間移動できるとされています。名前は、「素晴らしい未来を永遠に」との願いをこめて、“未来”と“永遠”の言葉を結びつけて命名されました。 一方、パラリンピックのマスコット“ソメイティ”は、顔の両脇にある桜の触角でテレパシーを送受信し、市松模様のマントで空を飛びます。超人的パワーを発揮するパラリンピックアスリートを体現する存在として、超能力を使って石や風と話したり、見るだけで物を動かすこともできます。名前は、桜を代表する“ソメイヨシノ”と英語の“so mighty(非常に力強い)”に由来し、大会を通じて、桜を愛でる日本の心とパラリンピックアスリートの素晴らしさを印象づけるとされています。 さて、今回の東京2020大会は、新型コロナウイルス禍により、オリ・パラ史上初の1年延期での開催となったことに加え、大半の競技が無観客試合で行われるなど幾多の困難の中、大きな事件・事故もなく、また、自然災害に見舞われることもなく、ともかくも無事に全日程を終了できて、本当に良かったと思います。今後、当初予定より大幅に膨らんだ大会経費の問題など、検証すべき課題は多々残ってはいるものの、まずは、選手・関係者の皆様に、「お疲れさまでした」、そして「ありがとうございました」と申し上げたいですね。 * きのう(6日)、アクセスカウンターが240万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 9月6日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 9月11日(土) 17:00~ 日本ウイグル協会・緊急特別講演会 東京・四谷のワイム貸会議室にて、日本ウイグル協会主催の緊急特別講演会にて、「タリバン政権と急接近した中共の思惑ーーテロとの口実で弾圧されてきたウイグル人」と題して、内藤がお話します。資料代1000円。お申し込みなどの詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です! 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『世界はいつでも不安定』 オーディオブックに! ★ 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-06-03 Thu 02:31
大手製菓メーカー(株)ロッテのウェブマガジン『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』での僕の連載、「お菓子の切手」の最新記事がアップされました。今回は、こんな切手を取り上げています。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年用の年賀はがきに貼る海外グリーティング(差額用)のうち、三色の団子を取り上げた1枚で、耳紙には日本茶が描かれています。 穀物の粉を水や湯を加えて丸め、蒸したりゆでたりして作る団子は、わが国では古くから愛されている食べ物で、平安時代の書物『新猿楽記』にも記録が残されており、鎌倉時代から室町時代にかけての『拾芥抄』、『沙石集』、『庭訓往来』にも“団子”の語が見られます。ただし、この時代は“団子”と書いて“だんす”と読むのが一般的で、団子はひとつずつ独立した状態で並べられていました。また、当初は甘味ではなく、主食の代用品として利用されていました。 室町時代も中盤以降になると、現在のように“だんご”の読み方が定着するとともに、竹の串に刺したものが作られるようになります。切手に取り上げられた三色団子が作られるようになったのは江戸時代に入り、庶民の間にお花見文化が定着してからのことです。 団子の色は、串の先の方から順番に、食紅で染めた桜色と着色しない白、よもぎを練り込んだ緑色となっています。その由来は、一説によると、桜色は春、白は雪の降る冬、緑は葉が生い茂る夏をイメージしているのだとか。そして、この説では、秋がないのは「飽きない」のシャレだと説明されています。 ちなみに、江戸時代までは、団子はひとつ1文、一串に5つ刺して1本5文で売られるのが一般的でしたが、江戸時代には4文銭が広く流通するようになったため、関東では一串に4つの団子を刺して売る店が増加しました。 江戸時代の通貨は、金貨と、秤量貨幣(貴金属としての品位・量目を検査・計測して用いる貨幣)の銀、それに銭(銅銭)の3種類があり、金貨との交換レートは、公定相場では、金1両(小判1枚)=銀60匁(約224.4g)=銭4000文となっていました。4文銭はこういう事情を反映して作られました。団子も食紅やよもぎを練り込んで付加価値をつけたので、プレーンな団子なら1串4つ、または5つのところ、同じ値段でも一串3つという値付けになったのかもしれません。 一方で三色団子は純粋に春のお菓子だったという説もあります。 その場合、三色の組み合わせについては、①桜色と白酒の白、よもぎの緑を表している、②桜の花がつぼみ(ピンク色)から満開(白)になり、花が散って葉桜(緑)になる変化を表現している、③春の太陽と名残の雪、雪の下に芽吹く新芽に見立てている、などと説明されているようです。 いずれも季節感を大事にしていた昔の人たちの心遣いがうかがえる説明ですが、「花より団子」の僕としては、おいしければすべてが正解と言いたいですね。 * 昨日(2日)のKAZUYAチャンネルGXの内藤出演回は、無事、終了しました。ありがとうございます! ★ 武蔵野大学の生涯学習講座は開講が再延期となりました ★ 6月5日開講の予定だった下記の講座は、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の再延長に伴い、開講日(対面授業の初回の日)が7月3日に再延期になりました。詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。なお、対面授業の時間割は、土曜日の同じ時間帯で変更はありません。 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。(現在は旧日程が掲載されておりますので、ご注意ください) ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 6月7日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★ 1650円(本体1500円+税) 出版社からのコメント なぜQアノンにみんなハマったのか? ネットならではの引き寄せ構造と、現代格差社会の生んだ分かりやすい解釈。 これは米国だけじゃない! 人はみんなQを求めている!? (笑) ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2021-01-18 Mon 10:36
“2021(令和3)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手の抽せん会”が、きのう(17日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は60、58、50に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(18日)から引換が始まった今年(2021年)のお年玉切手シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月半ば以降の日曜日ということで毎年変わっています。 また、かつての切手シートは、(原則として)干支の郷土玩具を描く年賀切手と同じものを収めていましたが、2017年から、通常のシート切手とは別に、“年間を通して利用できる”オリジナルデザインの切手(書状基本料金用と葉書料金用1枚ずつ)を収めた構成となりました。 今回のシートは大入り袋を背景に、長寿の象徴としての“(丹頂)鶴”をモチーフにした63円切手と“亀”をモチーフにした84円切手の組み合わせで、左右には“令和三年”の表示と、干支にちなんだ牛が描かれています。 また、切手シートは今回からシール式になり、切手部分は円形の型抜きになっています。この点について、日本郵便の報道資料では「従来のり式でご用意してきたお年玉切手シートですが、今回は使いやすいシール式での提供になります」として、利便性の観点からの変更と説明していますが、あるいは、コロナ禍で“切手を舐める”ことへの利用者の抵抗感を軽減しようという意図があったのかもしれません。 さらに、2019年と2020年のシートの余白には、“HAPPY”および“LUCKY”の文字が入っていましたが、今回は“LUCKY”のみで、“HAPPY”の文字はありません。この辺りも、なんとなく“HAPPY”とは言いづらい世の中の雰囲気を反映しているようにも見えます。 なお、お年玉葉書の末等商品としての切手シートとその歴史については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、小野義典さん、小林徹也さん、坂間則仁さん、廣江正道さん、山田精一さん(50音順)から頂戴した5通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2020-01-20 Mon 10:03
“2020(令和2)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手の抽せん会”が、きのう(19日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は67、37、16に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(20日)から引換が始まった今年(2020年)のお年玉切手シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月半ば以降の日曜日ということで毎年変わっています。 また、かつての切手シートは、(原則として)干支の郷土玩具を描く年賀切手と同じものを収めていましたが、2017年から、通常のシート切手とは別に、“年間を通して利用できる”オリジナルデザインの切手(書状基本料金用と葉書料金用1枚ずつ)を収めた構成となりました。 今回のシートに収められた切手は、“福”の字をモチーフにした63円切手と“寿”の字をモチーフにした84円切手の組み合わせで、福の字の“田”の部分に干支にちなんだネズミが描かれています。また、シートの余白には、“HAPPY”および“LUCKY”の文字と白ネズミ、星がデザインされ、星型の穿孔も施されています。 なお、お年玉葉書の末等商品としての切手シートとその歴史については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、重山優さん、藤井堂太さん、松本純一さん、劉裕仁さん、和田文明さん(50音順)から頂戴した5通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★ 2020年はアウシュヴィッツ収容所解放75周年!★ 本体2500円+税 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ イベント等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) |
2020-01-07 Tue 00:47
公益財団法人・通信文化協会の雑誌『通信文化』2020年1月号が発行されました。今回は新年号ですから、僕の連載「切手歳時記」も、干支にちなんで、ネズミの切手の中からこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、いまから60年前の昭和35年用の年賀切手で、金沢の郷土玩具“米食いねずみ”が取り上げられています。 切手に取り上げられた“米食いねずみ”は、ネズミの横腹と台をつないだ竹のバネをおさえると、腹の下の糸がたるんで頭と尻尾が下にさがり、ネズミが目の前の餌を食べるしぐさをする玩具です。 天保4(1833)年の大雨や冷害をきっかけに、いわゆる天保の大飢饉が発生。天保9(1838)年までの5年間で日本の人口は125万2000人も減少したといわれています。 加賀百万石と呼ばれ、表高で103万石、実高で134万石の大藩だった加賀藩でも飢饉の影響は深刻で、貧しい下級武士たちが、飯を腹いっぱい食べたいという願いを込め、小銭稼ぎの内職で作ったのが“米食いねずみ”の始まりだったとされています。そういう経緯から、“米食いねずみ”専用の材料を手配する余裕などあろうはずはなく、当初、材料として利用されたのは桐の廃材でした。廃材なので、当然、木肌が汚れたものも含まれていましたから、ネズミの表面を焦がして“黒ネズミ”にすることで体裁を取り繕い、台座も彩色しない素朴なものだったわけです。 飢饉は天保10(1839)年までにはほぼ収まったものの、その後も“米食いねずみ”は好評で、オリジナルの黒ネズミのまま地元の民芸品として定着していきます。 明治維新後も“米食いねずみ”はねずみ算にちなむ金運のお守りとしても重宝され、神社の祭礼や寺の境内などで売られていましたが、大正時代に入ってゴムやセルロイドを使った洋風玩具が流行すると、いつしか廃れてしまい、世間からは忘れられ、一部の郷土玩具研究家が愛蔵するだけの存在になっていました。 ところが、昭和34(1959)年夏、昭和35年用の年賀切手の題材を決めるにあたって、郵政省の津留静雄が浦和郵便局の会議室で郷土玩具研究家の森山太郎と会い、候補の玩具を何点か借り出したところ、その中に金沢の“米食いねずみ”が入っていました。さらに、広島郵政局から本省に提出された管内の郷土玩具も参考に、8月27日までに、金沢の“米食いねずみ”、埼玉の“獅子乗り金太”、鳥取の“きびがらあねさま”、下関の“ふぐ提灯”、松江の“あねさま”、鳥取の“きりんがしら”、熊本の“こま”、“ねずみ”の8点の下図が作成されます。そして、翌28日、郵政審議会専門委員の三井高陽、渡辺紳一郎も同席して検討の結果、木村勝の描いた“米食いねずみ”が採用となりました。 木村の下図では“米食いねずみ”は実物に忠実に、黒いネズミが描かれていましたが、会議の席上、正月早々、黒いネズミでは縁起が良くないから、白ネズミにしたほうが良いのではないかという意見が出されます。出席者は、誰も森山から借りたモノ以外、“米食いねずみ”の実物を知りませんから、黒ネズミがある以上、白ネズミもあるに違いないとの思い込みがその場を支配し、切手は白ネズミで行こうということになりました。さらに、白木の台座に白ネズミでは、ネズミが目立たないから、台座も緑色にしてしまえということで、背景を金色にして、“正月らしい華やかな”図案ができあがりました。 その後も、関係者の間では“米食いねずみ”の実物を知るものがないまま作業が進められ、年末の12月19日、現実には存在しない白ネズミの“米食いねずみ”を描いた年賀切手が発行されることになります。 地元の古老の中には、実物とあまりに異なる“米食いねずみ”の切手に唖然とした人もあったようですが、切手の発行を機に金沢でも“米食いねずみ”の存在が見直されるようになり、以後、黒ネズミの玩具の制作が再開されることになったそうです。 なお、この切手を含む昭和の年賀切手については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 ★★ イベント等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名をクリックしてご覧ください。 ・第11回テーマティク研究会切手展 1月11-12日(土・日) 於・切手の博物館(東京・目白) テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き11回目の開催で、香港情勢が緊迫している折から、メインテーマを香港とし、内藤も「香港の歴史」のコレクションを出品しています。 また、会期中の12日13:00からは、拙著『(シリーズ韓国現代史1953-1865)日韓基本条約』の刊行を記念したトークイベントも行います。 展覧会・トークイベントともに入場無料・事前予約不要ですので、ぜひ、遊びに来てください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★ 2020年はアウシュヴィッツ収容所解放75周年!★ 本体2500円+税 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-07-16 Tue 01:17
おかげ様で、<全日本切手展2019>(以下、全日展)および併催の<ポーランド切手展>は昨日(15日)16:00、盛況のうちに無事終了いたしました。 今回の展覧会は、山田祐司さんの田沢切手、山本勉さんのポーランド切手の両コレクションをはじめ、競争出品もハイレベルな内容で、ご参観者の皆様にもご満足いただけたのではないかと思います。 これもひとえに、ご後援を賜りました駐日ポーランド共和国大使館 ポーランド広報文化センター、日本郵便株式会社、東京新聞、公益財団法人・日本郵趣協会、一般財団法人・切手文化博物館、日本郵便切手商協同組合、特定非営利活動法人・日本郵便文化振興機構、御協賛を賜りましたスタンペディアプロジェクト、貴重なコレクションを展示したいただきましたご出品者の皆様、ブースをご出店いただきましたディーラーの方々、そして、寄附金を拠出していただきました皆様ほか、大勢の方々のご支援・ご協力のおかげです。 実行委員長として、この場を借りて厚くお礼申し上げます。(下の画像は、今回の全日展を報じた7月14日付『東京新聞』の記事で、ポーランド広報文化センターのログスカ副所長の御案内役として、僕も写真に写っています) ちなみに、冒頭の画像の切手は、昨年(2018年)11月1日、年賀はがき(62円)を海外に航空便で出す際に必要となる70円との差額8円の海外グリーティング切手のうち、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」をモチーフにした1枚で、耳紙に「ありがとう」の文字が入っています。皆様への感謝の気持ちを込めて、取り上げてみました。 来年(2020年)の全日本切手展は、7月10-12日、今年と同じく、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催の予定で、すでに準備を始めております。開催資金の調達をはじめ、クリアしなければならない課題は山積しており、今後とも、皆様方にはいろいろとご支援・ご協力をお願いすることになるかと思われますが、なにとぞよろしくお願いいたします。 * 昨日(15日)、アクセスカウンターが207万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-04-02 Tue 01:23
今月末の今上陛下のご譲位に伴い、5月1日、皇太子殿下の御即位にあわせて施行される新元号が“令和”になることが発表されました。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1973(昭和48)年用の年賀切手で、尾形乾山の“色絵絵替土器皿(梅紋様)”が取り上げられています。 新元号の“令和”は、『万葉集』巻5、梅花の歌32首の序「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」を典拠としたものということで、初春の梅にちなんで、梅が中心的になっている年賀切手として、この1枚を選びました。なお、『万葉集』の当該箇所は、渾天儀を発明したことでも知られる後漢の張衡(78-139)の「歸田賦」の一節、「於是仲春令月、時和氣清、原隰鬱茂、百草滋榮」を踏まえて書かれたものとみられています。 さて、切手に取り上げられた絵皿の作者、尾形乾山は、1663年、京都の呉服商、雁金屋の三男として生まれました。尾形光琳は実兄です。 画家としても数多くの作品を残していますが、陶芸に関しては、野々村仁清に学び、三十七歳の時、後に関白となる二条綱平から鳴滝泉谷の山荘を与えられ、窯を開きました。号の“乾山”は、この山荘の場所が都の北西(乾)の方角にあることにちなむものです。 1731年には江戸・入谷に移り、1743年に81歳で亡くなるまで江戸で過ごしました。琳派独特の大和絵の花鳥に和歌を、漢画の山水に詩文を讃した色絵の作風は乾山のオリジナルといわれ、日本の陶芸史に残る傑作を数多く残しています。 切手に取り上げられた皿は、兄・光琳の「燕子花図」などとともに、東京の根津美術館の所蔵品で、5客1組のうちの1枚。直径は15.9cmで、色つきの素地の上に装飾的に白釉をかけて、簡単な梅紋様を描いています。“土器皿”と呼ばれているのは、暗い赤茶色の素地が裏面に現われ、素焼きのように見えるためです。 ちなみに、今回ご紹介の切手を含む年賀切手については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。 ★★ 4月5日、文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★★ 4月5日(金)05:00~ 文化放送で放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 ★★★ メディア史研究会で発表します! ★★★ 4月20日(土)14:00から、東京・水道橋の日本大学法学部三崎町キャンパスにて開催のメディア史研究会月例会にて、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』の内容を中心に、「メディアとしての“英雄的ゲリラ”」と題してお話しします。 なお、メディア史研究会はまったく自由な研究会で、会員以外の方でも気楽にご参加いただけますので(もちろん、無料)、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2019-01-21 Mon 10:26
“2019(平成31)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手の抽せん会”が、きのう(20日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は78、42、02に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(21日)から引換が始まった今年(2019年)のお年玉切手シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月半ば以降の日曜日ということで毎年変わっています。 また、かつての切手シートは、(原則として)干支の郷土玩具を描く年賀切手と同じものを収めていましたが、2017年から、通常のシート切手とは別に、“年間を通して利用できる”オリジナルデザインの切手(書状基本料金用と葉書料金用1枚ずつ)を収めた構成となりました。 今回のシートに収められた切手は、十二支とは無関係に、縁起物の招き猫が取り上げられています。招き猫は、右手を挙げていればお金を招き、左手を挙げていれば人を招くといわれていますが、シートではそれを一対にして組み合わせた格好です。なお、切手のデザインでは“良い知らせ”が届くよう、それぞれの猫に手紙を持たせているのがミソです。干支のイノシシは、シートの余白に描かれた、松竹梅やしめ縄、小判、的に当たった矢、タイ、打出の小槌、稲穂などの縁起物の中に、しめ縄につかまった姿で描かれています。 また、今回のシートでは、右側の82円切手の右下の目打が♥型になっているほか、HAPPYおよびLUCKYの文字の切り抜き加工も施されています。(下の画像) ♥の目打 HAPPYの切り抜き加工 LUCKYの切り抜き加工 なお、お年玉葉書の末等商品としての切手シートとその歴史については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、塚田敬幸さん、二宮清純さん(50音順)から頂戴した2通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
2019-01-05 Sat 18:19
元日の記事でも少し書きましたが、本年(2019年)6月11日から17日まで、中華人民共和国建国70周年を記念して、中国・武漢市の武漢国際会展中心(武漢国際会議展覧センター:WICEC)で、FIP(国際郵趣連盟)認定の世界切手展<CHINA 2019>が開催されます。同展の日本コミッショナーは、不肖・内藤がお引き受けすることになりましたので、本ブログにて、同展の特別規則のうち、出品に関する事項を抜粋し、その概要をお知らせいたします。 規則の正式な文言などは、必ず、同展ウェブサイトに掲載の特別規則の原文でご確認ください。出品に必要な書類の用紙も同サイトの“DOWNLOAD/資料下载”のページからダウンロード可能です。 なお、今後の同展に関する連絡は、原則として全て電子メールにて行います。コミッショナーの内藤陽介(ないとう・ようすけ)へのご連絡は、本ブログ右側、プロフィール下のメールフォームをご利用ください。また、電子メールをお使いになれない方で関係書類をご希望の方は、データをプリントアウトしてお送りいたしますので、実費として500円(送料込・切手代用不可)をコミッショナー宛、ご送金ください。 <国内出品申込締切> ・2019年2月15日(金)(必着)までにコミッショナー(内藤陽介)宛に出品申込書とイントロダクトリーページ(タイトルページ)を送付してください。郵送だけではなく、電子メールでのご送付も受け付けます。なお、以前の出品作品のタイトルを変更して出品する場合は、必ず、以前のタイトルを出品申込書に記載してください。 また、申込書のご送付は、なるべく、2月10日以降にしていただけると助かります。 ・組織委員会からの出品可否の通知は2019年3月18日頃を予定 <出品料> ・ユース、文献、ワンフレームを除く部門:1フレームにつき60米ドル ・ユースは無料 ・文献は1件につき70米ドル ・ワンフレは1作品80米ドル <搬入の方法> ・フレーム出品:コミッショナーが全ての作品を手で持ち込むことが要求されておりますので、原則として、コミッショナーによる所定の運搬手数料[1フレーム当たり4000円]を申し受けるほか、航空会社から超過料金等を請求された場合には、別途、応分のご負担をお願いいたします。 文献作品:2019年5月3日必着で、各2部ずつ、下記宛先にお送りください。 Mr. Liang Yaohua The Philately Association of Hubei Province No.22 Jiangwang Road, Hanjiang District, Wuhan City, China Postal Code: 430023 電話 +86 27 83560311(office), +86 15902764733(private) <出品クラス> 競争出品 ― Class 1:FIPチャンピオン・クラス (2009-2018年の10年間にFIP展において3回以上LG受賞の作品) ― Class 2:伝統郵趣 A)中国 B)アジア、オセアニア、アフリカ C)欧州 D)南北アメリカ ― Class 3:郵便史 A)中国 B)アジア、オセアニア、アフリカ C)欧州 D)南北アメリカ ― Class 4:ステーショナリー ― Class 5:航空郵趣 ― Class 6:宇宙郵趣 ― Class 7:テーマティク A)自然 B)文化 C)科学技術 *出品申込書には作品がA-Cのどのサブクラスに該当するかを記入してください。 ― Class 8:マキシマフィリー ― Class 9:収入印紙 ― Class 10:現代郵趣(1980年以降) (A)国別伝統、(B)郵便史、(C)ステーショナリーの各分野。 *国内展での受賞歴に関わらず、コミッショナーの推薦があれば出品可能。他部門への出品と重複しての出品も可能です。 ― Class 11:オープン・クラス ― Class 12:絵葉書クラス(実験クラス・5フレーム出品のみ受付) ― Class 13:ユース A)2019年1月1日時点で10歳から15歳 B)同16歳から18歳 C)同19歳から21歳 ― Class 14ワン・フレーム(1フレーム出品) 出品申込書には、以下のA-Hのどのサブクラスに該当するか、ご記入ください。 A)国別伝統 B)郵便史 C)ポスタル・ステーショナリー D)航空郵趣 E)宇宙郵趣 F)テーマティク G)マキシマフィリー H)印紙 *ワンフレーム出品には賞状のみでメダルは授与されません。また、マルチ・フレームの作品からの抜粋展示は認められません。 ― Class 15:郵趣文献 A) 2014年1月1日以降に出版された書籍、パンフレット、研究書 B) 2017年1月1日以降発行の雑誌、定期刊行物 C) 2017年1月1日以降に出版されたカタログ *通常の出品申込書に加え、文献用の情報フォームを記入すること。 <フレームおよびリーフの大きさ> フレームは97×120cmとなる予定です。したがって、保護ラップ込の1リーフの大きさは、1フレーム16リーフで構成の場合は23×29cm、8リーフで構成の場合はA3判または46×29cm、12リーフで構成の場合は31×29cmを上限としてください。 *中国で開催の切手展に関する注意事項 近年、中国国内または中国政府の影響下にある地域(マカオなど)で開催される展覧会では、台湾切手や一部のモンゴル切手、「支那」の宛先表示があるカバー類など、主催者側が“展示すべきではない”と判断したマテリアルについて、展示フレームの上から紙を貼るなどして参観者の目に触れないようにする措置が取られています。これまでのところ、そうした措置を受けた出品作品が、審査上、不利な扱いを受けたことはなく、当局によって該当するマテリアルが没収された事例も報告されていませんが、中国での作品展示に際しては、通常の民主主義国家とは異なるリスクがありうることを十分にご理解のうえ、お申し込みください。 ちなみに、本日の記事の冒頭に掲げたのは、支那事変(日中戦争)当時、日本軍占領下の漢口から滋賀県宛の軍事郵便の年賀状で、現在は武漢市の一部になっている漢口の街並みを描いた“戦捷新年”の記念印(1939年1月1日付)が押されています。まぁ、現在の中国での展覧会の基準では展示が許されないマテリアルかもしれませんが、松の内ですので、開催地の武漢市と新年の組み合わせということでご紹介しました。 1人でも多くの皆様のお申込み・お問い合わせを心よりお待ちしております。 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
2018-02-02 Fri 10:37
1998年2月2日に郵便番号が7ケタになってから、今日でちょうど20年です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、平成10(1998)年用の年賀はがきです。宛名の郵便番号欄は5ケタですが、差出人の郵便番号欄は、同年2月から導入される7ケタの番号を記載するようになっています。 1968年に導入されたわが国の郵便番号制度では、東京を起点(1)として、当時の輸送手段の主力であった鉄道路線に沿って、東京-門司線方面の都府県には上1ケタに1、2、4、5、6、7、8を、東京-青森線方面の都道県には上1ケタに1、3、9、0を割り当てたうえで、全国を97に分けた地域番号が割り振られました。上から3ケタ目の数字は、比較的大きな規模の集配局の配達担当区域を示すもので、必要に応じて、直接配達を行う小規模の集配局の担当区域に対して2桁の小番号が与えられるという仕組みになっていました。 その後、住所の数字や宛名まで読み取り可能な機械が導入されたことにあわせて、町域(町名から“X丁目”等を除いた部分)や大型ビルの階層までも個別の郵便番号で指定できるようになったことから、番号が細分化されて7ケタになりました。新番号は、原則として、旧番号が5ケタの場合は新番号の上5ケタはそれを、旧番号が3桁の場合は新番号の上3桁はそれを踏襲したうえで、下2ケタに新たな番号を割り当てています。なお、3ケタから7ケタへの変更の場合、上から4ケタ目と5ケタ目は原則として00とするものの、必要に応じて、80~84、88、08~09、11の中から、既存5ケタ番号で使われていないものから選ぶものとされました。 また、郵便番号5ケタ時代にも、特に郵便物の配送が多い事業者には地域番号とは別に、その事業者独自の番号(その番号を書けば住所は不要となります)が与えられていましたが、郵便番号の7ケタ化により、その数は約500から約2000にまで急増しています。 ★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は8日!★★ 2月8日(木)16:05~ NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第15回が放送予定です。今回は、平昌五輪の開幕前日ということで、平昌のある江原道にちなみ、金剛山の切手についてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-01-15 Mon 11:22
“平成30年お年玉付年賀はがき”の抽選会が、きのう(14日)、東京・丸の内のJPタワーで行われ、お年玉切手シートの当選番号は27と86に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(15日)から引換が始まった今年(2018年)のお年玉切手シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月半ば以降の日曜日ということで毎年変わっています。 また、かつての切手シートは、(原則として)干支の郷土玩具を描く年賀切手と同じものを収めていましたが、昨年から、通常のシート切手とは別に、“年間を通して利用できる”オリジナルデザインの切手(書状基本料金用と葉書料金用1枚ずつ)を収めた構成となりました。なお、切手シートの余白部分には、右上に昨年の切手のデザインが額絵として掲げられているほか、左下には昨年と同じ花が描かれていますので、来年の切手シートにも、何らかの形で、今年の切手のデザインが顔を出すことになるかもしれません。(下の画像) ちなみに、昨年の切手シートはこんな感じです。 さらに、今回の切手シートに関しては、シート全体に花模様がパールインク(傾けると光を反射するインク)で地紋のように印刷されており、上の画像でも、それがはっきり確認できます。パールインクで印刷された地紋のデザインは、余白の部分と切手の部分で異なっており、“小さな犬”を描く62円切手では、犬の耳の部分にはパールインクで♥が印刷されています(下の画像)。“大きな犬”を描く82円切手にも、犬の首の部分にパールインクで★が印刷されており、肉眼ではしっかり見えるのですが、濃い色の上に印刷されているので、上手くスキャンできませんでした。 このほか、今回のシートは、切手の目打の一部が骨型になっていたり、カラーマークが足跡型になっていたり、かなり遊び心のある1枚となっています。 なお、お年玉葉書の末等商品としての切手シートとその歴史については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取っていただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、福井和雄さん、松本純一さん(50音順)から頂戴した2通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★ 1月11日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」第14回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲のため1回スキップして、2月8日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 なお、1月11日放送分につきましては、1月18日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2017-01-16 Mon 10:24
“平成29年お年玉付年賀はがき”の抽選会が、きのう(15日)、愛知県・名古屋市のJPタワー名古屋で行われ、年賀小型シートの当選番号は45と51に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(16日)から引換が始まった今年(2017年)の年賀小型シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月後半の日曜日ということで毎年変わっています。 また、例年は年賀小型シートは郷土玩具を描いた年賀切手と同じものを収めたものでしたが、今回は、通常のシート切手とは別に、オリジナルデザインの“おんどり”の82円切手と“めんどり”の52円切手を1枚ずつ収めた構成となりました。ちなみに、平成29年用の年賀切手のうち、葉書用の52円切手の題材には、“倉敷はりこ”の酉が取り上げられています。そのくじ付き切手が貼られた年賀状の1枚にもアタリの51がありましたので、ご参考までに、シート交付時の手続きとして、丸に“交”の表示をしたうえで、消印を押した状態の画像を貼っておきます。 ちなみに、今回のシートの切手について、日本郵便のプレスリリースでは以下のように説明しています。 2017(平成29)年の干支である酉(にわとり)を題材にし、年間を通してご利用いただけるデザインとしました。シート全体を絵本のようなポップなタッチでまとめ、切手部分に、愛嬌あるニワトリのつがいを描いています。 背景は、金色・銀色を使用した色鮮やかなデザインとし、花模様等の穴を空ける特殊加工も施しています。 郷土玩具のデザインの切手が“年間を通して”は使いづらいかどうかはともかく、東欧の切手を思わせるようなデザインは、日本では今までにない試みで個人的には面白いと思います。また、プレスリリースにある“花模様等の穴を空ける特殊加工”については、シートの裏側から見るとわかりやすいので、その画像も貼っておきましょう。 なお、お年玉の小型シートの歴史や、年賀切手と切手に取り上げられた郷土玩具については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、この機会に、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、小林照幸さん、重山優さん、正田幸弘さん、田元良樹さん、松尾謙一さん、山内和彦さん(50音順)から頂戴した6通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』 ★★★ 2700円+税 【出版元より】 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行! 発売元の特設サイトはこちらです。 ★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2016-01-18 Mon 11:11
“平成28年お年玉付年賀はがき”の抽選会が、きのう(17日)、東京・東京丸の内のJPタワーで行われ、年賀小型シートの当選番号は69と90に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(18日)から引換が始まった今年(2016年)の年賀小型シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月後半の日曜日ということで毎年変わっています さて、今年の年賀切手のうち、小型シートに収められているのは、52円切手が大津絵十二支土鈴の“申”、82円切手が土佐和紙漆喰張り子“こだき申”です。 大津絵は、滋賀県大津市で江戸時代初期から制作されていた民俗絵画で、東海道大津宿の名物として、東海道を旅する旅人たちの間の土産物・護符とされてきました。神仏や人物、動物をユーモラスなタッチで描き、風刺や教訓を詠んだ道歌を添えるスタイルとなっており、文化・文政期(1804- 1829年)には“大津絵十種”と呼ばれる代表的画題が確定。現在では、百余種の画題が作られています。また、大津絵の画題は、元唄・音曲・俗曲(大津絵節)、大津絵節にあわせて踊る大津絵踊りなど、他の民芸と結びつくことも多く、今回ご紹介の切手に取り上げられている大津絵十二支土鈴もそのひとつです。 大津絵十二支土鈴は、大津絵の中から、十二支を取り上げているものを題材として、高田工芸(守山市)の髙田進が制作しているた郷土玩具です。高田は、京都の人形店勤めを経て、1971年に独立して栗東市で工房を開設。大津絵にこだわって独学で土人形作りを始めました。干支の政策は約40年前からで、大津絵師の4代目高橋松山の原画を基に十二支すべてをそろえた作品群は、1984年に日本観光協会長賞を受賞しています。1991年には工房を守山市に移転。現在は、高田が粘土で原型の人形を作ったものを職人が手分けして色付けや焼成などを行い、その作品は神社などで販売されています。 切手に取り上げられた作品は、提灯と釣鐘を前後に吊るした天秤棒を担ぐサルの土鈴で、軽いはずの提灯が下がり、重い釣鐘が上がっているさまは、重んずべきものを軽んじ、道理が転倒している世の中を風刺する意図が込められているそうです。なお、滋賀県の郷土玩具・民芸品が年賀切手の題材となったのは、1984年および1992年の小幡人形(東近江市)以来、3例目です。 一方、82円切手の題材となった土佐和紙漆喰張子は、越前和紙・美濃紙と並んで日本三大和紙のひとつとされる土佐和紙の中でも最高級の雁皮紙が使われており、張り子の中には、おめでたいといわれる無患子の実が入っています。 今回の切手に取り上げられた“こだき申”は、高知出身の女流画家で郷土玩具も制作していた山本香泉(初代)が制作していた香泉人形の流れをくむ土人形です。初代香泉は1963年に72歳で亡くなり、長女が2代目を襲名。弟とともに香泉人形の制作をつづけましたが、彼女も亡くなり、1993年を最後に制作が途絶えていました。その後、土佐民芸社に譲られた型を用いて、2002年以降、草流舎の田村多美が雁皮紙や楮紙を用いた“土佐和紙”の張子として再現した作品の一つが、今回の切手に取り上げられた“こだき申”ということになります。 ちなみに、田村の作品は、2012年の年賀切手にも土佐和紙雁皮張子の“龍”が取り上げられていますが、今回の切手の題材は“土佐和紙張子”となっており、雁皮の文字が抜けています。あるいは、今回の“こだき申”は、材料として、雁皮紙のみならず楮紙なども用いられているということなのかもしれません。 なお、お年玉の小型シートの歴史や、年賀切手と切手に取り上げられた郷土玩具については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、この機会に、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、荒木敏正・まゆみさん、一般社団法人・日本著作権教育研究会から頂戴した2通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ** 昨晩、アクセスカウンターが161万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★ 第7回テーマティク出品者の会切手展 1月17-20日(日ー水。ただし、18日は休館) 於・切手の博物館(東京・目白) テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年の香港展に出品した香港の歴史のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください) ★★★ 内藤陽介の新刊 『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 2350円+税 【出版元より】 若く美しい女王の横顔に恋しよう! 世界最初の切手 欲しくないですか/知りたくないですか 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。 ★★★ 内藤陽介の新刊 『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 2000円+税 【出版元より】 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2015-01-19 Mon 12:39
“平成27年お年玉付年賀はがき”の抽選会が、きのう(18日)、東京・東京丸の内のJPタワーで行われ、年賀小型シートの当選番号は27と30に決まりました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、きょう(19日)から引換が始まった今年(2015年)の年賀小型シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月下旬の日曜日ということで毎年変わっています さて、今年の年賀切手のうち、小型シートに収められているのは、50円切手が信州中野土人形の“ひつじ”、80円切手が岩井の木彫十二支の“ひつじ”です。 信州中野の土人形には、奈良家が制作する京都伏見系の“中野人形”と、西原家が制作する愛知三河系の“立ヶ花人形”があり、両者の総称として“郷土玩具 中野土人形”との名称がつかわれています。今回の切手に取り上げられたのは、このうちの中野人形のほうです。 中野人形は、江戸時代後期の文化・文政年間(1804-1828)に初代奈良栄吉が京都へ福寿草の商いに行き、伏見街道に並んだ土人形に心をひかれ、その人形型を譲り受けたほか、更に夫婦者の職人を中野に呼び寄せ、作り方を習い制作したのが始まりといわれています。切手に取り上げられた人形は、現在の五代目奈良久雄の作品です。 一方、80円切手に取り上げられた岩井の挽き物玩具のルーツは、江戸時代中期に中国山脈の鞍部作州の人形仙に住んでいた木地師の小椋佐助一家が因幡吉岡に移住したことに求められます。 小椋家は、木地師の祖とされる文徳天皇の第一皇子、推喬親王が、中央を離れて近江の小椋の庄に隠棲して仏道修行をしていた際に、経軸が回転するのを見てろくろを考案し、供奉の者に小椋の姓を与えてその技術を伝授したことに始まるとされる一族で、佐助の子孫は明治に入ってから岩井温泉に移り、盆、茶入れなどの茶道具や独楽、臼、壷などを挽いていました。 その後、小椋家に生まれた幸治は、地元特産のチシャ(エゴ)の木を使い、挽物細工で形を作った後、そのうえに胡粉を塗り泥絵具で彩色する“岩井挽物人形”を1934年に創作。同年開催の第21回商工省工芸展覧会で入選を果たしました。また、1960年には日本手工芸品対米輸出計画に基づく巡回展にも出品され、世界進出を果たしています。ちなみに、岩井の挽物玩具は、昭和34年(辰年)用の年賀切手にも取り上げられたことがあります。 なお、お年玉の小型シートの歴史や、年賀切手と切手に取り上げられた郷土玩具については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、この機会に、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 * 僕宛の今年の賀状の中では、石山俊彦さん、若林昭弘さん、渡辺定顕さんから頂戴した3通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★ 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★ 毎月1回(原則第1火曜日:2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。 次回開催は2月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました! ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2015-01-03 Sat 17:49
公益財団法人・通信文化協会の雑誌『通信文化』1月号ができあがりました。僕の連載「切手歳時記」では、今回は未年の新年号ということで、この切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1979年用の年賀切手で、秋田県の郷土玩具、中山人形の“ひつじ鈴”が取り上げられています。 中山人形は、1874年、秋田県平鹿郡平鹿町吉田字中山(現・横手市平鹿町)の樋渡ヨシが義父の野田宇吉から粘土細工を習い、地元の横手押絵や串姉コ(姉様人形)から着想を得て作成したのが最初といわれています。なお、ヨシの人形は、横手の雪の中でもめだつようにとの理由から派手な色彩のものが多く、しばしば、花模様も施されていました。 ヨシの義父・宇吉は幕末から明治にかけての陶工で、鹿児島出水郡野田村出身。九州・鍋島藩の陶工として出発し、後に岩手南部藩の保護を受け、山影焼を作っていましたが、天保の大飢饉(1833-39)を機に盛岡を離れ、津軽、秋田、土崎、男鹿と良土を求めて放浪の後、安政年間(1854-59)に湯沢城代・佐竹氏の下で松岡焼を始めました。その後、さらに良土を求めて移り住んだ横手で息子の金太郎が樋渡ヨシと結婚。以後、一家は樋渡家を名乗りました。 さて、ヨシの孫で三代目(初代は宇吉)を継承した義一は、1928年、故郷を離れ、仙台の堤で修業をはじめます。 堤は、江戸時代には「西の伏見、東の堤」と並び称された人形制作の本場でしたが、明治以降は衰退していました。ところが、義一が修行に来た1928年、窯元“堤の御雛っ子屋”を継承した芳賀佐五郎は、旧来の土型に代わり、石膏型を用いた精緻な造形と繊細かつ優美な彩色の新型人形を考案。旧型の人形も刷新したうえで、“堤人形”(“つゝみ人形”、“つつみ人形”とも)の商標で全国に販売して大成功を収めました。 堤人形が大きく生まれ変わった時代の空気を存分に吸収した義一は、帰郷後、新たに多くの型を起こし、戦後の1949年からは“干支土鈴”の制作を開始した。切手に取り上げられた“ひつじ鈴”もその一つで、乙未年の1955年用につくられたものです。 12年後の1967年の丁未の“干支土鈴”には、ヨシの時代に倣って、羊の横腹に四つの赤い花弁がつけられましたが、1978-79年の年末年始には、年賀切手に取り上げられたことで花弁のない旧作を求める注文が殺到。このため、義一は、1979年用の“干支土鈴”として、かつて1955年用に作ったタイプのものを復活させています。 ちなみに、“ひつじ鈴”から、年賀切手に元号と西暦を併記するスタイルが復活しましたが、一部には元号への批判もあったため、郵政省が「以前から年賀切手には“昭和”を入れて欲しいという声があり、今年はたまたまそれを具体化しただけで、元号問題とは全く関係ない」との見解を示す一コマもありました。これもまた、“時代”を髣髴とさせるエピソードといえましょうか。 なお、1978-79年の年末年始は、全逓(全逓信労働組合)が激しい年末闘争を展開したため、年賀状の配達が大幅に遅れ、お年玉くじの抽選会も当初予定の1月15日から同31日に延期され、小型シートの交換開始も、1月20日から2月5日に変更されたことで、日本の郵便の歴史に記録されています。このあたりの事情については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 * 昨日、カウンターが146万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、この場をお借りして、お礼申し上げます。 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★ 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★ 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。 次回開催は1月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました! ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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