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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アンギラ独立宣言の日
2014-07-12 Sat 16:29
 きょう(7月12日)は、1967年にカリブ海の英自治領セントクリストファー・ネイヴィス・アンギラからアンギラが分離独立を宣言した日です。というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アンギラ・独立加刷

 これは、1967年7月12日の“独立宣言”後のアンギラで、“セントクリストファー・ネイヴィス・アンギラ”時代の切手の国名表示を抹消し、“独立アンギラ(Independent Anguilla)”の文字を加刷して発行された暫定切手のうち、アンギラ島の地図を取り上げた2ドル50セント切手です。
 
 アンギラは、カリブ海は西インド諸島のリーワード諸島にある島で、セントキッツ・ネイヴィスからは150キロ北方に位置しています。もともと、島の名前は現地語でマリオハナと呼ばれていましたが、島の形がウナギに似ていたため、1493年、クリストファー・コロンブスにより、スペイン語でウナギを意味する“anguila”から命名されました。

 その後、1632年に英国がアンギラ島をアンティグア島の管理下に置き、1650年以降、英国人が入植するようになります。さらに、1825年、アンギラ島は英領セントクリストファー(セントキッツ)島の管理下に移管されました。

  第二次大戦末期の1945年3月、英国は、カリブ海の英領の島々と英領ホンジュラスおよび英領ギアナをまとめて西インド連邦として統合しようという構想を打ち出します。しかし、バハマとバミューダが英本国の提案を拒否したため、1950年、英国は改めてカリブ海連邦の結成を各植民地に提案します。しかし、今度は英領ホンジュラスと英領ギアナがこれを拒否したため、1958年、残りの10の植民地により英連邦内の自治国と して西インド連邦が結成され、連邦の首都はトリニダード・トバゴのポート・オブ・スペインに置かれました。その際、アンギラはセントクリストファー・ネイヴィスの一部として、連邦に加盟することになります。

 ところが、連邦は内部対立からわずか4年で崩壊したため、英領カリブ海地域は再編成されることになり、1967年2月、セントクリストファー島・ネイヴィス島・アンギラ島からなる英自治領“セントクリストファー・ネイヴィス・アンギラ”が結成され、セントクリストファー島のバセテールに首府が置かれました。しかし、自治領の政治的・経済的実権は、最大の人口(といっても、約2万6000名ですが…)を有するセントクリストファー島の出身者がほぼ独占し、アンギラ島でもバセテールから派遣された官吏や警察官が幅を利かせるようになりました。

 このため、セントクリストファー島による事実上の“植民地化”に反発したアンギラは、1967年7月12日、セントクリストファー島の出身者を放逐して独立を宣言するとともに、国際社会に対してアンギラの独立を承認するよう宣伝活動を開始します。今回ご紹介の切手も、そうした文脈で発行されたものです。

 一方、あくまでも“セントクリストファー・ネイヴィス・アンギラ”の枠組の維持を主張し、アンギラの“独立”を認めないバセテールの自治政府は、英本国に対して“分離独立派”の鎮圧を要請。これを受けて、英国は武装警官隊を派遣します。これに対して、アンギラ国民は英国国歌を歌って大歓迎するとともに、喜んで無血投降して、英国直轄領となるこを直訴。このため、“セントクリストファー・ネイヴィス・アンギラ”は解体され、アンギラは英領植民地に戻りました。その後、アンギラ島に対しては、1976年、あらためて同島単独での自治権が与えられ、1980年、正式にセントクリストファー・ネイヴィスから分離されて、現在も英領植民地としての地位を維持しています。

 さて、ことし(2014年)は、わが国とカリブ共同体(旧英領を中心にカリブの14か国1地域が加盟。アンギラは正式なメンバーではありませんが、準加盟国・地域として共同体に参加しています)の事務レベル協議開始後20年が経過した年であるとともに、ジャマイカならびにトリニダード・トバゴとの国交樹立50周年にもあたることから、“日・カリブ交流年”とされています。

 8月1-3日、東京・墨田区で開催が予定されている<全日本切手展2014>でも、これにちなみ、外務省の認定を受けた“日・カリブ交流年”の行事として“カリブ切手展”を併催の予定です。今後も、同展の事前プロモーションを兼ね、機会を見つけてカリブ共同体加盟諸国・地域の切手をご紹介していきたいと考えておりますので、よろしくお付き合いください。


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       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

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