2024-07-18 Thu 11:01
ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』2024年6月21日号が発行されました。僕の月一連載「切手に見るソウルと韓国」は、今回は、尹錫悦大統領の中央アジア歴訪のタイミングでの発行でしたので、この切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2009年6月12日、カザフスタンが韓国・モンゴルと共同発行した”三国の装身具”の切手のうち、韓国の新羅時代の太環式耳飾を取り上げた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 7月19日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。 7月20日(土) 13:30~ 栃木「正論」友の会 第22回講演会 7月20日 (土) 13:30-15:00(開場13:00)、栃木県護国神社・護国会館(宇都宮市陽西町1-37)で開催の栃木「正論」友の会 第22回講演会にて、「迷走する国際情勢の背景を読み解く」と題してお話しします。会費は2000円。お申し込みは、下記画像のチラシをプリントアウトして、03-3241-4281までFAXでご送信いただくか、 seiron.k★sankei.co.jp (スパム防止のため★を@に変えてご利用ください)に必要事項をお送りください。 皆様のご参加をお待ちしております。 7月26日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★ 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します! * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-09-20 Tue 02:38
カザフスタンできのう(19日)、2019年にヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領にちなんで”ヌルスルタン”と改称された首都の名称を、旧称のアスタナに変更する大統領令(17日署名)が公示され、即日発効しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年6月25日にカザフスタンが発行した“首都アスタナ20年”の記念切手で、アスタナの大統領宮殿が描かれています。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 9月23日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★ 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 … 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-02-06 Sun 03:01
4日から始まった北京冬季五輪は、きのう(5日)、男子モーグルで堀島行真が日本勢としてメダル第1号となる銅メダルを獲得しました。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2018年9月3日、カザフスタンが発行した平昌冬季五輪の記念切手シートで、モーグル競技が取り上げられています。平昌五輪では、カザフスタンは女子モーグルのユリア・ガリシェワが銅メダルを獲得したのが同国として唯一のメダルでした。今回ご紹介の切手シートはそれを讃えて発行されたものです。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 * このブログでは、これまで、五輪開催期間中の日本選手応援企画として、日本選手がメダルを獲得した場合には、その競技にちなんだマテリアルをいろいろとご紹介してきました。ただし、今回の北京冬季五輪については、ウイグルやチベット、香港などでの中国政府による人権侵害が世界的に問題視されるなか、中国政府が批判を矛先を逸らすためのプロパガンダとして五輪を利用しているのは明らかで、それゆえ、大会での日本選手の活躍を取り上げることで、結果的に、彼らに加担してしまうことになるのではないかとのご批判があるであろうことは十分承知しております。 それでも、やはり日本選手の活躍に対しては、同胞として素直に敬意を表したいし、そうすべきと考え、今回も従来どおり、日本選手がメダルを獲得した競技の切手などをご紹介することにしました。そのうえで、内藤総研では、単なる北京冬季五輪礼賛にならないよう、掘り下げた内容の記事・メルマガを発信していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 2月7日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 2月15日(火) 19:00~ 内藤陽介×掛谷英紀オンライントークイベント 掛谷英紀先生と2022年の“世界”を語る『読書人』のオンラインイベントです。お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です。お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★ 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2022-01-07 Fri 02:14
LPG急騰をめぐる抗議デモから発展した暴動が続くカザフスタンで、きのう(6日)、カシムジョマルト・トカエフ大統領は非常事態宣言を全土に拡大するとともに、同国が加盟するロシア主導の“集団安全保障条約機構(CSTO)”に対テロ支援を要請。これを受けて、同日、CSTOは政府施設の保護や秩序回復を目的とした治安維持部隊の派遣を決定。すでに先遣部隊が現地入りしています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2017年12月27日にカザフスタンが発行した“CSTO15周年”の記念切手で、中央にCSTOのマークを配し、左側には加盟国のアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタンの国名が記されています。 CSTOのルーツは、ソ連崩壊後の1992年5月15日、ウズベキスタンのタシケントで開催されたCIS首脳会議で、ロシア、カザフスタン、アルメニア、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスが集団安全保障及び集団的自衛権を目的に調印した集団安全保障条約(CST)です。1993年にはアゼルバイジャン、グルジア(現 ジョージア)、ベラルーシが同条約に加入し、1994年4月20日に発効しました。 その後、1999年4月2日、CSTの有効期限5年延長に関する議定書には、アゼルバイジャン、グルジア、ウズベキスタンが署名せず脱退。2002年5月14日、CSTは北大西洋条約機構(NATO)型の集団安全保障機構へと改編されることになり、同年10月7日、モルドヴァの首都、キシニョフで6国によるCSTO憲章への署名が行われました。今回ご紹介の切手はここから起算して15年になるのを記念して発行されたものです。 CSTOは、加盟国の国家安全保障と領土保全を目的とした組織で、加盟国は互いに武力の行使や威嚇を控え、他の加盟国に敵対する軍事同盟に加わらない、とする一方、加盟国に脅威が発生した場合、その国の要請に応じて、他の加盟国は軍事援助を含む必要な援助を提供する義務があると規定しています。 当初、ロシアは今回のカザフスタンの騒乱については事態を静観し、混乱には介入しないとの立場を表明していましたが、デモ参加者と治安部隊の衝突で双方から1000人を超す死傷者を出る中で、カザフスタンのトカエフ大統領が、“国外で幅広い訓練を受けたテロリスト集団”への対策をCSTOに要請。これを受けて、CSTO議長国アルメニアのニコル・パシニャン首相も「現在の状況は“外部からの干渉”によって引き起こされた」との見解を示し、期間限定での治安維持部隊の派遣が決定されました。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 1月10日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2022-01-06 Thu 01:43
中央アジアのカザフスタンでは、元日からLPGの価格統制が廃止されたことで前年(2021年)に比べ約2倍に急騰したことに対して、翌2日、カスピ海に面した西部マンギスタウ州のジャナオゼンで抗議デモが発生。その後、抗議行動は拡大し、きのう(5日)、カザフスタン政府は非常事態宣言を発したものの事態は沈静化せず、同国初代大統領で最高実力者として君臨してきたヌルスタン・ナザルバエフが国外脱出に追い込まれました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2013年7月13日にカザフスタンが発行した“諸外国との外交関係20周年”の記念切手で、国章のデザインされたカザフスタン地図とナザルバエフの肖像が取り上げられています。 ナザルバエフは、1940年7月6日、ソ連支配下のチェモルガン生まれ。1979年、カザフ共産党中央委員会書記となり、1980年代にペレストロイカを推進したゴルバチョフ政権下で中央アジアの代表として台頭しました。 1989年、カザフ共産党中央委員会第一書記に就任し、翌1990年4月にはカザフ・ソヴィエト共和国大統領に就任します。 ソ連末期の1991年12月16日、カザフスタンが独立すると、ナザルバエフは新国家の大統領に横滑りし、その後も、大統領として当選を重ねます。そして、2007年5月18日、カザフスタン議会はナザルバエフを終身大統領とする決議案を圧倒的賛成多数で可決しました。同日採択された憲法改正案には大統領の任期を7年から5年に削減し、3選禁止の規定もありましたが、ナザルバエフは“独立国家カザフの創始者”として、その例外とされています。 その後、2010年、大統領の任期を2020年まで延長するための国民投票実施を求める署名運動が行われ、カザフスタン議会も国民投票を可能にする憲法改正案を可決。その背景には、ナザルバエフには反対しないが、重要な事柄について国民投票を可能にしてほしいとの暗黙の民主化要求があったのですが、大統領側はこれを逆手に取って任期延長提案を拒否。2011年に大統領選挙を行い、得票率95.5%で4選を果たしています。ちなみに、この時の大統領選挙の立候補者はナザルバエフ以外に3人いましたが、3人ともナザルバエフの2020年までの任期延長に賛成しており、そのうちの1人はナザルバエフに投票したそうです。 こうしたこともあって、ナザルバエフ政権に対しては独裁批判も強かったのですが、その一方で、ナザルバエフは「安定と経済発展」のスローガンの下、カザフスタン=中国石油パイプラインを建設するなど、潤沢な天然資源を積極的に輸出することで急激な経済成長を実現し、カザフスタン国民の生活水準を中央アジア随一に引き上げました。 日本との関係では、2008年に来日時して当時の福田康夫首相と会談し、原子力の平和的利用などエネルギー分野での二国間協力協定に調印したほか、2016年には核軍縮への取り組みが評価され、日本政府の招待を受けて広島・長崎を訪問。旧ソ連時代、セミパラチンスク核実験場で行われた核実験で延べ120万人が被曝し、現在なお健康被害に苦しんでいることを踏まえ、「日本とカザフスタンは核兵器の大被害を受けた意味では運命が似ている。」と記しています。 2019年3月19日、任期を1年残して、翌20日付で大統領職の退任を発表。これを受けて、憲法の規定によりカシムジョマルト・トカエフ上院(元老院)議長が大統領代行に就任します。ただし、その後もナザルバエフは“国家指導者”という憲法上の地位を維持し、国家安全保障会議の終身議長の地位にとどまりました。また、大統領代行のトカエフは、ナザルバエフへの感謝のしるしとして、首都アスタナの名称をヌルスルタンに変更し、ナザルバエフのモニュメントを建立しています。 2019年6月にはトカエフが正式に大統領に就任したものの、その後も最高実力者としてのナザルバエフの院生が続いていましたが、2020年6月18日、新型コロナウイルスに感染。昨年(2021年)11月23日には与党ヌル・オタン党政治評議会拡大会議(非公開)で議長職辞任の意向を示していました。 今回の騒乱は、燃料価格の暴騰が直接のきっかけになりましたが、カザフスタンでは、それ以前から、賄賂の横行や新型コロナウイルスへの政府への対応への不満もあって、ナザルバエフ体制への不満が鬱積していました。ただし、これまでは“独立国家カザフの創始者”としてのナザルバエフに対する直截な批判はタブーとなっており、政権に対する不満は、ナザルバエフが積極的に加担してきた中国への一帯一路政策に対する不満を表明する反中国抗議運動というかたちで表現されてきました。 ちなみに、すでに国内の抗議デモが拡大しつつあった3日、中国・カザフスタン国交樹立30年を記念して、習近平がナザルバエフに対して「中国とカザフスタンの関係発展を非常に重要視している。ナザルバエフ氏と共に、中国・カザフスタンの恒久的・包括的・戦略的パートナーシップの安定かつ長期的に続く発展を後押ししたい」との祝電を送り、ナザルバエフも「中国はカザフスタンの独立を認めた最初の国の1つだ。カザフスタンは多分野における両国協力のさらなる発展を促進したい」と返電。このことも、結果として抗議行動を刺激し、事態を悪化させた可能性があります。 なお、大統領のトカエフは、5日夜(現地時間)のテレビ演説で、ナザルバエフの後任の安全保障会議議長の職務を同日付で継承することを発表するとともに、「暴動には厳しく対処する」と述べましたが、この記事を書いている時点では先行きは不透明です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 1月10日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2021-12-16 Thu 03:47
ソ連末期の1991年12月16日にカザフスタンが独立して、ちょうど30年になりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1992年3月23日に発行されたカザフスタン最初の正刷切手で、“黄金人間”が取り上げられています。 1820年代、カザフ草原の直接統治下に置いたロシア帝国は、アクモリンスク州・セミパラチンスク州・セミレチエ州・ウラリスク州・トゥルガイ州・シルダリア州の6州を設置。その東半分は1891年にステップ総督府の管轄下に置かれ、1897年にはセミレチエ州はトルキスタン総督府へ移管されます。 ロシア革命後、カザフ地方を制圧した赤軍は、1920年4月12日、カザフ草原を“キルギス地方(現在のキルギスタンとは別)”として、全連邦共産党(ボリシェヴィキ党)組織局を設置。4月30日、同局はロシア共産党中央委員会キルギス州局となり、8月26日、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の構成下にキルギス自治ソビエト社会主義共和国が設立されました。 1922年末のソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)の成立を経て、1924年、トルキスタンの一部がキルギス自治ソビエト社会主義共和国に編入され、翌1925年4月、キルギス自治ソビエト社会主義共和国はカザフ自治ソビエト社会主義共和国に改称されます。そして、1936年12月5日、ソ連の構成下においてカザフ・ソビエト社会主義共和国が誕生。これが、現在のカザフスタン国家の直接のルーツとなります。 ソ連末期の1991年12月8日、ロシアのボリス・エリツィン大統領、ウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ最高会議議長がベラルーシのベロヴェーシの森で会談し、これら3国のソ連からの離脱とEUと同レベルの国家の共同体の創設が宣言されます。これを受けて、カザフスタンも12月16日に独立を宣言。12月21日には、カザフスタンの当時の首都、アルマ・アタ(現アルマトイ)でソ連を構成していた共和国の首脳が会談し、独立国家共同体(CIS)の創設が決定されました。これが、いわゆるアルマ・アタ協定です。 こうして、ソ連が完全にその存在意義を失ったことを受け、12月25日、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領が辞職し、ソ連は消滅します。したがって、しばしば、カザフスタンはソ連崩壊後独立したと言われますが、実際には、カザフスタンなどが独立したことでソ連が崩壊したというのが正確なところです。 今回ご紹介の切手に取り上げられているのは、ソ連時代の1969年、イッシク古墳から出土した黄金に覆われたスキタイ戦士の遺体“黄金人間”(のレプリカ)です。黄金人間は、発見時、さまざまな文様の装飾がある黄金の尖り帽子、上衣、ベルト、ブーツ、剣と鞘で飾り立てられ、さらに金製の管を三重半巻いた形の首輪と指輪を身に着けており、全身が黄金で覆われていたことがその名の由来で、そのレプリカがアルマトイの国立中央博物館の展示の目玉になっています。 なお、カザフスタンで独自通貨のテンゲが導入されたのは1993年11月のことで、この切手が発行された当時は、旧ソ連ルーブルがそのまま使われていました。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内★ 12月20日(月) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。 三鷹市生涯学習センター 「宗教と国際政治」 2022年1月10~23日 国際紛争や諸外国のタイムリーな重大ニュースを取り上げ、その背後にある「宗教」をめぐる諸問題をじっくり解説する講座です。今回は、混迷続くアフガニスタンとその歴史に焦点を当ててお話します。お申し込みは12月11日(土)までで、ご応募多数の場合は抽選になります。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★ 2530円(本体2300円+税) 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★ 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。 |
2019-03-21 Thu 01:39
今日(21日)は春分の日。日本ではお墓参りの日ですが、イランを中心にその文化的影響が及んでいる国や地域では、新年のお祭り・ノウルーズの日です。というわけで、今日はこんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、カザフスタンが発行した2012年のノウルーズ切手で、伝統的な弦楽器のドンブラを引く男性と民族衣装で馬に乗る女性が描かれています。 さて、イスラム世界では預言者ムハンマドと信徒たちがメッカからメディナに移住し、イスラムの共同体を作った“ヒジュラ”のあった年を紀元とするヒジュラ暦が使われていますが、このヒジュラ暦は完全太陰暦で、かつての日本の旧暦のように閏月を入れて調整するということは行われていませんから、毎年、11日ずつ、太陽暦の日付とズレが生じます。 このため、イスラム世界の各地では、イスラム暦とは別に、太陽暦に連動した農事暦が用いられることも多く、イランの場合は、イスラム以前から使われていたイラン暦として春分を元日とした太陽暦も用いられています。 この元日が、いわゆる“ノウルーズ”(直訳すると“新しい日”の意味)と呼ばれるもので、イランを中心に、今回ご紹介のカザフスタンを含む旧ソ連の中央アジア5共和国でも祝日になっています。また、クルド人がノウル-ズを祝う習慣があることから、トルコではクルド人に対する宥和政策の一環として国民の休日に指定されているほか、イラク国内のクルド人自治区(クルディスタン)でも、ノウルーズは祝日に指定されています。ただし、ノウルーズはイスラム圏全体に共通の行事ではなく、アラブ世界ではほとんど無視されているのが実情です。 ところで、ノウルーズのアラビア文字表記はنوروز ですが、これをペルシャ語とみた場合、そのラテン文字への転写は、nowruz (カタカナ表記でノウルーズ)とするのが一般的です。ただしカザフスタンの公用語であるカザフ語では キリル文字ではНаурЫз(ラテン文字ではnawryz)と表記するのがスタンダードですので、今回は記事のタイトルもそちらを使ってみました。 また、イランをはじめ多くの国ではノウルーズは春分の日とされていますが、カザフスタン国家の公定の休日としてのノウルーズは翌日の3月22日に設定されています。これは、ヒジュラ暦では日没から1日がスタートするということを踏まえてのものと思われますが、実際には、22日を挟む21-23日がノウルーズの休暇期間となっていますので(今年は23日が土曜日のため、25日が振替休日となり5連休です)、周辺諸国同様、21日もお休みです。 なお、カザフスタンでは、今年のノウルーズを控えた今月19日、 旧ソ連末期の1989年にカザフ共産党中央委員会第一書記に就任して以来、30年に及ぶ長期政権を維持してきたヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が20日付で大統領職から退任すると発表。これを受けて、憲法の規定によりカシムジョマルト・トカエフ上院(元老院)議長が大統領代行(任期は大統領選挙まで)に就任しました。 ただし、今後もナザルバエフは“国家指導者”という憲法上の地位を維持し、国家安全保障会議の終身議長の地位にとどまるなど、新体制は事実上のナザルバエフ院政となりそうです。ちなみに、大統領代行のトカエフは、さっそく、ナザルバエフへの感謝のしるしとして、首都アスタナの名称をヌルスルタンに変更し、ナザルバエフ氏のモニュメントを建立することを提案しています。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2017-06-15 Thu 08:05
本日(15日)16:05から、NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第4回目が放送される予定です。(番組の詳細はこちらをご覧ください)。今回は、先日開幕したアスタナ万博にちなんで、こんな話をする予定です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2016年にカザフスタンで発行されたヌルスタン・ナザルバエフ大統領の切手シートで、シートの余白には黒川紀章のマスタープランに沿って建設が進む首都アスタナの景観が取り上げられています。その右下には、新首都のシンボルとして建設された塔“バイテレク(カザフ語で、遊牧民の伝説に登場する正名の木とされる「ポプラ」を意味します)”が見えますが、その高さ105mの展望台上るためのエレベーターは日本製です。 さて、切手に取り上げられたナザルバエフ大統領は、1940年7月6日生まれの現在76歳。1979年、ソ連時代のカザフ共産党中央委員会書記となり、1980年代、ペレストロイカを推進したゴルバチョフ政権下で中央アジアの代表として台頭しました。 1989年、カザフ共産党中央委員会第一書記に就任し、翌1990年4月にはカザフ・ソビエト共和国大統領に就任します。 ソ連末期の1991年12月8日、ロシアのボリス・エリツィン大統領、ウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ最高会議議長がベラルーシのベロヴェーシの森で会談し、これら3国のソ連からの離脱とEUと同レベルの国家の共同体の創設が宣言されます。これを受けて、カザフスタンも12月16日に独立を宣言。12月21日には、カザフスタンの当時の首都、アルマ・アタでソ連を構成していた共和国の首脳が会談し、独立国家共同体(CIS)の創設が決定されました。これが、いわゆるアルマ・アタ協定です。 こうして、ソ連が完全にその存在意義を失ったことを受け、12月25日、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領が辞職し、ソ連は消滅します。したがって、しばしば、カザフスタンはソ連崩壊後独立したと言われますが、実際には、カザフスタンなどが独立したことでソ連が崩壊したというのが正確なところです。 カザフスタンの独立とともに、ナザルバエフは新国家の大統領に横滑りし、その後も、大統領として当選を重ねます。そして、2007年5月18日、カザフスタン議会はナザルバエフを終身大統領とする決議案を圧倒的賛成多数で可決しました。同日採択された憲法改正案で大統領任期を7年から5年に削減し3選は禁止するとの規定がありましたが、ナザルバエフは“独立国家カザフの創始者”として、その例外とされています。 その後、2010年、大統領の任期を2020年まで延長するための国民投票実施を求める署名運動が行われ、カザフスタン議会も国民投票を可能にする憲法改正案を可決。実は、その背景には、ナザルバエフには反対しないが、重要な事柄について国民投票を可能にしてほしいとの暗黙の民主化要求があったのですが、大統領側はこれを逆手に取って任期延長提案を拒否。2011年に大統領選挙を行い、得票率95.5%で4選を果たしています。ちなみに、この時の大統領選挙の立候補者はナザルバエフ以外に3人いましたが、3人ともナザルバエフの2020年までの任期延長に賛成しており、そのうちの1人はナザルバエフに投票したそうです。 こうしたこともあって、ナザルバエフ政権に対しては独裁批判も強いのですが、その一方で、ナザルバエフは「安定と経済発展」のスローガンの下、カザフスタン=中国石油パイプラインを建設するなど、潤沢な天然資源を積極的に輸出して急激な経済成長を実現。国民の生活水準は中央アジア随一となっています。 日本との関係では、2008年に来日時して当時の福田康夫首相と会談し、原子力の平和的利用などエネルギー分野での二国間協力協定に調印したほか、2016年には核軍縮への取り組みが評価され、日本政府の招待を受けて、カザフスタンの大統領として初めて(といっても、歴史上、カザフスタンの大統領は彼しかいないのですが)広島・長崎を訪問。旧ソ連時代、セミパラチンスク核実験場で行われた核実験で延べ120万人が被曝し、現在なお健康被害に苦しんでいることを踏まえ、「日本とカザフスタンは核兵器の大被害を受けた意味では運命が似ている。」と記しています。 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回 は15日! ★★★ 6月15日(木)16:05~ NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第4回目が放送予定です。今回は、6月10日に開幕したばかりのアスタナ万博にちなんで、開催国のカザフスタンにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2017-06-10 Sat 09:30
カザフスタンの首都アスタナで、「未来のエネルギー」をテーマにしたアスタナ国際博覧会(アスタナ万博)が、きょう(10日)から始まります。というわけで、今日はストレートにこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、ことし3月14日にカザフスタンが発行した50テンゲの普通切手で、アスタナ万博のロゴとスローガンが大きくデザインされています。カザフスタンは今年3月に新デザインの普通切手7種を発行していますが、そのうちの4種が、今回ご紹介した切手と同じデザインで、万博の宣伝を兼ねたものとなっています。 1991年にカザフスタンが独立した時の首都はアルマ・アタ(のちカザフ語のアルマトイに改称)でしたが、1994年、同国北部のアクモラを新首都とすることが決定されます。 ちなみに、アクモラが新首都に選ばれた理由としては、アルマトイが中国との国境に近すぎること、活断層があり地震多発地帯であること、地形的に更なる発展が困難だったこと、などが挙げられています。またアスタナが位置するカザフスタン北部にはロシア人が多かったため、遷都によって北部にもカザフ人の割合を増やし、将来的な分離独立問題を抑え込む意味もあったといわれています。 新首都に選ばれたアクモラは、ソ連時代にはツェリノグラードと呼ばれていた都市で、独立後、カザフ語で“聖地”を意味するアクモラと改称されました。さらに、1997年に実際に遷都が行われると、翌1998年、カザフ語で“偉大な都市”を意味するアスタナと改称され、現在に至っています。 さて、独立後のカザフスタンは、石油や天然ガス、鉱物資源など豊富な資源を背景に目覚ましい経済発展を遂げましたが、新首都の建設には、その成果を世界にアピールする意図も込められていました。そこで、1998年、カザフスタン政府は新首都建設のマスタープランとデザインに関する国際コンペを実施。参加した27チームの中から黒川紀章の都市計画案が1位になりました。 アスタナの首都建設事業は、2030年までに100万都市とすることを目指して、現在も段階的に建設が進められていますが、今回の万博開催もその一環として企画されたものです。 なお、アスタナ万博の会期は9月10日までの3ヶ月間の予定で、わが国を含む100カ国余りの再生可能エネルギー分野の国際組織・大手企業が出展。きのう(9日)おこなわれたオープニング・セレモニーには中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も出席し、開催国のナザルバーエフ大統領は開会の辞で「将来的に、効率的で安全なエネルギーが次々と発明されるだろう。今回の国際博覧会がこうした発展に貢献することを確信している」と述べ、万博開催の意義を強調したそうです。 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回 は15日! ★★★ 6月15日(木)16:05~ NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第4回目が放送予定です。今回は、6月10日に開幕したばかりのアスタナ万博にちなんで、開催国のカザフスタンにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2014-01-08 Wed 23:34
大相撲初のカザフスタン出身力士で西幕下18枚目の風冨山泰雅が、今月3日、酒に酔って飲食店の門松を壊したとして、器物損壊の疑いで現行犯逮捕されていたことが、昨日(7日)、明らかになりました。まさか、日本名が“泰雅”だけに大トラになったというわけではないのでしょうが・・・。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、カザフスタンで発行された1998年用の年賀切手で、十二支の円の中に、干支の虎が大きく描かれています。 現在のカザフスタン国家が独立したのは1991年12月のことで、さすがに、1992年用の年賀切手は発行できなかったものの、1993年からは毎年、春節(旧正月)に合わせて年賀切手を発行しています。同国の多数派を占めるカザフ人は、基本的に、太陽暦の新年を祝い、春節を祝うわけではありませんので、春節の切手を発行するということは、国境を接する中国ないしは(国内の)中国系の人々を意識してのことと考えるのが妥当でしょう。 旧ソ連時代は中ソ関係が緊張していたこともあって、ソ連の構成国であるカザフスタンと中国との国境の往来は厳しく制限されていましたが、1992年、新生カザフスタン国家は対中関係を好転させるため、中国との間にビザ免除協定を調印します。この背景には、ソ連解体により、モスクワからの自立せざるを得なくなったカザフスタンにとって、同国の重要な水瓶であるバルハシ湖の水源が中国領内にある以上、水資源を確保するためには、良好な対中関係を維持しなければならないという事情がありました。 以後、毎日150-200人の中国人(中華人民共和国のパスポートを有する人)がカザフスタンに入国するようになりました。この時点では、カザフスタンに移住するというよりも、欧州へ出稼ぎに行くための経由地としてカザフスタンに入国する中国人が圧倒的多数だったといわれています。 さらに、1995年、カザフスタンは中国の主張にほぼ沿ったかたちで国境画定条約を結ぶとともに、善隣友好関係を確認する共同声明を発表。これに伴い、カザフスタンとの国境に配置されていた人民解放軍の多くが新疆南部のタジキスタンおよびアフガニスタンとの国境に移動し、両国間の移動の制限は大幅に緩和されました。以後、カザフスタン領内への中国人の流入は激増し、2000年までに30万人を越えています。その後も、カザフスタン国内の資源を求めて中国資本がカザフスタンに流入すると、カザフスタン国内に居住する中国人ないしは中国系住民の数は増加し、その経済的・社会的影響力は拡大していきました。 こうした“中国”のプレゼンスのゆえに、カザフスタンでは、毎年、春節にあわせた年賀切手を発行しているわけですが、このほかにも、国内における中国系住民の社会的影響力が無視できなくなったがゆえに、年賀切手を発行するようになった国というのは欧米でも少なからずあります。いずれ、それらをまとめて、1冊の書籍を作ってみたいと思うのですが、さて、企画を拾ってくれる版元さんはありませんかねぇ。 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★ 第5回テーマティク出品者の会 1月17-19日(金ー日) 於・切手の博物館(東京・目白) テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のバンコク展に出品した朝鮮戦争のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください) ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★ 2014年1月2日より、東京・両国の江戸東京博物館で大浮世絵展がスタートしますが、会期中の1月24日13:30より、博物館内にて「切手と浮世絵」と題するトーク・イベントをやります。 参加費用は展覧会の入場料込で2100円で、お申し込みは、よみうりカルチャー荻窪(電話03-3392-8891)までお願いいたします。展覧会では、切手になった浮世絵の実物も多数展示されていますので、ぜひ遊びに来てください。 なお、下の画像は、展覧会と僕のトーク・イベントについての2013年12月24日付『讀賣新聞』の記事です。 ★★★ 絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩 ★★★ 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説) 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は1月7日(原則第1火曜日)で、以後、2月4日と3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★ 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より) 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
2011-12-16 Fri 23:06
ソ連末期の1991年12月16日にカザフスタンが独立して、きょうでちょうど20年です。というわけで、きょうはこんなものを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1993年4月12日、カザフスタンのアルマ・アタから差し出されたカバーで、旧ソ連時代の切手つき封筒に、ソ連切手にカザフスタンの国名を加刷した暫定切手と、カザフスタンの正刷切手が同時に貼られています。 消印のアルマ・アタはカザフ・ソヴィエト社会主義共和国時代の首都で、独立時の首都です。ただし、“アルマ・アタ”はロシア語の呼称であるため、独立後の1993年にカザフ語の“アルマトイ”と改称されましたから、このカバーも、アルマ・アタ表示の消印としては末期の使用例ということになります。 カザフスタンの独立に先立つ1991年12月8日、ロシアのボリス・エリツィン大統領、ウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ最高会議議長がベラルーシのベロヴェーシの森で会談し、これら3国のソ連からの離脱とEUと同レベルの国家の共同体の創設が宣言されます。これを受けて、12月21日、アルマ・アタでソ連を構成していた共和国の首脳が会談し、独立国家共同体(CIS)の創設が決定されました。これが、いわゆるアルマ・アタ協定です。 こうして、ソ連が完全にその存在意義を失ったことを受け、12月25日、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領が辞職し、ソ連は消滅しました。 ちなみに、1997年、カザフスタンのナザルバエフ政権は首都をアルマトイからアスタナに移すことを決定し、翌1998年に遷都を実施しました。しかし、現在なお、アルマトイがカザフスタン最大の都市であることには変わりありません。 このように、今年はソ連崩壊から20周年の節目の年にあたっています。11月に上梓した拙著『ハバロフスク』も、そうしたタイミングを意識して作った本で、激動のソ連・ロシア現代詩の一端を切り取るよう、努力したつもりです。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 <追記> この記事をアップした直後、独立記念日の16日、カザフスタン西部のジャナオゼンで大規模なストライキを展開していた石油ガス生産会社の従業員らと治安部隊が衝突。銃撃戦も起き、多数の死傷者が出ているとの報道がありました。独立以来20年におよぶナザルバエフ独裁体制の崩壊の序曲となるかどうか、今後の推移に注目したいところです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 年賀状の戦後史 角川oneテーマ21(税込760円) 日本人は「年賀状」に何を託してきたのか? 「年賀状」から見える新しい戦後史! ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』、『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語、『サンデー毎日』12月25日号で紹介されました。 amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoor BOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、 セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 好評既刊より ★★★ ハバロフスク(切手紀行シリーズ?) 彩流社(本体2800円+税) 空路2時間の知られざる欧州 大河アムール、煉瓦造りの街並み、金色に輝く教会の屋根… 夏と冬で全く異なるハバロフスクの魅力を網羅した歴史紀行 シベリア鉄道小旅行体験や近郊の金正日の生地探訪も加え、充実の内容! amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoorBOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! |
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