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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ヴァヌアツでM7・3の地震
2024-12-19 Thu 06:35
 南太平洋のヴァヌアツで、現地時間12月17日午後1時頃、推定マグニチュード7.3の地震(震源は首都ポートヴィラがあるエファテ島の沖合で、震源の深さは約57キロと推定)が発生。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、きのう(18日)までに少なくとも14人が死亡、200人以上が負傷しました。というわけで、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈りしつつ、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      豪州ニューヘブリデス会社

 これは、1897年3月17日、豪州ニューヘブリディーズ(ニューヘブリデスとも)会社がポートヴィラ・シドニー間の郵便料金を徴収するために発行した”切手”で、当時のポートヴィラの風景が描かれています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 * 昨日(18日)のニッポンジャーナル、内藤は急遽代打での出演でしたが、おかげさまで無事に終了しました。次回は当初予定通り、12月20日(金)に登場します。引き続きよろしくお願いします。


 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 12月20日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 12月27日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

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 ヴァヌアツ航空、経営難で国際線運休
2024-05-10 Fri 03:34
 南太平洋の島国、ヴァヌアツの国営ヴァヌアツ航空(エア・ヴァヌアツ)が、きのう(9日)、経営難を理由に少なくとも12日まで国際線の運航を停止すると発表しました。すでに、ヴァヌアツ政府は同社の破綻処理の検討に入っています。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァヌアツ・エアヴァヌアツ10年

 これは、1997年4月2日、ヴァヌアツが発行した“ヴァヌアツ航空10周年”の記念切手のうち、首都ポートヴィラのバウアフィールド空港に駐機する同社のボーイング737‐300を描いた1枚です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


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 5月10日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 5月17日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

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 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
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 ヴァヌアツ、中国漁船を異例の拿捕
2021-01-31 Sun 03:36
 南太平洋の島国、ヴァヌアツの警察は、きのう(30日)までに、同国海域内で違法操業をしていた疑いで中国漁船2隻とロシア船1隻を拿捕したことを発表しました。中国から巨額の支援を受け、南太平洋でも古くからの親中国家として知られるヴァヌアツ当局が中国漁船を拿捕するのは異例のことで、おそらく、今回が最初の事例とみられています。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァヌアツ・対中国交25年

 これは、2007年3月26日、ヴァヌアツと中国の国交樹立25周年を記念して用いられたヴァヌアツの記念印のオンピース(カバーの一部)です。ヴァヌアツ、中国ともに、両国の国交樹立に際しては記念印の使用のみで記念切手の発行はありませんでしたので、今回ご紹介の記念印は、2001年に発行された“(ユネスコの無形遺産にも指定された)砂絵”の切手に押印されています。

 現在のヴァヌアツの地は、1774年、ジェームズ・クックによる調査が行われ、“ニュー・ヘブリデス(ニュー・ヘブリディーズ)”と命名されました。その後、英仏による領有権争いを経て、1906年、ニュー・ヘブリデス諸島は両国の共同統治領(コンドミニアム)とすることで妥協が成立。1980年の独立まで、第二次大戦中の一時期を除き、コンドミニアム体制が続きました。

 さて、ニュー・ヘブリデスは1980年にヴァヌアツとして独立します。独立運動の指導者で初代大統領に就任したウォルター・リニは“メラネシア社会主義”の提唱者だったこともあり、リニ政権バヌア・アク党はメラネシア社会主義に基づく政策を採用し、1982年には中国と国交を樹立。東西冷戦下においては、東側諸国との友好関係を重視し、ソ連などから援助を受けていました。

 また、ヴァヌアツは独立当初から、海底資源をめぐって仏領ニューカレドニアと“大陸棚争い”をしていましたが、この件に関して、中国は一貫してヴァヌアツを支持。その見返りとして、ヴァヌアツは南シナ海における中国の領有権の主張を全面的に支持するという関係が築かれます。

 1991年にソ連が崩壊すると、親ソ派のリニは退陣を余儀なくされましたが、1998年に首相として返り咲きました。この頃から、ヴァヌアツと中国の経済的な関係が徐々に強まり、2002年にはヴァヌアツと中国との貿易総額は約131万8000ドルに到達。そのうちの100万ドル以上が中国からの衣料品、薬品、食料品、軽工業製品などの輸入で占められるなど、ヴァヌアツ経済の対中依存が大きく進みました。さらに、2005年には中国中央電視台がヴァヌアツでテレビ放送を開始し、中国のメディアによるヴァヌアツ国民への世論捜査も開始されています。

 2006年には両国間で経済協力協定が調印されると、中国(大陸)系企業のヴァヌアツ進出は加速度的に進み、その結果、2018年までにヴァヌアツの対中債務は2億2200万ドルにまで拡大。文字通り、中国の債務漬けになった状態で、2018年4月にはヴァヌアツに中国の海軍基地を建設するための協議が進められているとの報道が一部でなされ、米豪両国が対応に追われる一幕もありました。

 このように、ヴァヌアツに対する中国のプレゼンスは絶大なものがありましたが、2021年1月19日、ヴァヌアツ当局の巡視船が同国北方のヒウ島付近で違法操業の疑いのある中国漁船2隻を拿捕し、中国籍の乗組員14人を拘束。さらに、中国漁船を首都ポートビラに連行する過程で、やはり、違法操業の疑いがあるとして、ロシア船1隻をルーガンヴィル付近で発見し、拿捕しています。

 ロンドンを拠点とする海外開発研究所が昨年発表した報告書によると、中国籍の遠洋漁船は少なくとも推定1万7000隻ありますが、彼らは、船団としての統制が取れていなければ、慣行にも従わず、世界の違法操業の“最も重大な当事者”になっていることが指摘されています。また、南太平洋の域内大国であるオーストラリアは、近年、中国が南太平洋で急速に勢力を拡大していることに加え、自国内でも長年にわたって中国が浸透工作を行ってきたことが証拠と共に明らかになったことなどから、中国に対する警戒感を強め、豪中対立が深刻になっています。

 こうしたこともあり、南太平洋における親中国家の筆頭格といわれてきたヴァヌアツとしても、さすがに、これまでのように、中国の違法操業を野放しのままにはできなくなり、明らかに悪質な事例として、今回の拿捕に踏み切ったのでしょう。ただし、ヴァヌアツ経済が中国に大きく依存している状況には大きな変化はありませんので、今回の一件だけで、ヴァヌアツが対中関係を見直すとは考えにくいのが実情です。

 あるいは、他の南太平洋諸国同様、ヴァヌアツも政治腐敗が深刻な問題となっていますが、昨今のコロナ禍を機に、政府高官の汚職はますますひどくなっているとの報道もあり、その点からすると、中露両国を本気で怒らせない程度に違法操業を取り締まることで、国内の政権に対する不満を逸らそうという意図があったということなのかもしれません。

 なお、南太平洋において、近年、中国が急速に勢力を拡大していった経緯については、拙著『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★

 2月5日(金)05:00~  文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。


★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★

      日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史カバー 本体1600円+税

 出版社からのコメント
 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】
 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は
 いかなる歴史をたどり、
 中国はどのように浸透していったのか

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 

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 サイクロン“パム”、ヴァヌアツ襲う
2015-03-15 Sun 16:28
 一昨日(13日)から昨日(14日)にかけて、非常に強いサイクロン“パム”が南太平洋の島国ヴァヌアツを直撃。首都ポート・ヴィラは壊滅的な被害を受け、現時点で40人以上が亡くなったと伝えられていますが、通信状況が悪いため、被害の全容はわかっていません。。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

        ニューヘブリデス・フィジー加刷

 これは、英仏共同統治領ニュー・ヘブリデス時代の1908年、フィジー切手に“ニュー・ヘブリデス”と加刷して発行された切手で、現在のヴァヌアツの地で発行された切手としては最初の1枚となります。

 現在のヴァヌアツの地は、1774年、ジェームズ・クックによる調査が行われ、“ニューヘブリディーズ”と命名されました。その後、英仏による領有権争いを経て、1906年、ニュー・ヘブリデズ諸島は両国の共同統治領(コンドミニアム)とすることで妥協が成立。1980年の独立まで、第二次大戦中の一時期を除き、コンドミニアム体制が続きました。

 郵便に関しては、1897年、濠洲ニュー・ヘブリデス会社がポート・ヴィラ=シドニー間の郵便物の取り扱いを開始。当初は、同社によるローカル切手が使用されましたが、同年10月以降、ニュー・サウス・ウェールズ切手が持ち込まれて使用されました。

 コンドミニアムの設置後は、1908年10月1日、ポート・ヴィラにコンドミニアムとしての郵便局が開局し、フランス植民地の料金体系による郵便サービスが開始され、英領フィジー切手および仏領ニュー・カレドニア切手に加刷した切手が発行されました。なお、通貨の交換レートは、英1ペニー=仏10サンチームでした。なお、今回ご紹介の切手の加刷はフィジーの首府スヴァで行われています。

 さて、同国のロンズデール大統領は、現在、第3回国連防災世界会議に出席のため仙台市に滞在中で、きのう、大統領と会談した安倍首相も「(サイクロン被害について)心からお見舞いを申し上げる。日本として可能な限り支援したい」と述べ、迅速な対応を政府内で指示したことを説明したそうです。日本滞在中に本国での大災害の方に接した大統領の心中は察するに余りあるところですが、まずは、天候が回復し、一日も早く被災地の復旧・復興が進むことをお祈りしております。
 
 * 本日、カウンターが149万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、この場をお借りして、お礼申し上げます。
 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:3月31日、4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は3月31日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 本書のご注文はこちら(出版元の予約受付サイトです)へ。内容のサンプルはこちらでご覧になれます。


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 コンドミニアムの悲劇
2006-07-30 Sun 00:02
 今日(7月30日)は、南太平洋西部、オーストラリア大陸の東にあるバヌアツ共和国の独立記念日だそうです。1980年の独立以前、この国は“ニューヘブリデス”として英仏共同統治下に置かれていましたので、切手に関心のある人たちの間では、そっちのほうが通りが良いかもしれません。さて、今日は、そんなニューヘブリデス時代の切手の中から、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

フレンチ・ニューヘブリデス

 第二次大戦中の1940年6月、フランスはドイツに降伏し、ペタンの親独政府が誕生します。このため、ニューヘブリデスのコンドミニアム(英仏共同統治のことをこう称した)内では、厳密にいうと、英仏は敵対関係になります。もっとも、ニューヘブリデスでは、早々にペタンの親独政府への服従を拒否し、ドゴールの自由フランス軍を支持することが決められましたので、コンドミニアムの分裂は何とか避けられています。

 今回ご紹介している切手もそうした状況の中で発行されたもので、戦前発行の島の風景を描く切手に、自由フランス支持の姿勢を示す“France Libre”の文字が加刷されています。

 さて、1941年12月に、いわゆる太平洋戦争が勃発し、日本軍がソロモン諸島の近くまでやってくると、ニューヘブリデスの住民は日本の侵攻を恐れるようになりました。このため、1942年5月、日本軍の機先を制するかたちで、何の前触れもなく米軍が島に上陸してきた時、島民はこれを日本軍の襲来と勘違いしてパニック状態に陥り、我先に山に逃げ込んでしまったということです。

 上陸した米軍は、当時のニューヘブリデス島がほとんど未開発の状態であることに驚き、早速、島を前線基地として活用するためにインフラの整備を開始します。各種のアメリカ製品が大量に持ち込まれるとともに、兵舎や病院、島を一周する道路、仮設滑走路や埠頭などが相次いで作られ、島は急速に文明化されていきます。

 さらに、現実にはさまざまな差別があるにせよ、米軍では白人も黒人も平等に扱われていることを見聞きし、米軍の仕事を手伝って正当な賃金をもらい感謝されるという体験を通じて、それまで、コンドミニアム体制の下で人間以下の扱いしか受けてこなかった島民たちは大いに感動します。一方、米軍の側でも、あまりに劣悪な島民の生活に同情して、洋服やベッド、冷蔵庫や家具を軍から調達して彼らに与えました。

 このため、ニューヘブリデスの島民にとっての第二次大戦(太平洋戦争)とは、日本軍の攻撃で牛が一頭犠牲になるという被害はあったものの(死傷者はなし)、生活水準はあがり、新しい医療の恩恵を受け、様々な設備も整うという、夢のような時代の代名詞となりました。

 しかし、1945年8月に戦争が終わり、米軍が撤退すると再び悲劇が訪れます。

 撤退に際して、米軍は、戦時中にニューヘブリデス島に対して持ち込んだ援助物資(ブルドーザー、作業用機械、クレーン、トラック、事務機器など)を、1ドルにつき7セントで買い上げてくれるよう、英仏コンドミニアムに求めます。ところが、戦争で疲弊し1円たりとも余計な支出をしたくなかった英仏側は「米軍が勝手に置いていったものに対価を支払う必要はない」と主張。住民に対しては家宅捜索が行われ、彼らが米軍にもらった衣類や、家具、冷蔵庫やラジオなどは強制的に接収され、ブルドーザーで海に沈められてしまいました。

 当然のことながら、こうしたコンドミニアム政府のやり方に対する不満は住民の間に深く沈殿し、その後の独立運動につながっていくことになるのです。それにしても、“英仏植民地主義”というのがいかに凄まじいものであったか、あらためて身震いする思いがします。

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