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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 小さな世界のお菓子たち:クッキーの切手
2018-12-20 Thu 00:54
 大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第42号(2018年冬号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      オーランド・クリスマス(2017・タブつき)

 これは、2017年にオーランド諸島で発行されたクリスマス切手の1枚で、ジンジャー・クッキーで作られた“ヘクセンハウス(お菓子の家)”が取り上げられています。緑色に星の入ったタブが上についているので、星の瞬く下、雪深い森の中の一軒家のような雰囲気ですね。

 バルト海、ボスニア湾の入り口に位置するオーランド諸島は、もともと、フィンランド本国ともども、スウェーデンの支配下にありました。このため、現在でも住民の多くはスウェーデン系でスウェーデン語を母語としています。

 ところが、1809年、スウェーデンがロシアとの戦争に敗れ、フィンランドがロシアに割譲されると、オーランド諸島もフィンランド大公国(大公はロシア皇帝)の一部としてロシア領に。そして、第一次大戦を経てフィンランドがロシアから独立すると、オーランド諸島ではスウェーデンへの復帰を求める住民運動が起こります。新生フィランド政府は、1920年、オーランド自治法を制定してオーランドに広範な自治権を与え、フィンランドへの残留を求めましたが、それでも、スウェーデンへの帰属を望む多数派の住民は納得しなかったため、オーランド問題は国際連盟に委ねられます。

 そこで、連盟は事務次長の新渡戸稲造を中心に詳細な調査を行ったうえで、オーランドにさらなる自治権を与えることを条件に、「オーランドはフィンランドの自治領とする」とした“新渡戸裁定”を提示。両国はこれを受け入れ、1922年、オーランド自治政府が成立しました。その後、オーランド諸島ではフィンランド切手が使われていましたが、1984年以降、オーランド諸島として独自の切手が発行されています。

 さて、今回ご紹介の切手に取り上げられたジンジャー・クッキーは、オーランドの公用語であるスウェーデン語では“ペッパルカーコル”。英語では “ペッパー・クッキー”の意味です。この地域では、ジンジャーのほかにクローブやシナモンなどのスパイスが効いており、黒蜜のようなダークシロップで甘みをつけるので、焼き上がりは少ししっとりしていて、濃い目の色味に仕上がります。

 切手は無額面の永久保証切手で、“Julpost”の表示は国内宛のクリスマス・メールの意味。切手が発行された時点では55セントで、一般的な書状料金の60セントよりも割引になっています。


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      表紙帯つき 本体2000円+税

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 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 
 
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 “魔女狩り”の切手
2017-05-19 Fri 15:33
 昨年(2016年)の米大統領選挙をめぐるトランプ陣営とロシアの関係を解明するため特別検察官が任命されたことについて、きのう(18日)、トランプ大統領は「米史上、最大の魔女狩りだ」などとコメントしたそうです。というわけで、“魔女狩り”の切手はないかと探してみたら、こんなモノがありました。(画像はクリックで拡大されます)

      オーランド・魔女狩り(2016)

 これは、昨年(2016年)、オーランド諸島が発行した“オーランド諸島の魔女狩り350周年”の切手です。

 バルト海、ボスニア湾の入り口に位置するオーランド諸島では、スウェーデン支配下の1666年4月5日、“賢い娼婦”ことカリン・ペルスドッターが“魔女”として裁判にかけられ、死刑判決を受けました。彼女は拷問を受けた後、斧で首を切断され(切手にはその直前のようすが描かれています)、杭を打たれて埋葬されました。処刑に先立ち、カリンは監獄で13人の女性を魔女として告白したため、カリンの他にも6名の女性が拷問の末に処刑されています。ちなみに、オーランドでの魔女狩りは1691年まで行われましたが、これに刺激を受けて、スウェーデンでは1668年に、フィンランドでは1669年にも魔女狩りが行われました。今回ご紹介の切手は、カリンの魔女裁判と処刑から350年になるのを記念?して発行されたものです。

 さて、ながらくスウェーデンの支配下にあったオーランド諸島は、1809年、スウェーデン・ロシア戦争の結果、フィンランドがロシア帝国に割譲されたため、フィンランド大公国の一部としてロシア領となりました。

 第一次大戦を経てフィンランド本土でロシアからの独立の気運が高まると、オーランド諸島では、フィンランドからの分離とスウェーデンへの再帰属を求める運動が起こり、島の代表がスウェーデンへの統合を求める嘆願をスウェーデン王に提出。これに対して、1917年に独立したフィンランドは、1920年、オーランド分離を阻止すべくオーランド自治法を成立させ、オーランドに対して広範な自治権を与えました。それでも、フィンランドへの帰属を嫌ったオーランド住民は、スウェーデンに対して、島の帰属を決定する住民投票を実施するよう要請します。

 このため、スウェーデンは国際連盟にオーランド問題の裁定を託し、フィンランドもこれに同意。1921年、国際連盟は、事務次長の新渡戸稲造を中心に、オーランドにさらなる自治権を与えることを条件に、オーランドはフィンランドに帰属するとした“新渡戸裁定”を提示。両国はこれを認め、1922年、オーランド自治政府が成立しました。その後、オーランド諸島ではフィンランド切手が使われていましたが、1984年以降、オーランド諸島として独自の切手が発行されています。


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      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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