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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 今日から<JAPEX>
2007-11-02 Fri 00:40
 いよいよ、今日(11月2日)、毎年恒例・日本最大の切手展<JAPEX>が開幕します。今年の目玉は、なんといっても、UPU加盟130年記念と銘打って行われる“外国郵便”の企画展示でしょう。というわけで、こんなモノを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

幕末の横浜発のカバー

 これは、1864年7月26日、横浜にあったイギリスの郵便局で引き受けられ、香港、スエズ(ただし、まだ運河は開通していません)を経てマルセイユまで届けられた郵便物です。

 1858年に安政の5ヵ国条約が結ばれ、日本が本格的に開国すると、横浜を中心とした開港地には外国人商人が訪れるようになります。このため、1860年7月、イギリスは開港直後の横浜に郵便局を設置し、本国との通信を取り扱い始めました。なお、これに先立つ同年5月、英仏郵便交換条約が改定され、日本発着の郵便物にも同条約が適用されることになり、日本からフランス宛の郵便物も香港経由で取り扱われるルートが作られています。

 さて、今回ご紹介している封筒の表面にはGBの文字の入った菱形の印が押されています。これは、英仏郵便交換条約に基づいて料金を精算するためのもので、印の下に1F62 4/10Cの数字が入っています。これは、「イギリスは30グラム(=1オンス)ごとに1フラン62.4サンチーム(=1シリング4ペンス)をフランスから受け取る」という意味です。そして、この計算式に基づいて算出されるこの郵便物の料金、9デシームが封筒の中央に大きく表示されており、受取人はこの金額を配達時に支払いました。なお、経由地の香港を通過したのは、封筒に押されている消印によれば、1864年8月20日となっています。

 今回の企画展示“外国郵便”では、この郵便物同様、幕末・維新期の在日外国局のコレクションから第2次大戦後まで、日本発着の国際郵便のコレクションを幅広く展示しています。有名な“八戸カバー”をはじめ、眼福間違いなしの名品・稀品が多数展示されるばかりでなく、“外国郵便”でこれだけの網羅的な展示の機会はめったにないことと思います。つきましては、是非、この機会に会場にお越しいただき、実物の迫力を堪能していただけると幸いです。

 なお、本日(2日)15:00より、僕も会場内の特設スペースにて『香港歴史漫郵記』を題材にしたトークを行います。トークの会場内には、同書の元になったオープンクラス作品“A HISTORY OF HONG KONG”も展示する予定ですが、その中には、今日ご紹介のカバーも含まれています。 よろしかったら、こちらにも、ぜひ、遊びに来てください。

【トーク・イベントのご案内】  
<JAPEX>期間中、池袋会場内の特設スペースで以下のトーク・イベントを行います。
 
 2日(金・初日) 15:00~
 『香港歴史漫郵記』を題材にしたトークを行います。会場内には、オープンクラス作品“A HISTORY OF HONG KONG”も展示する予定です。

 3日(土・祝日) 13:30~
 『タイ三都周郵記』を題材としたトークを行います。なお、同書の奥付上の刊行日は11月15日ですが、会場では先行発売を行います。

 よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。
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 フランスの初代大統領
2007-05-08 Tue 00:41
 フランスの大統領選挙はサルコジ前内相の勝利で終わりました。というわけで、今日はフランス大統領がらみということで、こんなモノを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

ナポレオン3世カバー

 これは、幕末の1867年11月、横浜から差し出されたカバーで、皇帝ナポレオン3世の切手80サンチームと40サンチーム、計1フラン20サンチーム相当が貼られています。

 ナポレオン3世ことシャルル・ルイ・ナポレオン・ボナパルトは、周知の通り、ナポレオン・ボナパルトの甥で、第2共和政下の1848年12月、対抗馬のカヴェニャック将軍に圧勝してフランス共和国の初代大統領に当選しています。その後、大統領として権力を蓄えた後、1851年12月2日にクーデタを起こし、翌1852年には国民投票を経て帝政を開始してナポレオン3世となりました。今回のカバーに貼られている切手は、帝政時代に発行されたものです。ホントは大統領時代の“REPUB FRANC”と表示されたものを持ってこれれば良かったのですが、まぁ、勘弁してください。

 さて、このカバーは、1867年11月、幕末の横浜からスイス北西部のヌーシャテル宛に差し出されたもの。フランス船ファーズ号で運ばれており、菱形に錨の入った印と、1867年11月15日の船内印(八角形でYOKOHAMAの表示がある)が押されています。差出人のシボーヌはスイス出身の絹商人で、このカバー同様、夫人宛のカバーが相当数残されています。

 このカバーは、2004年の<JAPEX>で、日本とスイスの国交140周年を記念してのスイス特集をやった際、“幕末の日本からスイス宛のカ郵便物”という触れ込みで、にぎやかしに展示したものですが、それ以来、なかなか表に出す機会がありませんでしたので、今日は虫干しを兼ねて、ご紹介してみました。

 【飛鳥美人の救出まであと2日】
 5月10日、劣化の激しい高松塚古墳・西壁壁画“飛鳥美人”の取り外し作業が始まります。この壁画の発見当時の美しい姿を再現した「高松塚保存基金」の切手(1973年3月発行)と、当時の高松塚ブームならびに切手ブームについては、拙著『沖縄・高松塚の時代』をご覧ください。
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