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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 父の日
2024-06-16 Sun 07:22
 きょう(16日)は父の日です。というわけで、父と子を題材にした切手の中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・ラオコーン(2006)

 これは、2006年10月12日、ヴァティカンが発行した“ヴァティカン美術館500年”の切手シートで、同館所蔵のラオコーン像が取り上げられています。ラオコーン像はトロイアの神官ラオコーンとその2人の息子が海蛇に巻き付かれている情景を彫刻にした作品で、父親のラオコーンの胸から上の部分が切手になっています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 6月21日(金) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 6月28日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 7月4日(木) 19:00~ 日本ウイグル協会・追悼集会
 東京・四谷のTKPスター貸会議室 四谷2にて開催の緊急特別講演会「7.5ウルムチ虐殺から15年、中国のウイグル政策がどこへ向かうのか」(日本ウイグル協会主催)にて、「ウルムチ虐殺以降の中国のウイグル政策がどこに向かっているのか」と題して、内藤がお話します。参加無料。お申し込みなどの詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 ★ 『切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード』 好評発売中!★

      切手もの知り図鑑 一番切手50のエピソード

 「動物と植物」「科学技術」「社会と文化」「神話/伝説と宗教」の4章立てで、犬、猫、宇宙開発、飛行機、クリスマスといったテーマで、初めて描かれた切手図案にまつわる秘話、思いがけない発行に至る背景に加え、シーラカンスやテレビ、警察官、タトゥー、髑髏といった、あっと驚く意外なテーマの一番切手も登場します!

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


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 トマス・アクィナス没後750年
2024-03-07 Thu 11:01
 大著『神学大全』 の著者で、西洋中世最大の神学者・哲学者とされるトマス・アクィナスが1274年3月7日に亡くなってから、ちょうど750年になりました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・トマスアクィナス700年

 これは、1974年6月18日、ヴァティカンが発行した“トマス・アクィナス没後700年”の記念切手で、トマスと弟子たちを描いたフィレンツェのサン・マルコ修道院の絵画が取り上げられています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 

 * 昨日(6日)のニッポンジャーナルの内藤出演回は無事に終了しました。次回は3月11日(月)に登場の予定です。引き続きよろしくお願いします。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 3月8日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 3月11日(月) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 原則毎月第1土曜日 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。


 ★ 『今日も世界は迷走中』 オーディオブックに! ★

      今日も世界は迷走中audible

 拙著『今日も世界は迷走中』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。

★ 『龍とドラゴンの文化史』 好評発売中!★

      龍とドラゴンの文化史・帯なし

 辰年にちなんで、中国 の龍を皮切りに、 日本 、朝鮮、琉球、東南アジア、キリスト教世界など、世界の龍について、そのベースとなる文化史や興味深いエピソードなどを切手とともにご紹介します。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 きょう、ベネディクト16世の葬儀
2023-01-05 Thu 05:54
 昨年(2022年)大みそかに帰天された名誉教皇ベネディクト16世の葬儀が、きょう(5日)、ヴァティカンのサンピエトロ広場で行われます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・ベネディクト16世90歳(2017)

 これは、2017年5月4日にヴァティカンが発行した“ベネディクト16世90歳”の記念切手で、当時の教皇の姿が描かれています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2023年1月13日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 1月28日(土)開講! よみうりカルチャー 北千住
 エリザベス女王の現代史 毎月第4土曜日 13:00~14:30
 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。 

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 


★ 『現代日中関係史 第1部 1945-1972』 好評発売中! ★

      現代日中関係史表_第1部

 日本郵趣出版の新レーベル「郵便×歴史シリーズ」の第一弾の企画として、切手という切り口から第二次大戦後の日中関係を読み解く『現代日中関係史』。その第1巻となる本書は、第二次大戦後、わが国が中華人民共和国と国交を樹立(いわゆる国交正常化)する1972年9月以前を取り扱っています。なお、1972年の国交”正常化”以降については、2023年3月に刊行予定の第2巻でまとめる予定です。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページのリンクがあるほか、主要書店の店頭在庫も確認できます。また、販売元の郵趣サービス社のサイト、スタマガネットの特設サイトサイトでは、本書の内容見本をご覧いただけます。 

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 切手に見るソウルと韓国:青瓦台
2022-06-05 Sun 08:59
 ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』2022年5月13日号が発行されました。僕の月一連載「切手に見るソウルと韓国」は、今回は、尹錫悦新大統領の就任に伴い、長年にわたり大統領府として使われてきた青瓦台が大統領府としての役割を終えることになったことにちなみ、この切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・教皇韓国訪問(2015)

 これは、2015年9月2日にヴァティカンが発行した“教皇の各国訪問”の記念切手のうち、2014年の教皇訪韓を題材にした1枚で、青瓦台の屋根の部分と教皇の肖像を組み合わせたデザインが採用されています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。
 

★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 6月10日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 6月24日(金) 19:00~  読書人Web 「切手がつなげた人と時代」
 『切手でたどる 郵便創業150年の歴史』シリーズ完結を記念して、『読書人』で田中秀臣先生とトークイベントをやります。イベントの詳細とご来場チケット(1500円)の販売はこちら、オンラインのライブ配信チケット(1500円)の販売はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座
 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年)
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末
 詳細はこちらをご覧ください。 


★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編』 好評発売中!★

      切手でたどる郵便創業150年の歴史③表紙

 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの最終巻。平成以降、郵政省が郵政事業庁、日本郵政公社を経て、株式会社化され現在に至るまでを扱っています。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 ウクライナ大統領、ローマ教皇に調停要請
2022-03-23 Wed 10:08
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、きのう(22日)、自身のツイッターで、フランシスコ・ローマ教皇と協議し、ロシアとの停戦実現に向けた調停を要請したことを明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・ブレスト合意400年(1996)

 これは、ウクライナ東方カトリック教会を成立させた1596年の“ブレスト合意”の400周年を記念して、1996年3月15日にヴァティカンが発行した切手で、東西両教会を象徴する2本の十字架を手にする天使が描かれています。

 なお、ウクライナとカトリックの関係についての詳細は、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、投稿記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 3月28日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。

 武蔵野大学のWeb講座
 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年)
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末
 詳細はこちらをご覧ください。

 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 
 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。
 

★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 3月5日発売!★

      アフガニスタン現代史・表紙帯付き
 
 出版社からのコメント
 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史!
 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★

      世界はいつでも不安定・表紙カバー

 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。

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 聖マキシミリアノ・コルベの祝日
2021-08-14 Sat 00:22
 きょう(14日)は、1941年にアウシュヴィッツ収容所で殉教したカトリックの聖人、聖マキシミリアノ・コルベ神父の祝日です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・コルベ(2016)

 これは、2016年9月13日にヴァティカンが発行した“マクシミリアン・コルベ神父殉教75周年”の記念切手です。

 マキシミリアノ・マリア・コルベ神父(出生名ライムンド・コルベ)は、1894年1月8日、ロシア帝国の支配下にあったポーランドのズドゥニスカ・ヴォラ生まれ。1907年に、兄のフランシスコとともにコンベンツァル聖フランシスコ修道会への入会を決意し、同修道会の神学校に入学しました。1910年、修練院に入り、翌1911年、マキシミリアンの名前を与えられています。

 その後、ローマで哲学、神学、数学および物理学を学び、1915年にグレゴリアン大学で哲学の博士号を、1919年には神学の博士号を取得。この間、1917年10月16日に“汚れなき聖母の騎士会”を創立しています。

 ローマで司祭叙階を受けた後、クラクフにある大神学校の教会史の教授として3年間勤め、1927年にはワルシャワ近郊のテレシンでニエポカラノフ修道院(無原罪の聖母の騎士修道院)を創立し、『無原罪の聖母の騎士』という小冊子を発行してメディアによる宣教に力を入れました。

 1930年、コルベは数名のポーランド人修道士とともに、長崎での宣教を開始。同年5月、大浦天主堂下の木造西洋館に聖母の騎士修道院を開き、日本語版の『無原罪聖母の騎士』を出版するなどして、宣教活動に尽力しました。

 1936年、ニエポカラノフ修道院の院長に選ばれたために故国ポーランドに帰国。出版やラジオなどを通じての活発な布教活動を行っていましたが、1939年9月1日、ドイツ軍のポーランド侵攻によって第二次世界大戦が勃発。同月19日、西ポーランドがドイツに占領されると、コルベは“反独分子”として逮捕され、アムティッツ強制収容所へと収容されました。その後、11月にポーランド領にあるオスチェロー強制収容所へ移送され、12月18日にいったん釈放されたものの、ユダヤ人にも人道的態度で接したことなどを理由に、1941年2月17日、再逮捕され、パヴィアック収容所を経て、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られます。

 1941年7月末、収容所内の彼の所属班から脱走者が出たことで、“連帯責任”として無作為に10人が選ばれて餓死刑に処せられることになった際、自由ポーランド軍の軍曹、フランツェク・ガイオニチェクが「私には妻子がいる」と泣き叫びだしたの聞いたコルベは、彼の身代わりになることを申し出て、餓死刑を受けることを申し出て地下牢の餓死室に送られました。

 その後、牢内でコルベは2週間ほど生きていましたが、1941年8月14日、フェノールを注射により殺害され、翌15日、荼毘に付されました。ちなみに、カトリックでは8月15日は“聖母被昇天の日”の祝日になっており、生前のコルベは聖母の祝日に死にたいと語っていたそうです。

 戦後、コルベの行為は称賛され、1971年10月、教皇パウロ6世は彼を列福。さらに、東西冷戦下で無神論国家のソ連に対抗すべく、祖国ポーランドのナショナリズムと信仰心を高揚させるべく、1979年6月にお国入りした教皇ヨハネパウロ2世は、ビルケナウのアウシュヴィッツ第2収容所跡を訪れて約50万人とともにミサを行い、強制収容所を「私たちの時代のゴルゴダ」と呼び、コルベを称えるとともに、ビルケナウのガス室で殺害された修道女エーディト・シュタインについて列福のための調査を行う方針を明らかにします。

 はたして、ヨハネ・パウロ2世の企図した通り、教皇の訪問を契機として、ポーランド国内の反ソ感情は高揚。1980年7月、政府が発表した食糧品等の大幅値上げに反対し、グダニスク等のバルト海沿岸地方で労働者のストが発生し、これが全国に波及する勢いとなったため、政府とグダニスクの連合スト委員会の交渉が行われ、政府は、9月17日、ポーランドでは共産圏として初めて、共産党(ポーランドでは統一労働者党)の統制を受けない独立自主管理労働組合“連帯”の発足を認めざるを得なくまりました。

 当初、統一労働者党の目論見としては、党が政治、“連帯”が社会活動に専念するという分業体制を想定していましたが、“連帯”の組織は全国的に拡大し、レフ・ワレサ率いる指導部は政府との対立のなかでしだいに急進化。これに対して、ソ連がポーランドに軍事介入する姿勢を見せるようになったため、1981年12月、ポーランド政府は戒厳令を発令。“連帯”幹部の大半が拘禁され、翌1982年10月には、“連帯”は非合法化されました。

 これに対して、逮捕を免れた“連帯”幹部は、1982年4月、地下組織として暫定委員会を結成し、1989年の民主化実現まで、抵抗を訴え続けます。

 ポーランド情勢の変化を受けて、1982年10月10日、教皇ヨハネ・パウロ2世は、急遽、アウシュヴィッツで殉教したコルベをカトリックの信徒として最高の栄誉である聖人に列し、8月14日をコルベを記念する祝日としました。コルベの列聖に際しては、直接的に批判されているのは、彼を餓死刑で殺害したナチス・ドイツですが、暗に、“連帯”を非合法化したポーランド政府もナチス同様の存在であるとの批判が込められていたのは明らかでした。

 なお、コルベについては、拙著『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内★

 8月16日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。

 武蔵野大学のWeb講座 「切手と浮世絵」 配信中です!
 8月11日から10月12日まで、計6時間(30分×12回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。


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      世界はいつでも不安定Audible

 拙著『世界はいつでも不安定』がAmazonのオーディオブック“Audible”として配信されました。会員登録すると、最初の1冊は無料で聴くことができます。お申し込みはこちらで可能です。

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      誰もが知りたいQアノンの正体 1650円(本体1500円+税)

 * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。

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 聖ペトロの祝日
2021-06-29 Tue 05:02
 きょう(29日)は、イエスの直弟子にして初代ローマ教皇とされる聖ペトロ(ペテロとも)の聖名祝日です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・聖ペトロ十字

 これは、1969年にヴァティカンが発行した“サンピエトロ会(1869年に設立の教皇庁を支援する組織)100周年”の記念切手で、聖ペトロの逆十字と交差する2本の鍵(天国の鍵)をデザインした同会の紋章が描かれています。

 伝承によると、ペトロはローマで皇帝ネロによって磔刑に処せられる際、自分はイエスと同じ状態(頭が上の状態)で処刑されるに値しないとして、頭を下にして(通常とは逆の状態で)十字架に掛けられることを望んだとされており、ここから、いわゆる逆十字は“聖ペトロ十字”として、カトリック教会では、聖ペトロ十字を謙虚さの象徴として扱ってきました。

 したがって、ローマ教皇が儀式の際に逆十字を使うことは何ら不思議ではなく、実際、2000年3月、ヨハネ・パウロ2世のイスラエル行幸の際には、聖ペトロの後継者としての教皇の背後には、教皇権の象徴として聖ペトロ十字が掲げられました。

 これに対して、英国でオカルト団体を主宰していたアレイスター・クローリー(1875-1947)は、そうした伝統的なキリスト教世界の常識を無視して、聖ペトロ十字を神の恩寵への反駁・主の恩寵からの離脱などの象徴と主張しましたが、一般社会からはほとんど相手にされませんでした。

 クローリーのオカルト的な主張や麻薬の常習、バイセクシャルとしての奔放な性生活などは、彼の存命中は一般社会から猛烈なバッシングを受けましたが、その結果、1960年代以降のカウンター・カルチャーの文脈で彼に対する再評価を生み出すことになります。そして、逆十字を神への反抗の象徴とするクローリーの主張は、反逆の音楽としてのロック・ミュージックの世界に取り込まれ、逆十字のアクセサリーをつけて演奏するミュージシャンも多数登場しました。

 その結果、聖ペトロ十字の本来の意味を知らない人の中には、クローリーに由来する逆十字=神への反逆という解釈のみに依拠して、ネット上では、時々、逆十字を悪魔崇拝と結び付けて語るケースがあります。実際、陰謀論者の一部は、2000年3月の教皇のイスラエル行幸の際の写真に対して、「滑稽な間違いだろうか。それとも隠れた意味があるのだろうか」とのキャプションをつけ、カトリック教会が悪魔崇拝と関係性があるかのように印象付ける悪質なデマを拡散させてきました。(下の画像)

      逆十字プロパガンダ

 しかし、上述の通り、キリスト教に関する常識レベルの知識があれば、「滑稽な間違いだろうか。それとも隠れた意味があるのだろうか」という疑問文に対しても、ローマ教皇として至極当然の正しい使い方であり、そうした問いを発することじたいが滑稽で恥ずかしいのだとすぐにわかるわけです。

 なお、拙著『誰もが知りたいQアノンの正体』では、事実を捻じ曲げて悪質なデマを拡散させ続けてきたQアノンと、それに追従する人々について、1990年代の米国のネットメディア史も踏まえてまとめております。機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。

 * 昨日(28日)の文化放送「おはよう寺ちゃん」の僕の出番は、無事、終了いたしました。リスナーの皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。次回は来週月曜日・7月5日に登場の予定です。引き続きよろしくお付き合いください。
    

★ 放送出演・講演・講座などのご案内★

 7月3日(土)~ 武蔵野大学の生涯学習講座
 7月3日・10日・17日・24日・31日、8月7日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 

 13:00~14:30 「日本の郵便150年の歴史 その1 ―“大日本帝国”時代の郵便事情―」
 15:15~16:45 「東京五輪と切手ブームの時代 ―戦後昭和社会史の一断面―」
 対面授業、オンラインのライブ配信、タイム・フリーのウェブ配信の3通りの形式での受講が可能です。お申し込みを含め、詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。

 7月5日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。


★ 『誰もが知りたいQアノンの正体』 好評発売中! ★

      誰もが知りたいQアノンの正体 1650円(本体1500円+税)

 出版社からのコメント
 なぜQアノンにみんなハマったのか?
 ネットならではの引き寄せ構造と、現代格差社会の生んだ分かりやすい解釈。
 これは米国だけじゃない!
 人はみんなQを求めている!? (笑)

 * 編集スタッフの方が個人ブログで紹介してくれました。こちらをご覧ください。

 ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 

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 HAPPY EASTER!
2021-04-04 Sun 04:14
 きょう(4日)はイースター(復活祭)です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・イースター(2020)

 これは、2020年2月14日にヴァティカンが発行した同年のイースターの記念切手で、ローマのヴィットリオ・エマヌエーレ2世橋近くの壁に描かれたストリート・アートが取り上げられています。

 切手に取り上げられた“壁画”は、ドイツの画家、ハインリッヒ・ホフマン(1824-1911)の「キリスト昇天」を元に、キリストの胸の部分に“JUST USE IT”の文字が入った心臓の絵を組み合わせたもので、現代美術家のアレシア・バブロウが制作しました。

 ヴァティカンの切手・コイン政策の担当者、マウロ・オリヴィエリは、ある日、スクーターでローマ市内を移動中、たまたま見かけた“壁画”に強く惹かれるものを感じ、すぐにスクーターを停めて携帯で撮影(ネット上にその画像が公開されていますので、下に貼っておきます)。それを2020年のイースター切手の原画にすることを思いついたそうです。

      ヴァティカン・イースター(2020・元の絵)

 ただし、その時点では、ヴァティカン側に作者などについての情報が全くなかったため、オリヴィエリはローマ市内のストリート写真を数多く手がけている写真家のリタ・レスティフォに情報収集を依頼し、“壁画”の作者が現代美術家のアレシア・バブロウであることをつきとめ、バブロウから作品使用の許諾を得ています。そのうえで、“壁画”の雰囲気を損なわないよう、ラテン語でイースターを意味する“PASQUA”の文字や国名、年号、額面などの要素を加えて、切手の発行が実現しました。

 バブロウは2013年からストリート・アートを手掛けており、“JUST USE IT”の文字が入った心臓のモチーフは、今回の壁画以外にも用いられています。批評家からは、マリーナ・アブラモヴィッチとバンクシーをミックスしたような作風と評されることもあるようです。


★ 文化放送「おはよう寺ちゃん」 出演します!★

 4月5日(月)05:00~  文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。


★★ 内藤陽介の最新刊 『世界はいつでも不安定』 ★★

      世界はいつでも不安定・表紙カバー 本体1400円+税

 出版社からのコメント
 教えて内藤先生。
 地上波では絶対に伝えられない国際情勢の事実をユーモアを交えて解説!
 チャンネルくらら人気番組「内藤陽介の世界を読む」が完全書籍化!

 版元特設サイトはこちら。また、ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 

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 中国とヴァティカン、暫定合意を2年間延長
2020-10-23 Fri 02:35
 中国外務省の趙立堅報道官は、きのう(22日)、ヴァティカン(ローマ教皇庁)との間で、中国国内の司教の任命権問題をめぐる暫定合意を2年間延長したと発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・北京・南京教区300周年(救世主堂)

 これは、1990年にヴァティカンが発行した“北京・南京教区300周年”の記念切手のうち、北京最大のカトリック建築である西什庫天主堂(北堂)を取り上げた1枚です。

 16-17世紀にかけて、イエズス会は海外への布教を積極的に行いましたが、その一環として、1582年、イタリア出身の宣教師マテオ・リッチが広東に入ります。リッチは科学知識を武器に布教に努め、1601年には明の皇帝(万暦帝)への謁見を果たし、北京での居住と中国本土での布教の許可を得て、中国大陸におけるキリスト教伝道の基礎を築きました。
 
 1644年、中国本土を制圧した清朝の順治帝は、1650年、ドイツ出身のイエズス会宣教師アダム・シャールに対して、北京最初の本格的な天主堂として、聖母無染原罪堂(所在地にちなんで宣武門内天主堂、紫禁城との位置関係から南堂などとも呼ばれる)の建設を許可。さらに、順治帝の跡を継いだ康熙帝の時代には、中国全土でおよそ30の天主堂が建てられ、1690年には現在の北京と南京の教区(キリスト教で一定地域の教会をまとめた教会行政上の組織。司教区とも呼ばれる)の基礎も築かれました。今回ご紹介の切手は、ここから起算して300年になるのを記念して発行されたものです。

 今回ご紹介の切手に取り上げられた西什庫教会は、康熙帝治世下の1703年、中南海湖畔蚕池口(現在の旧北京図書館斜め前)に建てられた救世主堂です。

 しかし、翌1704年、いわゆる典礼問題が起こり、ローマ教皇イノケンティウス12世が中国人信者の伝統的祭祀への参加を禁止すると、翌1705年、康熙帝はイエズス会以外の布教を禁止。さらに、康熙帝の死後、1722年に皇帝となった雍正帝は、キリスト教の布教を全面的に禁止します。ただし、その後も、イエズス会の宣教師は宮廷の教師として布教を伴わない活動は許されていました。

 こうした経緯を経て、1887年、救世主堂は中南海の拡張にともない取り壊され、後に清政府が銀45万両を投じて西安門内の現在地に建設され、その所在地にちなんで西什庫教会と呼ばれるようになり、さらに、1900年の改修で現在の姿となり、現在にいたっています。

 さて、1929年に成立したヴァティカン市国は、1942年、中華民国と正式な外交関係を樹立し、1949年に国民政府が台湾に遷移した後も関係を維持していました。

 これに対して、中国大陸を制圧した共産党政権は、1951年、国内のカトリック信者に対し、ローマ教皇との決別を命じましたが、教皇庁駐中国大使のアントニオ・リベリは「ローマ・カトリック教会は超自然的で国境や政治的差異により分割出来るものではなく、いわゆる自立したカトリック教会は単に離教的な教会であり、真実かつ唯一の普遍的な教会ではない」 と宣言して抵抗。すると、1952年、中共政府は、ヴァティカンに対して一方的に外交関係断絶を宣言し、“反革命罪”の名のもとにリベリ大使をはじめ、あらゆる外国籍宣教師を国外追放しました。

 こうしたカトリックへの弾圧を目の当たりにしたプロテスタント諸派は、1954年、中国基督教三自愛国運動委員会を設立し、中共に対して「三自愛国運動(①自養=中国人自身の力で教会を支える、 ②自治=中国人自身で教会を運営する、 ③自伝=中国人自身の力で伝道する)を提案することで、生き残りを図りました。この結果、彼らは「中国基督教会宣言」を発し、①中国における教会は帝国主義との如何なる関係も断つ、②中国における教会の完全な自立を実現し、新中国の建設のために努力する、ことを中共に約束しました。

 一方、ヴァティカンとの外交関係が断絶したとはいえ、中国国内には相当数のカトリック信徒が存在していたことから、1957年、中共の主導により、ヴァティカンから独立した“(自称)カトリック組織”として、中国天主教愛国会(以下、愛国会)が創設され、皮漱石が初代主席に(第2代として再任され、1978年まで在任)就任。愛国会は、教皇の権威を否定し、カトリックの信者に対しては政府公認の教会のみでの礼拝を認め、カトリックの教義では教皇の権限である司教の選任と叙階を愛国会として独自に開始します。

 その後、1960年代後半の文化大革命の時代にはカトリックを含む諸宗教は迫害され、公認教会も閉鎖されます。また、1971年、台湾が国連の代表権を喪失した後も、ヴァティカンは台湾との国交を維持し、両者の対立は続きました。

 1982年、鄧小平の改革開放路線を受けて制定された現行憲法では、人民の“信教の自由”が保障され、公認協会が復活します。ただし、その一方で“外国の影響を受ける宗教組織”の活動は認められておらず、政府の登録を受けられない非公認協会は“地下教会”として、その活動は大きな制約を受けています。そして、中国政府にではなく教皇に対して忠誠を誓うカトリックの信徒の多くは、非公認の“地下教会”での礼拝を余儀なくされ、当局による活動の妨害や、関係者の逮捕などが続いているとされています。

 こうした経緯を経て、東西冷戦が終結した1990年代以降、ヴァティカンの外交政策は、先進諸国での人口の伸び悩みにより、信者数の拡大が困難になる中で未開拓のまま残された“巨大市場”としての中国に魅力を感じる対中融和派と、カトリックの教義を曲げて共産中国に阿ることを潔しとしない強硬派の間で揺れ動くことになりました。1980年代まで、ヴァティカンの切手には“中国”という題材がほぼ登場しませんでしたが、1990年に今回ご紹介の切手が発行されたのも、そうした時代の変化を反映したものだったわけです。

 そうしたヴァティカンの中でも、近年、特に対中強硬路線の急先鋒として知られていたのが前教皇のベネディクト16世でした。

 すなわち、ベネディクト16世は、2007年5月27日付で「中華人民共和国におけるカトリック教会の司教、司祭、奉献生活者、信徒への手紙」を発表。「中国筋が国内の合法教会を『天主教愛国会』と総称するのは愛国会の働きを増強することにあり、国内のカトリック教会と普遍の教会の関連性を否定するものである。しかもカトリック教会の特徴と愛国会の運用上の性質から見れば、愛国会は教会と呼べるものではなく、一つの政府方面の色彩を帯びた、中国政府の教会管理機構に隷属している」と指摘。

 さらに、2010年のクリスマス説教では、(2010年11月以降のバチカン未承認のカトリック司教の任命やバチカン公認司教の弾圧を含めた中国国内におけるカトリック信者の弾圧について)「宗教と良心の自由に対する制限があっても心を失うことなく、キリストと教会への忠誠を保ち、希望の炎をともし続けるよう」訴え、また「政治・宗教指導者に、信教の自由を尊重する考えがもたらされることを願う」として、中共政府を批判。これに対して、中国国家宗教事務局は「極めて無礼で根拠がない」と反論し、中国天主教愛国会の劉柏年名誉議長もヴァティカンを非難しています。

 これに対して、2013年に教皇となったフランシスコは、米・キューバ国交回復を積極的に仲介したほか、西側諸国がロシアによるウクライナ紛争への介入を非難するなかで、一貫して、ロシアへの批判を避け、プーチン政権に宥和的な姿勢をとるなど、アメリカ大陸出身の初の教皇として、従来の教皇とは異なる独自路線を推進。その一環として、カトリック人口の急速な落ち込みを補うことを企図して、対中融和路線に大きく舵を切ります。

 すなわち、2015年9月28日には、教皇自らが中国政府との接触を認め、バチカンの国務長官ピエトロ・パロリンが中国との国交樹立の意向を明言しています。

 ところが、その翌年の2016年10月、中国は、宗教活動に関する規定として、「愛国心、平和、中国の夢、穏健、道徳、そして良いふるまい」を盛り込んだ「改正宗教事務規定」を制定。以後、①海外での宗教的訓練、会議、活動に参加するよう市民を組織すること、②説教、③宗教的活動を組織すること、④宗教的施設の設立や学校内に宗教的な場所を設けること、⑤インターネット上で宗教的なサービスを提供すること、⑥不認可の宗教的場所で宗教活動を組織すること、などは禁止され、カトリックの地下教会の集会や、ムスリムのメッカ巡礼が監視対象となり、20人以上の宗教集会は徐々に困難になっていきました。

 当然のことながら、中国政府のこうした宗教政策は信教の自由を制約するものとして西側世界の批判が根強いのですが、教皇フランシスコ率いるヴァティカンは、2018年9月22日、司教の任命権を巡り、中国が教皇の国内における地位を認める代わりに、ヴァティカンは中国が独自に任命した司教を認めるという内容での2年間の暫定合意を中国と結んでいます。

 すでに2018年の時点で、カトリック香港教区の陳日君枢機卿は「信教の自由を中国が認めることを前提にすべき」として、「改正宗教事務規定」のある中国との暫定合意への懸念を表明していましたが、今回の延長措置でも、陳枢機卿の悲痛な訴え(とその背後にある中国人カトリック信徒の人権)は完全に無視された格好となりました。


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 教皇猊下来日
2019-11-24 Sun 11:08
 ローマ教皇フランシスコ猊下(以下、教皇フランシスコ)が、きのう(23日)、東京に到着しました。教皇の訪日は、1981年のヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶり2回目のことです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン・教皇訪伯

 これは、2014年にヴァティカンが発行した教皇フランシスコの切手のうち、教皇として初の外遊となった2013年のブラジル訪問を題材とした1枚です。

 ローマ教皇フランシスコ(本名:ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)は、1936年にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで、イタリア系移民の子として生まれました。

 ブエノスアイレス大学で化学の修士号を取得した後、1958年、イエズス会に入会。サン・ミゲル市のサン・ホセ高等学院で哲学を学び、1969年12月、司祭に叙階。ついで、サン・ミゲル神学院で修士号を取得した後、1973-79年にはアルゼンチン管区長に任ぜじられました。その後、サン・ミゲル神学院の主任司祭、コルドバ(アルゼンチン)のイエズス会士たちの聴罪司祭、ブエノスアイレスの補佐司教およびアウカの名義司教を歴任し、1992年、司教に叙階されます。

 1998年2月、カラチーノ枢機卿の死去により後継としてブエノスアイレス大司教に就任。さらに、2001年2月、教皇ヨハネ・パウロ2世によって枢機卿に任命され、ヴァチカンの教皇庁において、典礼秘跡省、聖職者省、奉献・使徒的生活会省、家庭評議会、ラテンアメリカ委員会の委員を務めています。

 2005年にヨハネ・パウロ2世が死去した際には新教皇の有力候補となったものの選出されず、2013年2月末でベネディクト16世が生前退位すると、3月13日、新教皇の選挙権を持つ80歳未満の枢機卿全体の3分の2を大きく上回る90票以上の得票をもって第266代教皇に選出されました。ヨーロッパ以外の地域の出身者がローマ教皇に就くのは、シリア出身のグレゴリウス3世(在位:731年-741年)以来1272年ぶりで、アメリカ大陸出身者、イエズス会出身者として初の教皇です。教皇としての名前“フランシスコ”はアッシジのフランチェスコに由来します。

 新教皇としての選出後、日本のカトリック中央協議会は「本人は“フランチェスコ”とイタリア語で発音したが、日本では英語の発音で“アッシジの聖フランシスコ”との呼び名が定着しているので、混乱を避けるため、報道機関も英語読みで統一してほしい」とメディアに対して要請。その際、“アッシジのフランチェスコ”との混同を避けるため、日本のキリスト教会は“1世”を付けて呼ぶことも付言されていましたが、その後、教皇庁が、「別の教皇が将来、同じ名前を継いで“フランシスコ2世”となるまでは“フランシスコ1世”ではなく“フランシスコ”が正しい」と指摘。新教皇名には“1世”を付けないことになりました。なお、ご本人は、自らは“教皇”を名乗らず、就任後も一貫して“ローマ司教”の呼称を用いています。

 さて、教皇フランシスコは、就任翌日の2013年3月20日、はやくもブラジルのジルマ・ルセフ大統領と会談し、リオデジャネイロ州の“ワールドユースデー”と、サン・パウロ州にあるマリア巡礼地のアパレシーダを訪問する意向を示唆。これを受けて、5月7日、ヴァチカンは正式に教皇の訪伯を発表しました。

 ちなみに、ワールドユースデイは、1984年に教皇ヨハネ・パウロ2世の提唱で始まった青年カトリック信者の年次集会で、第28回にあたる2013年は、『マタイによる福音書』第28章第19節の一節「あなたがたは行って、すべての国民を弟子としなさい」をスローガンとして、7月23日から28日まで、リオデジャネイロを会場として教皇によるミサが行われました。

 教皇がリオデジャネイロに到着したのは7月22日でしたが、車で歓迎式典へと向かう途中、沿道に詰めかけた信徒に取り囲まれて立ち往生して予定の時間を大幅に遅れたことに加え、当時はブラジル各地で反政府運動が展開されており、セキュリティーの面で懸念があったため、最終的にはヘリコプターでの会場入りとなったそうです。

 その後、翌23日に一日休養を取った後、24日、教皇はサンパウロ州の聖母伝説の地アパレシーダを訪問し、巡礼聖堂でミサを行いました。25日にはリオデジャネイロに戻り、スラム街の一つマンギニョス地区を訪問し住民と面会した後、コパカバーナ海岸でワールドユースデーの歓迎式典に出席。26日にはワールドユースデーに参加した若者らに許しを秘跡を与えたほか、8人の少年受刑者との面会し、十字架の道行きに青年信徒らと参加しています。さらに、27日の“祈りの前夜祭”とミサは、当初の予定では、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港で行われるはずでしたが、悪天候のため、会場をコバカバーナ海岸に移して行われています。その際、「若者は変革の立役者であってほしい」としてブラジルでの反政府デモに一定の理解を示したことが注目されました。28日には、同じくコパカバーナ海岸で閉会のミサを行い、翌29日に帰国しました。

 ちなみに、今回ご紹介の切手では、ワールドユースデイの開催地・リオデジャネイロのシンボルとしてコルコヴァードのキリスト像を取り上げているわけですが、じつは、前教皇のヴェネディクト16世は、2012年11月、「リオデジャネイロを見下ろすコルコヴァードの丘の贖い主キリストの像は、その腕を広げて彼のもとにやって来るすべての人々を受け入れ、その心はあなたがた一人ひとりに向けられた無限の愛を表している」とのメッセージを発していました。この時点で、ベネディクト16世ご本人がリオデジャネイロに行く意思があったのか、それとも、すでに退位の意向を固めて次の教皇に行ってもらうつもりだったのか、そのあたりは、ご本人以外は「神のみぞ知る」といったところでしょうか。

 なお、コルコヴァードのキリスト像と関連の切手・郵便物については、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』でも1章を設けておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


★★ 講座のご案内 ★★

 12月以降の各種講座等のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。

・よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治
 毎月第1火曜日 15:30~17:00
 12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可)

東アジア歴史文化研究会
 12月12日(木) 18:30~ 於常圓寺祖師堂ホール
 朝鮮半島現代史の“原点”についてお話しします。
 詳細は、主催者(東アジア歴史文化研究会)まで、メール(アドレスは、e-asia★topaz.ocn.ne.jp スパム防止のため、ここでは、★を@に変えています)にてお問い合わせください。

日本史検定講座(全8講)
 12月13日(金)スタート!
 内藤は、全8講のうち、2月20日の第6講に登場します。

・武蔵野大学生涯学習秋講座 
 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年―
 2019年12月15日(日) 
 (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 )



★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★

       (増補改訂版)アウシュヴィッツの手紙・表紙  本体2500円+税(予定)
 
 出版社からのコメント
初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


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 世界の国々:ヴァティカン
2016-05-11 Wed 10:07
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2016年5月11日号が先週、発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はヴァティカンの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン最初の切手

 これは、1929年、ヴァティカン市国として発行された最初の切手です。

 1861年、サルディニアを軸に成立したイタリア王国は、教皇領北部を接収し、教皇領は南部のローマ市とラティウム地方のみに縮小されます。さらに、イタリア王国はサルディニアの王都トリノで、新生イタリア王国の首都はローマであると宣言し、教皇ピウス9世に対して、ローマ市街の割譲を要求したばかりか、教皇に対してヴァティカンとラテラノ宮殿の占有を認める代わりに、年額32万5000リラを王国側に支払うよう要求しました。

 当然、教皇はこれに激しく抵抗しましたが、1870年、軍事的な後ろ盾となっていたフランスが普仏戦争で敗北し、教皇領から撤退。これを受けて、同年9月20日、イタリア軍はローマを占領し、国家としての教皇領は地上から消滅。教皇はヴァティカンに引きこもって“ヴァティカンの囚人”を自称するようになります。

 以後、半世紀以上に渡り、教皇とイタリア政府の関係は断絶状態にありましたが、1929年2月11日、教皇ピウス11世の全権代理ガスパッリ枢機卿とイタリアのベニート・ムッソリーニ首相との間で合意が成立。教皇庁が教皇領の権利を放棄するかわりに、ヴァティカンを独立国家とし、イタリアにおけるカトリック教会の特別な地位を保証するとしたラテラノ条約が6月2日に締結され、現在のヴァティカン市国が誕生しました。

 これと並行して、ラテラノ条約締結前日の6月1日、教皇庁は“ヴァティカン市国”としてUPUへの加盟を申請。条約締結後の6月7日にヴァティカン郵政が正式に発足したことを受けて、同年7月29日、ヴァティカン、イタリア両政府の間で郵便に関する実務協定が調印され、8月1日からヴァティカン郵政の業務開始に合わせて、今回ご紹介の切手が発行されたというわけです。

 さて、『世界の切手コレクション』4月27日号の「世界の国々」では、今回ご紹介の切手を含むヴァティカン市国成立史の記事に加え、スイス衛兵、サン・ピエトロ大聖堂、現教皇フランシスコ聖なる扉の開扉式の切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、僕が担当する「世界の国々」は、次回は1週お休みをいただいて18日発売の5月25号でのインドの特集になります。こちらについては、25日以降、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
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 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


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 聖なる扉オープン
2015-12-09 Wed 11:41
 カトリックでは、“無原罪の御宿り”の祭日にあたるきのう(8日)から、2016年11月20日までの“いつくしみの特別聖年”が始まり、ヴァティカンのサンピエトロ大聖堂では、聖年の開幕を告げる“聖なる扉”の開扉式が行われました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ヴァティカン・聖年(1950・開扉)

 これは、1950年の聖年に際して、1949年12月21日にヴァティカンが発行した切手で、教皇ピウス12世による“聖なる扉”の開扉式の場面が取り上げられています。

 聖年はカトリック教会において、「ローマ巡礼者に特別の赦しを与える」とした年のことで、教皇ボニファティウス8世が1300年を聖年と定めたのが最初です。以後、原則として25年ごとに聖年が設けられており、前回の聖年は2000年でした。ただし、今回のように、その時々の教皇の判断により、随時設定することも可能とされています。

 今回ご紹介の切手に取り上げられたピウス12世は、1876年、ローマ生まれ。教皇庁の外交官としてキャリアを積み、1939年から1958年まで教皇となりました。彼の在位期間は、ちょうど第二次大戦前後の時期に重なっており、ヴァティカンが国家としてナチスによるユダヤ人迫害を明確に非難しなかったことで、戦後、批判を受けることになりました。その一方で、教皇本人は積極的にユダヤ人を保護しており、たとえば、イタリアの敗戦に伴ってドイツ軍がローマを占領した際には、多くのユダヤ人をヴァティカンに匿い、ヴァティカンの市民権を与えています。この功績により、戦後、イスラエル政府はピウス12世に「諸国民の中の正義の人」賞を授与しました。

 さて、サンピエトロ大聖堂に入る扉には、“聖なる扉”、“秘蹟の扉”、“中央の扉”、“善と悪の扉”、“死の扉”の5つがありますが、このうち、“聖なる扉”は通常は閉ざされており、開かれるのは聖年の期間にのみです。カトリックでは、“聖なる扉”を通った者は“罪の償い”が免除されることになっているため、来年11月までの聖年の期間中、例年以上に多くの信徒がヴァティカンを訪れることが予想されています。


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 聖骸布のレプリカ、西宮で公開
2015-09-26 Sat 10:33
  十字架で処刑された直後のイエス・キリストの遺体を包んだとされる“聖骸布”の原寸大レプリカが、きょう・あす(26・27日)、兵庫県西宮市のカトリック夙川教会で公開されるそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァチカン・聖骸布(2015)

 これは、ことし(2015年)、ヴァチカンが発行した“トリノの聖骸布”の切手です。

 聖骸布とは、イエス・キリストが磔刑に処せられて亡くなった後、その遺体を包んだとされる布で、かつては、聖ヴェロニカの聖骸布、自印聖像など、複数が存在していましたが、現在では、主要なものとしては、イタリア・トリノの聖ヨハネ大聖堂に保管されている“トリノの聖骸布”しか存在していません。

 トリノの聖骸布は、縦4.36m、横1.1mの杉綾織の亜麻布で、男性の全身像が転写されているように見えます。1353年、フランス・リレのシャルニー家が所有しているところを発見され、その後、何人かの手を経て、1453年にサヴォイア家(1861-1946年の統一イタリア王国の王家)が入手し、1578年、同家の拠点であるトリノへ移されました。

 聖骸布は、発見以来、キリストの遺骸を包んだ布であると信じられてきましたが、その真偽について確証はなく、教皇クレメンス7世(在位1523-34)は、これを布に描いた絵であると宣言。“神聖物”とされないよう、展示にあたっては蠟燭を点けない、香を焚かないなどの条件をつけました。なお、1988年にオックスフォード大学、アリゾナ大学、スイス連邦工科大学によって行われた放射性炭素年代測定(炭素14法年代測定)の結果、聖骸布に用いられている布は1260年から1390年の間に作られたものと推定されるとの結果が出ています。ただし、聖ヨセフ病院の外科医長ピエール・バルベの再現実験によって、聖骸布の陰影は誰かによって人為的に描かれたのではなく、実際に磔刑にされた人物(ただし、それがイエス・キリストであるか否かは不明)によるものであることが医学的に確認されています。

 1946年、イタリアで王制が廃止され、サヴォイア家が国外退去処分となった後も、聖骸布の所有権は同家が有していましたが、1983年、ローマ教皇に譲渡され、現在はトリノ大司教が管理しています。

 通常は一般公開されていませんが、その代わり、レプリカが聖骸布博物館に展示されており、大聖年にあたる2000年に一般公開された後、2002年の修復作業を経て2010年に修復後初めて一般公開されました。

 ことしは、サレジオ修道会創立者である聖ヨハネ・ボスコ(1815-1888)の生誕200年にあたっていることから、6月21-22日の両日、教皇フランシスコがトリノを司牧訪問するとともに、記念行事の一環として、4月19日から6月24日まで聖骸布の特別公開が行われ、世界中から200万人以上が見学に訪れました。ちなみに、今回、夙川教会で公開されるレプリカは、聖骸布公開期間中の5月、聖骸布研究に長年取り組んできた東京都調布市のガエタノ・コンプリ神父に対して、イタリア・トリノの大司教がその功績を認めて、トリノ教区から原寸大のレプリカを贈られたものです。


 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 

 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。

 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細はこちらをご覧いただくか、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。  

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 パンと魚の奇跡
2015-06-19 Fri 23:25
 イスラエル北部ガリラヤ湖畔のタブハ村にある“パンと魚の奇跡の教会”で、きのう(18日)、放火とみられる火災がありました。壁にはヘブライ語の赤い文字で“邪神の崇拝”を批判する落書きがあり、警察当局はユダヤ教過激派による犯行の疑いが強いとみて捜査しているそうです。

      ヴァチカン・パンと魚の奇跡

 これは、1963年にヴァチカンが発行した“飢餓救済運動(反飢餓キャンペーン)”のキャンペーン切手で、17世紀のスペインを代表する画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョ の作品「パンと魚の奇跡」が取り上げられています。

 飢餓救済運動は、国連食糧農業機関(FAO)が1960年から1965年にかけて展開したもので、その運動期間の中間にあたる1963年の春分の日を中心に、各国で啓蒙のためのさまざまなイベントが展開されました。その一環として、各国はキャンペーン切手を発行しましたが、今回ご紹介の切手もその1枚というわけです。

 “パンと魚の奇跡”は、イエスが奇跡を起こして、2匹の魚と5つのパンを増やし、5000人に食べさせたというエピソードで、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの各福音書に記述があります。たしかに、イエスのこうした奇跡が常に行われるのであれば、地上から飢餓はなくなるわけで、その意味では、飢餓救済運動にピッタリの題材といえましょう。

 さて、“パンと魚の奇跡の教会”は、イエスの上述の奇跡が行われたとされる場所に、350年に最初の建物が建てられました。その後、614年に最初の建物はペルシャ人によって破壊され、さらに、ムスリムの支配下で教会のことも忘れられていましたが、1892年に再発見され、仮の会堂が1936年に建てられました。今回、火災に遭った建物は1982年に建てられ、ベネディクト派の修道士によって管理されていました。なお、今回の火災では、建物内外の広い範囲が焼けたものの、ビザンツ時代の5世紀に作られたパンと魚の床モザイクは無事だったそうです。

 今回の事件に関して、ネタニヤフ首相は「私たち全員に対する攻撃だ」と批判し、徹底的な捜査を指示したそうですが、一刻も早く、犯人が逮捕されると良いですな。
 

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 リオのキリスト、雷で負傷
2014-01-18 Sat 10:59
 ブラジル・リオデジャネイロのシンボル、コルコヴァードのキリスト像に、現地時間の16日、雷が直撃し、親指と中指の一部が欠けたそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ヴァチカン・フランシスコ法伯

 これは、昨年(2013年)、ヴァチカンが発行した“ワールドユースデイ”の記念切手で、コルコヴァードのキリスト像が大きく取り上げられています。コルコヴァードのキリスト像を取り上げた切手はブラジルを中心に数多く発行されていますが、今回は“負傷”した手の部分がしっかり見える1枚ということで、この切手を持ってきました。ちなみに、実際のキリスト像の前には、下の画像のように観光客が群がっていて(僕もその一人だったわけですが…)、切手のように台座から綺麗に全身像の写真を撮るのは、なかなか難しいのではないかと思います。

       コルコヴァード・内藤込み

 ワールドユースデイは、1984年に教皇ヨハネ・パウロ2世の提唱で始まった青年カトリック信者の年次集会で、第28回にあたる2013年は、『マタイによる福音書』第28章第19節の一節「あなたがたは行って、すべての国民を弟子としなさい」をスローガンとして、7月23日から28日まで、リオデジャネイロを会場として教皇によるミサが行われました。
 
 2013年3月19日に教皇に就任したフランシスコは、翌20日、はやくもブラジルのジルマ・ルセフ大統領と会談し、リオデジャネイロ州の“ワールドユースデー”と、サン・パウロ州にあるマリア巡礼地のアパレシーダを訪問する意向を示唆。これを受けて、5月7日、ヴァチカンは正式に教皇の訪伯を発表しました。

 教皇がリオデジャネイロに到着したのは7月22日でしたが、車で歓迎式典へと向かう途中、沿道に詰めかけた信徒に取り囲まれて立ち往生して予定の時間を大幅に遅れたことに加え、当時はブラジル各地で反政府運動が展開されており、セキュリティーの面で懸念があったため、最終的にはヘリコプターでの会場入りとなったそうです。

 その後、翌23日に一日休養を取った後、24日、教皇はサンパウロ州の聖母伝説の地アパレシーダを訪問し、巡礼聖堂でミサを行いました。25日にはリオデジャネイロに戻り、スラム街の一つマンギニョス地区を訪問し住民と面会した後、コパカバーナ海岸でワールドユースデーの歓迎式典に出席。26日にはワールドユースデーに参加した若者らに許しを秘跡を与えたほか、8人の少年受刑者との面会し、十字架の道行きに青年信徒らと参加しています。27日の“祈りの前夜祭”とミサは、当初の予定では、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港で行われるはずでしたが、悪天候のため、会場をコバカバーナ海岸に移して行われています。その際、「若者は変革の立役者であってほしい」としてブラジルでの反政府デモに一定の理解を示したことが注目されました。28日には、同じくコパカバーナ海岸で閉会のミサを行い、翌29日に帰国しました。

 ちなみに、今回ご紹介の切手では、ワールドユースデイの開催地・リオデジャネイロのシンボルとしてキリスト像を取り上げているわけですが、開催に先立ち、前教皇のヴェネディクト16世は、2012年11月、「リオデジャネイロを見下ろすコルコヴァードの丘の贖い主キリストの像は、その腕を広げて彼のもとにやって来るすべての人々を受け入れ、その心はあなたがた一人ひとりに向けられた無限の愛を表している」とのメッセージを発しています。この時点で、ベネディクト16世ご本人がリオデジャネイロに行く意思があったのか、それとも、すでに退位の意向を固めて次の教皇に行ってもらうつもりだったのか、そのあたりは、ご本人以外は「神のみぞ知る」といったところでしょうか。

 なお、コルコヴァードのキリスト像には避雷針が設置されており、年に数回は雷が落ちるのだそうです。今回の“負傷”に関しては、2月以降、修復作業を始めるといことなので、作業の進捗状況に合わせて、このブログでもキリスト像の切手をいろいろとご紹介していきましょうかね。


 ★★★ 開催中です! 展示イベントのご案内 ★★★

 第5回テーマティク出品者の会 1月17-19日(金ー日)
 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のバンコク展に出品した朝鮮戦争のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)


 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★

 2014年1月2日より、東京・両国の江戸東京博物館で大浮世絵展がスタートしますが、会期中の1月24日13:30より、博物館内にて「切手と浮世絵」と題するトーク・イベントをやります。

 参加費用は展覧会の入場料込で2100円で、お申し込みは、よみうりカルチャー荻窪(電話03-3392-8891)までお願いいたします。展覧会では、切手になった浮世絵の実物も多数展示されていますので、ぜひ遊びに来てください。

 なお、下の画像は、展覧会と僕のトーク・イベントについての2013年12月24日付『讀賣新聞』の記事です。

大浮世絵展・紹介記事


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は2月4日(原則第1火曜日)で、ついで、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★

 『蘭印戦跡紀行』広告

 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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 使徒座空位切手
2013-03-01 Fri 11:25
 高齢を理由に退位を表明していたローマ教皇ベネディクト16世が、きのう(28日)、正式に退位しました。教皇の存命中の退位は、1415年のグレゴリウス12世以来のことです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        ヴァティカン・空位切手

 これは、1939年2月、教皇ピウス11世が亡くなった後に発行された“使徒座空位切手”です。ラテラノ条約によってヴァティカンが正式に独立したのは1929年のことで、ピウス11世の在位は1922年2月6日からですので、ヴァティカンとしては最初の使徒座空位切手となります。

 使徒座空位は、教皇が死亡もしくは退位したことにより空位となった状態を指すカトリックの用語で、新たな教皇が選ばれるまでの間は、枢機卿が集団指導体制の下、暫定的にバチカンを統治することになっており、この間の暫定政府に相当する使徒座空位期間事務局には、使徒座空位の間のみ有効な使徒座空位切手や使徒座空位通貨を発行する権限が与えられています。

 使徒座空位の期間に専用の切手が発行されるのは、この期間は、通常の教皇の紋章ではなく、聖ペドロの鍵(ペテロがキリストより天国の鍵を授けられたことに由来するシンボル)の上の王冠を傘に替えた使徒座空位を示す特殊な紋章が使用されるためで、今回ご紹介の切手では、先例がなかったこともあり、従来の紋章切手に傘を加刷して紋章を変更しています。中央の加刷文字“SEDE VACANTE”は使徒座空位を示すラテン語で、その下には1939年の年号も入っています。なお、ピウス11世の後継教皇、ピウス12世は1939年3月2日に正式に教皇として即位しましたので、今回ご紹介の切手の有効期間は同年2月10日からの20日間でした。

 さて、今回の教皇の退位により使徒座空位の期間がスタートし、あわせて使徒座空位切手も発行されます。次の法王を選ぶ選挙“コンクラーベ”が3月中旬にも行われる見通しということなので、今回の使徒座空位切手の有効期間はおそらく半月程度ということになりそうです。


 【世界切手展BRASILIANA 2013・出品募集期間延長!】

 今年11月、ブラジル・リオデジャネイロで世界切手展 <BRASILIANA 2013> が開催される予定です。当初、現地事務局への出品申し込みは2月28日〆切(必着)でしたが、〆切日が3月31日まで延長されました。つきましては、2月14日に締め切った国内での出品申し込みを再開します。出品ご希望の方は、3月20日(必着)で、日本コミッショナー(内藤)まで、書類をお送りください。なお、同展の詳細はこちらをご覧ください。


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 地獄の釜のフタ
2009-07-16 Thu 23:48
 きょう(7月16日)は半年に一度の“閻魔斎日”。地獄の釜の蓋が開いて閻魔大王も地獄の鬼もお休みになる日で、そこから、かつての“藪入り”の習慣が生まれました。というわけで、なにか地獄にちなむ切手がないかと思って探してみたら、仏教系ではありませんが、こんなモノが出てきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ダンテ700年

 これは、1965年にヴァティカンが発行した“ダンテ生誕700年”の記念切手の1枚で、彼の代表作『神曲』の「地獄篇」冒頭で、地獄の入口で3匹の獣に遭遇する場面が描かれています。

 ダンテの『神曲』は、西暦1300年の聖金曜日(復活祭前の金曜日)、暗い森の中に迷い込んだ主人公が、そこで出会った古代ローマの詩人ウェルギリウスに導かれ、地獄・煉獄・天国と彼岸の国を遍歴して回る叙事詩です。

 「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」と銘された地獄の門を抜けると、地獄の前庭があり、そこには、人生を無為に生きてきた者たちが、地獄にも天国にも入ることを許されず、蚊や蜂に刺されながら留め置かれています。(全くの余談ですが、きょう、暑さのせいにしてあまり仕事をせず、無為に過ごしてしまった内藤は、風呂上りに蚊に刺されてしまいました。)

 その先には、仏教の世界でいう“三途の川”に相当するのでしょうか、アケローン川が流れており、冥府の渡し守カロンの舟で地獄に渡ることになっています。

 地獄の最初には、キリスト教の洗礼を受けなかった者が入る辺獄(リンボ)があり、そこでは、亡者たちは責め苦はないものの、希望もないままに永遠の時を過ごします。なお、ホメロスをはじめとする古代の大詩人たちも、キリスト以前に生れたため、キリスト教の恩寵を受けることがないという理由で、ここに置かれています。

 その後、愛欲者の地獄、貪欲者の地獄など、第9圏まである地獄の中から、亡者は冥府の裁判官ミーノスによって割り当てられた地獄に行き、責め苦を受けることになっているのだそうです。これもまた、閻魔大王の裁きと似たようなものでしょうから、人間の考えることなんて、結局は似たようなものなのかもしれませんな。

 それにしても、きょうも暑かったですね。地獄の釜のフタが本当に開いて、その熱気が地上までやってきたといわれても信じてしまいそうです。明日には地獄の釜のフタも閉じるはずなので、少しは涼しくなってもらわないと…。

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 切手の中の建設物:宣武門教会
2006-12-13 Wed 01:21
 (財)建設業振興基金の機関誌『建設業しんこう』の12月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手の中の建設物」では、今月は、クリスマスの月ということもあって、協会の切手の中から、バチカンの発行した北京の宣武門教会を取り上げてみました。(画像はクリックで拡大されます)

宣武門教会

 1582年、広東に入ったイタリア出身のイエズス会宣教師マテオ・リッチは、科学知識を武器に布教活動を展開。1601年には明朝の皇帝・万暦帝への謁見を果たし、北京での居住と中国本土での布教の許可を獲得し、1605年には、紫禁城の西南、宣武門の内側の一角に居を定め、そこに小さな聖堂を建てました。

 1644年、明朝に代わって清朝が中国本土を制圧した後も、しばらくはイエズス会の活動は続けられ、皇帝・順治帝は、1650年、ドイツ出身のイエズス会宣教師アダム・シャールに対して、かつてリッチが住んでいた一角を下賜。シャールはこの地にバロック様式の本格的な天主堂を建て、自らもそこに住みます。これが中国最古の教会、聖母無染原罪堂です。ただし、一般には、聖母無染原罪堂という正式名称ではなく、所在地にちなんで“宣武門内天主堂(宣武門教会)”ないしは紫禁城との位置関係から“南堂”と呼ばれることのが普通です。現在、この教会のすぐ近くには地下鉄・宣武門駅があり、観光客にとってもアクセスは便利です。なお、現在の建物は、義和団事件で破壊された後、1905年に再建されたもので、オリジナルの建築ではありません。

 今回ご紹介している切手は、1990年にバチカンが発行した「北京・南京教区300周年」の記念切手(“教区”とは、キリスト教で一定地域の教会をまとめた教会行政上の組織のこと)の1枚で、バチカン所蔵の絵画に描かれた聖母無染原罪堂が取り上げられています。

 児童画にも通じるような素朴なタッチが、何ともいえない良い味を出している1枚だと思うのですが、いかがでしょうか。

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 腹黒いヤツは少ない?
2006-04-11 Tue 23:58
 テレビでイタリアの総選挙の話を盛んにやっていたので、手持ちのイタリア関連のモノの中から、何か面白そうなものはないかと思って探してみたら、こんなものが出てきました。

消毒郵便

このカバー(封筒)は、1856年8月30日、イタリア統一以前のローマ教皇領の北端、ポー川流域の都市フェラーラからロヴィーゴ宛に差し出されもので、当時の教皇領の切手(1852年に発行された1bajのもの)が貼られています。

 画像(クリックで拡大されます)の切手の上方(実際にはカバーの裏面)に押されている円形の印にご注目ください。この印は、このカバーが途中で消毒されたことを示すもので、印の中には“Ferrara/ Netta fouri/ e dentro”(フェラーラ 外側・内側ともに清浄)の文字が入っています。

 伝染病の蔓延を食い止めるために、病気を媒介するおそれのある書簡などを消毒しようとする試みがヨーロッパで実行に移されたのは、近代郵便制度が発足するよりもはるか以前、黒死病が猛威をふるっていた14世紀後半のことでした。

 このカバーも、そうした消毒郵便の一例で、カバー表面にスリット(切込)を入れて、封筒の表面のみならず内側にまで消毒のための薬品(酸の類と思われる)が浸透するよう工夫されています。なお、カバー表面のシミは、保存が悪くて生じたものではなく、薬品を郵便物に振りかけた際に生じたものです。
 
 このカバーに押されている印には「外側・内側ともに清浄」と記されていますが、これは、郵便物によっては表面しか消毒が行われていない場合があるからで、そうした場合には“Ferrara/ Netta fouri/ Sporca dentro”(フェラーラ 外側は清浄だが内側は不浄)との印が押されています。ただし、この印が押されたカバーは非常に少なく、手に入れようとすると結構、苦労しそうです。もちろん、僕は持っていません。

 それにしても、“外側は清浄だが内側は不浄”って、人間に置き換えると腹黒い人ってことですよね。権謀術数のうごめく教皇庁の支配下で、“腹黒いカバー”のほうがはるかに少ないってのも、ジョークにしてはできすぎのような気もします。

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 外国切手の中の中国:バチカン
2005-06-09 Thu 01:04
 昨日(8日)はバタバタしていて日記に書きそびれたことを書きます。

 現在、いくつかの媒体で連載を持っていますが、そのうちの一つが、NHKラジオ中国語講座のテキストで、今年4月から始めた「外国切手の中の中国」です。

 メディアとしての切手には、自国のことばかりではなく、外国のことが取り上げられることも少なくありません。たとえば、「日米修好100年」とか、「日本におけるドイツ年」なんて名目で切手が発行されるのはよくある話で、その場合、相手の国のシンボルやイメージが切手に取り上げられるということは珍しくありません。では、中国は、中国以外の切手にどのように描かれてきたのか--そういう趣旨の下に、毎月、テーマを変えて読みきりの文章を書いているというわけです。

 で、現在、発売中の6月号では、バチカンを取り上げています。バチカンは、大陸の共産中国とは国交を断絶したままですが、1990年代に入って、前教皇(法王)じきじきの旗振りで、中国との国交樹立を目指して水面下での交渉を続けてきました。そうしたことを反映するかのように、1990年代に入ると、バチカンでは中国がらみの切手が急増します。

バチカン

 ↑の切手もその1枚で、“中国への福音伝道700年”を記念して、1994年に発行されたものです。山水画を背景に、十字架を手にしたモンテ・コルヴィノの姿が描かれています。我々の目から見ると、かなりシュールで、下手をすると夢に出てきそうな雰囲気がありますが、信仰篤き人たちの目には、輝ける立派なデザインという風に映るのでしょうか。

 さて、「外国切手の中の中国」は、今月18日発売の7月号では北朝鮮を取り上げたんですが、ここのところ、北朝鮮ネタが二日続いたので、ここでご紹介するのはパスしました。で、おとといから昨日にかけて、うんうん唸って書いていたのは、太平洋戦争中のアメリカ切手のお話です。こちらについても、機会があれば、この日記でご紹介したいと思います。

 現在の予定では、連載は少なくとも来年3月までは続きますので、ご興味のある方は、毎月18日に書店に行って、チェックしていただけると幸いです。

PS 昨日、VTR撮りをしたテレビの仕事ですが、昨夜の「報道ステーション」の方は、サッカーの話に押されて吹っ飛んでしまったようです。一方、今朝の「スーパーモーニング」は、貴乃花親方のインタビューが飛び込みで入ったので、20分ぐらい、当初の予定よりも遅れましたが、無事、放送となりました。ご覧頂いた方にはお礼申し上げます。
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