2022-09-09 Fri 01:52
英王室は、8日(現地時間)、エリザベス2世女王陛下が96歳で崩御されたと発表しました。というわけで、謹んでご冥福をお祈りしつつ、”God save the Queen(神よ、女王を守り給え)”の文言が入った切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、ことし(2022年)2月6日、英王室属領のマン島で発行された”女王即位70年”の記念切手のうち、2020年4月20日、リンカン大聖堂で行われた王室洗足式に出席された際の陛下のお写真を取り上げた1枚です。また、切手の周囲の目打部分には、”God save the Queen”の1番の歌詞も印刷されています。 ちなみに、洗足式は、最後の晩餐に際してイエス・キリストが弟子たちの足を洗い、「主であり、師であるわたしがあなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない。」(ヨハネによる福音書13:1-1)と命じた故事に倣い、謙遜の心を養うため、聖木曜日(復活祭直前の木曜日)に信徒同士で足を洗う儀式のことです。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 9月9日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★ 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 … 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2022-08-19 Fri 00:55
ご報告がすっかり遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテのウェブマガジン『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』での僕の連載、「お菓子の切手」の新しい記事がアップされました。今回は、こんな切手を取り上げています。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2022年5月24日、地元の食材と料理を紹介するためにジャージーが発行した6種セットの切手のうち、ジャージー種の牛から搾られた“ジャージー・ミルク”と、そのジャージー・ミルクを使ったソフトクリームと青い容器に入ったアイスクリームを取り上げた1枚です。 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 8月26日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★ 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 … 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
2018-12-19 Wed 02:24
英王立救命艇協会(RNLI)の救命艇が、16日、チャンネル諸島ジャージー沖で、大荒れの海の中、遭難したカヤックを救助したことが話題となっているそうです。というわけで、なかなか日本ではニュースになることの少ない地域ですので、きょうはジャージーの切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第二次大戦中、ドイツ占領下のジャージーで1941年に発行された切手で、“ジャージー”名義の切手としては最初の1枚になります。 牛のジャージー種の原産地であり、また衣類のジャージの語源とされるジャージーは、イギリス海峡のチャンネル諸島のうち、ジャージー島のほかマンキエ諸島やエクレウ諸島などから構成される英王室属領です。 ジャージーを含むチャンネル諸島は933年にノルマンディー公国の領地に編入され、1066年のノルマン・コンクエストにより、ノルマンディー公ウィリアムがイングランド王になるとイングランド王の所領となりました。1204年、イングランド王兼ノルマンディー公ジョンはフランス王フィリップ2世にノルマンディー地方を奪われましたが、チャンネル諸島に関してはイングランド王の所領にとどまり、1254年にはイングランド王室の個人領地とされました。 現在でも、チャンネル諸島は英国王の私領地との扱いで、英国王をその君主とし、英国がその外交及び国防に関して責任を負うものの、内政に関して英議会の支配を受けず(=英国の法律や税制は適用されない)、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地と異なり高度の自治権を有しています。また、欧州連合にも加盟していません。 さて、第二次大戦中の1940年6月28日、ナチス・ドイツはチャンネル諸島のガーンジー島とジャージー島の港湾への爆撃を開始し、7月1日にはチャンネル諸島を占領しました。 第二次大戦以前のジャージーでは英国の切手が無加刷でそのまま使われていましたが、ドイツ軍の占領により英国との交通が途絶すると、切手の配給もストップし、1940年末には深刻な切手不足となりました。このため、占領当局は住民に対して、郵便物はポストに投函させず、直接郵便局の窓口に持ち込ませることで切手の消費を抑えようとしましたが、この方法はあまりにも不便だったため、ジャージー専用の1ペニー切手が現地で手配されることになりました。 占領下での切手のデザイン制作を命じられたノーマン・ライボットは、占領当局への抵抗の意思を密かに示すため、単に“ジャージーの紋章”とだけ説明して、“イングランドとチャンネル諸島の獅子”を大きく描いた原画を制作。また、切手の4隅には小さく“A”の文字を入れました。これは、「地獄に落ちろ、凶悪なアドルフよ」を意味するノルマン語“Ad Avernum, Adolphe Atrox”の頭文字を意味しています。ただし、占領当局はそうしたライボットの意図を見抜くことができず、ライボットの原画にOKを出し、ジャージー島内で新聞を発行していたイブニング・ポスト社での切手製造を経て、1941年4月1日頃から郵便局の窓口での販売が開始されました。その後、1942年1月20日には半ペニーの切手が発行されたほか、1943年には風景図案の切手も6種類発行されています。 1945年5月9日、ドイツの敗戦により、ジャージーを含むチャンネル諸島は解放され、ふたたび英置く切手が持ち込まれて使用されるようになりました。しかし、占領による経済的な打撃が大きかったことから、戦後復興の一環として、チャンネル諸島では観光宣伝と外貨獲得源のひとつとして、1940年代後半、独自の切手発行を計画します。この時点では、この計画がは実現しませんでしたが、1958年になって、同諸島の他、マン島、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各地で、エリザベス女王の肖像に各地の紋章やシンボルマークなどを入れた“地方切手”として実現しました。 なお、これらの地方切手は販売地域は限定されていたものの、英国の全域で使用することが可能でしたが、1969年10月1日以降、ジャージーではジャージー専用の切手が発行されるようになり、現在に至っています。 ★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★ 本体2000円+税 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) |
2006-08-08 Tue 01:42
6日に行われたF1のハンガリーGP(グランプリ)でホンダのジェンソン・バトンが初優勝しました。ホンダの優勝は1992年のオーストリアGP以来14年ぶり(通算72勝目)のことで、単独参戦では1967年イタリアGP以来39年ぶりの快挙だそうです。というわけで、今日の1枚はこんなものを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1988年にマン島がモーター・スポーツを題材に発行した切手の1枚で、ホンダのエンジンを搭載したマシンを操るナイジェル・マンセルが取り上げられています。 マン島は、イギリスのグレートブリテン島とアイルランドに囲まれたアイリッシュ海の中央に位置する淡路島ほどの小さな島ですが、法的にはイギリス(正式には“グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国”)の一部ではなく、自治権を持ったイギリスの王領なので、独自の法律を持ち、通貨・切手もイギリスとは別のモノを発行しています。ただし、現実にはイギリスのスターリング・ポンドがそのまま通用しますが…。 今回ご紹介している切手では、1986・87年のイギリスGP優勝者ということでマンセルが取り上げられているわけですが、このうち、1987年のレースでは、ホンダのエンジンを使用したウイリアムズとロータスが1位から4位までを独占するという離れ業を達成しています。ちなみに、その内訳は、優勝がウイリアムズのナイジェル・マンセルで、2位が同じくウイリアムズのネルソン・ピケ、3位がロータスのアイルトン・セナ、4位がロータスの中嶋悟でした。 もっとも、切手のデザインを見る限り、マンセルの身体はほとんどがマシンの中に入っていますし、わずかに表に出ている頭部もヘルメットに覆われていますから、説明がなければ、コアなファンならともかく、素人目にはマンセルの切手とはちょっとわかりにくいですよね。それだったら、1987年のイギリスGPでホンダが1・2フィニッシュならぬ1・2・3・4フィニッシュを決めたことを書いてくれればよかったのに、と思うのはやっぱり僕が日本人だからなんでしょうね。 さて、切手には、当然のことながら、ホンダのエンジンを搭載したマシンが描かれており、車体にはしっかりホンダのロゴが入っています。しかし、それ以上に広告スポンサーであるキヤノン(Canonのカタカナ表記は、ついつい、“キャノン”と書きたくなるのですが、ヤを大きく書くのが正式なのだそうです)のロゴのほうが目立っているような気がします。バブル華やかなりし頃とはいえ、そのスポンサー・フィーたるや大変なものだったでしょうね。 まぁ、ホンダにしろキャノンにしろ、日本を代表する企業であることには変わりないわけで、その意味では日本人にとっては気になるジャポニカ切手(“日本”をテーマにした切手)の1枚といってよいでしょう。 なお、この切手を含めて、ジャポニカ切手については、以前刊行した拙著『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)でも、いろいろな角度からまとめてみましたので、ご興味をお持ちの方は是非1度お手にとってご覧いただけると幸いです。 |
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