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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 キューバ危機から50年
2012-10-28 Sun 21:26
 1962年10月28日にソ連首相ニキータ・フルシチョフがモスクワ放送でキューバからミサイルを撤去すると発表し、いわゆるキューバ危機が終結してから、今日でちょうど50年です。というわけで、きょうは、キューバがらみでこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

         アフリカのゲバラ

 これは、2005年にキューバが発行した“アフリカのゲバラ”の航空書簡です。

 1959年のキューバ革命でバチスタ政権打倒の立役者として、革命政府の元勲となったゲバラは、当初、米国という共通の敵と対峙するソ連との関係強化を唱えていました。しかし、1962年のキューバ危機では、結局、ソ連は米国に妥協してキューバへの核ミサイル配備を中止。この“裏切り”に憤激したゲバラは、ソ連への批判を強め、ソ連への依存を強めていたカストロ政権から離れていくことになります。そして、1965年、国際的な革命闘争に参加するためキューバを離れたゲバラは、アフリカ各地を歴訪し、コンゴ動乱に馳せ参じることになりました。

 1960年、アフリカ諸国が相次いで独立する中で、同年6月30日、ベルギー領コンゴもコンゴ共和国(旧仏領の隣国も正式な国名が“コンゴ共和国”だったため、区別するため、コンゴ・レオポルドビル、コンゴ・キンシャサなど呼ばれることもあります)として独立したものの、すぐに内戦が発生します。いわゆる第一次コンゴ動乱です。

 第一次コンゴ動乱は、国連軍の介入もあって、1963年1月にいったんは終結しますが、1964年6月、国連軍が撤退するとピエール・ムレレ率いる共産ゲリラのシンバが中国の支援を得て反乱を起こし、いわゆる第二次コンゴ動乱が勃発しました。

 シンバは、一時、今後の国土の多くを掌握しましたが、米国と旧宗主国のベルギーが介入し、シンバ政権は崩壊します。これを受けて、1964年12月11日に開催された国連安保理で、キューバ代表として登壇したゲバラは、米国のコンゴへの軍事介入を激しく非難。その後、彼はアルジェリアを皮切りにアフリカ8ヶ国を歴訪し、1965年2月11日にはタンザニアに入り、ローラン・カビラをはじめとするコンゴ反政府勢力と会談しました。

 その後、ゲバラは2月24日にアルジェリアで開催されたアジア・アフリカ連帯機構第2回経済会議で第3世界との貿易と援助の問題をめぐってソ連を激しく批判。いったん、キューバに帰国した後、国家建設のためにソ連からの援助を必要とするカストロに別れを告げ、4月2日、新たな革命の地を求め、タンザニアへ向かいました。

 4月23日、ゲバラは14人の部下を連れてキゴマからタンガニーカ湖を渡ってコンゴ領キバンバに上陸。部族ごとに対立し、内部抗争に明け暮れるコンゴの反政府勢力に対して、団結と現政権の打倒を熱心に説き、キューバ人兵士とともに激しい戦闘を展開します。

 しかし、コンゴ反政府勢力の実情は、ゲバラを大いに失望させるものでした。

 すなわち、カビラをはじめとする幹部たちは、タンザニアの首都ダルエスサラームで安穏と暮らすか、カイロやアルジェ、モスクワ、北京を訪問してネットワークを織り上げていたが、闘争の前線には姿を見せませんでした。特に、カビラ本人は決して前線を訪れようとはせず、1965年7月7日、ゲバラのいるキバンバ基地を訪ねた際には、カビラは愛人と思しき女性を含む多くの従者を従え、大量のウイスキーを持ち込み、わずか5日の滞在でタンザニアに引き揚げてしまいます。ゲバラとキューバ人兵士が大いに落胆したのは言うまでもありません。

 こうした状況の下で、1965年9月、南ア出身の傭兵を中心としたマイク・ホアレ率いるワイルド・ギースの攻勢により、反政府勢力の拠点であったバラカが制圧され、キューバ兵への食糧の補給も滞り始めます。さらに、同年10月10日、ホアレと傭兵たちが反政府勢力の残された拠点、フィジを制圧し、政府側による掃討作戦が事実上終了。その後も、キューバ兵とワイルド・ギースの戦いは続いたが、10月24日の砲撃戦でキューバ側は多数の犠牲者を出しました。

 結局、11月20日、ゲバラらキューバ兵は、何ら成果を上げることなく、キバンバからタンザニアへの撤退を開始。ゲバラは、22日にキューバ兵の最後の一人がコンゴから去るまで、タンザニアに潜伏して見届けました。

 さて、今月25日に刊行となりました拙著『喜望峰』では、南アフリカ共和国の中でも、特に保守的でアフリカーンスの文化が色濃く残っているとされるステレンボッシュの地で、ゲバラの視線を感じながら食事をするという不思議な体験を話の枕として、今回ご紹介したゲバラとワイルド・ギースの戦いをはじめ、南アとキューバの対立・抗争の歴史についてもまとめております。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 * けさ、カウンターが112万PVを越えました。いつも閲覧していただいている皆様には、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。


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