2021-03-03 Wed 00:53
以前からご案内しておりました拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス 奥付上の刊行日は2021年4月10日)の現物ができあがりましたので、一言、ご挨拶申し上げます。(画像は表紙カバーのイメージ。クリックで拡大されます)
本書は、2018年4月からインターネット放送「チャンネルくらら」で配信している「内藤陽介の世界を読む」のうち、比較的最近の動画の内容の一部を再構成し、配信後のアップデート情報も加えつつ、大幅に加筆したもので、切手や郵便物はほとんど登場しません。なお、章立てとしては以下のようになっています。 第1章【アメリカを読む】南北問題で知る、米大統領選と左翼運動 第2章【中国を読む】香港征服を狙う野望を読み解く 第3章【中東を読む】日本人のためのイスラエルと湾岸諸国入門 第4章【ロシア・トルコを読む】リビアからコーカサスにいたる紛争ベルトの重要性 もともと、筆者は切手や郵便物から得られるさまざまな情報を集積し、その分析を通じて、歴史や地域事情、国際関係などについて考えようという“郵便学”が本業です。したがって、基本的には世界各国がそれぞれどんな切手を発行しているのか、およそのイメージはほぼ把握しており、ある国や地域の名前を聞けば、その国・地域の切手の画像が頭の中に思い浮かぶ回路はできあがっています。(少なくとも、オリンピックの入場行進に登場するレベルの国・地域であれば、全く知らないということはまずありません) ただし、当然のことながら、切手に取り上げられている個々の題材については把握しきれていないことも多いので、切手や郵便物の解析のために必要な基礎データや背景事情をまとめるとともに、文章のトレーニングと自分の仕事のプロモーションを兼ねて、2005年6月から、その時々の話題にあわせて、あるいは、自分の仕事の宣伝になるように、毎日1点ずつ切手や郵便物を選んで、簡単な文章を書く「郵便学者・内藤陽介のブログ」、つまりはこのブログを続けています。 その結果として、世界の国々の切手を読み解く基礎的な知識・情報に関しては、(あくまでも、広く浅くではありますが)ある程度の蓄積もできてきましたので、その一端を(切手や郵便物ぬきに)原稿としてまとめたり、メディア等でお話したりする機会も少しずつできてきました。「チャンネルくらら」の番組もその一つです。いわば、レストランとして食事を出すことを目的に、小さな農場を作って野菜や果物を植え、鶏・豚・牛などを買っていたところ、料理とは別に、副業として、肉や野菜も売るようになったというのと似たような感じでしょうか。 さて、切手や郵便物というモノを起点に考える習性が骨の髄まで染みついている僕としては、研究ないしは観察対象としては、平和で安定した豊かな国にはあまり興味をそそられません。そうした国では政治や社会の激しい変動が起こりにくく、それゆえ、切手や郵便物への痕跡も乏しいからです。 これに対して、政治的・社会的に不安定な国の場合、切手や郵便物にはそうした状況が鮮明に反映されますから、(不謹慎な表現かもしれませんが)単純に面白いのです。また、特定のイデオロギーを国民に対して徹底的に浸透させようとしている国では、切手がプロパガンダの媒体として使われていますから、これまた興味をそそられます。そのため、そうした国・地域に関しては、熱心に調べてみたくなるのです。 そうした観点から、2010年にメディアファクトリー新書の一冊として上梓した拙著の書名は『事情のある国の切手ほど面白い』としたのですが、昨今の国際ニュースを見てみると、“事情のある”などという生易しい状況にない国が世界の中心にいくつもあることに気が付きます。もっとも、幸か不幸か、世界最初の切手が英国で発行された1840年以来、現在にいたるまで、世界のどこかで常に混乱や動乱、大規模な自然災害が起こり、各国間の派手な離合集散が繰り返されてきたわけで、世界が安定していることのほうがむしろ不自然だともいえるでしょう。 そうであればこそ、「国際ニュースの正しい読み方」と銘打った本書では、そもそもの議論の出発点として「世界はいつでも不安定」と最初に謳うことにしました。世界の混沌や不安定さを嘆くよりも、不安定であることを前提に、日本としての身の処し方を考えるほうが建設的で精神衛生上も良いのではないかと思います。 また、本書の帯にはバイデン(米大統領)、プーチン(ロシア大統領)、習近平(中国国家主席)、トランプ(米前大統領)、サルマーン(サウジ国王)に加え、わが国の菅総理の顔写真も加えています。本書の本文では菅総理については言及していないのですが、それでもあえて帯の写真に加えたのは、わが国が否応なしに「不安定な世界」の中で生きていかねばならないこと、そしてそのためには、国際ニュースを正しく読むことが必須の前提であることを読者の皆さんにイメージしていただきたかったからです。 世界の中で我々が「どうすべきか」という問いに答えるためには、世界が「どうなるか」を予測せねばならず、そのためには現状を正確に認識する必要があります。本書がその一助としていささかなりとも皆さんのお役に立つなら、筆者としては望外の幸です。 つきましては、書店などで本書を見かけられましたら、ぜひ、お手に取ってご覧いただけると幸いです。また、この記事をお読みの方で、ご自身の関連するメディアなどで本書をご紹介いただける場合には、資料等をお送りいたしますので、本ブログ右側のメールフォームにて、お気軽にご連絡ください。 なにとぞよろしくお願い申し上げます。 ★★ 『世界はいつでも不安定』 3月10日発売!★★ 本体1400円+税 出版社からのコメント 教えて内藤先生。 地上波では絶対に伝えられない国際情勢の事実をユーモアを交えて解説! チャンネルくらら人気番組「内藤陽介の世界を読む」が完全書籍化! 版元特設サイトはこちら。また、ご予約は、アマゾンまたは honto で受付中です。 |
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