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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 腹黒いヤツは少ない?
2006-04-11 Tue 23:58
 テレビでイタリアの総選挙の話を盛んにやっていたので、手持ちのイタリア関連のモノの中から、何か面白そうなものはないかと思って探してみたら、こんなものが出てきました。

消毒郵便

このカバー(封筒)は、1856年8月30日、イタリア統一以前のローマ教皇領の北端、ポー川流域の都市フェラーラからロヴィーゴ宛に差し出されもので、当時の教皇領の切手(1852年に発行された1bajのもの)が貼られています。

 画像(クリックで拡大されます)の切手の上方(実際にはカバーの裏面)に押されている円形の印にご注目ください。この印は、このカバーが途中で消毒されたことを示すもので、印の中には“Ferrara/ Netta fouri/ e dentro”(フェラーラ 外側・内側ともに清浄)の文字が入っています。

 伝染病の蔓延を食い止めるために、病気を媒介するおそれのある書簡などを消毒しようとする試みがヨーロッパで実行に移されたのは、近代郵便制度が発足するよりもはるか以前、黒死病が猛威をふるっていた14世紀後半のことでした。

 このカバーも、そうした消毒郵便の一例で、カバー表面にスリット(切込)を入れて、封筒の表面のみならず内側にまで消毒のための薬品(酸の類と思われる)が浸透するよう工夫されています。なお、カバー表面のシミは、保存が悪くて生じたものではなく、薬品を郵便物に振りかけた際に生じたものです。
 
 このカバーに押されている印には「外側・内側ともに清浄」と記されていますが、これは、郵便物によっては表面しか消毒が行われていない場合があるからで、そうした場合には“Ferrara/ Netta fouri/ Sporca dentro”(フェラーラ 外側は清浄だが内側は不浄)との印が押されています。ただし、この印が押されたカバーは非常に少なく、手に入れようとすると結構、苦労しそうです。もちろん、僕は持っていません。

 それにしても、“外側は清浄だが内側は不浄”って、人間に置き換えると腹黒い人ってことですよね。権謀術数のうごめく教皇庁の支配下で、“腹黒いカバー”のほうがはるかに少ないってのも、ジョークにしてはできすぎのような気もします。

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