(財)建設業振興基金の機関誌『建設業しんこう』の9月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手に描かれた建設の風景」では、今月号はこんなモノを取り上げてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1955年にハンガリーで発行されたレンガ積み職人の切手です。
機械化が進む建設現場の中でもレンガを積む作業だけは現在でも手作業で行われているため、各地の現場では、多くのレンガ職人たちが昔と変わらず日々汗を流しています。
レンガの積み方の代表的なものとしては、フランドル積み(フランス積み)とイギリス積みがあります。前者は、正面から見たときに、1つの列に長手(レンガの長辺)と小口(短辺)が交互に並んで見える積み方(Ⅱ=Ⅱ=Ⅱ・・・となります)で、後者は一つの列が長手、その上の列は小口、その上の列は長手…と重ねていく積み方(1列目はⅡⅡⅡ…、2列目は===…となります)です。フランドル積みの方が見た目は良いのですが、手間がかかるうえに構造的にはやや弱いということで、現在はイギリス積みが主流となっています。
今回ご紹介している切手の職人は、イギリス積みの作業に汗を流しているようです。なお、ヨーロッパではレンガで構造を組み立てた後で表面を石や漆喰で仕上げることも多いため、この職人の仕事も、建物が完成した暁には目に見えないところへ隠れてしまったかもしれませんね。