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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アスクレピオスの蛇
2008-04-07 Mon 18:08
 今日は世界保健デー。いまから60年前の1948年に世界保健機関(WHO)が設立されたことにちなむものです。というわけで、今日はこんな1枚を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

 世界保健デー(メキシコ)

 これは、1978年にメキシコが発行した世界保健デーの記念切手で、地球を背景に蛇と聴診器を持つ手が組み合わされています。世界保健機関のマークは国連マークと、ギリシャ神話の医学神アスクレピウスに由来する蛇と杖のマークを組み合わせたものですが、今回ご紹介の切手は、それをバラバラにして組みなおしたような雰囲気があります。

 アスクレピオスはアポロンとコロニスの子。アポロンの使いであるカラスの虚偽の報告により、コロニスがアスクレピオスを身ごもったまま、アポロンに射殺された後、母親の胎内から救い出されてケンタウロスの賢者ケイロンに育てられました。

 幼少時から医学に才能を示し、ついに死者まで生き返らせることができるようになりましたが、冥界の王ハデスから“世界の秩序(生老病死)を乱すもの”との抗議を受けたゼウスは、彼を殺してしまいます。しかし、死後は天に上げられてへびつかい座となり、神の一員に加わったとされています。ちなみに、かのヒポクラテスはアスクレピオスの子孫だそうです。

 アスクレピオスは常に聖蛇が巻き付いた杖を持っていましたが、彼の死後、彼を慕う人々は各地に神殿を造って祀り、救いを求めて巡礼する病人や身体障害者がつぎつぎと訪れるようになりました。旅人が神殿で祈り、用意された居間で眠りにつくと、そこにアスクレピオスの神聖な召使である聖蛇をつれた神官が病人の間を廻って歩き、夢の中で病の治療法を告げて、蛇に治療させたということから、蛇に杖の巻き付いたモチーフを“(医学の神である)アスクレピオスの杖”と呼びならわすようになりました。なお、ギリシャに限らず、古代世界では、蛇の脱皮を死と再生を司るとして蛇は医術・呪術の象徴と見なされていたそうです。

 現在、アスクレピオスの杖は、医の象徴として、WHOのみならず、各国の医師会のマークに取り込まれたり、救急車の車体に描かれていたり、軍医や衛生兵などの兵科記章にも用いられています。

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