2007-07-26 Thu 09:31
(財)日本郵趣協会の機関誌『郵趣』の2007年8月号ができあがりました。『郵趣』では、毎月、表紙に“名品”と評判の高い切手を取り上げていて、僕が簡単な解説文をつけていますが、今月は、こんなモノを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1896年にギリシャが発行した第1回近代五輪の記念切手のうち、ミュロンの彫刻“円盤投げを取り上げた10レプタ切手です。今回の表紙では12種セットすべての写真を掲載していますが、シリーズの華ともいうべき最高額の1ドラクマ切手は以前の記事でも取り上げてしまいましたし、8月には大阪で世界陸上も開かれることですから、今日はこの1枚を持ってきたと言うわけです。 ちなみに、12種類のデザインは、レスリング(1及び2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“ヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっており、“近代五輪”とはいいながら、古代ギリシャのイメージが濃厚です。なお、切手はフランス政府印刷局によって印刷されました。 ギリシャ政府は、大会の開催資金を捻出するためにこの切手を発行し、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残りました。このため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されています。 さて、今月の『郵趣』では“満洲国”の特集を組んでいますが、その末席で僕も不発行切手についてのコラムを書いています。昨年観光の拙著『満洲切手』を補足するような内容になっておりますので、同書とあわせてご覧いただけると幸いです。 |
#848 この記事を読んで
郵趣家をターゲットにしたオリンピック切手は、第1回開催の時から始まったことが分かりました。いつの時代も、オリンピックは全世界の注目の舞台なのですね。
#854 コメントありがとうございます
muraki様
19世紀の後半には、すでに切手収集という趣味は確立されていましたからねぇ。その意味では、ある時代までは、オリンピックの歴史とフィラテリーの歴史は併走していたといってもいいのかもしれません |
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