2020-04-08 Wed 02:49
きょう(8日)は、お釈迦様の誕生を祝う“花まつり”の日です。というわけで、毎年恒例、お釈迦様ネタの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1993年9月20日に韓国が発行した900ウォンの普通切手で、三国時代の釈迦三尊像の名品として国宝第72号にも指定されている“金銅癸未銘三尊仏”が取り上げられています。 金銅癸未銘三尊仏は、中尊の釈迦如来とその左側(向かって右)が文殊菩薩、同右側が普賢菩薩の両脇士の三尊が一つの舟形光背を負っている“一光三尊仏”の三尊像で、中国南北朝時代の影響が色濃くみられます。高さは17.5センチで、両脇侍菩薩を一鋳し、中尊は別鋳して光背用枘として互いに結合する中尊別鋳結合式で作られました。光背裏面には「癸未年十一月一日…」の造像年銘があり、西暦563年の作品であることがわかります。現在は、ソウルの澗松美術館の収蔵品です。 金銅癸未銘三尊仏の釈迦如来像は、右手を胸の前に上げ、掌を正面に向けた姿勢を取っています。この手の形(印相)は“施無畏印”と呼ばれ、人々を安心させ、恐れを取り除く身振りとされています。また、左手は掌を前側に向けて下げる“与願印”となっていますが、これは、人々の願いを聞き入れ望むものを与えようとする深い慈悲を表わす身振りとされています。 安倍首相は、昨日(7日)、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に、5月6日まで、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令しました。 ちなみに、その記者会見で、首相は、1933年3月4日、フランクリン・デラノ・ルーズヴェルトが最初の大統領就任演説で用いた「恐れるべきは恐れそれ自体である」というフレーズを引用しました。テレビ番組ではキャスターの池上彰がこのフレーズについて「1929年にニューヨークの株式の大暴落があった時に、ルーズヴェルト大統領が言った有名な言葉なんですね」と説明していましたが、1929年の時点ではルーズヴェルトはそもそも大統領ではありませんでしたし、歴史的事実とは明らかに異なっています。 現在、世界各国は“準戦時体制”で新型ウイルス対策に臨んでおり、都市封鎖や外出禁止などの措置を講じている国も少なくありません。人々の移動・交流等を制限することが感染拡大に効果があるのは言うまでもないことで、人々は、いわば、ウイルスとの籠城戦を戦っているといってよいでしょう。 ただし、ウイルスとの戦いで国民にも籠城戦を呼びかけるのであれば、それなりの食料や武器弾薬(現状であれば、最大の武器となるのは、やはり現金でしょうね)の補給が必要です。補給もなしに籠城しろというのは、砦の中で飢えて死ぬか、被弾を覚悟のうえで銃弾の下をかいくぐって食糧を探しに行くか、兵士が自分で決めろという無茶苦茶な話です。 今回のわが国の非常事態宣言も、国民に対して“籠城戦”への参加を求めるものですから、国民の側から「(各種自粛の)要請と補償はセットに」という声が上がるのも当然のことで、「全世帯への現金一律給付」を求める声もあがっていました。また、昨年10月の消費税増税により、新型ウイルス問題の発生以前から、日本経済は壊滅的な打撃を受けていたため、共同通信社が3月26-28日に実施した全国緊急電話世論調査によると、望ましい緊急経済対策としては「消費税率の引き下」が43.4%でトップとなっていました。 しかし、政府は消費税率の引き下げを頑なに拒否する姿勢を崩していないばかりか、きょうの会見でも、安倍首相は全世帯への一律給付の実施を否定し、「本当に厳しく収入が減少した人に直接給付をしていきたい」と強調しています。報道では、一定の水準まで所得が減少した世帯に対し、世帯当たり最大30万円支給するとされていますが、その施策では、給付を受けられるのは全世帯の5分の1程度にしかなりません。 また、厳しい状況にある個人事業主に対する最大100万円、中小企業には200万円の給付、無利子無担保の融資や、税・社会保障の猶予措置など、さまざまな補償があるともされていますが、手続きが複雑なうえ、実際に現金が支給されるのは早くても2ヶ月後ということで、このままでは、きょう・明日の現金が必要な中小企業の倒産が激増し、未曽有の大恐慌が到来することは避けられないでしょう。 ウイルスでの死者よりも経済的な困難による“飢え死に”が多くなれば、旧日本軍の戦没者の6割が餓死だったという、先の大戦の失敗から我々は何も学んでいなかったということになります。 いずれにせよ、非常時の政府の対応としては、まず、国民の不安を取り除き、必要な資金・物資を供給することにあるわけで、まさに、施無畏印と与願印の姿勢が求められているといってよいでしょう。そういえば、現政権には、仏教系の宗教団体を支持母体とする政党が与党として加わっているはずなんですが、まさか、そうした仏の心を理解していないということなのかなぁ。そうだとすると、遠からず、仏罰が下りそうな気がしますね。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ ![]() 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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