fc2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
<!-【↓2カラムテーブルここから↓】-->
 三の酉
2015-11-29 Sun 10:17
 きょう(28日)は三の酉です。というわけで、一の酉二の酉のときに続いて、拙著『アウシュヴィッツの手紙』の増刷を祈念して、同書で取り上げた“鳥”関連のマテリアルの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アウシュヴィッツ・SS印(バイリンガル)

 これは、1941年9月22日、アウシュヴィッツ収容所を管理していた親衛隊のメンバーがミュンヘン宛に差し出した郵便物です。親衛隊員が差し出した“軍事郵便”ということで、料金は無料の扱いとされ、切手は貼られていません。また、収容所からの郵便物ですので、収容者の差出ではありませんが、“AUSCHWITZ 2”の消印が押されています。

 ご注目いただきたいのは、封筒の左下に押されている円形の印で、親衛隊の軍事郵便であることを示す“SS Feldpost”の文言と鍵十字と鷲の国章に加え、ドイツ語のアウシュヴィッツとポーランド語のオシフィエンチムが併記されています。

 第二次大戦以前、アウシュヴィッツの地はポーランド語名のオシフィエンチムと呼ばれていましたが、1940年4月末に強制収容所の建設が始まると、公式の地名ドイツ語の“アウシュヴィッツ”に変更されました。

 しかし、制度上は、アウシュヴィッツというドイツ語名のみを公式の地名表示とするにしても、ポーランド人のみならず、ドイツ人にとってさえ、この地域の名称としてはポーランド語のオシフィエンチムの方が定着していたことも事実で、それゆえ、当初は一部でドイツ語のアウシュヴィッツとポーランド語のオシフィエンチムの表示を併記することが行われていました。今回ご紹介のカバーの印もその一例というわけです。

 さて、拙著『アウシュヴィッツの手紙』では、今回ご紹介のカバー以外にも、アウシュヴィッツとオシフィエンチムが併記された住所表示のマテリアルなどもご紹介しつつ、アウシュヴィッツの収容所が制度的に整備されていく過程についても郵便という視点からたどっています。機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

 *昨日、アクセスカウンターが159万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | ドイツ:ナチス収容所 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 岩のドームの郵便学(35) | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  マルタ十字>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
<!-【↑2カラムテーブルここまで↑】-->
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/