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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 一の酉
2015-11-05 Thu 11:06
 きょう(5日)は、一の酉です。というわけで、例年同様、拙著『アウシュヴィッツの手紙』の増刷を祈念して、同書で取り上げた“鳥”の切手の中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      オシフィエンチム・暫定加刷

 これは、1918年、ハプスブルク帝国崩壊後のオシフィエンチム(アウシュヴィッツのポーランド語名)で発行された暫定加刷切手で、オーストリアの軍事切手にポーランドの国章であるワシをイメージした加刷が施されています。

 1772年の第1回ポーランド分割によって、オシフィエンチムはハプスブルク帝国の支配下に入りましたが、1918年11月11日、第一次大戦に敗れたハプスブルク帝国は、皇帝カール1世げ退位を表明して崩壊します。すでに、ロシア、ドイツの帝国も革命が発生して崩壊しており、18世紀末にポーランドを分割した3つの帝国はすべて消滅。その過程で、10月28日、クラクフに“ポーランド清算委員会”が発足し、ハプスブルク帝国に代わって、オシフィエンチムを含むガリツィアの行政の実務を担当するようになりました。

 郵便に関しては、当面の処置として、各地の郵便局で、在庫として残されていたオーストリア切手を接収して、地域ごとにローカルな加刷を施した暫定的な切手が発行されました。今回ご紹介のオシフィエンチムの加刷切手もその一例です。

 その後、11月14日にポーランドは独立を回復し(ただし、現在のポーランドはこの日ではなく、ハプスブルク帝国が崩壊した11日を“独立記念日”としています)、ユゼフ・ピウスツキを国家主席とする第2共和国が発足して、国家としての再統一が達せられました。

 しかし、その後も郵便に関しては統合が遅れ、旧ハプスブルク帝国地域では、ひとまず、同地域内の切手を統一するため、1919年1月2日、郵便局に残されていた旧オーストリア切手・葉書が回収され、クラクフ市内のA.コハンスキならびにF.ジェリンスキの2ヵ所の印刷所で“ポーランド郵政”を意味する“POCZTA POLSKA”の文字を加刷した切手が発行され、同月20日以降、無加刷の旧オーストリア切手は無効となりました。

 さらに、1919年2月25日、ポーランド清算委員会は、ヤン・ミカルスキーが原画を制作し、ジェリンスキ社で製造した切手を発行し、オシフィエンチムを含むガリツィア全域で使用させましたが、全国統一の切手が発行されたこともあって、これらの暫定的な切手は、1919年5月31日限りで使用停止とされています。

 なお、拙著『アウシュヴィッツの手紙』では、そもそも、アウシュヴィッツ/オシフィエンチムとはどのような土地であったのか、ハプスブルク帝国以前にも遡って、関連するマテリアルをいろいろとご紹介しております。機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ イベントのご案内 ★★★ 

 ・11月7日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『アウシュヴィッツの手紙』ならびに『ペニー・ブラック物語』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

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 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

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 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 11月11日刊行予定ですが、現在、版元ドットコムamazonhontoネットストア新刊.netの各ネット書店で予約受付中ですので、よろしくお願いします。

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