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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ブッダガヤで爆弾テロ
2013-07-08 Mon 11:54
 きのう(7日)、釈迦が悟りを開いたとされる仏教の聖地、インド・ブッダガヤの大菩提寺(マハーボーディー寺)で爆弾テロが発生し、僧侶2人が負傷しました。歴史的寺院には被害はなかったとのことです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       ブッダガヤ大菩提寺FDC

 これは、1949年8月15日にインドで独立記念日に合わせて発行された3.5アンナ切手(普通切手)のカナダ宛初日カバーです。この切手に描かれているのが、今回のテロ事件があった大菩提寺の仏塔です。独立記念日のボンベイ局の記念印に描かれている象の顔が、ちょっととぼけた感じで愛嬌がありますね。

 さて、紀元前530年頃、釈迦はガヤー村(ちなみに、現在のブッダガヤという地名は、釈迦がブッダとして悟りを開いたことにちなんで命名されました)の菩提樹の下で瞑想にふけっていた際に悟りの境地に達しましたが、後にその場所を示すために建立されのが大菩提寺です。切手には、そのうちの本堂に相当する高さ52mの大塔が描かれています。

 西暦5世紀以降、インドでは仏教が衰退したため、15世紀には大菩提寺も放棄されてしまいましたが、英領時代に入ると、寺院の文化的な価値を認めた英国の関係者による修復作業が始まり、19世紀末、ビルマの仏教徒による大改修で現在の姿となりました。その後、インド独立後の1949年には、ヒンドゥー教徒と仏教徒の各4名と政府要員1名による管理となり、現在にいたっています。

 ブッダガヤは、釈迦の生誕地 (ルンビニー)、初転法輪の地 (サールナート)、涅槃の地 (クシナガラ)とともに仏教の4大聖地の一つとされていますが、その中でも最も重要なものとして、世界各国から多くの仏教徒が巡礼に訪れる地域です。今回のテロ事件も、一歩間違っていたら大変な大惨事になっていたかと思うと、ぞっとしますな。

 ちなみに、ガヤー村の菩提樹の下で瞑想にふけっていた釈迦は、悪魔による妨害をことごとく調伏し、苦心の末、悟りの境地に到達しました。その様子を表現した仏像が、右手指を下に向け地面に触れた降魔印(触地印)の印相を取る降魔像です。もし、釈迦が現在に生きていたとしたら、かならずや、地面に手を触れてテロリストを調伏してくれることでしょう。

 なお、釈迦と仏像にまつわる切手については、拙著『切手が伝える仏像』でもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。
 

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