2013-07-07 Sun 12:50
ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』6月21日号が刊行されました。僕の月1連載「切手に描かれたソウル」では、6月13日が韓国の端午節だったことに合わせて、端午節の伝統的な風習として、男性のシルム(韓国相撲)をご紹介しました。その中から、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1969年10~11月にソウルで開催された「第50回全国体育大会」の記念切手の1枚で、シルムが取り上げられています。まぁ、連載タイトルが“切手に描かれたソウル”ですので、ソウルで開催の大会の切手を持ってきたというわけですが、ちょっと苦しかったかもしれません。 さて、シルムは朝鮮の伝統的な格闘技のひとつで“韓国相撲”とも呼ばれています。 男性同士が組み合って投げを打ちあい、勝敗を競う格闘技は、洋の東西を問わず、自然発生的に存在しているため、シルムについてもその起源を特定することは困難ですが、少なくとも、4世紀に作られた高句麗の古墳、角抵塚と5世紀の長川1号墳にはシルムを描いたとされる壁画が残っています。 また、歴代の王の中では、高麗の忠粛王(在位1313-30年、1332~39年)がシルムを好んだことや、忠恵王(在位1330-32年、1339-44年)の時代に王女が宦官たちとシルムをしたり観覧したりしたこと、朝鮮王朝時代には、世宗(在位1418-50)がシルムを奨励したことなどが史書にも記録されています。 また、金弘道が1780年ごろに制作した『壇園風俗図帖』には、有名なシルムの絵があり(この絵は、1971年の切手=下の画像にも取り上げられています)、シルムが当時の民衆に愛されていたことがわかります。 ちなみに、金弘道の絵では、壮士(シルムの競技者)が服を着たまま競技をしているが、これは、成年男子が人前で肌をさらすことが恥とされていた朝鮮王朝時代の風習によるものです。 日本統治時代の1912年になると、シルムも近代スポーツとしてルールなどが整えられるようになりましたが、①上半身が裸で下半身はパンツを着用する(北朝鮮では上半身はシャツを着用)、②腰から右ひざにかけて布(サッパ)を巻き、互いに利き腕をかけて組み合って試合をはじめ、左足で全身を支えながら相手を倒したほうが勝ちとなる(解放以前はサッパを巻く習慣はなし)、③円形の砂場で競技を行う(解放以前は平らな場所でゴザを敷いて行っていました)が、相手を競技場の外に出しても勝ちにはならない、などの基本的なルールは、解放後に作られたものです。 ★★★ 内藤陽介の最新作 ★★★ 『マリ近現代史』 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、 切手・絵葉書等で色鮮やかに再現したオールカラーの本格的通史! amazon、e-hon、hontoネットストア、Honya Club、JBOOK、7ネット・ショッピング、紀伊國屋書店、版元ドットコム、ブックサービス、文教堂、丸善&ジュンク堂書店、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は7月2日、7月30日、9月3日(原則第一火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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