2009-03-25 Wed 12:31
神奈川県議会ではきのう(24日)、公共的施設受動喫煙防止条例案が本会議で可決、成立しました。条例の提出当初に目指された全面禁煙からは大幅に後退する内容となりましたが、屋内での喫煙を規制する条例は全国で初めてのことだそうです。というわけで、今日はこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1976年にチェコスロバキアが発行した“禁煙キャンペーン”の切手で、煙草を吸う男女と骸骨が並べて描かれています。いわゆる禁煙キャンペーンの切手は世界各国からいろいろと発行されていますが、その最初の1枚と言われているものです。 さて、僕自身は煙草を嗜みませんし、煙草を吸う人が周囲の吸わない人へ配慮するのは当然のことだと思っています。しかし、あたかも禁煙・嫌煙といえばすべてがまかり通ってしまい、問答無用で煙草を悪と決め付け、何が何でもそれを排除しようとする“禁煙活動家”に対しては非常に不快感を感じます。 たしかに、煙草の煙は人体に有害といわれていますし、においや煙に不快感を感じる人が多いのも事実でしょう。しかし、健康に悪影響を与えるという点でいえば、他人に影響を及ぼさないような環境を作り、その中で個人が自己責任で煙草を吸うというのであれば、誰もそのことについてとやかく言う権利はないはずです。少なくとも、僕は自分の健康状態について、全く見ず知らずの人間からあれこれ文句を言われることは不愉快以外の何物でもありません。 煙草は現在の日本では合法的な嗜好品であり、税収にも少なからず寄与していることを考えた場合、愛煙家の側から、煙草を吸う権利を維持するためにも密閉式の禁煙ルームを設けてほしいという要求が出され、たとえば煙草の販売会社がそのための費用を負担するということになった場合、それを拒否するということは理屈としては難しいのではないでしょうか。“権利”としての禁煙・嫌煙を主張するのであれば、同じように、喫煙の権利にも一定の配慮がされてしかるべきでしょう。禁煙活動家の人たちが言うように、喫煙が単に反社会的な行為であるのなら、少なくともコロンブス以来、数百年にわたって全世界の少なからぬ人々が煙草を愛好し、それにまつわるさまざまな文化も生み出されてきたということはありえないはずです。 また、匂いが厭だというのであれば(僕も決して煙草の匂いが好きというわけではないのですが)、香水はどうなのでしょうか。満員電車やエレベーターの中で、臭いの強い香水をつけている女性が乗り込んで来て気分が悪くなったという経験をお持ちの方は少なくないと思います。さらに、いわゆるホームレスと思しき人が電車に乗り込んできたときなど、その悪臭に思わず顔をしかめる経験は誰にでもあると思います。これらは、いずれも、本人の努力や心がけで他人に不快感を与えないで済むようにできるわけで、こういう“匂い”を何ら規制せず、煙草の臭いのみをやり玉にあげるのは、どう考えても不公平なように思えてなりません。 もちろん、煙草を吸う人たちの中にはマナーの悪い人も少なからずいますし、吸い殻のポイ捨てや煙草の火の不始末による火災などは大いに問題です。しかし、それらは、個別の行動に対してペナルティを課せばいいだけの話で、煙草そのものの罪ではありません。携帯電話を使った犯罪が多いからと言って、携帯電話そのものに罪がないのと同じことです。 現在、東京や神奈川などではタクシーも全面禁煙になっていますが、どうして、完全禁煙車と喫煙可能な車を別々に走らせ、利用者がそれぞれの価値観に応じて選択するという発想がないのか、非常に奇異なことのように思われます。あるいは、タクシー会社としてはそういう選択肢も考慮した(している)ものの、禁煙活動家の圧力に屈して実現できないということなのでしょうか。仮にそうだとしたら、実に困った話です。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! 『年賀切手』 日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込) 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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