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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ソロモン諸島独立記念日
2020-07-07 Tue 01:21
 きょう(7日)は、1978年7月7日に独立したソロモン諸島の独立記念日です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ソロモン諸島1907試刷

 これは、1907年に発行された英領ソロモン諸島最初の切手の準備段階で制作された試刷です。実際に発行された切手とは用紙が異なり、また、目打も入っていません。

 1893年、英国は、ガダルカナル島を含むソロモン諸島中部および東部の島々や西部のニュージョージア島の保護領化を宣言し、英領ソロモン諸島が成立します。

 これを受けて、1895年、ガダルカナルの対岸、フロリダ諸島の小島、ツラギに植民地政庁が設置され、翌1896年、植民地行政の責任者である弁務官としてチャールズ・モリス・ウッドフォードが任命されました。また、これとあわせて、ガダルカナル東端のマラウ・サウンド(この場合の“サウンド”は入江の意)の中洲、タヴァニププに船着き場が設けられています。

 ウッドフォードが英領ソロモン諸島の弁務官に駐在した1896年の時点でソロモン諸島在住の西洋人は47人しましたが、彼らと外部世界(特にオーストラリア)との通信は、当初は、島を往来する不定期の船に託され、オーストラリアに持ち込まれた後、持ち込んだ人が差出人から預かったお金(英本国のスターリング・ポンド。当時は、ソロモン諸島独自の通貨が発行されていなかっただけでなく、オーストラリアの各植民地でもスターリング・ポンドが法定通貨でした)で切手を購入して投函する形式が採られていました。

 弁務官のウッドフォードは、これを少しでも組織化することを考え、1897年以降、ツラギやホニアラなど、外国人の居留地にニューサウスウェールズ切手を持ち込んで欧米系の住民に販売。ニューサウスウェールズ切手を貼った郵便物はツラギの植民地政庁に集められた後、一括してシドニー郵便局長宛に送られ、シドニーで消印されてから、宛先地に届けるという方式が採用されていました。

 その後、ウッドフォードは英領ソロモン諸島の存在を広く西洋社会に周知するため、植民地として独自の切手を発行することを計画。1903年、フィジー駐在の英領太平洋地域の高等弁務官ヘンリー・ジャクソンに対して、ソロモン諸島がオーストラリアの一部ではないことを示すためにも、独自の切手を使用したいと申し出ます。

 これを受けて、とりあえず、1906年4月12日、ツラギに常設の郵便局が設置され、ニューサウスウェールズ切手の販売を停止するとともに、郵便物の切手を貼るべき場所に“BRITISH SOLOMON ISLANDS PAID”と表示された長方形の印が使用されるようになります。この印が押された郵便物は、シドニー以遠の料金相当の小切手とともに一括してシドニーに送られ、シドニーでニューサウスウェールズ切手を貼り、宛先地へ届けられました。

 これと並行して、ウッドフォードは、シドニーのW.E.スミス社に独自の切手製造を委託。翌1907年2月14日、ソロモン諸島最初の切手が発行されました。また、1907年中にガヴツ、ギゾ、ショートランドに、1908年10月20日にはアオラ(ガダルカナル島内)に郵便局も開設され、植民地域内の郵便網も徐々に形成されていきます。

 この時発行された切手には、ツラギの風景とソロモン諸島の伝統的な戦闘用カヌーが描れており、ウッドフォード本人がデザインを作成しました。なお、当初、ソロモン諸島の切手は域内の郵便にのみ有効で外国郵便には使用できませんでしたが、同年9月、ソロモン諸島が万国郵便連合に加盟した後は、外国宛の郵便物にも有効となります。また、1908年には、同じデザインで印面を若干縮小したロンドンのトマス・デ・ラ・ルー社製の切手が発行されました。

 さて、現在、第二次大戦中の激戦地として知られる“ガダルカナル”にフォーカスを当てた本を作っています。内容は、戦史よりも、戦後のガダルカナルが中心で、すでに、本文の原稿は書き終え、現在、校正作業を進めているところです。正式な書名や発売日などが決まりましたら、またこのブログでもご案内していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 
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