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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 オーストラリアが非常事態宣言
2020-03-19 Thu 01:33
 オーストラリアのモリソン首相は。きのう(18日)、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて“非常事態”を宣言し、事実上の出国禁止措置として、国民に全ての「海外渡航の中止」を勧告しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ニューサウスウェールズ植民地100周年(5シリング)

 これは、1889年、オーストラリア連邦成立以前のニューサウスウェールズで発行された“ニューサウスウェールズ植民地100周年”の記念切手のうち、オーストラリア地図を描いた5シリング切手です。オーストラリア地図の周囲が八角形で囲われていて、ニューギニア島をはじめ隣接する島々からも隔離されているようにも見えるので、取り上げてみました。

 さて、1770年4月20日、西洋人として初めてオーストラリア東岸に上陸したジェームズ・クックは、ヨーク岬半島の北端を通過し、オーストラリアとニューギニアの間のトレス海峡を抜けてオーストラリアとニューギニアが陸続きでないことを確認。同年8月22日にはポゼッション島に上陸し、現在のニューサウスウェールズ州のみならず、ヴィクトリア、クイーンズランド、タスマニアなどを含む広大な地域を“ニューサウスウェールズ”と命名し、英国領であることを宣言しました。

 その後、米国の独立によって広大な植民地を失った英国は代替地としてニューサウスウェールズを選択。退役海軍将校のアーサー・フィリップを初代総督に任命して植民地建設に当たらせることとし、1788年1月18日、フィリップ率いる最初の植民団がボタニー湾に到着し、流刑植民地が創設されました。ちなみに、ここから起算して100周年になるのを記念して、ニューサウスウェールズでは1888年から“ONE HUNDRED YEARS”の表示を入れた切手の発行を開始していますが、今回ご紹介の5シリング切手に関しては、発行は翌年の1889年にずれ込んでいます。

 ちなみに、ニューサウスウェールズで最初の郵便サービスは、1803年、シドニー=パラマタ間で開始され、郵便料金は2ペンスでした。

 1838年、当時の郵便局長ジェイムズ・レイモンドは郵便料金前納の印面がついた封筒を発行。これは、英本国で世界最初の切手、ペニー・ブラックが発行される2年前のことで、この封筒が上手くいけば、1841年にはニュー・サウス・ウェールズでも本国並みの近代郵便制度が導入される計画でしたが、残念ながら封筒は不評で、本格的な切手の発行は見送られました。

 それでも、1842年にはメルボルン=シドニー間を蒸気船で結ぶ定期便がスタートし、1844年には英本国からの郵便船も到着するようになり、1850年1月1日にはニューサウスウェールズとして最初の切手も発行されました。

 その後、オーストラリア各地の植民地は、1901年1月1日に連邦が発足すると連邦の州となり、「郵便・電信・電話その他これに類する事業」は連邦政府が行うとの憲法の規定に従い、同年3月1日には、連邦郵政省が設立されましたが、実際には、その後も各州独自の切手発行は続けられ、郵便料金も州ごとに異なったままでした。

 このため、まずは1911年5月1日、連邦政府は“大英帝国”の一部として英本国と同様の郵便料金体系を連邦全土に統一的に導入するとともに、連邦統一の切手を発行すべく、デザインを公募。その結果、1000点を超える応募作品の中から、オーストラリア地図を背景にカンガルーを描くデザインが採用され、1913年1月2日、オーストラリア連邦として最初の切手(半ペニーから2ポンドまでの15額面)が発行され、ニューサウスウェールズ切手もその役割を終えることになりました。
 

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