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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ベルギーの新国王が即位
2013-07-22 Mon 14:56
 ベルギーで、昨日(21日)国王アルベール2世が高齢を理由に退位し、長男のフィリップ皇太子が新国王として即位しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ベルギー赤十字切手(1963)

 これは、1963年にベルギーで発行された赤十字100年記念の寄附金つき切手の1枚で、当時のベルギー王室ご一家が取り上げられています。切手に取り上げられているのは、左から国王アルベール2世、当時3歳のフィリップ皇太子、母親のパオラ王妃、そして1962年6月に生まれたばかりのアストリッド王女です。ベルギーのロイヤルファミリーには、このほか、1963年10月に生まれたロラン王子がいるのですが、切手が発行されたのは同年9月28日ですから、まだ王妃のお腹の中ですな。あるいは、切手の元になった写真が撮影された時点では、影も形もなかったのかもしれません。

 さて、新国王のフィリップ陛下は、1960年4月15日生まれ。公立学校でベルギーの2大言語であるオランダ語とフランス語の両方の教育を受け、士官学校で戦闘機パイロットの訓練を受けました。

 今回の新国王の即位で、特に注目されているのが、1999年に結婚したマティルド王妃です。彼女は、フランデレン(北部オランダ語圏)にルーツのあるデュデケム・ダコ伯爵家の出身ですが、同家の邸宅はワロン地域(南部フランス語圏)にあり、このため、フランス語とオランダ語のバイリンガルとして育ちました。

 ベルギーでは、建国以来、フランデレンとワロンの対立が絶えず、しばしば国家分裂の危機に見舞われていることもあり、フランス語とオランダ語を平等に扱うということについて、非常に神経質です。それゆえ、新国王と王妃がともに、オランダ語とフランス語の双方に同じようにアクセスできるようになった(ちなみに、先代のアルベール2世のパオラ王妃は英仏伊の3ヶ国語はできますが、オランダ語はほとんどできません)ことは、同国の国家統合という点で歓迎すべきことであり、今後の国王夫妻の役割に期待が寄せられています。

 なお、ベルギーの原語事情と切手については、拙著『事情がある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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