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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 マリPKO、きょうから始動
2013-07-01 Mon 14:30
 マリ共和国に展開する国際連合平和維持活動(PKO)として、きょう(1日)から、国際連合マリ多元統合安定化ミッション(MINUSMAU)が活動を開始します。というわけで、きょうは、今回はPKOの対象となっているマリが、かつて部隊を送っていたPKO活動に関するモノとして、こんなカバーを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       MINURCAカバー

 これは、1999年8月、国際連合中央アフリカ共和国ミッション(MINURCA)によ中央アフリカのバンギに置かれていた野戦郵便局から差し出された郵便物です。

 仏領時代、赤道アフリカと呼ばれていた中央アフリカは、1965-79年のボカサ独裁政権が崩壊した後、軍出身者によるクーデターが頻発し、政情の不安定な状況が続いていました。それでも、1993年10月22日、初の民主選挙が行われ、長年、野党指導者だったアンジュ=フェリクス・パタセが大統領に当選しましたが、新政権では、パタセの出身地である北部の出身者が重用され、それまで政権を独占していた南部の出身者は権力から排除されたことから、南北間の対立が先鋭化。さらに、公務員の給与遅配・未払いが頻発したことから、1996年4月18日、大統領警護隊による給与支払い要求の反乱が発生します。

 この時のクーデターに対しては、パタセ政権は給与の支払いを約束して鎮定したものの、翌5月18日に給与を支払うことができなかったため、反乱が再発。さらに、12月1日にも3度目の反乱が発生しました。

 このため、パタセ政権は、旧宗主国であるフランスの支援を得るとともに、1991年のマリ民主革命の英雄であったアマドゥ・トゥマニ・トゥーレが調停役となり、事態の鎮静化に尽力。治安の回復と民兵などの武装解除のため、マリのみならず、セネガル、ガボン、ブルキナ・ファソの旧仏領4ヵ国で構成される多国籍軍(MISAB:Mission Interafricaine de Surveillance des Accords de Bangui)が組織され、1997年2月、中央アフリカの首都バンギに派遣されました。なお、フランスはこのときMISABの兵站支援を担当し、国連安保理も同年8月6日に安保理決議1125でこれを事後承認しています。

 その後、1998年3月27日の国連安保理決議1159により、MISABはMINURCAへと発展的に改組され、武装解除や和平合意の遂行状況の確認のみならず、警察の教育・再編なども担当。1998年11月から12月にかけての議会選挙および1999年9月の大統領選挙を支援しました。その大統領選挙ではパタセが再選を果たし、事態は沈静化していくとみられたため、2000年2月15日、MINURCAは国際連合中央アフリカ共和国平和構築事務所(BONUCA)へと縮小・移行されます。

 ところが、パタセ政権は中央アフリカの経済苦境を改善することができなかったため、2001年5月28日、またもやパタセに対するクーデター計画が発覚。パタセは、リビア軍やコンゴ民主共和国の反政府勢力であるコンゴ解放運動(MLC)の支援を得て事件を未然に防いだものの、その過程で、軍参謀総長としてそれまで政権を支えてきたフランソワ・ボジゼ・ヤングヴォンダが事件に加担していたと考えるようになり、同年10月、ボジゼを解任。11月3日、政府がボジゼを逮捕しようとすると、ボジゼは配下の兵力でこれに抵抗。このため、政府軍は11月8日にボジゼの拠点を襲撃し、ボジゼは北隣のチャドへと亡命しました。

 この間、2001年6月、国連のコフィ・アナン事務総長は、中央アフリカの事情に通じた人物として、トゥーレを特使として派遣。トゥーレは、パタセ派とボジゼ派の対立の調停に尽力しています。そして、その実績をもとに、トゥーレは翌2002年の大統領選挙に出馬し、見事当選を果たすことになります。

 さて、今日から始動するMINUSMAは、軍事要員1万2200人と警察要員1440人から厚生委され、フランス軍チャド軍に加え、アフリカ主導マリ国際支援ミッション(マリ政府支援のため、西アフリカ諸国経済共同体加盟国によって編成された軍事ミッション)の部隊の大半がこれに移行し、中国人民解放軍がそこに加わるという構成になっています。

 なお、今回のMINUSMA設置の原因となった2012年以来のマリ北部紛争については、拙著『マリ近現代史』でも詳しく解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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